女の子は怯えていた。
男1「ねぇ、お兄さん達と遊ぼうよ」
高校生くらいの、見るからにちゃらい男が話しかけている。
少女?「あ、あの、用事があるんです…」
怯えながらも、断りを入れる。
男2「そんな事言わないでさー」
もう一人の男が行く手を遮るようにして近づく。
少女?「いえ、あの連れと待ち合わせしているので…」
男3「連れ?それ男?」
少女?「いえ、女の子です…」
純粋な女の子は、嘘を付けば良いのに本当のことを言ってしまう。
男3「マジ!じゃぁさ、その子も呼んで一緒に遊ぼうよ。ね?」
三人目の男が馬鹿丸出して歓喜する。
少女?「ほ、本当に急いでるんです。だから通してください」
そう言って、男達の横を通り過ぎようとした。
男1「待ってよ、そんな逃げる事ないじゃん」
通り過ぎようとした女の子の腕を掴み、逃がさないようにする。
少女?「い、痛いです。離してください」
女の子の目には涙が浮かび、今にも泣き出してしまいそうだ。
男2「離してあげるから、一緒に遊びにいこーよ」
少女?「い、いやです。だ、誰か…」
女の子は怯えている…。
青年「ふぅ~、今時居るんだねー、こう言うの…」
青年は立っていた。
女の子を囲む、馬鹿どもを見つめて。
青年は立っていた。
心底呆れた表情で……。
【真・恋姫†無双 三国子園児 外伝 ー休み時間・2『その者、月下に舞い降りん』ー始 】
〖聖・三国子幼稚園 園長室〗
詠(賈駆)「ゆーえー、この書類こっちに置くわよー」
女の子は、小さい体で、沢山の書類を運ぶ。
月(董卓)「うーん、ありがとー、詠ちゃーん」
女性は、書類に目を通しながら、小さな従姉妹に礼をする。
詠「それにしても、結構な数集まったのね」
机の上に書類を置きながら、女の子は話しかける。
月「そうだね、急なのに沢山応募来てくれて良かった」
机には、70~80人分の履歴書などの書類が置いてある。
詠「まぁ、この幼稚園は名門だし、昨今の不況も相まって希望者が増えたんでしょ」
とても、5歳児とは思えない発言だ。
月「うん、この調子だと、すぐに決まりそうだね」
詠「そうね、でもきっちり選別しないといけないわ。大切な事だもの」
月「うん」
詠「それにしても、入園やら卒園やらで忙しくなる次期に、立て続けに3人も辞めるなんて、ホントについてないわね」
月「仕方ないよ、皆事情があったんだし」
詠「そうだけど、少しは、こっちの都合も考えて欲しいわ」
月「詠ちゃん、無理を言ったら駄目だよ」
詠「もぅ、相変わらず月は甘いんだから…。雇い主なんだし、もっとビシッと言ってやれば良かったのに」
ぷんぷんと腰に手を当てながら、可愛らしく怒る詠に
月「それは出来ないよ、もし叔父様や叔母様・私が病気や事故にあっても、同じ事言える?」
詠「そ、それは…」
月「ね?だから無理を言っちゃだーめ」
そう優しく諭して、月はにっこりと微笑んだ。
詠「ぶー、わかったわよ」
月「うん。じゃぁ、こっちの資料を整理してもらえる?」
詠「わかった、任せて」
月「ふふ」
詠が可愛らしく胸を張り、それを見て月は、優しい笑顔を向ける。
月「いつも、手伝ってくれてありがとうね。詠ちゃん」
仕事を手伝ってくれる詠に、月は感謝する。
前々から、詠は月を手伝っていたが、今の時期と言う事に加え、急に3人の先生が辞める不測の事態に、その頻度は急激に増えていた。
詠「いいのよ、私が月を好きで手伝ってるんだから////」
突然の感謝の言葉に、詠の顔が照れて赤くなる。
月「それでも…。それでもありがとうだよ」
詠「ど、どういたしまして。それより早く済ませちゃいましょ!////」
真直ぐな月のお礼に、詠の顔は赤みが増した。
しばらく作業を続けていた月の手がピタリと止まった。
月「…………。(この人…)」
詠「どうしたの?月」
手の止まった月が気になり、詠も作業の手を止めて尋ねる。
月「……うん。(この人は、絶対に)」
手に持った書類に釘付けになり、詠の声にも反応が薄い。
月の持っている書類、そこには一人の青年の写真が貼られていた…。
詠「なによ、こいつ。普通証明写真で白衣なんか着る?まぁ、募集時に何着ても良いことになってるけどさ。(なんだろ、こいつ、凄く懐かしい気がする…)」
写真の青年は、白衣を着ていた。
月「……そうだね。(此処に来てもらわなきゃ駄目な気がする…)」
