No.395380

IS《インフィニット・ストラトス》 駆け抜ける光 コラボ小説 第五話~三 戸惑う気持ち

今度はシャルロットとラウラのペアが相手に。戦いの最中、唯はユリに支配されないと断言する。しかし、ユリは唯を壊すために仲間を殺すと言う……。

2012-03-20 22:19:21 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1074   閲覧ユーザー数:1069

「ぐあっ! まさか越界の瞳(ヴォーダンオ―ジェ)でも見切れない程の速さとは、なかなかやるな!」

「それはどうも♪」

 

 常に高速移動しているユリの動きに付いていけれないシャルロットとラウラは苦戦を強いられていた。高速で近付いてはトラクローで切り抜け、また高速移動――接近してきた時にカウンターを仕掛けるしかないのだが、相手は高速移動なので反応しきれないということがある。

 

「こうも速かったらこっちがやられてばっかりだね……ラウラは反応できてる?」

 

 背中越しにシャルロットはラウラに尋ねる。二人ともけっこうなダメージ量を蓄積しており、限界は近かった。

 

「最初よりかは出来始めたさ。次の攻撃が来た時にわざと受けて奴を捕まえる。その間にシールド・ピアースを撃ちこめ」

「そんなことしたらラウラが……!」

「私には構うな。どの道、唯を取り戻さないとそれこそ大変なことになるぞ」

「っ! 分かったよ。私達で決着をつけよう!」

「何考えてるのか分からないけど無駄だよ!」

「来るぞっ!」

 

 ユリがラウラに切り抜けを行おうとし、ラウラはわざとダメージを受ける。だが――

 

「な!? 最高速度じゃないにしてもけっこうスピード出してたのに!」

「捕まえたぞ……今だ、シャルロット!」

「これで終わりにするよ!」

 

 シャルロットはシールドを展開させると69口径パイルバンカー――シールド・ピアースを出現させる。シャルロットのIS『ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ』は第二世代ながらも最高威力を誇る、通称―盾殺し(シールド・ピアース)を装備している。リボルバー式になっているこれは高威力の連射が出来るという武器である。

 

 それをユリに突き立て、全てを射出させる。

 

「きゃああああっ!」

 

 連撃の振動に耐えきれなかったユリが壁際までぶっ飛ぶ。ここまでにきて始めての有効打と言えるだろう。ユリはぐったりとして動く気配が無い。

 

「大丈夫、ラウラ?」

「なんとかな。でも斬撃のせいで装甲がボロボロ寸前だ。修理に時間がかかるな……」

「それは僕もだよ。でもこれで唯は取り戻せたんじゃないかな?」

「――まだ、まだ終わってないよ……」

 

 よろよろ立ち上がるユリ。紫の瞳が妖しく光り、二人に悪寒が走る。

 

「まさかのダメージだったけどまだまだ行けるんだな、これが♪」

「ピアースの連続直撃を受けて……タフにもほどがあるよ……!」

「さて、コンボチェンジしようかな♪」

 

 ユリはメダルを全て青に変えてスキャンする。

 

『シャチ! ウナギ! タコ! シャシャシャウタ♪ シャシャシャウタ♪』

 

 水を発し、変身したのは海を司る水棲系コンボ――シャウタコンボである。なんともまぁ海の生き物ですよ、みたいな容姿である。一

 

「あれは……シャウタコンボだね。水中向きのコンボとは聞いたけど――」

「地上でも戦闘能力は高いらしいな。しかし、これ以上の戦闘は難しいぞ……」

「さぁて♪ 終わらせるよ!」

 

 ラウラはすぐさまワイヤーブレードを射出させユリに攻撃する。しかしユリは身体を液状化させ、ブレードを回避する。そのまま近付き空中にジャンプし、電気ウナギウィップを取り出し、二人に巻き付ける。

 

「痺れちゃえ~♪」

 

 ウィップに電気が走り、二人を痺れさせる。悲鳴を上げる二人だがそれを聞いてユリのテンションが上がったのか、狂気に満ちた笑い声を上げる。

 

「あははははははっ! その顔だよ! その顔が見たかったの! 人が苦しむその顔がさぁ! 好きで好きでたまらないんだよ!」

「ぐあああぁぁ! こい、つ……」

「このままでも良いけどまだ本命とか残ってるから終わらすね♪」

『スキャンニングチャージ!』

 

 メダルをスキャンさせるとウィップ同士を合わせて巻きついている二人を一か所に纏める。そして液状化し空高く飛んで、タコレッグをドリル状に展開しそのまま二人に接近する。

 

「今度は誰も助けに来ないね! せいやぁぁぁ!」

「させるもんかぁぁぁ!」

 

 凄まじい轟音と共に極太のビームがユリを襲う。ちょうどドリル状になったタコレッグに直撃し爆発する。その正体はフルアーマーZZを纏ったエリスのハイメガカノンだった。エリスはすぐさまシャルロットとラウラの元に駆け寄る。

 

「二人とも大丈夫?」

「まぁね。なんとかって感じかな」

「助けてもらったのにこう言うのも失礼だが、もうちょっと助け方を考えて欲しかったぞ」

「いや~咄嗟だったからね。今度からは気をつけるよ」

「悪いんだけど、ユリの相手を任せたいんだけどいいかな? もう僕達のISも限界なんだ……」

「お任せあれ! そのために私が来たんだから!」

「相変わらず元気がある奴だ。すまないが後は任せるぞ……」

 

