No.440199

真・恋姫†無双 ~君思うとき、春の温もりの如し~ 39話

lovegtrさん

久しぶりの投稿です。
台風で会社が早く終わったから急いで書きました。
では、どうぞ!!

2012-06-21 23:17:57 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:4660   閲覧ユーザー数:3902

戦いの方針も決まり、いざ出陣しようというとき、貂蝉に声をかけられた。

「孫権ちゃん、ちょっといいかしら?」

そう言いながら差し出された貂蝉の手のひらには、宝石のようなものが付いた首飾りがあった。

「なんだ?これは」

「んふぅ、これはね、あなたがこの世界に来るときに一緒に落ちた星の欠片よ」

渡された首飾りの石を見ると表面に凹凸状の突起がいくつもあり、不思議な形をしていた。

「お守りよ。きっとあなたを守ってくれるわ、持って行きなさい」

「ありがとう、もらっておくよ」

受け取ったお守りを首から下げる。

「一刀ー!準備できたわよー!」

「ああ、分かったよ雪蓮」

出兵の準備が完了した知らせを受け、俺も急いで外に出た。

 

「これが、私ができる最後の手助けよ……」

貂蝉とすれ違う瞬間、そうつぶやくのが聞こえた。

「この戦い、勝っても負けてもあなたとはさよならよ……

この世界は正史から切り離され、個となる…

あなた達のものになるか、司馬懿のものになるか……

だから頑張りなさい……」

最後のつぶやきは聞こえなかった。

【関羽 side】

私たち蜀軍は今、五丈原の小高い丘の上に陣を構えている。

「はわわ~、どうやら緒戦は私たちだけで司馬懿の軍の当たらなくてはいけないようですぅ」

ここから見える遙か向こう、地平線から立ち上る砂煙を見ながら朱里が言った。

「呉の皆さんが到着するまで踏ん張るしかありません。

 斥候の人の話によると司馬懿は軍の最後方で怪しげな術を使い兵をつくり出し、その正確な数は不明とのことですぅ」

司馬懿の兵は人間では無く、司馬懿の妖術によって作られた傀儡らしい。

その数は地平線を埋め尽くし、今もなお増え続けていると言う。

「なおも増え続ける、か……朱里よ、どうするのだ?」

「はい。ここ、五丈原は名前の通り一番狭いところが五丈(約45メートル)しかありません。

そこで迎え討てばいくら大群だからといっても、その強みである数の力を発揮することができません。

それに、あちらの兵は将と呼べる者がおらず、みな雑兵のようです。ですから、一騎当千の皆さんなら余裕ですよね!」

「ふっ、朱里め。言ってくれるではないか」

朱里のその炊きつける言葉に星が不敵に笑う。

「我らの力を持ってすればあれぐらいの数、造作も無い!そうだろ?」

「そうだぜ!赤壁の時も、100万の曹操軍をやっつけたんだ!今回も余裕だぜっ!」

星に呼応するように翠が力強く拳を突き出す。

 

