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IS《インフィニット・ストラトス》 駆け抜ける光 コラボ小説 第五話~二 空と地を駆ける欲望

オーズの圧倒的な力に倒れる一夏と箒。そこに来たのがセシリアと鈴音。今度はどのコンボが相手かな?

2012-03-20 22:15:29 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1311   閲覧ユーザー数:1300

「夏兄! 箒さん!」

[ユリは本気で殺す気でいるな……出来ることならISが強制解除される前に助けたいがオーズの力は想像以上だ]

 

 セシリアさんと鈴さんが夏兄と箒さんを助けてくれたのは良かったけど、二人ともボロボロで見るのが辛くて、目を背けてしまう。それにしてもオーズの力は恐ろしいものだ。

 

「うぅ……ちくしょう……」

「喋っちゃダメだって夏兄! 傷が酷いのに……!」

「唯を、取り戻せなかった……しかも箒まで! 俺に力が無いから!」

 

 夏兄は涙を流してそう呟く。 仲間を救えず、護れず何もできなかった悔しさからだろうか? 恐怖はない。ただ自分の不甲斐なさに悔しい気持ちで――。

 

「今はゆっくり休んで夏兄……無理しちゃダメだよ」

「でも……!」

「お前と篠ノ乃は治療室で待機だ。福音の時より身体もISのダメージも酷いはずだ。いいな?」

「千冬姉……分かったよ。今は休む、また特訓して強くなってみせる! 今度こそ……」

「では、いくぞ。アムロさん、少しの間、指揮を頼みます」

[了解だ。一夏と箒は千冬に任せる。俺達はこの戦いを見届けよう]

「はい……! 二人の分まで頑張らなきゃ」

 

 

 

「さて、早速始めようよ♪ このコンボのままでも良いんだけど……それじゃあつまらないからね、一回使ったコンボは使わないようにしてあげるよ♪」

「私たちも相当舐められてますわね……」

「でもそれなりの実力があるじゃない。しかしまぁ、ガタキリバだっけ? あれ完全にチートじゃないの」

 

 そんな文句を言う鈴。確かにガタキリバはチートだろう。だからオーズ本編でもあまり使われなかったというのが通説。けっこうカッコいいのに……。

 

「じゃあ今度は空中戦にしようかな♪」

 

 ユリはそう言い、メダルを全て赤のメダル――タカ、クジャク、コンドル――に変えスキャンする。

 

『タカ! クジャク! コンドル! タ~ジャ~ドル~♪』

 

 先ほどのタトバコンボとは違いタカヘッドがブレイブに変化し、よりタカらしくなった。空中戦を得意とし、火を司る鳥系コンボ――タジャドルコンボに変身した。中央のオークランドサークルは不死鳥の形をしている。

 

ユリは背中の三対のクジャクウイングを展開し空中へと飛び上がる。その姿は不死鳥に見違えるほどの美しさがあった。

 

「あれって……」

「タジャドルコンボでしたわね。左腕に装備されているタジャスピナーを始めとした遠距離、羽や爪による近距離にも対応できる万能型……というべきでしょうか」

「分かってたとしてもボクには勝てるわけないよ♪ さっきの見たでしょ? あの二人のようになっちゃうんだよ? 怖くないわけ?」

「なにを言うかと思えば、くだらないわね。そんなのやってみなくちゃ分からないじゃない!」

 

 その声とともに鈴は双天牙月を連結、空中に上がりながらユリへと接近する。それをセシリアがレーザー型4基のビットで援護する。

 

「強気だねぇ、それがいつまで続くか楽しみだな♪」

 

 ユリはビットによる攻撃を回避しつつ鈴に接近する。鈴の斬撃を避け、ゼロ距離でタジャスピナーから火炎弾を連発する。直撃した鈴は肩部の拡散衝撃砲を放ちながら後退する。衝撃砲は砲弾や砲身すら見えないのだが、ユリは放つ衝撃砲を全て回避していく。

 

