No.324781

真・恋姫†無双 十√ 34

kazさん

魏蜀激突編その1

( ◕ ‿‿ ◕ )久々更新です、もう生存戦略はやめとこ、何か死亡フラグっぽいから

ここで出る道具の説明など

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2011-10-27 21:26:09 投稿 / 全13ページ    総閲覧数:26356   閲覧ユーザー数:16732

-荊州-

 

大陸制覇の為最後の敵蜀を討つべく起こした魏による征西の軍、二十万の大軍を従え魏の覇王北郷一刀自らが指揮し

蜀の王劉備玄徳こと桃香自らが率いる蜀軍四万の布陣する魚腹浦へ進撃を開始する

 

 

-魚腹浦-

 

すでに万全の布陣を済ませた蜀軍の前に魏の大軍が迫ってくる

ゆっくりと、そして整然と、訓練され幾度もの戦いを経て鍛え抜かれた精鋭中の精鋭の姿がそこにはあった

 

「見事なものだ」

 

蜀軍の歴戦の将関羽雲長こと愛紗がその姿を見てつい言葉が出てしまうほどに

それは他の将帥も同様だった、少しずつ近づいてくるその圧倒的な威圧感は実戦経験の少ない蜀軍の兵士達を震撼せしめるには

十分だった、一方の魏軍も蜀軍が布陣された陣地を見て桂花、稟、風、詠の四軍師がそれぞれ

 

「ふ、ふんっ!ま、まぁこの程度の陣は私でもできるけどね!」

「よくもこんな構築し難い所でこれだけの陣を…」

「蜀の軍師の方々も中々侮れませんね~」

「利に適った見事な陣だわ」

 

と、同じく感嘆の声をあげる、自然の地形を利用したその陣は隙がなく、寡兵であるにもかかわらず

大軍が鎮座してるかのように重厚、並々ならぬ才覚をもった軍師によって構築されたものだと感じていた

さらに魏の軍師達が注目したものがあった、それは蜀軍の陣地前に異常なまでに並べられた”あるモノ”

後にそれがここでの戦いにおいて重要な役目を果たす事になるのだが今は語るのを避けておく

 

そして双方各々の想いを乗せ決戦の地魚腹浦で対峙する

 

魏軍は対呉戦の決戦時とほぼ同じような錐行陣、前衛に八万、その両翼に各四万を配し前衛を攻守で支える形、

そして中軍には三万を前後に分け各一万五千を配し、殿軍に一万を置いた万全の布陣をする、

その後軍を整えた魏軍から三人の人物が舌戦の為に現れる、左右に控えるは夏候惇こと春蘭と夏候淵こと秋蘭、

そして中央を威風堂々と進むのは魏の覇王北郷一刀、その姿を見た蜀軍の将兵達はその姿に見入ってしまう

 

”あれが…魏の覇王”

”あれが…天の御遣い”

 

蜀軍の兵士達は一刀が近づくにつれ言葉を失っていき恐怖を増幅させていく、一刀から発せられる覇気の威圧感が

それほどまでに凄まじかったからだ、それは一騎当千の蜀の将趙雲子龍こと星さえも、

彼女は一時魏軍にいた事がありその時の一刀の事を思い出しながら

 

「確かに強くなるとは申したが…、よもやこれほどまでの覇気を纏うほどの人物になろうとはな」

 

そう感嘆せずにはいられなかった、一方魏の将兵達はその一刀の勇姿を頼もしく想う、我らの王、天よりの使者、

孫策を一騎討ちで打ち倒した英傑、如何程の相手であろうと敵う者などいるまいと

戦う前から勝敗は決した、魏の将兵達の誰もがそう思うほどにこの瞬間戦場は一刀の存在感によって支配されていた

 

 

…かに思われたが

 

 

ふわり

 

 

瞬間、蜀軍の陣地より優しい風が吹く、それは今まで蜀軍を支配していた一刀の威圧感を一瞬で払拭する優しい風

 

その風を吹かせた主が蜀軍の陣地より舌戦の為現れる、出てきたのは魏と同じく三人の人物

左右に関羽雲長こと愛紗と張飛翼徳こと鈴々を従え中央を進むのは

 

 

蜀の王劉備玄徳こと桃香

 

 

先程まで一刀から発せられる覇気の威圧感に恐怖と重圧を受けていた蜀軍の将兵は桃香の姿を見、その風を感じた瞬間に

安堵の表情に戻る、さらに笑みを浮かべここがまるで戦場ではないかのような安心感に包まれる

 

一方魏の将兵達は少しずつ近づく桃香の姿に呆然とする

 

”あれが…蜀の王”

”あれが…劉備玄徳だというの!”

 

魏軍の誰もが桃香の美しい姿に心奪われていた、容姿だけではなくその内から放たれるのは王者の気

王道を歩むものにしか発せられないその気に誰もが釘付けになってしまっていたのだ

 

それは以前劉備を知っていた魏の将兵達にとっては考えられないほどの変貌振りだった

魏の中にも劉備という人物を評価する者達は確かにいたがそれとても反魏の神輿に過ぎない程度のもの

対蜀戦を軽視する理由がここにあった、だが今目の前にいる劉備という人物を目の前にして魏の将帥達は

考えを改めるほか無かった、ただ一人を除いて

 

北郷一刀、ただ一人、この人物だけが桃香の成長を予期し、最大の敵になると予測していた

近づく桃香を見つめる一刀、いつかこの日がくるだろうとずっと考えていた、そしてそれは桃香も同じだった

互いに言葉を交わせる距離にまで近づき

 

 

 

覇王と王者がついに会す

 

 

 

 

 

互いに見つめ合う二人、静かな時間がその場を包み込む、ずっと願っていた、ずっと会いたい、話したいと想っていた人物

が目の前にいる、桃香は様々な想いを込め一刀に語りかける

 

「お久しぶりです、一刀さん」

 

「ああ、久しぶりだね劉備」

 

一刀から発せられた”劉備”という言葉に桃香は顔を曇らせる

 

それは桃香が徐州にいた時の頃、袁紹軍の侵攻によって徐州が降伏した為その地を離れる時、

桃香は桃香を慕う徐州の民達が共に着いて行きたいとの願いを断る事ができず民と共に無謀とも言える行軍を行ってしまった

一刀の領土を通過しようとした時その行為が一刀の逆鱗に触れ桃香は一刀と一戦交える間際まで追い詰められる、

しかしその時は星の身を呈しての機転によりなんとか乗り切れたがその時一刀が桃香に言い放った言葉が

 

 

”俺はもう二度と君の真名を呼ばない”

 

 

真名は心を許した者にだけ与えられるもの、それを拒否するという事は自身の全てを拒否されたも同義

刻が経ち、桃香自身も変わり、もしかしたらとかすかな望みを持っていたがやはり一刀は桃香と言う真名を

呼んではくれなかった、それがとても悲しかった

 

桃香は泣き出しそうになる感情を抑える、何故なら今は蜀の王劉備玄徳として魏の覇王北郷一刀と対峙しているのだから

しかしそれでも心の中から溢れる感情が抑えきれなくなってくる、そんな桃香の様子に気付いたのか一刀が言葉をかける

 

 

「戦う事を決めたんだろ」

 

 

「!」

 

「だったら迷うな劉備玄徳、何の為にここまで来た、君の大切なものを守るんじゃないのか、

伝えるべきことがあるんじゃないのか、戦うべき理由と目的を見つけたんじゃなかったのか劉備玄徳!」

 