「そうだよ。今回の戦いはこの大陸の皆が力を合わせて戦うんだよ」

皆の言葉を聞いて桃香様が前に出る。

「今までばらばらで、争っていたのが、ひとつの目的に向かって力を合わせるんだよ。私達は一人で戦うんんじゃない。みんなで戦うんだから、きっと勝てるよ」

「桃香様の言う通りです。皆!準備は良いか!行くぞ!!」

「「「おう!!」」」

これが私達の最後の戦いになることを願い、出陣する。

【関羽 side end】

【曹操 side】

「蜀軍、すでに司馬懿軍と戦闘を開始しているようです!」

呂蒙の報告を受け、進軍の速度を速める。

狭い台地で戦うことで司馬懿の大軍と対等に戦っている劉備達だが、数が足りなければいつかは押し込まれてしまう。

そうならないためにも早く援護に向かわなくてはいけない、そう思い呉の軍勢は更に速度を上げる。

「このまま速度を維持して敵を蹴散らし、劉備たちを援護するわよ!」

「「「了解!!!」」」

春蘭達は剣を抜くと、一刀に借りた兵とともに敵へと駆けてゆく。

「我ら魏が受けた屈辱、その身に刻め!!」

敵軍にぶつかつと春蘭は一太刀で数人の敵兵を一気に切り裂いた。

すると敵兵は砂人形の様にさーと崩れ落ちた。どうやら司馬懿の作った兵は倒されるとこうなるらしい。

私も何体かの敵を斬り倒し前に進む。

すると敵の様子が少し変わった。

蜀軍を攻めていた敵がこちらに向かってくる。

狙いは、孫の文字の牙門旗。

どうやら司馬懿は一刀を狙うよう傀儡に指示を出したらしい。敵は旗のもとにいる一刀めがけ、雪崩れ込んでくる。

 

「残念」

一閃きらめくと敵が真っ二つになった。

敵を斬ったのは牙門旗の元にいた孫策である。

「残念、一刀はここにはいないわよ」

そう言いながら剣を一振りふた振りと敵を斬ってゆく。

「それにしても、一刀も人使いが荒いわよね。引退した私に孫家の旗を預けるんだから」

「そう言うにしては嬉しそうな顔をしているわよ、孫策」

「まあね。ひさしぶりの戦場だから、とても昂ぶっているわ。

 まだ力は本調子じゃないけど、こんな人形ぐらいならどうってこと無いわ」

それにしても不思議だ。

私の失策のせいで力を失った孫策と、今は背中を合わせ共に戦っている。こんな時がくるとは、あの時の私は考えもしなかったであろう。

「これも惚れた弱みってやつよね」

「そうね」

孫策は遙か後方、司馬懿がいる方を見る。

「だから、あなたも頑張りなさい」

【曹操 side end】

「なに?!孫権が居ないだと!」

軍の最後方、司馬懿の叫び声がする。

呉軍の本陣を急襲すると、いるはずの大将が居ない、そこで声を荒げている。

「じゃあ、どこにいるんだ、孫権は?」

「ここにいるぞ!」

飛びかかるようにして俺は、後ろから剣を司馬懿の頭目掛け振り下ろす。

しかしすんでの所でその攻撃を防ぐ。

首をぐるりと真後ろに向ける司馬懿と目があった。

「なぜここにお前が居る、孫権!」

「苦労したぜ。ここまでぐるっと回ってきたんだからな!」

俺たちがとった作戦はとても簡単なものであった。

全軍で司馬懿軍とぶつかりそちらに注意が向いている間に、俺が回り込み後方の司馬懿とぶつかる、それだけだ。

「お前を倒せば戦いは終わる。だから早めにケリを付けに来たぜ」

「舐めるな、小僧!そうやすやすとやられるか!」

激しい憎悪を感じる。貂蝉達の話では、別の外史で一刀()は司馬懿が慕っていた管理者達を倒し、そのことを憎んでいるらしい。

しかし、そんなこと知ったこっちゃない。

「お前が一刀()を憎んで世界を壊すと言うなら、俺がそれを止める!」

一合二合と激しく剣をぶつけ合い、俺と司馬懿は切り結ぶ。

最初の急襲で構えを崩したのか、今のところ俺が司馬懿を押しているかたちである。

「調子に乗るなよ!お前一人で倒せると思うな!」

鍔迫り合いした剣をはね除け、切りかえして来た司馬懿の剣が胴を掠る。

「くっ!?」

「ハハハ、どうした?そんなものか!」

斬られたところを触り具合を確認するが、どうやら傷はそんなに深く無いようである。

 

「誰が一人だと言った!」

その時司馬懿の後ろから雄叫びとともに、飛び出してきた思春が司馬懿の胸を斬りつける。

司馬懿はどうにか飛び躱し、深手を追わずにすんだ。

「私と一刀様でお前を倒す!」

逆手に持った鈴音を構え、思春が叫ぶ。

 

 

最終回まであと

2話

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
33
2

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択