未だに月の反応は薄いままだ。
二人が見つめる書類。
その書類の名前の欄にはこう書かれていた。
『北郷一刀』
―― 月視点 ――
私は歩いています。
月(まだ時間あるけど、早めに着かないと)
今日は、幼稚園の教員採用面接の三日目です。
80人程いた面接希望者も、初日・二日目でその大半を終えていたので、今日受ける方は数名です。
月(今日、いよいよ…////)
今日来る、希望者の事を考え、顔が熱くなるのを感じます。
そして、自然と歩みが速くなってしまいました。
月(どんな人なのかな…)
心の中で呟きますが、なんとなく『その人』が、どんな人か想像出来ました。
月(たぶん、優しくて温かい人…)
まだ会った事もないのに、何故かそう感じました。
月(でも、優しいけど、女の人に甘そうだな…)
まだ話した事もないのに、失礼な事を考えてしまいました。でも何故か絶対にそうだと確信してしまいます。
そうして早足で歩きながら、『その人』の事を考えていた時でした。
男1「ねぇ、そこの女の子。ちょっと待って」
高校生くらいの男の人達に突然声をかけられました
月「え?」
男1「そんなに急いで、どっこいっくの~♪」
月「え、あの…」
私はあまり男の人が得意ではありません。
男2「今一人?一人だよね」
月「いえ、その…」
男に人達に突然声をかけられて、少し怖くなってしまいます。
男3「これから俺たちとどっか行かない?」
月「あ、あの…」
次々とされる質問に、私はオロオロしてしまいます。
男1「ねぇ、お兄さん達と遊ぼうよ」
月「あ、あの、用事があるんです…」
怖いですが、勇気を出してお断りしました。
男2「そんな事言わないでさー」
それでも、もう一人の男の人が、行く手を遮るようにして近づいてきました。
月「いえ、あの連れと待ち合わせしているので…」
もう一度、お断りします。
男3「連れ?それ男?」
月「いえ、女の子です…」
詠ちゃんとの待ち合わせがあるので、早く通して欲しいです。
男3「マジ!じゃぁさ、その子も呼んで一緒に遊ぼうよ。ね?」
でも男の人達は、私を誘ってきます。
月「ほ、本当に急いでるんです。だから通してください」
そう言って、急いで男の人達の横を通り過ぎようとしました。
男1「待ってよ、そんな逃げる事ないじゃん」
でも、通り過ぎようとした私の腕を掴んできました。
月「い、痛いです。離してください」
怖いです。
男2「離してあげるから、一緒に遊びにいこーよ」
月「い、いやです。だ、誰か…」
どうして良いか分からず、誰かに助けを求めたその時でした。
???「ふぅ~、今時居るんだねー、こう言うの…」
『その人』は立っていました。
純白の白衣を身に纏い
真っ赤な自転車に跨り
呆れた表情で男の人達を見ながら
私の目の前に…。
―― 一刀視点 ――
一刀「管理人さん、おはようございます」
俺は、ほうきで外を掃いている、管理人さんと挨拶を交わす。
管理人さん「はい、おはようございます。いよいよですか?」
一刀「はい、ちょっと緊張しちゃいますね」
管理人さん「ふふ、大丈夫。北郷さんなら、きっと受かりますわ」
一刀「だと良いんですけどね」
???「あ、おにいちゃん。おはよー」
俺と管理人さんが挨拶していると、元気のいい声が聞こえた。
一刀「お!おはよー、朝から元気だねー」
なでなで
???「えへへ~」
挨拶をして、頭を撫でてあげる。
???「おにいちゃん、どこかおでかけするの?」
一刀「そだよー、お兄ちゃんはこれから大切なお話をしてくるの」
???「へー、そうなんだ。がんばってね、おにいちゃん」
一刀「うん、ありがとう」
管理人さん「北郷さん、お時間よろしいんですか?」
時計を見ると、まだ余裕があるが
一刀「えっと、まだ余裕がありますけど、早いに越したことはないですね」
何があるか分からないので、少し早めに出る事にする。
一刀「それじゃぁ、行ってきます」
管理人さん「はい、行ってらっしゃい。頑張ってくださいね」
???「おにいちゃん、いってらっしゃ~い」
一刀「うん、行ってくるね~」
そう言って、俺は二人に手を振り『楽成荘』を出発した。
しばらく自転車を漕いでいたら、少し離れた所で声が聞こえてきた。
小学生くらいの女の子と、見るからに頭の悪そうな高校生くらいの男が3人。