まるで諭すように、しかし強く放たれた一刀の言葉、そしてまっすぐに自分を見つめる一刀に桃香は改めて北郷一刀という

人物を想う

 

”やっぱり一刀さんは私の思っていた通りの人、誰よりも優しく、誰よりもこの国の人たちの事を想ってくれている、

それは敵である私の事までも…、なのに私は…”

 

桃香はぎゅっと唇をかみ締め手綱を握り締める、そして俯いていた顔を上げまっすぐに一刀を見つめ

 

「一刀さん、私は一刀さんと戦う為にここにいます、一刀さんを止めるために、戦いの連鎖を断ち切るために

ここまで来ました!」

 

静かに、しかし力強く語る桃香、その瞳には再び光が輝いていた、そんな桃香を見て一刀は

 

「君が戦う理由は恋…呂布から聞いたよ、君の目指すもの、君が望むもの、でももし君が本当にそれを目指しているのだと

したら俺は…、君を全力で叩き潰すしかない」

 

「一刀さんならきっとそう言うと思っていました、私の我侭をきっと許さないだろうって、それでも私は一刀さんと戦います

この国の為、この国に生きる人たちの為に私は戦います、そして必ず笑顔を守って見せます!」

 

「戦いを止める為の戦いか」

 

「はい」

 

「出来ると思っているのか」

 

「出来ると信じています」

 

「ならそれを俺に見せてみろ劉玄徳、言葉だけではなく行動で、君の理想で俺を説き伏せて見せろ!」

 

「やってみせます!私の全てを賭けて必ず一刀さんを止めて見せます!!」

 

「この戦いで終わりにする、二度はない」

 

「わかっています、これ以上の悲しみはいりません、ここで全てに決着をつけます!」

 

「ならばもはや語るまい、劉玄徳、俺は君を打ち倒し必ず大陸制覇を成し遂げる!」

 

「させません、この大陸から笑顔を無くさない為にも!」

 

 

 

「「この国で生きる全ての人々の為にっ!!」」

 

 

 

二人の舌戦、それをじっと見つめるていた魏蜀の将兵達は互いの王の決意を感じ自身も全てを賭け闘う事を誓う

魏蜀決戦の火蓋は切られたのだ

 

「前へっ!」

 

一刀が右手を挙げ号令を発すると魏軍から将が前へ進む、それに呼応するかのように蜀軍からも将が前へ進む

双方各々十一人の将が前に進み、そして自然と己の対する相手と向き合う

 

 

 

 

『恋』 vs 『愛紗』

 

最強の武人呂布に対するのは万人の敵関羽雲長、並々ならぬ威圧感を持つ双方は互いの力量を瞬時に見抜く

 

「お前…強い」

 

「天下無双の呂布にそう言われるとは光栄だな、前回戦った時は三人がかりでも適わなかったというのに」

 

「……?」

 

「お、覚えてないのか!!洛陽での戦いの時に鈴々と星の三人でそなたと矛を交えたではないか!」

 

「………???」

 

どうやら本気で覚えてないようだと分かると愛紗は何とも言えない感じになる、しかしその顔はすぐに笑顔に変わり

 

「はっはははは、まぁ仕方あるまい、あの頃の私は弱く、ただ武をひけらかしていた愚か者に過ぎなかったからな

だが今は違うぞ呂布、私には守らねばならぬものが出来た、何にもまして大切なものがな!」

 

「恋にも、守りたいもの沢山ある、それに今日はごしゅじんさまの為にだけ戦うってごしゅじんさまと約束した、

だから恋はごしゅじんさまの為にも誰にも負けない」

 

「生憎だが私も負けるわけにはいかない、桃香様の為にも、そしてこの国から笑顔を無くさないためにもな!」

 

そう言うと愛紗は青龍偃月刀を構える、一方の恋も方天画戟を構えると二人から闘気が放たれる

それは近くにいるものが近づけないほどの闘気、おそらくは二度と見れないであろう天下無双と武神の本気の勝負

 

「もしも共に歩む事ができていたならばお主と笑い合う事ができたかもしれぬな、それができぬのが残念だ」

 

「恋は難しいことはわからない、でももしお前がごしゅじん様と仲良しだったら恋はお前と笑う事ができると思う」

 

「世の中、上手くはいかないものだな呂布」

 

(コクン)

 

「長き戦乱に苦しむ民草の為、この関雲長非情の刀と相成りて桃香様の敵を討ち倒す!」

 

「呂布奉先…ごしゅじんさまの敵は恋の敵、いくっ!」

 

 

 

『春蘭』 vs 『星』

 

対峙した瞬間あからさまに嫌そうな顔をしたのは春蘭

 

「ちっ!私の相手はよりにもよって貴様か」

 

「おやおや、私では不足かな?」

 

「ふんっ!不足も何も魏にいた時貴様は一度も私と戦おうとはしなかったではないかっ!いつもいつものらりくらりと

逃げおって!」

 

「おお、それは申し訳ない、あの頃は慣れぬ環境で身も心も恐縮してしまっていてな、戦場以外で戦おうとすると

熱がでてしまうという不治の病に冒されていて…「ふざけるなああああ!!!貴様がそんな玉かあああ」ブンッ!

 

「おっと、やれやれ久々に再会したというのにつれないものだ、私はこんなにも再会を喜んでおると言うのに」

 

小馬鹿にしてるように春蘭の攻撃をかわす星に春蘭は苛立つばかり

 

「貴様のそーゆー所が気に入らんというのだっ!まったく!まぁいい、ここで貴様を八つ裂きにすれば二度と貴様の事で

いらつくような事もあるまい!」

 

「悪いがそれはできん相談だな、私はまだメンマ道を究めてはおらんでな、究極のメンマを食し後世の者達に

それを伝えねばならぬという役目があるからそれまでは死ぬ訳にはいかんのだよ」

 

「ふん、くだらん!あんなものより美味いものなど山ほどあるだろうがっ!」

 

「………今何と言った」

 

「ああん?メンマなどと言うくだらない食べ物より美味いものはいくらでもあると言っ…」ヒュンッ!!「おわっ!」

 

瞬間星から鋭い一閃が春蘭に放たれる、何とかかわしたものの星からは並々ならぬ怒りを感じた春蘭

 

「夏候惇、メンマを馬鹿にする者は私は何人たりとも許さんぞ!」

 

己が武器龍牙を構える星

 

「ほう、面白い!ようやく本気になったようだな、こうでなくては面白くはないわ!」

 

そう言うと春蘭も闘気を発し己が武器七星餓狼を構え威圧する、呂布と関羽には及ばないものの

それでも二人から発せられる気は周りの人間が近づけないほどに熱く強い

 

「我が大剣は魏武の剣なり!夏候元譲を恐れのならば何人なりともかかってこい!」

 

「北方常山の趙子龍!主の求めに答え、いざ参らん!」

 

「貴様の首を北郷への土産にしてくれる!」

 

「させんよ」

 

 

 

『秋蘭』 vs 『紫苑』

 

対峙するは魏蜀の誇る弓の名手秋蘭と紫苑、話をし始めたのは秋蘭

 

「貴公が黄忠殿か、我が主北郷一刀からは漢の李広、楚の養繇基の如き弓の腕を持つ者と聞いている」

 

