No.392711 二度目の転生はネギまの世界 第十話翡翠色の法皇さん 2012-03-16 22:34:16 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:6261 閲覧ユーザー数:6005 |
第十話「京都といえば神鳴流であろう?」
さて、故郷の村が滅ぼされていたり、
現在の
「すまぬ、そこの者」
「はあ、なんでっしゃろ?」
適当に見つけた男に声をかける。ふむ、前々世が日本人であったとはいえ、日本語を離れて500年以上。イントネーション含めうまくいっているか微妙ではあったが、どうやら聞き取る程度ならいけるようだな。
「京へ行こうと思っているのだが、最短での道筋を教えよ」
「へえ……でしたら………………でしょうなぁ」
「ふむ、参考になった。駄賃だ、くれてやる」
銭を数枚取り出し、男の手の上に乗せる。男が喜ぶような声をあげているが無視し、人払いの魔法を使用する。そのまま街道を外れて茂みに入り、影の転移魔法を発動。大体の距離と方角さえ分かれば、目的地の適当な影に出ることなど造作でもない。
で、適当に移動した結果、遠い昔見たことがあるような場所に到着した。
「む……ここは、関西呪術協会総本山にして、近衛木乃香の実家……になる場所か? ならば、京都神鳴流の情報も手に入るやもしれんな」
影から刀を一本取り出す。キティと別れてすぐにアフリカで習得した武術、現地の言葉で『術』という意味を持つ、ワイヲリカ族に伝わる超高度な技の数々を50年かけて習った際に、師範を務めたハーンに貰った思い出の一刀だ。彼らには居合も伝わっており、日本刀によく似た片刃の曲刀を使用していた。その中でも最高の出来であるものを我は頂いたのだ。理由を問うたら、
『君みたいな最高の弟子を取ることはもう無いだろうからね!』
だそうだ。まあ、劣化しない肉体を保持していれば、嫌でも最高の弟子に成れる。元々様々な技術を高めるために転生したようなものだ。少々才能がなく絶望しかけた時もあったが、時間をかければいつかは頂上にたどり着けるし、たどり着く気でいる。
今現在も、
「さて、感傷に浸るのも大概にするか」
刀身が80センチ程度の無銘の刀を腰に下げ、関西呪術協会総本山への階段を上がる。ほどなく屋敷に辿り着くが、不気味なほど人気がない。
「留守か? それにしても人気がなさすぎるが……む!」
突如、右前方の桜の木の陰から、刀を抜いた人影が一つ飛び出してくる。どうやら人気がないのではなく、気配遮断を施していただけか。奇襲のためか、警戒故か……両方だな。
体ごと振り向いた瞬間、僅かな足音が左右後方三方向から同時に発生する。どうやら、
鍔のない刀をすらりと抜く。鞘走りの音など立てない。ハーン師範の前でそんなことをすれば、基礎がなっていないと説教ものだ。
「しかし……速いが、
彼らは速い。
上段に構え、左足を前に出す。別名を『王者の構え』。挑戦者をすべて受け入れ、そして叩き潰す自信のあるものに許された、攻撃は最大の防御を体現する型。
教えてやろう、京都神鳴流。
神鳴流剣士Side
突然、関西魔術協会総本山、
警戒を強め、息をひそめていた我らに下った御言葉はただ一つ。『排除せよ』。
布陣は正面から一人、敵の注意を引きつける。注意を引けたら左・右・背後の三方向から挟み撃ちにする。達人であろうとも、そう簡単には崩せぬこの布陣。その命、掻っ切る!
「留守か? それにしても人気がなさすぎるが……む!」
正面からの攻撃の構えに、侵入者は注意を向ける。それも体ごと振り返るという、我々にすれば願ったり叶ったりの状況だ。
直後に、三方向から飛び出し、前後左右全方向からの挟撃。気づいていないのか、悠々と太刀を抜き、
「しかし……速いが、疾くはないな」
そんな世迷い事をほざいて上段に構える侵入者。その油断が、貴様を殺す猛毒だ!
あと一歩。それで侵入者の命は潰え――
「無重剣」
――金属と金属がぶつかり合う、キンという無機質な音が四度連続で響き渡る。一瞬ぶれた気もするが、依然奴は背中を向けたまま上段に構えている。このまま――あれ? 俺の刀は、どこに行った?