小学生?「ほ、本当に急いでるんです。だから通してください」
女の子はそう言って、男達の横を通り過ぎようとした。
馬鹿1「待ってよ、そんな逃げる事ないじゃん」
一人の男が通り過ぎようとした女の子の腕を掴み、逃がさないようにした。
小学生?「い、痛いです。離してください」
女の子の目には涙が浮かび、今にも泣き出しそうだ。
馬鹿2「離してあげるから、一緒に遊びにいこーよ」
小学生?「い、いやです。だ、誰か…」
気付いた時には、俺は自転車を降り、そいつらの方へと足が向いていた。
一刀「ふぅ~、今時居るんだねー、こう言うの…」
見るに見かねて、俺は女の子と馬鹿3人の話に割って入った。
馬鹿3「あん?なんだおっさん、今取り込んでんだ、見てわかんねーのか?」
一刀「あん?なんだクソガキ、分かってて話に入ってきたのが、分かんねーのか?」
俺は『おっさん』呼ばわりされて、少し切れ気味になった。
一刀「あー、ちなみにそこの女の子、一応聞くけど、これって程度の低いナンパよね?」
小学生?「は、はいっ!////」
一刀(何故に顔を赤くする? まあ良いか…。)
馬鹿2「だったら何だっつうんだ?おっさんには関係ねーだろ?」
一刀(俺、そんな老けてるか?まだ22なんだが…)
馬鹿1「何シカトしてんだよ」
掴みかかってきた馬鹿1号をヒョイッと避け、すれ違いざまに足をかける。
ズデンッ!と馬鹿1号はみっともなくその場で転んだ。
馬鹿3「てめー、何してくれてんだ!あぁ?」
その間も女の子はオロオロと怯えている。
一刀「選ばせてやるよ。1:そのまま回れ右して俺の前から消える、2:そのまま回れ左して女の子の前から消える、3:とりあえず寝とく。どれがいい?」
馬鹿1「クソが、調子に乗りやがって!」
起きてきた馬鹿1号が毒づく。そして俺の方に向かってきた。
一刀「あー、聞くまでもないか…」
―― 月視点 ――
一瞬でした…。
私の前に現れた『その人』は、近づいていく男の人達を避け、すれ違った男の人達は、バタリと倒れ、気絶してしまいました。
私には、『その人』が何をしたのか、全く理解できませんでした。
そして何事も無かったかのように、私の所に来て、声をかけてくれました。
???「大丈夫?怪我とかしてない?」にこり
月「……////」
???「ん?どうかした?」
月「だ、大丈夫です////」
『その人』が見せた笑顔に、照れてしまって返事が遅れてしまいました。
???「そか、よかった」
そう言って、倒れた男の人達を道の端まで運び、寝かせました。
月「あ、あの、ありがとうございます」
私は、助けてもらったお礼を言っていないことに気が付き、その人…、『北郷一刀』さんにお礼を言いました。
北郷さん「良いよ、たまたま通りかかっただけだしね。それに『おっさん』呼ばわりされてムカついたしね」
と言うと、ニカッ!っと太陽のような笑顔を私に向けてきます。
月(へぅっ////)
私が北郷さんの笑顔に真っ赤になっていた時でした。
ドドドドドドドドドドドドドドド
と言う音お供に、
???「わ~た~し~の~ゆ~え~に~、何してんのよーっ!!」
と言う声が聞こえ、物凄い勢いで北郷さんに何かがぶつかり、北郷さんが目の前から一瞬で居なくなりました。
シュタッ!
北郷さんの変わりに、目の前に居たのは従姉妹の詠ちゃんでした…。
詠ちゃん「大丈夫?月、何か変な事されなかった?怪我とかしてない?」
月「え、詠ちゃん…」
詠ちゃん「どうかした?痛い所ある?」
月「違うの、今話していた人ね、私が男の人に囲まれていた時に、助けてくれた人なの…」
詠ちゃん「え゛?」
―― 一刀視点 ――
小学生?「あ、あの、ありがとうございます」
女の子は、お礼を言いってきた。
一刀「良いよ、たまたま通りかかっただけだしね。それに『おっさん』呼ばわりされてムカついたしね」
先程まで怯えていた女の子を、安心させるように、笑って見せた。
小学生?「////」
見ると女の子は、顔が真っ赤だ。
一刀(うーん、相当怖い思いをしたんだな~)
そう思っていた時だった。
ドドドドドドドドドドドドドドド
と言う音お供に、
???「わ~た~し~の~ゆ~え~に~、何してんのよーっ!!」
と言う声が聞こえ、物凄い勢いで俺に何かが蹴りを入れ、俺は女の子の前から吹っ飛ばされた。
シュタッ!