「かの神箭手達と比べていただけるとは過分な評価をしすぎですわ」

 

「いや、初めはその言葉を疑いもしたがいざ貴公と対した時にそれは偽りではないと感じられた

貴公は並みの弓手ではあるまいと」

 

紫苑から発せられる並々ならぬ気を感じた秋蘭は同じ弓の使い手として畏怖の念を感ぜぬにはいた

 

「誉めても手を抜く事はできませんわよ夏候淵」

 

「無論だ、本気の貴公を倒してこそ天下一の弓の使い手の称号の誉れを得る事ができるというものだ」

 

秋蘭は弓の使い手としての最強の敵を目の当たりにした事に高揚を隠せないでいた、そんな秋蘭とは逆に紫苑は

優しい笑みを浮かべ秋蘭に問う

 

「夏候淵、貴方には命を懸けてでも守りたい大切な人はいますか?」

 

紫苑の問いに秋蘭は迷わず答える

 

「私には愛すべき主北郷一刀、愛すべき姉夏候惇元譲、愛すべき仲間、愛すべき民がいる、そして…」

 

秋蘭は姉春蘭を見つめ

 

「これから愛すべき新しき命がいる、その者達を私は命を賭けて守ってみせる」

 

「そうですか、私にも愛すべき人々がいます、愛すべき仲間、愛すべき主劉備玄徳様、そして何よりも大切な

愛すべき我が娘璃々…」

 

大切そうに、そして慈しむ様に語る紫苑、その顔は将の顔ではなく母親の顔であった

 

「どちらが倒れようとも、子供たちが笑顔で暮らせる平和な世になる事を祈ります」

 

「我が主北郷一刀なればそれを必ず成してくれよう」

 

その言葉に笑みを浮かべる紫苑、そして己が武器颶鵬を構えると

 

「我が名は黄漢升!我が主劉玄徳の為、この命を賭けて貴方を倒します!」

 

対する秋蘭も己が武器餓狼爪を構えると

 

「我が名は夏候妙才!我が身命、ただ北郷一刀に捧げるのみ!」

 

 

 

 

『霞』 vs 『翠』

 

翠と対峙する霞、しかしその目は愛紗に注がれていた

 

「おいおい余所見すんなよ、お前の相手は私だろ」

 

「うーん、ウチできれば関羽と戦いたかったんやけどなぁ~、めっちゃ強いって噂はあちこちから聞こえてきてるし

なんや闘ってる姿もめっちゃ綺麗って言うてたし」

 

「まぁ確かに愛紗は強いけどな、蜀であいつに勝てるのはいないし、けど私も結構なもんだと思うぜ」

 

そう言うと翠は己が武器を構え闘気を放つ、それは霞にプレッシャーをかけるには十分すぎるほどの気

それを感じた霞は自然と笑みがこぼれ

 

「へぇ、成る程確かにええもん持っとるみたいやなぁ、関中でやりおうた時は力は持っとるようやったけど

なんや迷いが感じられたけど今のあんたからはそーゆーの完全に消え去っとるわ」

 

「桃香様のおかげさ、桃香様は私に戦う為の目的を教えてくれたんだ、そして大切な仲間と共に笑顔で生きるという事をな、

もし桃香様に会えなかったら私はお前と戦っても勝つことなんかできなかっただろうな」

 

「おいおい、その物言いやとウチに勝てる言うてるように聞こえるんやけど?」

 

「勝てるさ、今の私ならな」

 

ひゅんっ!

 

霞は己が武器飛龍偃月刀を構える

 

「あんまナメた事言うとったら綺麗な顔ぐっちゃぐちゃにしたるで」

 

「へんっ!」

 

翠も己が武器銀閃を構える

 

「我が名は馬孟起!あたしの槍は敵を貫く白銀の槍!張遼大人しくくらいやがれ!」

 

「うちの名は張文遠!うちは強いやつと戦って自分が一番強いっちゅーのを証明したいだけや!

邪魔するもんは皆潰したる、行くで馬超!」

 

 

 

 

『季衣』 vs 『鈴々』

 

季衣と鈴々はにらみ合う、なんていうか同属嫌悪的な感じで

 

「おい、ちびっこ!」

 

「な!誰がちびっこだ!お前の方がボクよりちびっこじゃないか!」

 

「鈴々はちびっこじゃないのだっ!お前よりずっとずーーっとおっきいのだっ!」

 

「嘘つくなちびっこ!お前なんかこんなこーんなにちびっこじゃないか!」

 

「鈴々はそんなにちっちゃくないのだーー!」

 

突如始まった子供の喧嘩、その後もどっちがちっちゃいかを延々と語る二人、それは何故か胸の大きさや

普段食べている食事の量、はては睡眠時間の長さなど意味があるんだかないんだかといった事まで数十項目にまで

及んだりした、しかし結局どっちが強いかなどとは程遠い内容の為決着はつかなかった

 

「はぁはぁはぁ、こ、このちびっこめー」

 

「はぁはぁはぁ、ち、ちびっこ言う奴がちびっこなのだー」

 

息を切らせながらもどっちも退こうとしない季衣と鈴々

 

「な、なら、どっちが本当にちっちゃいのか戦ってきめるのだ!」

 

「い、いいとも!」

 

そして季衣は岩打武反魔を、鈴々は蛇矛を構える、傍から見てれば最初からそうしろよ!とツッコミを受けそうだが

二人はいたって真面目

 

「ボクの名は許仲康!ボクにかかれば、お前なんか簡単に吹っ飛ばせるよーだ!覚悟しろ!」

 

「張翼徳の一撃、受けられるなら受けてみよ、なのだ!」

 

 

 

 

 

『凪』 vs 『蒲公英』

 

構える凪に蒲公英が言葉を発する

 

「今日は前みたいにはいかないからね!蒲公英はあの後必死で特訓して凄く強くなったんだから!」

 

「そうか、だが結果は変わらない、勝つのは私だ」

 

「何だとー!」

 

「我が命は北郷様の為にある、そしてその覇業の為ならば我が命など惜しくもない、

真に国を憂う者の為に闘う我等と貴様らとでは闘うが違うのだ!」

 

「言ってくれるじゃない、けどね、蒲公英だって桃香様の為に、桃香様の夢の為に闘う事に誇りを持ってるんだから!

それに蒲公英はこの先も皆と…、大切な友達のあいつと一緒に楽しく笑って生きていくって約束したんだもん!

