「な、なのはちゃん……」
「…………」
ただいま絶賛落ち込み中で、部屋の角で体育座りで座っています。
もう大変な目に合いましたよ…… 温泉の中でアリサちゃんと二人っきりになった時は。
もう思い出すだけで死にたくなります。 あんな私を思い出すと……はぁ~
「ほ、本当にごめん。さすがに私もやりすぎたわ……」
アリサちゃんはさっきから私に謝ってきているのですが、正直言うと今の私にアリサちゃんの言葉やすずかちゃんの言葉も何一つ耳に入ってなく、全て聞き流しています。
まぁ、それだけが落ち込んでいる原因ではないのですけどね……
余り振り返りたくありませんが、温泉で何があったのかと振り返りますね……
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「それじゃあ、温泉に行くから準備してね」
トランプが終わって、アリサちゃんが温泉に入った時でいっかと思ってから数分後、お姉ちゃんが私たちがいる部屋に入ってきてそう言ってきました。
この時私は終わったと思いました。だって、さっきアリサちゃんからの罰ゲームを逃れるために時間を先延ばしにしたのですが、結局数分しか先延ばしできなかったので終わったと思ったのです。
――よりにもよってなんでこうなるのですか……
まるでお姉ちゃんとアリサちゃんが組んでいたかのようなタイミングでしたので、ついそう思っていました。
お姉ちゃんの言葉を聞き、お姉ちゃんがこの部屋から離れていったのを確認してから、すぐに私とアリサちゃんはアリサちゃんの方を見たのですが、もうかなりにやけていました。
この時私はお風呂で何されるのでしょうと思いました。だって、あんなニヤニヤしたアリサちゃんを見ていれば嫌な予感しかしませんし、私の中で危険信号が鳴り続けていましたからね。
まぁ、お姉ちゃんや忍さんなども一緒に温泉に行きますので、度が過ぎた事が出来ないという事ぐらいアリサちゃんも分かっている筈です。けど、あのにやけた顔を見ると本当に嫌な予感しかしません。
「それじゃあ、とりあえず行きますか」
そんな不安の中、私とアリサちゃんとすずかちゃんはお姉ちゃんや忍さんなどと一緒に温泉へと向かいます。ユーノ君? もちろん置いてきましたよ。っていうかさっきまでお姉ちゃんが触っていたからどこにいるか分かっていませんし。まぁ、見かけたとしても温泉には連れてきませんが。
考えてみたら、前の時はユーノ君は裸を見たという事ですよね? あの時は今みたいに私がタイムリープして来たわけでもないので、ユーノ君が男であっても余り言いませんでしたが、もし今回もユーノ君が私たちの裸を見たら私がこっ酷く|おはなし《・・・・》するつもりです。まぁ、ないと思いますけどね。っていうかありませんでしたし。
っていうかこの時の私は、正直に言うとユーノ君の存在を忘れかけていました。理由はアリサちゃんの罰ゲームで何されるか全くわかったものじゃないから、その事で頭がいっぱいでしたもので。
そんなわけで、ユーノ君が女子風呂の方に入ってくることはなく、私たちは風呂に入るまではこれといった事件はなくて更衣室で裸になって大浴場へと入りました。
「な~のは~」
「ひゃっ!?」
大浴場に入って直ぐの事でした。大浴場にはアリサちゃんよりも先に私が入り、その後にアリサちゃんが入ってきて私の背後から私の胸を両手でつかんできたのです。突然の出来事に思わず声をあげてしまいましたが、前の時もアリサちゃん胸触っていたような事を思い出したので、それほど驚く必要もなかったと思いました。
「ちょ、ちょっとアリサちゃん……」
「う~ん……揉んだ感じがしない……」
何言っているんですかこの人は? っていうか私たちはまだ小学三年生ですよ? あまり膨らんでいるわけがないじゃないですか。
私はそう思いつつ、とりあえずこれくらいならまだ大丈夫でしょうと思っていました。お姉ちゃんとかも居ましたからね。
しかし、この時こう思った私はこの後後悔するのでした。
「こ~ら。お風呂で余りはしゃがないの」
「は~い」
お姉ちゃんがアリサちゃんに忠告すると、アリサちゃんは素直に従い、私の胸をもんでいた両手を離しました。
――アリサちゃんが素直に従った?