っと蹴りを入れた何かが着地をきめ、
???「大丈夫?月、何か変な事されなかった?怪我とかしてない?」
早口で女の子の心配を始めた。
見れば俺に蹴りを入れた何かは、俺が助けた子よりも更に小さな女の子だった
小学生?「え、詠ちゃん…」
小さな女の子「どうかした?痛い所ある?」
小学生?「違うの、今話していた人ね、私が男の人に囲まれていた時に、助けてくれた人なの…」
詠ちゃん「え゛?」
そして小さな女の子は、俺が飛ばされた方向を向く。
小さな女の子「あれ?」
でも俺はちょっと悪戯をして、飛ばされた方向とは真逆、二人の背後から声をかけた。
一刀「いや~、いい蹴りだったよ」
小さな女の子「なっ!いつの間に!!」
小学生?「え?」
二人はびっくりしている。
一刀「ん~、いつの間にと言うと、今しがた?」
小さな女の子「蹴り飛ばした方向と逆から声をかけるなんて、普通あり得ないでしょうが!」
小学生?「あ、あの、すみません。詠ちゃん…、賈駆ちゃんが失礼な事をしてしまって…」
一刀「平気平気、鍛えてるからね」にこり
小さな女の子「……」
小学生?「ほ、ほら、詠ちゃんもちゃんと謝って////」
小さな女の子「そ、そうね。勘違いとは言え、蹴り飛ばしたりしてごめんなさい。それと月を助けてくれてありがとう」
『かくちゃん』と呼ばれた小さな女の子は、こちらに謝罪と感謝をしてきた。
一刀「いいよ、気にしないで」にこり
小さな女の子「そ、そう?あ、ありがと////」
小さな女の子((……))
小学生?((……))
二人は小声で何やらやり取りをしている。
小学生?「あの、どこかに行かれる途中だったんじゃありませんか?」
確かめるように話しかけてきた。
一刀「あぁ、これから就職の面接にね」
小さな女の子「今の時期にって事は、『聖・三国子幼稚園』の面接かしら?」
一刀「うん、そうだよ。よく分かったね」
ずいぶんとしっかりした子だな~、と思いつつ答える。
俺の答えを聞いて、二人はまた小声で話し始めた。
小学生?((……))
小さな女の子((……))
小学生?((……))
小さな女の子((……))
小学生?((……))
まだ話しているので、俺は面接に行くために二人と別れようとした。
一刀「じゃぁ、そろそろ行くから」
―― 詠視点 ――
月「違うの、今話していた人ね、私が男の人に囲まれていた時に、助けてくれた人なの…」
詠「え゛?」
月の言った事に驚き、私は、蹴り飛ばしたそいつの方向を向く。
しかし、
詠「あれ?」
そこには誰も居なかった。
???「いや~、いい蹴りだったよ」
そして、向いた方向とは逆の方から声をかけられた。
詠「なっ!いつの間に!!」
月「え?」
私達は突然の事に驚いた。
???「ん~、いつの間にと言うと、今しがた?」
詠「蹴り飛ばした方向と逆から声をかけるなんて、普通あり得ないでしょうが!」
普通じゃない事に、思わず突っ込みを入れた。
月「あ、あの、すみません。詠ちゃん…、賈駆ちゃんが失礼な事をしてしまって…」
???「平気平気、鍛えてるからね」にこり
詠「……(あれ、こいつ、もしかして…)」
私は、こいつの顔に見覚えがあった。
月「ほ、ほら、詠ちゃんもちゃんと謝って////」
詠「そ、そうね。勘違いとは言え、蹴り飛ばしたりしてごめんなさい。それと月を助けてくれてありがとう」
とりあえず私は、こいつに謝罪と感謝をした。
???「いいよ、気にしないで」にこり
詠「そ、そう?あ、ありがと(蹴られたのに、何笑ってるんだか…)////」
私は、思ったことを月に話してみる事にした。
詠((ねぇ、月。こいつってもしかして、今日面接に来る『北郷一刀』?))
月((うん、たぶんそうだと思う、ちょっと聞いてみるね))
月「あの、どこかに行かれる途中だったんじゃありませんか?」
月は、確かめるように話しかけた。
北郷一刀?「あぁ、これから就職の面接にね」
詠「今の時期にって事は、『聖・三国子幼稚園』の面接かしら?」
就職の面接にしては少し時期が遅いので、一応聞いてみた。
北郷一刀?「うん、そうだよ。よく分かったね」
これは間違いない。こいつは、『北郷一刀』だ。
もう一度月と小声で話し合う。
月((やっぱり、そうみたいだね))
詠((ええ。そうだ、良い機会だし、こいつに着いていって、こいつの事を調べましょ、抜き打ち面接よ))
月((え、でも、そんな事したら、失礼だよ))
詠((いいのよ、どうせ良く場所同じなんだし。それに月だってこいつの事気になるでしょ?))