だから蒲公英はお前なんかには負けないんだから!」

 

蒲公英は自らの武器影閃を構え闘気を放つ、まだ未熟ながらも一軍の将としての成長が感じられた

一方の凪も己が武器閻王を構える、双方激突!と思われたがその前に蒲公英が凪に言葉をかける

 

「お前友達はいるか?」

 

「?、何だ急に?」

 

「いいから答えろ!」

 

「……、いる、共に歩み、そして共に北郷様に仕える大切な友が」

 

「そっか、じゃあその友達ってのに後で謝っとかないとね、楽進を倒したのは蒲公英だって!」

 

その言葉に凪の顔がみるみる怒りに変わっていき

 

「貴様っ!…「へへーん♪まずは蒲公英の一勝ーーー♪」

 

楽しそうに喜ぶ蒲公英に凪はハッと我に返りからかわれた事に気付く、そして自分が戦いの中で余裕を無くしていた事に気付き

何故か蒲公英の行為に笑みがこぼれてくる、そして再び構えなおすと

 

「我が名は楽進!関中の時のように見逃す事はしないぞ馬岱!」

 

「我が名は馬岱!今度はお前が逃げ出す番だ楽進!」

 

 

『流琉 』 vs 『焔耶』

 

対峙する二人、しかし焔耶はあからさまに嫌そうな顔をし

 

「ふん、私の相手がこんな子供とは舐められたものだ」

 

と、侮蔑の言葉を吐く、しかし流琉は怒るような事はせずそれどころかまるで哀れむかのように

 

「弱い人ほどよく吼えると言いますね」

 

「何っ!」

 

「相手の力量も測れずただ外見だけで判断するのは弱い者のする事だと教えられました、貴方がまさしくその通りです

私の相手がこのような方とは、残念です」

 

「貴様言わせておけばっ!」

 

そこまで言って流琉に襲い掛かろうとする瞬間焔耶は桃香に目が行く、そこには優しく微笑む桃香がいた

まるで自分を優しく包み込んでくれているかのような慈愛の視線に焔耶は我を取り戻し深呼吸すると

 

「そうだな、確かに貴様の言うとおりだ、私はまったく変わっていない、自分の力に驕り今まで大切なものを失って

ばかりだった、だが桔梗様に出会い、蒲公英に出会い、そして桃香様に出会った事で私は変わった」

 

天を仰ぎ何かを想う焔耶、そして再び流琉に目をやると

 

「礼を言わせて貰う、戦いにおいて大切な事を再び思い出させてくれた貴様に!だが戦いでは手は抜かんぞ!」

 

「元よりこちらもそのつもりです」

 

「もう敵を侮る事はせん!、我が名は魏文長!桃香様の王道の為に!大切な友の為にこの武、この命をかけ

貴様を打ち倒さん!」

 

「私だって守りたいほど大切な人が、大切な仲間が沢山います、その人達を悲しませない為にも私は全てをかけて

貴方を倒します!我が名は典韋!いざ!」

 

流琉は己が武器伝磁葉々を、そして焔耶も己が武器鈍砕骨を構え己が信念を賭け火花を散らす

 

 

 

 

 

『華雄』 vs 『桔梗』

 

華雄はこの大戦の為に公孫賛こと白蓮と共に幽州より稟によって呼ばれていた、一刀がこの戦いに三十万の兵を必要

とした要請に結局答えられず、ならばせめて将だけでもと呼び寄せたのだった

 

対峙する二人、しかし蜀の将厳顔こと桔梗は華雄を無視し美味そうに酒を飲み続けていた、その様子を見た華雄が

 

「戦いの前に酒とはやる気があるのか貴様」

 

「ぴーぴー騒ぐな若造が!わしは飲みたい時に酒を飲むのじゃ、誰にも邪魔はさせん!」

 

そう言うと再び杯に入った酒を飲む桔梗、顔はうっすらと赤らみ結構な量を飲んでいるとわかるほどだった

そんな様子を見ていた華雄が桔梗に近づくと

 

「私にも杯をよこせ」

 

「ん?」

 

一瞬躊躇ったものの桔梗は持っていた杯の酒を飲み干すとそれを華雄に渡す、華雄は酒を注ぐように催促すると

桔梗はそれに応じて杯に酒を注ぐ、すると華雄はその酒を一気に飲み干す

 

「ほお、貴様中々いけるクチじゃのう、ほれ、もっといけ!」

 

そう言うと再び杯に酒を注ぐ桔梗、華雄はそれも一気に飲み干す

 

「はっはっは!中々面白い奴じゃ!よもや戦場で敵と酒を酌み交わすとは思わんかったぞ!」

 

「ふんっ、相手が酒を飲んでいたから勝てたなどと後世に伝えられてはかなわんだけだ、私は卑怯者にはなりたくは

ないからな!やるなら正々堂々と勝負せねば気がすまんのだ」

 

「その意気や良し!!魏にも中々の武人がいるではないか!こうでなくては面白うないわ!」

 

そして桔梗は己が武器豪天砲を重々しく担ぐと

 

「さて、ではそろそろヤルとするか」

 

一方の華雄も己が武器金剛爆斧を構え

 

「貴様や蜀には恨みはないが愛する者の為に貴様を討たせてもらう、我が名は華雄いざ尋常に勝負っ!」

 

「酒に酔い、美食に酔い、戦に酔う、人生是快なり!我が名は厳顔!我が主桃香様の王道の露払いをせんっ!」

 

 

 

 

『白蓮』 vs 『麗羽』

 

「麗羽、まさか生きていたとはな」

 

「あ~ら、確か幽州の片田舎でこのわ・た・く・しに敗北していずこかへ逃げ去った白白さんではあ~りませんかぁ~」

 

「白蓮だっ!!」

 

「あらそうでしたっけ?まぁどちらでもよろしいではありませんか、おーっほっほっほっほ♪」

 

ぐぬぬぬと怒りに震える白蓮は必死で深呼吸をし自分を落ち着かせようとする

 

「と、とにかくだ、こうやって再び合間見える事になった以上は覚悟しろよ麗羽!」

 

「何を覚悟するんですの?」

 

「だーかーらー、私と戦って討たれる覚悟だよ!」

 

「私が?貴方に?おーっほっほっほ、三国一の名家のわたくしが、あなたのような普通の人に負けるはずございませんわ!」

 

「普通って言うなーーー!!!」

 

完全に麗羽にペースを握られる我らが白蓮さん、

 

「お前はほんと昔からそうだ!他人の話をまったく聞かないし自分の事しか考えて「それは違いますわ!」…え?」

 

「わたくしは常に皆さんの事を考えていますのよ!いつか皆さんがわたくしのように優雅で!華麗になれるような

そんな世を目指して頑張ってきたんですのっ!なのに皆さんはどうしてこう地味に地味に暮らそうとなさるのか

わたくしはまーったくわかりませんわっ!」

 

相変わらずの自分中心の考えに言葉を失う白蓮、静寂の中麗羽の高笑いだけが響き渡る

 

「まったく、お前と話してると疲れてくるよ麗羽、けど国を滅ぼされた私が言うのもなんだけど私はお前のそーゆー所

嫌いじゃなかったんだぞ」

 

「あら、奇遇ですわね、ワタクシも貴方の事嫌いじゃありませんでしたわよ」

 

「一つだけ聞かせてくれ、正直お前がこうやって最前線で武器を持って戦うなんて思っても見なかった、何がお前を

突き動かしたんだ?」

 

「そう…ですわね、斗詩さんや猪々子さんにも言われましたけど、劉備さんのせいかもしれませんわね」

 

「桃香の?」

 

「ああ、そういえば貴方は劉備さんと旧知の仲でしたっけ?何と良いいますか、あの方を見ていると守ってやりたいって

思ってしまうんですの、ほんと不思議なお方ですわ」

 

まさかあの高飛車我侭馬鹿娘からこんな言葉を聞くとはと想う白蓮、しかしそれは同時に桃香がそれだけの人物に

なったのだという喜ばしい想い、もし魏に助けられなかったら桃香と、そして麗羽と共に戦っていたかもしれないと

考えるとつい笑みが浮かんでしまう白蓮、しかしここは戦場、目の前にいるのは敵将袁紹

 

「我が名は公孫白珪!麗羽、これも天命ってやつだ、悪く思うなよ」

 

