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IS《インフィニット・ストラトス》 駆け抜ける光 コラボ小説 第五話~一 欲望の王の実力の片鱗

ユリは唯を壊して支配するため専用機持ちとの戦いを申し込んだ。唯を取り戻すための戦いが始まる!

2012-03-20 22:13:14 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1295   閲覧ユーザー数:1286

 次の日の13時50分。決戦10分前に僕達は第一アリーナのピットに集合していた。あれから唯さんには異常はなく、ユリさんが出てくることはなかった。でも今からは本気で僕達を殺しに来る。気を抜くわけにはいかない!

 

「なぁ唯。昨日のことなんだけど、俺達は唯が人間じゃないからとか気にしないからな。始め聞いた時はびっくりしたぜ。だけどそれでも唯は唯だろ? それに俺達もう友達だからな! 異世界がどうこうじゃない、友達にそんなことは関係ないぜ! だから何か困ったことがあったら俺達に相談しろよな!」

 

 夏兄のその言葉に専用機持ち全員が頷く。強い想いが籠った瞳は勇気を与え、人を強くする。

 

「みんな……ありがとう……! ユリになっても俺は足掻き続けるよ。こんな個人の理由だけの戦いなんて本当はやっちゃいけないんだ!」

「焦っちゃダメだよ。僕達も絶対に負ける気はないから、唯さんはユリさんを止めるようにしてほしい」

「あぁ、分かってるさ。今度は自分の力でユリに勝つよ」

 

 唯さんの強い意志の籠った瞳。今までの唯さんとは違う、強さを知った瞳に見える。

 

「唯、絶対に負けるなよ……!」

[今の君からは勇気を感じる。気持ちで負けない限り絶対大丈夫だ]

「ありがとうございます。みんな先にアリーナ内に出てるから……」

 

 そう言って唯さんは一人でアリーナに歩いていった。大丈夫、みんなで笑って勝つんだ! 

 

 

 

「唯がさらに勇気を持ち始めてる……やっぱりあの光が邪魔なのかな?」

 

 アリーナのフィールドでユリは一人思う。ユリには理解が出来なかった。光で勇気を持てるなんて意味が分からないのである。それに苛立ちを感じているのも事実だ。

 

「今日は片っ端から壊してやる。唯の前で仲間を壊して唯の心を殺す。そしたらボクは――」

 

 そんなことを言っているとピットからISの影が見えた。それは真っ白で何者にも染まらないような純白。

 

「一人なの? まぁ順番で来るのもいいかも♪」

「絶対に負けねぇ! 唯を絶対に返してもらう!」

 

 織斑一夏――IS『白式』を駆る少年。真っ直ぐな信念を持った強い少年。光輝とは違う意味で純粋な人間だ。

 

 全員で戦うのもありだったのだが全員が効率よく戦うなら一対一、一対二の方がいいと千冬。確かに多過ぎても邪魔な気がするのは全員が納得である。

 

「昨日、黒百合のシュミレーションはけっこうしたからな。後は自分を信じて戦うだけだ!」

「ふふ、誰がISを使うって言ったかな♪? 生身でも良いんだけど……せっかくだからあれを使って相手をしようか♪」

 

 ユリはそう言って右手をかざす。すると手のひら付近の空間がねじ曲がり一瞬の光をだしてそれは手に収まる。それはベルトにも見えるが一体何なのだろうか?

 

[あれはまさか!? 気をつけろ一夏! ユリはオーズで戦うつもりだ!]