月((う、うん。分かったよ、詠ちゃん))
北郷一刀「じゃぁ、そろそろ行くから」
行こうとする、『北郷一刀』を月が呼び止める。
―― 一刀視点 ――
小学生?「あ、あの」
一刀「ん?どうしたの?」
小学生?「私達もそこに用があるんです。良かったら一緒に行きませんか?」
一刀「そうなんだ。そうだね、またさっきみたいな事になるかもしれないし、一緒に行こうか」
小学生?「はい、ありがとうございます」
そう言って、女の子は微笑んだ。
一刀(かわいいな…////)
俺は思わず照れてしまう。
小さな女の子「ちょっとあんた、何鼻の下延ばして月の事ジロジロ見てんのよ」
小学生?「詠ちゃん、失礼なこと言っちゃ駄目だよ」
一刀「あはは、良いよ気にしなくても。それにしても二人ともまだ小さいのにしっかりしてるね~」
此処で、俺は大きな間違いを犯した。
一刀「君、まだ小学生くらいでしょ?妹さんの面倒しっかり見て偉いね~」
そう言って俺は、お姉ちゃんと思しき女の子の頭を撫でた。
なでなで
小学生?「え、あ、あの…、へぅ////」
一刀「それに妹さんも、お姉ちゃん想いで良い子だね」
そう言って今度は、妹さんと思しき小さな女の子を撫でた。
なでなで
小さな女の子「はぁ?あんた何言って…////」
小学生?「あ、あの、違うんです!」
一刀「へ?違うって、何が?」
小さな女の子「月は小学生じゃないわ」
一刀「え?そ、そうなのごめんね。そっか中学生と小学生間違えるなんて失礼だよね、ごめんね」
中学生?「い、いえ、その…」
小さな女の子「はぁ…、中学生でもないわ」
やや呆れ気味に俺の言った事を否定してきた。
一刀「え゛?も、もしかして…(高校生?)」
しかし、その考えすら誤りだと、すぐ思い知らされる。
小さな女の子「『高校生?』とか思ったんでしょうけど、それも違うから…」
一刀「い゛?(マジですか…)」
女の子「は、はい、えっと、3年ほど前に『成人』してます……」
その言葉に俺は絶句した。
一刀「……(お、俺より年上ですか…orz)」
それからの俺は悲惨だった。
月さんに猛烈な勢いで謝罪をし、その間『かくちゃん』には罵詈雑言を浴びせかけられていた。
もう、いっそ消えてしまいたい…。
ちなみに、名前を聞いていなかったので、聞こうとしたら、
月さん「『月(ゆえ)』で良いですよ」
と言われ、名前より先に『真名』を預けられてしまった。
いきなり真名は、さすがにまずいと思ったので、遠慮しようとしたが、月さんには、何か思う所があるようで、名前を教えてはくれなかった。
もちろん、そんな事を『かくちゃん』が簡単に許すはずも無く、
かくちゃん「駄目よ、月。こんな変態ロリコン大馬鹿エロエロ魔人なんかに、月の大事な『真名』を預けるだなんて」
と怒涛の口撃を繰り出し、それを月さんがなだめていた。
そんなやり取りを目的地に着くまで繰り返し、俺の精神的HPは、『楽成荘』を出た時の30%ほどになっていた。…ように感じる。
幼稚園の門で二人と別れ、俺は面接会場へと向かった。
別れ際に月さんが、
月さん「面接頑張ってくださいね」
と俺に笑顔で励ましてくれた。
もちろん『かくちゃん』も
かくちゃん「ま、程々に頑張んなさい」ニヤリ
と応援してくれたが、最後の『ニヤリ』にとても嫌な予感がした。
園の中を歩いていたら、赤い髪の綺麗な女性が、声をかけてきてくれ、その女性に面接会場までの案内をしてもらった。
赤い髪の女性「あぁ、そうか、お前が…。いや、すまないな。君は一番最後の面接になる」
一刀「はい、わかりました」
赤い髪の女性「そう緊張するな、大丈夫だ、君なら受かるさ」
一刀「え?あ、ありがとうございます」
そう言い切る女性に、少し不思議に思いながらも、素直にお礼を言った。
赤い髪の女性「じゃぁ、順番になったら入ってきてくれ」
一刀「はい」
そう言って、女性は去っていった。
=30分後=
俺の順番が回ってきた。
コンコン!