私は私の事でこうも簡単に引き下がった事に天変地異でも起こるのではないかと思いました。
だけどこの時の私はまだアリサちゃんに警戒を解いていません。いつ何をしてきてもおかしくありませんでしたからね。
しかし、その後もこれと言って何も起こらず、アリサちゃんが私の体を洗うと言った時は少し警戒しましたが、ごく普通に洗って最後はシャワーで洗ってくれました。
全くもって私に命令してきません。温泉の中で何かしてくるだろうとは思っていたのですが、もしかしたら温泉の中では何もしてこないのではないかとこの辺りから私は思っていました。
それから私が温泉の中に入ると、アリサちゃんは何故か私から遠くへ離れました。一体どうしたのだろうかと思いましたが、同じく温泉に入っていたすずかちゃんが私に話しかけてきたので中断しました。
「ねぇ、さっきからアリサちゃんおかしくないかな?」
「私も思いました。温泉で何かしてくるだろうとは思ったのですが……」
アリサちゃんが近くに居なくなったので、私とすずかちゃんはアリサちゃんの様子について話し始めました。
正直この時はどうして大人しくしていたのか本当に不思議で、すずかちゃんでも簡単に分かるくらいでした。
「とりあえず様子を見ることにしておこうか。もしかしたら何もしようとはしていないのかもしれないから」
「それもあり得ますね。とりあえず様子見にしておきましょうか」
他にも、これと言って何かしておく必要なんてことは一つもありませんでしたので、とりあえず様子見という事にしました。
それから少しすると、何処か遠くに離れていたアリサちゃんが戻ってきて、温泉の中に入って私たちが居る方へ近づいてきます。
「ねぇ、なんかさっき私の事で話してなかった?」
「ちょっと話してましたけど?」
「そう。まぁ別に気にしないけど」
意外に鋭い所を突かれましたが、アリサちゃんは詳しく問い詰めないで私の隣で体を温泉に浸からせました。
それから私たちは他愛無い会話を繰り返しながら楽しみ、数十分するとお姉ちゃんたちが温泉から上がりました。
「それじゃあ私たちはそろそろ上がるけど、三人はまだ居る?」
「あ、じゃあ私も一緒に上がります」
「じゃあ私も……」
お姉ちゃんの言葉にすずかちゃんが温泉から出ると言い、私もすずかちゃんと同じことを言うとして立ち上がろうとしたその時でした。
アリサちゃんが私の肩を掴んできたのです。
私はそれからアリサちゃんの方へ顔を振り向きましたが、アリサちゃんは私を見て微笑んでいました。
……この時やっとアリサちゃんの目的が分かりました。アリサちゃんはこの時までずっと待ていたのでしょうね。多分私が断ったとしても罰ゲームの命令として残されるでしょうね……
「じゃあ私はなのはと一緒にまだ温泉に居るから。それでなのはもいいよね?」
「う、うん。私ももう少し居ようと」
……文面から見るとよく分からないと思いますが、この時のアリサちゃんは目線で『なのはは私ともう少しここに居るの』と罰ゲームの命令をさっそく使ってきましたのです。
しかも今は私たちの知り合いしか居ませんでしたので、私とアリサちゃんだけになると二人だけになるのです。だからこのチャンスを逃すつもりはなかったのでしょうね。
「じゃ、じゃあ私も」
「別にすずかまでつき合わさなくても良いよ。私となのはが居るからまだ居るというのもなんか癪だし」
しかもすずかちゃん自身が言った言葉が仇となるかのように、すずかちゃんはアリサちゃんの言葉に反論できませんでした。まぁ、反論したところで罰ゲームの命令としてお姉ちゃんたちと一緒に出るように言ったのでしょうけどね。
「それじゃあ、なのはとアリサちゃんはまだ温泉に居るという事で良いのね」
「うん。少ししたら戻る予定だから」
「分かった。とりあえず余りはしゃがないように気をつけてね」
そう言ってお姉ちゃんたちは大浴場から出ていき、すずかちゃんも私の事を心配しながらも渋々出て行きました。
そして大浴場で二人っきりになると、アリサちゃんは私の方を見て微笑みだしました。
「さて、何をしようかな~」
私はアリサちゃんの言葉を聞いて、この後どうなるのでしょうかと思うのでした。
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新暦85年、高町なのははある任務の途中で死亡する。
任務は全て嘘であり、全てはなのはを殺害するための一部の管理局員による計画だった。
なのははその計画通りに殺されるが、その任務に向かう途中に偶然何故か落ちていた拾ったジュエルシードによって、なのははタイムリープをするのだった!!
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