「え? じゃあ、あれは変身ベルト!?」

 

 個人間秘匿通信《プライベート・チャネル》でアムロは一夏に言う。アムロ自身は唯と初めて話した時に聞き、一夏達専用機は唯の秘密を明かされた時に。今はベルトがないと言っていたが……。

 

 ユリはそのベルト――オーズドライバーを腰に装着し、オーカテドラルに右手で赤いメダル、左手で緑のメダルをセットし、最後に中央に黄色のメダルをセットする。

 

「みんなみんなボクが壊してあげるから♪ だからボクを楽しませて♪」

 

 そしてユリは右腰に装備してあるオーズスキャナーを持って、オーカテドラルを傾ける。

 

「変身♪」

『タカ! トラ! バッタ! タ・ト・バ♪ タトバ、タトバ♪』

 

 

  オーズスキャナーでスライドし、ユリは――仮面ライダーオーズ、タトバコンボへと変身した。

 

「……おぉ、かっこいい!」

「え? ま、まさかの感想だね♪ 男の子ってこういうのが好きなのかな?」

 

 一夏はユリの変身に驚かず逆に目を光らし、そしてユリは反応に戸惑う。こんな反応されるとはユリも想像してなかったのである。グリードとはいえユリの精神は女子。男子の考えは唯を見ていて理解できるものと出来ないものがあったのはユリだけの秘密。

 

「冗談はここまでにして、さて壊してあげるよ♪」

「俺は逃げも隠れもしねぇぜ。いくぞっ!」

 

 先制は一夏で、雪片弐型で切りつける。ユリは両腕のトラクローを展開させ、両方の腕でそれを受け止める。一夏は瞬時に雪羅から零落白夜のクローを出現させユリを切りつけようとするが、ユリはそれを後ろにジャンプして回避する。

 

「へぇ、良い反応だね。でも零落白夜もちょっとずつ使わないとすぐにエネルギー切れになるからね♪ ボクもさすがにそれに当たったら辛いね……でも当たらないけど♪」

「やってみなくちゃ……分かんねぇ!」

 

 再度接近して切りつけようとするが、斬撃をトラクローで受け流され、金属音がぶつかり合う音が絶え間なく響く。一夏の攻撃がユリに届かない。

 

次第にユリが一夏の僅かな隙を見つけてトラクローで切り裂いていく。シールドエネルギーで守られているとはいえ、稼働時間は短くなっていく。

 

「ふふ、始めの勢いはどうしたの? 早く反撃しないとエネルギーが減る一方だよ♪」

 

 一夏は一度後退してユリとの距離を取る。ユリの反応速度は唯を超えている。遠距離でも回避され、接近でも回避されてその隙に反撃を喰らう。なら……

 

 一夏は零落白夜を発動させ、雪片二型からエネルギーの刃を出現させる。一気に勝負を決めるつもりだ。

 

 

「頼む白式、もうちょっとだけ頑張ってくれ!」

 

 瞬間加速をしてユリに急接近する。ユリはそれを読んでいたのだがあえて避毛ようとはしない。疑問に思う一夏だったが勢いを止めずにそのままユリに切りかかった――。

 

「――っ! なんでだよ!」

「甘かったね♪ ボクが何もしないとでも思ったのかい?」

 

 なんとユリは零落白夜の横切りを飛んで回避し、そのエネルギー刃の上に立っていたのだ。一夏はその事が信じられずに、ただユリを見上げることしかできなかった。

 

「さてもう終わらそうかな♪ はぁぁ!」

 

 バッタレッグが光り、思いっきりジャンプして重い飛び蹴りを喰らわす。その攻撃にはシールドエネルギーが働かず、直撃した一夏は壁際までぶっ飛び、胸の装甲が砕けた。

 

「ぐはっ! シールドエネルギーが働かない!?」

「これでトドメ!」

『スキャンニングチャージ!』

 

 ユリはオーズスキャナーでオーカテドラルをスライドすると音声と共にバッタレッグの爪先が伸び、先ほどより高く飛ぶ。ユリの前にタトバコンボの三色のリングが現れ、それを通り、一夏目掛けてタトバキックを喰らわす。

 

「うわあああ!」

 

 一夏に直撃し、爆発とともにタトバの色をした000が一瞬浮かび上がる。しかしユリは満足していなかった。

 

「大丈夫か、一夏!?」

 