そう言うと白蓮は己が武器普通の剣を構える、一方の麗羽も己が武器伝家の宝刀を優雅に構えると

 

「我が名は袁本初!華麗に、優雅に、雄雄しく勇ましく倒して差し上げてよ、白蓮さん!」

 

 

 

 

 

『真桜』 vs 『猪々子』

 

「私の相手はあんたか~、なぁ、あんた強いのか?」

 

「うちに向かって強いとかよう言うてくれるなぁ、けどまぁ霞姐さんや春蘭様に比べりゃ全然っちゅうのは確かか、

けどうちかて一応一軍を任されとる魏の将や、そこいらの雑魚とはちゃうで」

 

「へぇ、威勢はいいけどあっさりやられるとかはなしにしてくれよ、せっかくの大戦なんだし楽しみたいんだからさ」

 

「余裕ぶっこくのもええけどあんま調子こいてると足元すくわれるような事になんで、見たとこあんた猪突猛進しか

できへんような三流やろ?」

 

「あっはははは、三流か、中々言うじゃねーか!」

 

大笑いする猪々子

 

「猪突猛進結構じゃねーか!人生、常に勝つか負けるかのどっちかなんだから、賭けるしかないっしょ!」

 

そう言うと己が武器斬山刀を構える、そんな猪々子を見てると真桜はつい笑いがこみ上げてきてしまう

 

「はははははは!ええな、そーゆーのうちめっちゃわかるわ!勝つか負けるかの勝負とかうちもめっちゃ好きやで!」

 

「へぇ、中々わかる奴じゃんか、だよなぁ!」

 

「うんうん、やっぱ世の中勝つか負けるかっちゅうのが楽しいもんなぁ」

 

敵同士にもかかわらず何か意気投合する二人、しかし

 

「あんたとはええ酒飲めそうやってんけど残念や、うちは大切な友達と大将の為に戦って一緒に夢叶えたろう誓うたからな、

せやから大将の敵になるもんは誰やろうと叩きのめさなあかんねん!」

 

そう言うと己が武器螺旋槍を構え

 

「うちの名は李曼成!うちの螺旋はただの螺旋やない!北郷一刀の下で天を貫く螺旋や!文醜覚悟しぃや!」

 

「我が名は文醜!全力でかかってきな!全力で潰してやるよ李典!」

 

 

 

 

『沙和』 vs 『斗詩』

 

静かに対峙する二人

 

「私の名は顔良、今はゆえあって蜀軍に身を置いています、貴方には恨みはありませんが討たせて貰います」

 

「さ、沙和をなめないでほしいの!こ、こう見えても沙和は強いんだから~!」

 

少し震えながらも己が武器二天を構える沙和、沙和とて一軍の将である、幾度も実戦を乗り越えさらにあの赤壁を

生き抜いた将である、それでも対峙する敵将顔良との武の差は感じていた

 

(な、凪ちゃん真桜ちゃん、沙和も二人みたいに強かったら…)

 

「貴方が羨ましいです」

 

「?」

 

「貴方は主、そして大切な仲間や友人と共にその夢を叶えられる場所にいる、それが羨ましい…

私にはもう麗羽様の夢を叶える力はありません、でもあの人を悲しませるような事だけはできない」

 

「………」

 

「あはっ、何で敵である貴方にこんな事言っちゃうんだろ、これから戦おうって相手に…」

 

「さ、沙和にも力はないの…、いっつもいっつも皆や凪ちゃんや真桜ちゃんに頼りっぱなしで、沙和はいっつも逃げて

ばっかりなの、でも、そんな沙和に皆は優しく接してくれてる、でも、そんなんじゃダメなの!」

 

そう言うと沙和は吹っ切れたかのように闘気を出し斗詩を見つめると

 

「我が名は于文則!ほ、北郷様の為、そして大切な友達の為にも貴方を倒すの~!!」

 

一方の斗詩も己が武器金光鉄槌を構えると

 

「我が名は顔良、大切な人達の為に貴方と闘います!」

 

 

 

 

「攻撃開始!」

 

一刀の号令の元、魏軍が一斉に攻めかかり双方の将兵が激突する

 

 

 

 

 

「先鋒騎馬隊前へっ!」

 

「拒馬槍をっ!」

 

魏軍先鋒の騎馬隊が蜀軍の陣地を急襲するも用意されていた拒馬槍が地面から現れその行く手を防ぐ

さらに双方から無数の矢の応酬、開幕は双方教本通りともいえる戦い方で始まった

 

本来なら攻め手の魏軍がさらに攻勢をかけるのだが魏軍は全面攻勢のようなものを行う事はしなかった、

理由は戦場についた時に見た蜀軍の陣地前に大量に並べられた”あるモノ”の為だ、そのあるモノとは

 

 

 『蒺藜車(しつれいしゃ)』

 

 

物資を運ぶ輜重車両に蒺藜(棘のある植物)を積み上げ前方に傾け横一列に並べて防壁の代わりとするものである

この時代の野戦ではごく一般的に使われるものではあるのだが魏軍の軍師達がそれに疑念のようなものを感じたのは

その異常なまでの数だった、本来なら横一列程度に並べられる?藜車が何列も並べられ蜀軍の陣地前はさながら

?藜の大地とも言えるほどに埋め尽くされていた為だ、当然の事ながらそこに何か罠のような存在を考える魏軍軍師達

 

「まぁ当然罠でしょうけど問題はそれが”何か”ということね、火計は今の無風に近い状態じゃ無理だろうし偽装だとすれば

行動を制限する為の障害物、けどこの兵力差でそれはたいして意味はないとも思えるし」

 

そんな風に様々な策を考える前衛を任されている詠、両翼を任されている稟、風もまた蜀軍の意図を思案していた

しばらく弓の撃ち合いの後、魏軍が矢の補充の為に攻撃を一旦止めたその瞬間であった

 

「敵軍突出!」

 

「なんですって!」

 

まるでその瞬間を読みきっていたかのように動き出す蜀軍、最前列に並べられた蒺藜車の列を盾のようにして蜀軍の兵士達が

魏軍に向け迫ってくる、さらにその後方からは弓兵の援護を受けた蜀軍の騎馬隊が一気に魏軍前衛に襲い掛かる

 

寡兵ゆえに攻勢はないものと見ていた魏軍前衛はその攻撃に一時混乱する、しかしさすがは数々の戦いを戦い抜いてきた

歴戦の魏軍である、すぐさま混乱を収め逆撃を開始する、が

 

それをさらに読んでいたかの如く鳴らされる撤退の鉦、有利に戦いを進めていながらもその鉦と共に転進する

魏軍は追撃をするも蜀軍は残された蒺藜車に火を放つ、大きくなかったものの火と煙によって魏軍は追撃が困難となる

その間に蜀軍はやすやすと自陣へと帰還していく

 

「やってくれるわね!」

 

歯軋りして悔しがる詠、攻勢に定評があるがゆえに防御が疎かになっていたとは思われたくはなかった、

先制を許したとはいえこの程度で怯むわけにはいかない、詠は再攻勢の為に兵の再編を素早く行う

 

 

一方魏軍の左翼を任されている稟は細作を増やし蜀軍陣地の後方への突出を考えていた、だが細作からの報告は

 

「敵軍後方は崖の為突出は困難!さらにわずかに残った平地には敷き詰められた鉄?藜と拒馬木槍が無数に配置されており

騎馬による突破、撹乱は困難と思われます!」と

 