 そう言って二人は支えながらよろよろとピットに戻っていった。

 

「二人も大丈夫だね。ユリちゃん、そろそろ起きたら?」

「……ばれてたか」

 

 うつ伏せに倒れていたユリは何事もなかったのように起きた。エリスの感覚が鋭くなっているのが分かる。変身も解けているが油断はできない……。

 

「ユリちゃんは唯くんが嫌いなの? だから支配したいの?」

「唯は嫌いじゃないよ。ボクは紫のグリードとして自分の欲を満たそうとしているだけだよ。この戦いだってそうなるね」

「たった……それだけの為に! みんなを傷つけて、光輝くんも唯くんも消そうとして! 君は絶対に倒す!」

「良い気迫じゃないの♪ それにそのごついISは見たことないなぁ。まぁボクの敵じゃないか♪」

「言ってくれるね。ユリちゃんも変身も解除されてどうするのかな?」

「そんな心配はいらないよ。また変身すればいいんだから。変身♪」

『クワガタ! クジャク! チーター!』

 

 ユリはここで始めて亜種コンボを使い、ガタジャーターに変身した。

 

「違うメダルで変身する亜種コンボか。しかもチーターをまた使うとは……悪いけどラウラよりかは反応出来る自信あるからね」

「へぇ、それは楽しみだよ♪ それじゃあいくよっ!」

 

 ユリはすぐさま高速移動を開始し、クワガタヘッドからの電撃、タジャスピナーによる火炎弾を放つ。まるでオールレンジ攻撃を一人で再現しているような攻撃だった。エリスは全く動かず直撃している。しかしダメージはほとんど受けていない様子だった。

 

「あれれ、なんで棒立ちなのかな? まぁいいや。このまま攻めればいつかは動くよね」

 

 ユリは警戒せずにそのまま攻撃を続ける。エリスは全く動かない――と思いきや。

 

「そこっ!」

 

 エリスはダブルビームライフルを何もないところに撃ったと思ったら――

 

「きゃ!」

 

 高速移動していたユリに直撃した。ユリは直撃の衝撃で後ろに飛ぶが華麗に着地した。

 

「まさか当てるなんて……一体何をしたの?」

「私は唯、ユリちゃんの動きを予測しただけだよ。臨海学校が終わってから直感や予測とか出来るようになったんだよ。まぁ光輝くんほどじゃないけどね」

「へぇ意外な能力だね。じゃあこれはどう!?」

『シャチ! カマキリ! コンドル!』

 

 ユリはまたもやコンボチェンジし、シャキリドルに変身した。ガタジャーターに比べて接近向きの亜種か。

 

「なら接近して直にダメージを与える! 遠距離よりかは攻撃スピードも上がるよ!」

 

 ユリはカマキリソードを逆手に展開させながらエリスに向かっていく。エリスもハイパービームサーベルを持ち、ユリを静かに待つ。

 

 ユリはカマキリソードとコンドルレッグによる双剣と爪の斬撃でエリスを圧倒しているが、エリスはいつもより冷静でハイパービームサーベルで受け流したりアーマーで受けたりしている。

 

 受け流すと言っても小さいながらもダメージは蓄積しているのは確かだ。ZZがやはり接近戦向きではないのが改めて分かる。出力は高いけどね。

 

「くっ、手数が違い過ぎる……!」

「四つと一つじゃ当たり前だよ♪ このまま行くのも良いんだけど……こっちもパワーで攻めようかな♪」

 

 するとユリは後ろにジャンプして距離を取り銀色のメダルを入れ、スキャンする。

 

『サイ! ゴリラ! ゾウ! サゴーゾ♪……サゴーゾ!』

 

 全てを力でねじ伏せる獣の力、重力を司る重量系コンボ、サゴーゾコンボに変身した。

 

 「うおおおおお!」

 

 ユリは叫びながらドラミングを行う。するといきなりエリスが地面に倒れる。正確にはエリスには重力が掛かったとでも言うべきか。

 

「うあ……サゴーゾコンボは重力……を操るんだっけ? うぅ、重くて、身体が起きない……」

 

 ユリがしばらくしてドラミングを止めるとエリスはなんとか起きることに成功した。だが、いきなりの重力は身体への負担が大きいゆえにダメージも大きかった。シールドエネルギーより身体へのダメージか。

 

「そっちがパワーならこっちもパワー! さぁ、勝負!」

 

 

 

「サゴーゾにチェンジしたか。絶対に無理だけはしないでくれよ……」

 

 ユリの中から戦闘を見続ける俺だが、ある疑問が浮かんだ。

 

 俺はユリをどう思っているんだ? 今、俺の身体を支配しようとしているユリだが正直なところ、俺は嫌いではない。

 

 ユリと話すのがけっこう楽しかったりするし悪い気はしなかった。こいつが実際に身体を持って一緒に居れたらいいなんて思っていた時もあった。一夏達とも仲良くなって欲しいなんて思っていた時もあった。

 

「もしかしたら俺はユリと――」

 

 これが答えなのかもしれないけど、俺にはそう思えない。自分で思っている事なのにさ。この気持ちはなんだ? 

 

 もしこの戦いが終わったらユリと真剣に話してみよう。俺が死んでなければだが……。

 


 
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