ノックをする。
???「どうお入りになってください」
一刀「失礼します」
入ってすぐ、俺はド肝を抜かれた。
なぜならそこに、先程まで一緒に居たその人が座っていたからだ…。
月さん「どうぞ、お掛けになってください」にこり
一刀「は、はい…(もしかしなくても、月さんが面接官だよね、これって…)」
突っ込みどころは色々ある。
1、面接官に月さんだけじゃなく、何故か『かくちゃん』も居ること。
2、面接官がやたらと多い、二人を合わせて10人居る…。
俺1×面接官10人、有り得ないだろ、これ。
3、さらに、面接官の中に変態が二人まぎれている…。
ムキムキマッチョの紐ビキニと、同じくマッチョのフンドシ…。
紐ビキニ「…んちゅ~♥」
一刀(や、やめろ、そんなキモイ顔で投げキッスとかマジやめろ!)
頭の中が混乱している所に、月さんの口から追加で、今までで一番重い一撃が放たれた。
月さん「本日面接官を勤めます、この幼稚園で園長をしています、董仲穎と申します。よろしくお願いします」
一刀(ちょ、まってー、うっそ、マジで!じゃあ何、俺って面接先の一番偉い人を小学生と間違えてたわけ?)
かくちゃん「あら、どうかしたのかしら?顔色があまり良くないわよ」ニヤニヤ
一刀(そうか…、別れ際の『ニヤリ』はこの事かー!)
仲穎さん「では、お名前からお願いします」
混乱する俺を尻目に、面接が始まる。
一刀「はい、私の名前は『北郷一刀』と申します…」
それでも何とか受け答えはできそうだ。
そう思っていた時期が、俺にもありました…。
面接官1「ふむ、では、好きなタイプの女性は?」
青い髪の面接官が、突然尋ねてきた。
一刀「は?」
一瞬何を言われたかわからなかった。
面接官1「おや、聞き返すとは、感心しませんな」
仲穎さん「趙雲先生!」
面接官1「まぁまぁ、良いではありませぬか、なぁ厳顔先生」
一刀「えっと、あの…」
面接官2「そうだのう、その辺りの事はこの場に居る皆が知りたい事であろぅ」
『厳顔先生』と呼ばれた人が、『趙雲先生』を援護した。
一刀(これは、面接と言えるのだろうか…?もしかして仲穎さんに失礼な事を言ったから、もう既に落ちてるとか…)
そう思ったら本気で凹んだ。
一刀「えっと、もしかしてもう既に落ちてます?私」
紐ビキニ「あらん、どうしてそう思ったのかしら?」パチン
その顔でウィンクは、殺傷能力を伴うだろう。
一刀「就職の面接で、『好みのタイプを聞かれた』なんて聞いた事がないもので」
フンドシ「ふむ、お主は定形文の質問の方が良いのか?まぁ、その方が用意する答えも定形文ですむから楽ではあるだろうがな」
一刀「い、いえ、その…」
フンドシの言葉に口籠る。
面接官3「卑弥呼先生、『北郷さん』をあまり脅さないでください」
眼鏡の面接官が俺をフォローしてくれる。
フンドシ「別に脅したわけではないぞ、郭嘉よ」
面接官3「あなた達は、見た目だけで脅しているようなものです」
紐ビキニ「ぬぁーんですって、誰がこの世の物とは思えない程の珍獣大サーカスですてぇー!」ゴゴゴ♯
面接官4「おいおい、こんな所で止めろよな、貂蝉」
そう言ったのは、俺を面接会場まで案内してくれた、赤い髪の女性だった。
紐ビキニ「あらん、ごめんなさいねん♪ご主人様の前で私ったら、はしたないわん♪」
一刀(誰がご主人様だ!誰が!)
面接官1「して、先程の私の質問に対する返答やいかに?」
一刀「す、好きになった人がタイプです」
いきなり聞かれて即答できるはずも無く、俺は妥当な答えを返した。
万博のアレ「おうおう、そんなつまんねぇ答え、誰も聞いちゃいねーんだぜ、兄ちゃんよ」
面接官5「これ、宝譿、お兄さんの返答があまりにも白々しいからと言って、そんな悪態を付いてはいけませんよー」
万博のアレを頭に乗せた、小柄な女性が軽く毒を吐く。
一刀(腹話術?でも人形動いてるし…)
面接官4「程昱も、いじめてやるなよ…」
一刀(良い人だ!この人は、良い人だ!!)