自然を生かしたまさに天然の要塞、足場が悪い分得意の騎馬運用が中々できない稟、しかしそれでもいざという時の

騎馬を生かした戦いの為の布石を打つ為正面の蜀軍への攻勢を強めていた、と、その時であった

 

「騎馬隊です!敵の騎馬隊が我が軍に突入!」

 

「!」

 

兵士が蜀軍とではなく敵軍と言った事には理由があった、魏軍に突入した騎馬隊の兵装が涼州軍のものだったからだ、

この兵士達は翠と共に涼州から蜀へ下った兵士達で騎馬の運用に特化した者達であった

蜀軍は騎馬の運用に定評のある涼州の兵装を着せる事で精神的に魏軍を震撼せしめんと謀ったのだった

 

「早く迎撃をっ!さらに報告、この騎馬隊はどこから来たのですかっ!」

 

稟の問いに兵が答えたのは先ほど細作から報告を受けた敵陣の後背であった、無数に配置された鉄?藜と拒馬槍は確かに

こちらからの攻撃を防ぐ効果はあるものの逆に言えば蜀軍からの突出も無理なはずだった、その事を兵に問い詰める稟

 

「敵はどうやってその場所から現れたのですかっ!」

 

「しょ、蜀軍は鉄蒺藜と拒馬木槍が無数に置かれたその場所に陣から『壕橋』をかけ騎馬を渡しました!」

 

『壕橋』

 

木の橋に車輪を付けた移動橋、本来は攻城戦時に攻撃側が城の周りに掘られた塹壕を越える為に使う臨時の移動できる橋である

蜀軍はその壕橋を鉄蒺藜を敷き詰めた大地にかけ守りの薄くなった場所から魏軍へ騎馬隊を送り込んだのだった

 

「くっ!、虚こそが実であったと言う事ですか」

 

わずか二百騎ほどの騎馬隊ではあったが涼州軍の騎馬隊という印象が強すぎた為魏軍の兵士は少なからず混乱した

しかしすぐに態勢を整え包囲殲滅せんとした時、蜀軍より撤退の鉦が鳴らされ蜀軍の騎馬隊は自陣へと戻っていく

その速さはさすが涼州騎馬隊と言える見事なもので魏軍は追撃の矢を射るのが精一杯だった

 

「私達が呉軍本陣に対して行った騎馬隊による突破をやって見せたとでも言うのですか、舐めてくれますね」

 

普段冷静な稟が憤怒の表情を見せる

 

 

さらにこちらは魏軍右翼を率いる風、こちらもまた左翼と同じく蜀軍後方には突出不可能と考えていた、しかし風は

そちら方向への警戒を怠らずあらゆる方向からの攻撃を考えていた、変幻自在の軍師の風は戦いを有利に進める

…かに思われたが蜀軍はそれをあざ笑うかのように攻撃を

 

”一切してこなかった”

 

引篭もり徹底的に防御の構えを見せる蜀軍、風はそんな蜀軍に対し弓による攻撃の後、突出の構えを見せるものの

蜀軍はやはり一切反応を示さない、しばらくの睨み合いが続く中魏軍軍師の風は次の一手を打つ

 

「攻勢をかけます、全曲の戟兵は並べられた蒺藜車の排除を」

 

風の号令の元魏軍左翼の全曲の一万が動く、元々風は相手を読んで動くタイプの軍師ではあるのだが今回はあえて

攻勢をかける、ただし慎重に、そして魏軍の全曲が蒺藜車まで辿り着いたその瞬間

 

「!、後退の鉦を!鉦を鳴らしてください」

 

風は何かを感じ取ったのか全曲に後退の為の鉦を鳴らす、だが少し遅かった、蜀軍の攻撃がないとみた魏軍が

並べられた?藜車まで辿り着き破壊しようとした瞬間蜀軍の陣地から苛烈なまでの攻撃がなされる

それは布陣している蜀軍の数とはあきらかに多い弓の数、次々と討ち果たされていく魏軍兵士、

なんとか撤退できたものの被害は少なくはなかった、その様子を見た風は

 

「やってくれますね、まさかこちらに配してる兵力が中央とほぼ同数だとは思ってもいませんでした」

 

風が対峙する蜀軍左翼の兵力が見た目よりはるかに多い事に気付く風、寡兵とみせて実は大軍を配すその采配

それはまさに風が得意とするものであった、風は軍を編成し直すと改めて次の策を考えるも蜀軍はまったく動かず

静かに魏軍と対峙する、一見すれば睡魔すら襲いかかろうかという程静かな戦場、しかし

 

「なるほど、そういう意図ですか…」

 

普段温厚な風が悔しそうにつぶやく

 

「風を…、いえ、この魏軍右翼を遊兵にする、そういう策できますか」

 

 

 

 

-魏軍中軍-

 

前線から報告が続々と上がってくるがどれも魏軍が苦戦してる旨の報告ばかりであった

 

「苦戦してるか」

 

「詠はともかく稟や風も先を取られるなんて」

 

普段は他の軍師達とは仲の悪い桂花ではあるが軍師としての力量に関しては卑下する事なくその才を認めていた

攻勢に関しては詠の上を行くものはいず、騎馬の運用に関しては稟、そして風は奇策を用いる事に関して

その三人が悉く先制を許し主導権を握られた事に信じられないと言った感じだった

 

「対呉戦でも序盤は押されてたとは思うけど?」

 

「あの時とは何か違うのよこの戦場、よくはわからないけど何かに支配されてるような凄く嫌な感じ

対呉戦の時は苦戦こそすれそれに一々対応できる気がしたけど、ここは先が予想できない、こんなの初めて…」

 

「荀文若をしてそう言わしめるか」

 

 

 

 

 

再び最前線、詠は両翼の稟と風に同時に攻勢かける事を提案しその準備に取り掛かる

が、それを予期してたかのように蜀軍は新しい蒺藜車の一列を再び前に押し出し防御の構えを取る

 

「こっちの動きは予想済みって訳ね、前線を指揮してるのは鳳子元と言ったかしら、中々やるわね、

戦術面の采配では周喩よりも速いかもしれない」

 

初めて対する鳳統との戦いを過大にでもなく過小にでもなく冷静に分析する詠

 

「まったく、簡単には主導権を取らせては貰えそうにないわね」

 

忌々しいと言った感じで愚痴をこぼす詠、しかしこのまま舐められっぱなしで好き放題やらせる訳にもいかないと

詠、稟、風の三人は各方面で同時攻勢をかける

 

蜀軍の陣地に襲い掛かる魏軍、一方蜀軍は徹底抗戦をするかと思いきや蒺藜車を放置して陣へと引き返し距離を取る

罠も考慮したがここは一気呵成に攻めかかる事を選択した魏軍、蒺藜車まで辿り着きそれらを排除しようとしたその時

 

「!」

 

兵士達の動きが止まる、押し寄せる魏軍兵士達は動く事もままならず混乱し密集してしまう、

それを待っていたかの如く蜀軍は反転し魏軍に対し矢の雨を浴びせかける、動きを止められ突如の混乱、

さらに密集している為逃げる事もままならず被害が拡大していく、詠は兵に仔細報告をさせる

 

「て、敵の蒺藜車がまったく動きません!押しても引いてもビクともしないのです!こ、これは敵の妖術では!」

 

「馬鹿を言わないでっ!妖術なんかある訳ないでしょ!さっきまで蜀軍は自由に動かしてたじゃない!