「けっこうな威力じゃないの! セシリア、二人で弾幕よ!」

「分かってますわ! これで一気に終わらせましょう!」

 

 鈴は拡散衝撃砲を、セシリアはビットを周辺に移動させ、ときどきスターライトMarkⅢで弾幕を張る。回避する隙間もなく当たるしかないのだが、ユリは止まり、両腕と翼を大きく広げ背面からクジャクの羽のようなもの――クジャクフェザーを出現させる。

 

「甘いよねぇ♪ そのぐらいの弾幕なんてさぁ!」

 

 クジャクフェザーを弾幕に向かって発射させ、全ての弾幕を相殺させる。鈴とセシリアは負けじと撃ち続けるがクジャクフェザーは無限に発射できる技であり、次第に押されていく二人。そして弾幕が止まるが、ユリもクジャクフェザーを収納させた。撃ち合いのせいで目の前には煙が舞ってユリの姿を確認できない。

 

「……どんな手で来るか分かりませんわね」

「これじゃあ終わらないか……どうくる!?」

(上だ!)

『スキャンニングチャージ!』

 

 二人は謎の声を聞いたと同時に機械音が発せられる。その方向を見れば、両足のコンドルレッグをクロー状に展開し、それに炎を纏わせたユリが迫って来ていた。しかし、二人はそれをなんとか回避することに成功したが、散開してしまった。

 

「え? なんで避けれたの!? 止まらないよぉ~!」

 

 ユリはそのままアリーナの壁に思いっきり突っ込み激突する。壁を壊した衝撃で煙がたち込める。

 

「鈴さん、今なら!」

「そうね、弾幕で終わらせる!」

 

 二人は煙に向かって射撃を再開した。さっきよりも勢いが強く、並みのISならすぐに強制解除されるような感じである。二人は攻撃を止め、様子を見る。

 

「にしてもあの声って、唯……だったよね?」

「そうですわね。もしかしたら唯さんを取り戻せたかもしれませんわね」

「まだまだぁ!」

 

 煙の中からユリが高く飛び上がる。その最中にタジャスピナーにメダルを入れていた。

 

「まさかここまでやられるなんて思ってもなかったよ! これで終わりだね!」

 

 ユリは二人より二倍ぐらいの高さまで飛ぶと、そこで止まりスキャナーでタジャスピナーをスキャンする。

 

『タカ! クジャク! コンドル! ギン! ギン! ギン! ギガスキャン!』

 

 その機械音と共に、ユリが炎に包まれていく。それはまるで全てを燃やす不死鳥のようで二人に悪寒が走る。

 

「こうなったら……援護頼むわね、セシリア!」

「任せてください!」

「はぁぁぁぁ!」

 

 突っ込んでくるユリに鈴も双天牙月を構えて突っ込む。セシリアがスターライトで援護するが、炎にレーザーが打ち消される。

 

「このぉぉぉぉ!」

 

 迎え撃つ鈴だったが、鈴は炎に包まれISが強制解除された。落下する鈴をセシリアがキャッチする。

 

「鈴さんっ、しっかりしてくださいまし!」

「あの威力、現ISを軽く超えてるじゃない……強過ぎよ」

 

 そう言って鈴は目を閉じた。気絶しているだけで命に別条はないが、セシリア一人でユリの相手は――。

 

「一人になっちゃったね♪ すぐに終わらせてあげるよ♪」

「あまり舐めてほしくありませんわね!」

 

 ビットを最大稼働させ、ユリに攻撃させる光輝との特訓でビットの操作に磨きがかかったセシリアだがことごとく回避されてしまう。鈴を抱えている以上、スターライトによる攻撃は不可能だ。万事休すか?

 

「ふふ、ビットの操作はかなり上手くなってるけど、まだまだ力を出し切れてないよね」

 

 ユリの言うとおり、ブルーティアーズは偏向射撃(フレキシブル)が可能だがセシリアはそれが出来ないのである。それが使えて初めて力が引き出せるのである。

 

「それでもっ! 諦めたら終わりですもの!」

「へぇ~、こっちの君は性格が違うね♪ でも終わらせてあげる♪」

 

 セシリアに接近して襲ってくるユリだが――

 

 ――バンッ!