「やはりな。速いが疾くない。技術も程度が知れる」
いつの間にか納刀した侵入者がぐるりと周囲を見渡し、そこらの地面を指さす。その指差す先を見れば、刀が4本転がっていた。
「京都神鳴流、この程度か」
ひどくつまらなそうに呟いた侵入者は、その足で
「待つがよい、強き侵入者」
だが、俺たちの無念を晴らしてくれる者はいる。今代の京都神鳴流最高位、青山宗一郎が。
神鳴流剣士Side out
そこまで使える術者でなかったか、あまりに弱かった
視線の先に立っていたのは、やや痩せた、それでいて不思議と力強さのある一人の男だった。
「私は青山宗一郎。京都神鳴流の最高位を頂いている」
「
婚約者の名前をもじった偽名を告げる。たがいに名乗りあい確認しあうだけの、淡々とした会話が始まる。まるで予定調和を思わせる、静かな世界。
「なぜ、侵入した」
「京都神鳴流の情報を得るために」
「なぜ、情報を求めた」
「京都神鳴流の教えを請う為に」
「なぜ、貶める発言をした」
「想像以上に弱かったからだ」
それもそのはず。おそらく奴も、
――ただ、戦いたいと。互いの技で鎬を削りあいたいと。
「それだけの技術を持ち、まだ神鳴流を望むか」
「成長こそが
弓を引き絞るように、宗一郎の体が力をためていく。では、開幕としよう。
「真の京都神鳴流。
「参る」
その一言が、戦いの火ぶたを切った。我は一切動かず、相手の動きを見る。相手は太刀に手を触れることなく、滑るように接近する。わざわざ刀を佩いていながら触れもしないとは、太刀に直前まで触れぬ居合の類か。『術』にも、その技術は存在する。わざと構えぬことで、構えている状態よりも自由が利くため速く動ける――初めて聞くと気が狂っているとしか思えない技術が。
「破岩拳」
だと思えば、拳だった。ただし気を纏い、『術』に通ずる無駄のない動きでの一撃だ。なるほど。全身で発生する力を余すことなく利用し、気で強化すれば岩をも砕くことを可能にするであろう。
しかし。その程度であるのなら、おそらく
「見様見真似破岩拳」
同じく無駄のない一撃を、気で強化して叩きつける。さらに激突の瞬間動きを止め、衝撃を余すことなく伝える
「……っ!」
「くっ……!」
激突と同時に、互いに大きく吹き飛ばされる。
「居合斬空閃」
そんな気が緩んだ瞬間を見逃されなかった。神速の居合が空を一閃。それにより生じた衝撃波にも見える気が、斬撃として襲いかかってくる。それも一撃ではない。神速の抜刀と納刀を繰り返し、次々と斬撃を飛ばしてくる。
だが、それは
「貴殿も、遠距離では不利か」
「さすがにこれは、見様見真似では不可能だからな」
互いに攻撃も回避も止めずに会話する。『術』には遠距離攻撃を可能とする技はない。飛び道具の使用法や飛び道具を避けて懐に潜り込む歩法はあるが、ここまでの使い手に出会うことがほとんどなく、使用回数が少なく鈍っている。だが、そろそろ体も温まってきたところだ。
「そろそろ行くぞ」
ゆっくりと宗一郎に向けて歩みだす。歩むことで生ずる、規則的な体の揺れを完全に消す。宗一郎はまだ気付かない。
『術』の神髄は、予測の封印だと師範は言う。誰もが常に行う何気ない予測。それを封じられると、人は脆い。
『術』の攻撃は、速くはないが疾い。相手が予測するよりも早いタイミングで攻撃が来るからだ。『術』の攻撃は、強くはないが
間合いに入り刀を振るう。目を見開いた宗一郎が飛び退いて回避するが、その程度では無駄だ。すぐさま追いつきもう一閃。
「これで終わりだ」
「紅蓮剣」
しかし敵も恐ろしい男だった。回避し着地した瞬間に方向転換し、炎のような熱を放つ気を纏った太刀で斬り付けてきた。あの一瞬で転じた判断力は認めよう。しかし、それは無謀だ。
太刀が接触する瞬間、全身にブレーキをかける。
宗一郎が立ち上がる前に、その首に刃を突き付ける。
「――見事だ、青山宗一郎」
「――そちらこそ、有須輝人」
そして敗北宣言を受け取り、刀を納める。周囲の数名は驚いているようだが、我や宗一郎にすれば別にどうということはない。ただ、自らの技を出し合うことが目的なのだから。そもそも殺す気があれば、先ほどの4名の命はない。
「敗者は勝者には逆らえないな。京都神鳴流、習っていくがよい」
「……言いだした
通常はそんなことは許されない。伝えられた技を他流派に奪われないためにも。しかし、なんてこともないと言わんばかりに答えを返す。
「貴殿が敵に回らなくなる。それだけでも十分に意味はある。秘奥までは教えられないが……見て覚えられては手も足も出ないだろうな」
秘奥だろうと覚えたければ覚えればいいと。彼はそんなことを言うのか。
「総員、引け。この者も我ら京都神鳴流の一員となったのだからな」
「「「「は、はっ」」」」
あわてたように
さて、京都神鳴流……いったい何年で
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放浪の末、幕末の京都へとやってきた。京都……ネギま……神鳴流に殴りこむか。