何か細工をしてるはずよ!それを調べて対処して!」

 

命令する詠、しかし魏軍兵士達は蒺藜車を調べるも動かす事がまったくできず進軍もままならないでいた、被害甚大な様子

を見てやむをえず撤退の鉦をならす詠、退く魏軍を見た蜀軍はその機を逃さず追撃の銅鑼をならす、動かない蒺藜車が邪魔

になり蜀軍も追撃はできまい、そう思っていた魏軍兵士達、しかし蜀軍はその動かなかった蒺藜車をいとも容易く動かし

魏軍に対し逆撃をする、驚いた魏軍は混乱しさらに被害を出していく

 

 

前線からその報告を聞いた一刀と桂花は

 

「な、何よこれ、蜀軍は蒺藜車を自在に動かせるのにこっちは動かせないなんて何の妖…「『木牛』か!」…『木牛』?」

 

「孔明の作った輜重車だよ、どこかに装置があってそれを操作する事で動いたり動けなくしたりする事ができるとか

だったはずだ、しまったな、食料輸送にしか使われないと思ってたがこういう風に使うとは思わなかった!俺のミスだ!」

 

自身の知識として知っていたにもかかわらず何もできなかった事を後悔する一刀

 

「よ、妖術とかじゃないのね」

 

「当たり前だ!、…って、桂花はもしかして妖術とか信じてるのか?」

 

「ば、馬鹿言わないでよ!わ、私はただ報告にそうあったから聞いてみただけよ!何が妖術よ馬鹿らしい!」

 

そうは言っても少しうろたえる桂花さん、しかしすぐに平静を装うと一刀から『木牛』の事を詳しく聞きだし

それを前線の詠、稟、風に伝える、それを聞いた詠達はさっそくその旨を兵に伝え混乱を収める、さらに実際に装置が

あるかの確認をすると確かに何かしらの装置がありそれを稼動させる事で木牛は難なく動き出したのだった

 

「嫌らしい戦い方をしてくれるじゃない!けどこの様子じゃまだなにかしらの手を考えてそうね、さてどうしたものか」

 

詠は攻勢を一旦抑えると次の策を考える、下手に攻撃して何かしらの策にハマるのを恐れた為だ

 

 

 

-蜀side-

 

魏軍のその様子を蜀軍の陣地の中央に位置する場所に建てられた高さ10mほどの『井蘭(せいらん)』にいて見る人物

蜀軍の全軍を統括し指揮を取る者

 

 

 

諸葛亮孔明こと朱里

 

 

 

”朱里ちゃん、やっぱり魏軍…、いえ北郷一刀は木牛を知っていたみたいだよ”

 

”見た事も聞いた事もなくこの戦いで初めて実戦投入した木牛を知っているなんてやっぱり北郷一刀は算命に通じて

先を見通せるみたい、けど問題ないよ雛里ちゃん”

 

 

 

 

 

”全て予想通り、知っているという事を元々策に組み込んでいるからね”

 

 

 

 

 

 

-魏side-

 

魏軍は一度戦線を維持し再攻勢の準備を整える、いつもの魏軍であったならその行動には隙がなく統制が取れ、

軍師達も阿吽の呼吸で戦いを行うのだがこの時魏軍の中で珍しく連携が崩れる事態が起こる、

それは魏軍左翼を指揮する稟にもたらされた報告によるものだった

 

「こちらには五千の兵しか守っていない!?」

 

敵の編成を聞き愕然とする稟、蜀軍は中央に18000、右翼に15000、そして稟のいる左翼側にはわずか5000という歪な編成を

していた、一方の魏軍は中央前衛に80000、両翼に40000という編成、その報告を読んだ稟は心の中で

 

”私は敵からなめられている!”

 

と怒りに震える、自分をまるで格下のように扱われた為だ、さらに言えば戦いの序盤に涼州騎馬隊二百騎による突破

対呉戦で行った事をまるで自分たちにも出来ると言わんばかりの行動、その二つの出来事に稟は冷静さを失ってしまう

 

「敵が寡兵となればここは攻勢をかけ一気に戦線を崩します!前曲前へっ!弓隊による援護の後

戟兵隊が蒺藜車を排除!その後開いた隙間から騎馬隊を突入させ敵を殲滅せよっ!!」

 

稟は左翼より敵陣を切り崩す為に大規模な攻勢をかける、理詰めの戦い、常に状況を見て戦う稟にしては珍しい行動であった

それは自身を甘く見られた事で稟のプライドを大きく傷つけられた事が原因だった

 

魏軍左翼のこの攻勢は中央を守る詠にとってはありえない事だった

常に周りの流れを見て的確に軍を動かす稟がまさか単独での攻撃を始めるなどとは思っても見なかったからだ

 

「ちょ、ちょっと何やってるのよ稟!くっ…」

 

敵をいまだ掴め切れてない詠は稟の行動に戸惑う、このまま左翼に流され中央も攻勢をかけるべきか迷っていたのだ、

その間にも魏軍左翼は苛烈なまでの攻撃を続ける、反撃はあるもののやはり数が報告通り少なく思ったより被害は少なかった

 

「よし、突破できる!」

 

そう稟が確信し、魏軍左翼の前曲が今まさに敵陣へ殺到しようとした時、蜀軍の大型の蒺藜車の幌が外され

”ソレ”が姿を現す、そこから現れたのは魏軍が今までに見たこともないような兵器、

床子弩のような形状に多数の矢が番えられていたそれは蜀の諸葛亮孔明の開発した秘密兵器

 

 

『連弩』

 

 

密集して迫ってくる魏軍を確認すると蜀軍の兵士が何かしらの合図をする、と同時にその装置から無数の矢が放たれる

 

轟音と共に連弩の弦から放たれる矢

 

無数に放たれた矢は突出してきた魏軍に次々を浴びせかけられる、しかも並みの弩よりも強力で盾すらも貫き通すその矢に

魏軍兵士達は成す統べなく次々討ち果たされていった

その様子を見て愕然とする稟はようやくにして自分が罠に嵌められた事に気付く、蜀軍が左翼に兵を割かなかったのは、

事前に騎馬二百騎での敵軍による突破は魏軍を、いや稟自身の自尊心を傷つけこの罠に引き込む為のものだったと

 

「て、撤退の鉦を、早く前曲を退かせてください!」

 

稟の悲痛なまでの言葉に激しく打ち鳴らされる撤退の鉦、我先にと逃げ出す魏軍にさらに浴びせられる連弩、戦場には

多数の魏軍の屍だけが折り重なるように放置される

 

「左翼被害甚大!」

 

その報告を聞いた詠は改めて今回の敵が今までとは違う異質なものだと感じていた

 

「左翼側の敵軍さらに突出!味方を追撃しております!」

 

「左翼へ援軍を!騎馬隊一千騎を左翼と敵側の間に割り込ませて敵の攻勢を遮断…「報告!中央からも敵軍突出!」」

 

「くっ!ここぞとばかりに攻めてくるわね鳳子元!、中央の敵軍に対しては防衛のみに!