面接官6「なんじゃ、伯珪先生、一人だけ良い子ぶりおって、点数稼ぎか?」
妖艶な笑みを浮かべた女性が、からかうように『伯珪先生』に話しかける。
面接官4「そ、そんなわけ無いだろ////」
一刀(何の点数を稼いでるんだろ?)
仲穎さん「もぅ、皆さん真面目にやってください…。すみません、北郷さん、皆さん悪い人ではないのですが、賑やかなのが好きな方たちで…」
一刀「い、いえ大丈夫ですよ、『仲穎』さん」
すまなそうに謝ってくる仲穎さんに俺が答えると。
仲穎さん「『月』です…。「え?」、『月』と、そう呼んでくださいと言いましたよね?」ニコニコ
一刀「え、あの…。(何やら物凄く『良い笑顔』で此方を見つめてくるのですが…)」
面接官1「ほうほう、もうそこまでの仲でしたか…」
面接官2「園長先生も、なかなか手が早いですのぅ」
面接官6「じゃのう、儂等もうかうかしておれんぞ」
面接官3「これは意外ですね。園長先生はてっきりそっち方面では奥手なのかと…」
面接官5「むー、先を越されてしまいましたねー」
面接官4「は、はは、そうだよな…」
紐ビキニ「んもぅ、月ちゃんたら、隅に置けないわねん♪」
月さん「へぅ////」
フンドシ「うむ、儂も早くダーリンと添い遂げたいわい////」
かくちゃん「はぁ…、あんた達、馬鹿やってないでさっさと進めるわよ」
一刀(あー、何なんだろ、このカオスっぷり…。俺、就職の面接に来たんだよね?)
そんなやり取りを目に、俺は終始項垂れるしかなかった。
その後も面接?は続き、『初デートに行くなら』や『初恋はいつ』や『小さい子は好きか』や『年上は好きか』や『普通な人は好きか』など、到底面接とは思えない内容の質問が繰り出された。
面接が終わる頃には、俺の精神的HPは1%程になっていたと思う…。
月さん「お疲れ様でした、北郷先生。色々と準備をしますので、大学を卒業されたら園の方に顔を出してくださいね」
憔悴している俺に、月さんがやさしく声をかけてくれる…。
…は?
……今、月さんなんて言った?
一刀「あ、あの、それはどういう」
かくちゃん「はぁ…、あんた馬鹿ね…。」
一刀「え?え??」
面接官3「つまり、貴方は合格したという事ですよ、『北郷一刀』先生」
紐ビキニ「どぅふふふ~、おめでとう、ご主人さまん♪」
一刀「ち、近づくな、変態ビキニ!」ドガッ!
俺はシナを作って近づいてきた、紐ビキニを咄嗟に蹴り伏せる。
紐ビキニ「し、しどいわ~、ご主人様。あちしが何したって言うのん。…あ、でもこうして足蹴にされるのも、ス・テ・キ♥」
フンドシ「ず、ずるいぞ、貂蝉!ご主人様、わ,儂にもプリーズ♥」
こうして、その後もしばらくカオスは繰り広げられるのであった…。
※後で聞かされた話だが、面接を受ける前に書類の段階でほぼ俺の合格は決まっていたらしい…。(俺の精神的ダメージはいったい何のために・・・orz)
【真・恋姫†無双 三国子園児 外伝 ー休み時間・2『その者、月下に舞い降りん』ー終 】
~おまけ~酔っ払い注意
白蓮「……」
ホウケイ「ん?どうしたんだ、白蓮姉ちゃん」
白蓮「いやさ、前に外伝の2は、私になるっぽい事言ってたはずなのに…」
ホウケイ「あー、今回は一刀兄ちゃんが月姉ちゃん達と出合った話になってるな」
白蓮「いや、べっつに~良いんだよ~、月はさ~、可愛いしさ~、守ってあげたくなるしさ~、メイド服とか、色々優遇されるポイントいっぱいあるしさ~」
ホウケイ「お、おい、姉ちゃん、もしかして飲んでるのか?」
白蓮「こーんな状況、飲まないでやってられるか~」
ホウケイ(だ、誰だよ酒なんか飲ましたの…)
白蓮「わらしだって~、ちゃんとすればそれなりに見れると思うわけよ~、でもさ~、一刀って基本受けらろ~、もっとこう積極的にいきたいとはおもうんらよ~」
ホウケイ「そ、そうだな…」
白蓮「な~んでかな~、わらしの周りって、み~んな、可愛かったり~、美人だったり~、ずっこいよな~、わらしなんかじゃ到底太刀打ちできないしさ~」
ホウケイ「……(だ、誰か助けて!)」
白蓮「おい!ほ~けい!わらしのはなし、ちゃんときいてるのか~?」
ホウケイ「き、きいてるぞ、姉ちゃん」