 煙から現れたのはIS解除手前の一夏と赤椿を纏った箒だった。タトバキックが命中する直前、箒が一夏の前に立ち、展開装甲を防御に集中することで直撃を避けたのだ。それでも完全に相殺されたわけではなく箒はもちろん、一夏にも影響がきていた。

 

「ISのダメージが半端ないけど、まだ身体は動く……」

「回復させたいのだが……絢爛舞踏が発動しないんだ……」

「そんなんに頼らなくても大丈夫だぜ。身体が動けば何とかなるさ!」

 

 一夏の言葉に箒も構えていつでも戦闘が行える状態になった。一方ユリはそんな二人を見て怒りがわき上がっていた。

 

「せっかく壊せたかと思ったのに……まぁいいや。お前ら二人には容赦しない。殺してやる……」

 

ユリ自身の顔は見えないものの、凄い形相で睨みつけているのを感じる二人。ユリはタカとトラのメダルを抜き取り、緑のメダル――クワガタ、カマキリのメダルを入れる。

 

「始めから二人で来るならいいけど途中からって言うのは嫌いだ。絶対に殺す、殺してやる!」

『クワガタ! カマキリ! バッタ! ガ~タガタキリッバ♪ ガタキリバ♪』

 

 メダルをスキャンし、オーズは姿を変える。昆虫の力を得たガタキリバコンボ。クワガタヘッドの二つの角が昆虫っぽさをだしていると思う。(これは作者の感想ですので気にしないで下さい) 

 

「これってガタキリバコンボだっけ? 確か……」

「最高50体の分身ができるって言っていたな……」

「そうだよな……でもやるしかない」

 

 追い詰められても気合を入れる一夏。そんな一夏を見て箒は勇気づけられていく。一夏と一緒なら勝てるという想いが溢れ出てくる。

 

「性質は分かってるみたいだね……すぐに殺してやる!」

 

 ユリはすぐさま分身体であるブレンチシェイドを作り出し、一夏と箒を襲う。その数最高の50体。しかもオリジナルと同じ性能なので50体のユリが襲っていることになる。まさに悪夢だ……。

 

「行くぞ箒!」

「あぁ! 絶対に諦めない!」

 

 向かってくる大群の中に突っ込んでいく一夏と箒。ボロボロにもかかわらず、信念の揺れない強い瞳を持って立ち向かう姿がお互いに勇気を与え、人にも勇気を与える。

 

「はぁぁぁぁ!」

「数が多いな!」

 

 大群の中心へ向かった二人はただただ攻撃していく。しかし、他の分身からの攻撃も喰らいすぐにダメージが溜まっていく。それでも二人は諦めなかった。しかし、ガタキリバのカマキリソードやバッタレッグによる攻撃は二人を確実に追い詰め消耗させていく。

 

「自分から突っ込むなんてバッカみたい。もういいや、二人ともバイバイ♪」

『スキャンニングチャージ!』

 

 ユリがスキャナーでスライドすると他の分身も一斉にスライドし、上空へジャンプする。一斉に二人にガタキリバキックを叩きこむ。50体全てのキックが二人に命中し爆発する。

 

 分身は消えユリ本体だけとなった。煙が消え、ボロボロになった一夏と箒が倒れているのが確認できる。ISは強制解除され、身体中からは出血をしている。

 

「ボクの機嫌を損ねたらそうなるって覚えておきなよ? じゃあこのまま心臓を貫こうか♪」

 

 ユリはゆっくりと歩き、一夏の傍に行く。カマキリソードを構えようとするが――

 

「待ちなさい!」

「お二人にはこれ以上手を出させませんわ!」

 

 その声はISを纏ったセシリアと鈴だった。

 

「次は君たちか♪ じゃあこのぼろ雑巾を早くピットに戻しなよ。そしたら壊し合おう♪」

「お二人を雑巾扱いなんて! 許しませんわ!」

「今は二人の救助が先よセシリア。この二人の為にも勝つわよ!」


 
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