決してつられて敵陣へ攻め込まないように徹底させなさい!」

 

詠は素早く命令する、しかし蜀軍の動きは予想以上に速かった、中央に攻め込む蜀軍は数こそ五千ほどであったが一気呵成

に攻めかかる、それに対して詠の命令どおり防御に徹する魏軍、それが功をそうしたのか蜀軍は攻撃を止め後退していく、

しかし後退時蜀軍は魏軍の前でこれ見よがしに大声をあげ魏軍を嘲笑する

 

”これが大陸最強だと!笑わせるな!”

”我が軍の何倍もの兵を持っていながらこの体たらく、北魏の兵は弱兵揃いよ!”

”これでは魏の覇王などと抜かす者の正体もたいした事はあるまい!”

 

明らかな挑発、その様を見た魏の兵士達は激昂、詠の命令を無視し蜀軍陣地へ攻め込んで行ってしまう

 

「な、何をやってるのよ!追撃は禁止させたはずよっ!鉦を!撤退の鉦を!!」

 

悲痛なまでの詠の命令、それは軍師としての勘が危険だと囁き続けていたからだ、撤退の鉦が激しく打ち鳴らされる、しかし

圧倒的な兵力差の中の苦戦、さらに蜀軍による挑発的な行為で自分達の全てを馬鹿にされたと激昂した魏軍の前曲の兵士達は

怒りのまま攻め込んでいく、そして再び蒺藜車の列が現れ魏軍の動きを封じる、しかしすでに木牛の装置を知っていた

魏軍兵士達はそれを操作し再び動かそうとする、しかし動かない蒺藜車の列、焦る魏軍の兵士達

 

実は朱里は二種類の木牛を用意しており止める操作を各々違うものにしていたのだった

混乱する魏軍の報告を聞いた朱里は天を仰ぎ見ると刻来たれり!とばかりに

 

「今です!青龍の旗を!」

 

その命令に蜀軍の陣地より多数の青龍の絵の描かれた旗が上げられさらに陣太鼓が激しく打ち鳴らされる

 

魏軍の将兵は何事かとその様子を見る、さらにそれに呼応して蜀軍の前線指揮官の雛里が命じる

 

 

「火矢を!」

 

 

蜀軍の陣地より一斉に火矢が放たれる、それは蒺藜車に突き刺さり一気に燃え盛る、この蒺藜車は今までのとは違い

予め油を塗りこみさらに魚油の入った甕を多数積んでいたものだった

 

「火攻?」

 

その様子を見た詠は怪訝な表情をする、序盤戦でも同じような事はあったが被害のようなものはなかった、にもかかわらず

このタイミングでの火攻に何の意味があるのかと、実際に風は無風、兵の幾人かが火を浴び火傷を負う程度の被害

しかし次の瞬間詠、そして魏軍の兵士達に恐怖が襲い掛かる

 

 

ビュオオオオッ!!

 

 

今まで静かだった戦場に突如巻き起こる強風、それは蜀軍側から魏軍に向いて吹き起こる凄まじいまでの突風だった、

まるでさきほどの青龍の旗が合図と同時に起こったその様子に魏軍兵士は驚愕する、さらに

 

 

ぎゃあああああああああああああ!!!

 

 

蒺藜車につけられた火は突風に煽られ一気に燃え広がり阿鼻叫喚の地獄と化して魏軍の兵士達を焼き尽くす

必死に業火から逃げ惑う魏軍の兵士達、魏軍が布陣する側は瞬く間に黒煙と肉が焼ける嫌な匂いが充満する

その様子を信じられないといった表情で見つめる詠と魏の兵士達

 

「な、何なのよこれは…」

 

まるで赤壁のようだ、燃え盛り焼き尽くされていく魏の兵士達を見て赤壁の戦いを生き残った兵士がつい漏らしてしまうほど

火の勢いは凄まじいものだった

 

「妖術だ、敵に妖術使いがいるぞっ!!!」

 

蜀軍の青龍の旗と同時に吹き荒れた突風に魏の兵士達は恐怖し混乱する

それは数々の戦いを潜り抜けた歴戦の勇者たちでさえも恐怖するほど効果的なものだった

詠はなんとか平静を装い兵士達にも落ち着くよう命令するも混乱は収まらない、

その様子を眺め詠は戦前一刀が言っていた言葉を思い出す

 

 

 

”世の中には桁違いの存在というのがいるんだ、どんなに戦っても勝てないような相手”

 

 

 

「諸葛亮孔明…」

 

 

 

 

 

 

-魏軍本陣-

 

突如巻き起こった業火と黒煙は後方からも見え、戦線をみつめる一刀の元にその仔細報告が伝えられる

 

「か、風を起こしたっていうの、冗談でしょ…」

 

蒼白になり呆然とその報告を聞く桂花の頭をポンと叩くのは一刀

 

「起こしたんじゃない、多分起こる事を知っていたんだよ孔明は」

 

「知って…いた?」

 

「奴は天候を知り、それを効果的に使う、まるで妖術かと思わせるほどにな、だが常人にできる事じゃない

それを知らない者にしてみれば効果は絶大だ、まるで人外の者と戦ってるかのような錯覚に陥るだろう」

 

「ま、待ってよ、知ってると言ってもその時、そこに敵がいるとかわからないじゃない!」

 

「その時、その場所に、そこにいるように闘うんだろうな、全てを計算して天地人全てを掌握する戦いを」

 

そう冷静に語る一刀を呆然と見つめる桂花に気付いた一刀は桂花の頭をポンポンと叩き

 

「戦いはまだ始まったばかりだぞ桂花、この程度で怖気づくような軍師じゃないだろ君は」

 

さらに頭を優しく撫でられている事に気付くと「はっ!」となる桂花は見る見る顔が赤くなり一刀の手を払いのけると

 

「わ、わかってるわよ!ちょ、ちょっと今までとは違う敵だったから戸惑っていただけなんだからっ!

前線に伝令を!一旦後退して敵との距離を計る様に伝えて、これは徹底する事、もし違反するものは将といえど斬首を徹底!」

 

混乱を収め軍の再編成を行うために強気に素早く命令する桂花、その様子を見た一刀はその姿が可愛らしくて

つい笑みが浮かんでしまう、しかしすぐに前線を見つめ濛々と黒煙が上がる戦場で味方の苦戦を感じると表情は一変し

 

 

「やってくれるな孔明」

 

 

怒りに震える身体から覇気を漂わせる

 

 

 

 

 

-蜀軍side-

 

 

”朱里ちゃん、魏軍が撤退していくよ”

 

”うん、ここは追撃はなしかな、どうやら北郷一刀はこの火攻もそれほど驚いてないみたい”

 

”あわわ、ほんとに凄い人だね、北郷一刀って人”

 

”天から来たってのは本当かもしれない、やっぱり強敵だね雛里ちゃん、でも…”

 

 

 

 

 

 

 

蜀軍の陣地より魏軍を見つめる朱里はまるで一刀に言い聞かせるように呟く

 

 

 

 

 

 

 

「申し訳ありませんがこの戦場はすでに私のものです、北郷一刀さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがきのようなもの

 

まだ魏蜀戦は始まったばかりだという事で生暖かく見てやってください

 

 

十√での軍師LVなど、攻/守(10点満点)、まぁなんとなくだけど

朱里  10/10

冥琳  8/8

雛里  8/7

風   7/7

穏   6/7

稟   7/6

詠   7/4

桂花  4/7

音々音 4/3 

亞紗  3/4

七乃  5/1

 

 

愚痴っぽいの

というわけで久々投稿、ほんとリアルがね・・・


 
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