白蓮「でな~、どうにかしてわらしも一刀を振り向かせたいと思うわけよ~」
ホウケイ「そうか…(この状況を収める方法はねぇーのか!)」
風「おや、ホウケイ、そんな所で何をしているのですか?」
ホウケイ「おぉ!!風姉ちゃん、いい所に来た!(これで助かる!)」
風「ふむ、外伝2を月ちゃんに取られて、白蓮ちゃんが自棄酒ですか…」
ホウケイ「そ、そうなんだよ、どうにかならねぇか?」
風「ぐーー」zzzz
ホウケイ「ねるなっ!!」
風「おぉ、白蓮ちゃんのあまりの酒癖の悪さについつい眠気が…(これは厄介な現場に来てしまいましたね~)」
白蓮「おー、風、いい所に来た!お前も飲め」
風「いえ、風はこれからお兄さんの所に行って、ひざの上で日向ぼっこでもしようと思いますので~」
白蓮「なんらと~!」
風「そうです、なんなら白蓮ちゃんも一緒にお兄さんの所に行きますか~?お兄さんのひざは気持ちがいいですよ~」
白蓮「なっ!一刀のひざで膝枕…、あ~一刀~…(ただいま妄想中)…」
風「もしかすると、そのままベッドの中へ連れ込まれてしまうかもしれませんね~」
白蓮「わらしが一刀とベッド……、行く!わらしも一刀とベッドするぞ!」
ホウケイ(膝枕で日向ぼっこが、いつの間にかベッドの話に…、あれ?でも白蓮姉ちゃんって酔ってる間の記憶がバッチリ有るタイプだったような…)
風「それじゃ、ホウケイ、風達はお兄さんと同衾してくるので、〆はお願いします~」
ホウケイ「ちょ、投げっぱなし!こんな状態でどう〆れば良いんだ!?」
ホウケイ「って、もう既に居ない…(これは作者におれっちの外伝も作って貰わねぇとな…)」
ホウケイ「えーっと、翌日、一刀兄ちゃんの部屋で起きた白蓮姉ちゃんは、酔っていた時のことを思い出して、物凄い凹み、部屋の隅で遠い目をしながら体育座りをしていたとさ…(こ、こんなんで良いのか?)」
ちゃんちゃん
~おまけ~END
あとがきよ!私は帰ってきた!!
はい、皆様、こんにちは、こんばんは、おはようございます、作者でございま~す。
お魚くわえたドラ〇もん♪お~おかけ~て♪はだしで~かけてく~♪ゆかい~なサザビ〇♪
ドラ〇もんの道具で、じゃ〇子ちゃんが漫画書くときに出してもらった缶詰みたいな居住空間、あれ何て言うんでしたっけ?
作者はあれが欲しいです!
早く書いて投稿しようと思うたびに、何故か邪魔が入って遅くなる、お願いだから『妄想文』書かせてー!
はぁ…はぁ…、魂の叫びを訴えた所で、さて本題に行きましょうか。
少し前から、ある人物のフラグを散りばめていましたが、その人物が誰か分かりましたでしょうか?
その人物の、本格的登場はもう少し後になります。ファンの皆さんはもうしばしのお待ちを!
月ちゃんに絡んでいた、男1~3、この人達は最初アニキ・チビ・デクのトリオにしようと思っていました。
でも作者、このトリオ好きなんですよね。
だから別の機会に登場してもらうつもりです。この3人の登場はもっともっと後です。
それと、今回登場した面接官ですが。作者の力だと分かりにくいと思うので、一応、面接官1~6の名前言っておきますね。
1、星 2、桔梗 3、稟 4、白蓮 5、風 6、祭
でした。
一刀君の面接以外は、月ちゃんと、もう2名今回登場しなかった人が担当しています。
七乃さんは、美羽お嬢様とショッピングがあるので、今日は参加してません。
一刀君が大学卒業していないのに、何故『楽成荘』を借りているのか?
それは、また別のお話になるのでまだヒミツです。
さて次回のお話は、どこかの組の園児と一刀君のやり取りになると思います。
蜀かな?呉かな?魏かな?袁かな?董かな?
(白蓮さん、外伝もうしばらく待ってね♪)
とこんな感じでしょうか。
それでは、まったに~(・д・)ノン
Tweet |
|
|
19
|
2
|
追加するフォルダを選択
こんにちは、こんばんは、おはようございます、Rocoです。
この作品は『小説』ではありません、作者の頭の中の『妄想文』です。
なので、生暖かい目で見守ってやってください!
Rocoは、レベルが上がった!・・・ような気がする。
続きを表示