 

 銃声が聞こえ、ユリとセシリアの間に銃弾が通る。その方向を見れば地上からシャルロットがスナイパーライフルで狙撃していた。

 

「セシリア早くピットに戻って!」

「シャルロットさん……! 助かりましたわ!」

「おっと、逃がすと思っているの?」

「させるか!」

 

 今度はラウラの大型レールカノンが火を吹き、ユリにかすった。ラウラは左目の越界の瞳(ヴォ―ダン・オージェ)を解放させている。

 

「動くな。今度は当てるぞ!」

「しょうがないなぁ。逃がしてあげようか♪」

 

 ユリは素直に聞き、セシリアはその隙にピットに戻った。それを見届けたシャルロットとラウラはユリへと向く。

 

「お次は君達なんだね♪ また地上戦と行きましょう♪」

 

 ユリは地上に降り、黄色のメダルをセットするが――

 

「させないよ!」

 

 シャルロットは二丁のアサルトライフルでラウラもレールカノンでユリを狙い、変身を阻止しようとするが――

 

『ライオン! トラ! チーター! ラタラタ♪ ラトラーター♪』

 

 ユリは射撃が始まる前にスキャンし、メダル状のエネルギーが銃弾をはじき返しながら変身した。大地を駆ける猛獣を司る、ラトラーターコンボに変身した。それと同時にライオンヘッドを中心に熱線――ライオディアスを発動させる。

 

「うおおおお!」

「あ、熱い……! これって!」

「ラトラーターコンボかっ。くそっ、これじゃあ攻撃すら出来ん!」

 

 それもそのはず、川の水全てを蒸発させるほどの温度を発するこの技はISを展開していてもかなりの熱を感じる、眩しいということもあり行動ができないのである。普通の人間なら蒸発するだろうね。

 

「よ~し! いっくよ!」

 

 ライオディアスを解除させたユリはトラクローを展開させ、チーターレッグの驚異的なスピードを以って二人に襲いかかる……!

 

 

 

 暗闇の中、俺はユリを通してこの戦いを見ている。一夏に箒、鈴が俺のせいで危ない目に合ってしまった。でも必殺技を受けてIS強制解除だけで済むなら不幸中の幸いか。

 

「さっきの声はなんとか届いた。これなら俺にもみんなを助けることが出来る」

「もうそんなことさせないよ」

 

 背後に向くと、紫のツインテールをした俺――ユリがいた。

 

「ユリ……!」

「……しぶといんだよ。いい加減に諦めて欲しいね。ボクに身体を明け渡してくれたらみんなは傷つかないし唯も楽になるんだよ?」

 

 なぜか動けない俺はゆっくりと歩いてくるユリを凝視していた。ユリは俺の目の前まで来ると細い指で俺の胸をなぞってくる。

 

「ねぇ? 唯の身体ちょうだい?」

「……嫌だね。俺はお前に取り込まれる気はないし、これ以上好きにさせる気もない!」

「ふふっ、強気だね。でもいつまで続くかな? 正直ね、光輝ちゃん以外はどうでもいいの。あの子を壊せば光は消えて次第に君も壊れるのさ」

「光は消えないさ。俺も壊れない……! お前には分からないだろうな。あの光の暖かみと繋がりは!」

「分からないね。分かりたくもないね! ボクにとっては邪魔なんだよ! 光輝ちゃんはボク自身の手で壊す! 唯もまだ見たこともないボクのメダルでっ!」

 

 憤ったユリはそう言って俺から離れて消えた。あそこまで感情を出したユリはこの戦いまでに見たことなかったな。俺はもしかしたらユリと――

 

「やっぱりユリにもメダルがあるのか? 一体どんな能力が……?」

 

 とにかく今はあいつらの無事を願い、出来るだけの助けをすることだけに集中しよう。すまないみんな……本当にありがとう!


 
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