冀州(きしゅう)・鄴(ぎょう)。
三公を輩出した名門袁家の直系である袁本初の居城がそこにある。
正史での曹操が「冀州の戸籍を調べたところ、30万人の軍勢を手に入れられそうだ。従って、冀州は大州と言えるだろう」と言ってるように人口は多い。そして、名門と言うネームバリューがあるからか各地から人や行商が集まっても来る。が、それは同時に甘い汁を啜(すす)りに来た狸も多く混じってくると言うことを意味している。
しかし、その肝心の当主が有能であれば別に狸が何匹集まろうが何ら問題はない。進言をよく聞きよく相談して決断すると言うのも良いだろう。このご時世では高い危険を伴うかもしれないが分野ごとに適任者に任すと言うのも上に立つものとしては一つの才能だろう。
だが、そんなことはあり得ない。断言出来てしまうのだ。もう一度言おう。
「……あり得ません」
そう一人呟くのは、鄴城にある一室。竹簡に書かれた報告を読んで呆れ。そして、椅子に背をもたれさせる女性。
彼女の姓は張、名は郃、のちに魏の五将軍として名を連ねる張儁乂(しゅんがい)その人である。三つ網にした蒼く長い髪を持ち、瞳もサファイアの様な青。それでいて一見すれば美少年とも取れそうな顔をしている。
俯き加減に机にある先程の呆れさせた竹簡に眼をやるが、正面の扉に気配を感じ顔を上げる。すると扉が開く。
「失礼す……失礼しました」
「待ちなさい」
人の顔を見るなり、突然扉を閉めて帰ろうとする女性を張郃こと真名を蒼燕は口で止めた。
その人物は扉を半開きにして半分だけ顔を覗かせる。
「何してるんですか。用件があるならさっさと入りなさい」
「だってあんた今、結構機嫌悪いでしょ?」
「だからなんだって言うんですか?」
「いや、だからって殺気まで漏らしてそれを私にぶつけないでくれる。それと蛇をも射殺しそうな眼をしてるわよ。萎縮するに決まってるじゃない!」
その言葉に蒼燕は、椅子から立ち上がってすぐに鏡に向かい今の自分の表情を見て納得する。
「はぁ、失礼。少し落ち着きます」
溜息を吐きそう言うと蒼燕は一つの棚を開けると、皿に載せられた菓子が出てくる。机に菓子を置き椅子に座り菓子を咀嚼(そしゃく)。
「うん、甘い」
そう言うと、蒼燕が落ち着いたのか扉の女性は入って来た。
その女性はピンク色の髪のサイドテールと青い瞳。そして、金色の鎧を身に纏(まと)っていた。
「あんた少し働き過ぎじゃないの?文官でもないのに政務なんてしちゃって」
「別に何ともないですよ」
「これが何ともって……」
そう言って、女性が蒼燕の机の周りを眼だけで見まわすが、彼女の机の左側には竹簡が溢れない程度に入れられている箱が二つ。そして、右側には竹簡で満杯になっている箱が一つと半分ほど竹簡が入れられている箱が一つ。
どう考えても武官である蒼燕がやる量ではない。それが彼女の見解であった。
「ところで、何か報告ですか?麹義(きくぎ)将軍。警邏の報告?誰か失態を犯した?調練に関する報告?それとも賊の出現?はたまた新しい仕事?仕事が増えるのは喜ばしいですけど、あまり面倒事は持ってきて欲しくないですね」
蒼燕は溜息を吐きがちに言って手をひらひらとさせる。
その様子に若干呆れ気味になる麹義。
「一編に言い過ぎ。あんた韓馥にいた時はそんな感じじゃなかったでしょ?」
「なにがです?」
「毎日仕事仕事で疲れないかって話よ」
「いいえ、全然。むしろ仕事してないと落ち着かない感じが増えてきましたね」
「………」
その時、直感的に麹義は思った。
「(蒼(そう)ちゃんをこのままにしておくのは不味い)」
ちなみにこの時の蒼燕に当てはまりそうな言葉が出てくるのは1500年以上も未来の話になる。
「で、結局なに用でここに来たのか聞いてませんでしたが?」
「え?ああ、用ね。監軍(かんぐん)制が変わるって話についてよ」
「よりによってその話ですか……」
呆れ気味に言った事に麹義は疑問を持ったが、蒼燕が一つの竹簡を差し出してきたのでそれを受け取る。
それを広げて見ると。
『監軍制を三監軍制にする』
と言う旨の事が書かれていた。
「……バカでしょ」
「あんまりそう言うことは言わないように。讒言(ざんげん)の材料にされますよ」
それを見た直後に直接的な感想を漏らした麹義を咎める。が、蒼燕も心境は同じだった。
「どう考えても郭図の仕業ね」
「十中八九そうでしょう。栄達(えいたつ)の機会が回って来ないと考えた末に讒言とは」
「それをすんなり聞き入れる馬鹿姫もどうかと思うけどね」
「だから、そう言うことは言わない。監軍を率いるのが淳于瓊(じゅんうけい)殿と引き続き沮授なのはいいのですが……ね」
濁した言い方をするのは、もう一人がその讒言をした(と思われる)人だからである。
それに、あちこちで欲に塗(まみ)れてる者が多いのであまり迂闊な事を口にするとすぐに蹴落とされる危険性がある。さすがに首は繋がっていたい。
「で、蹴落とされた本人は?」
麹義がそう尋ねるが蒼燕はさあね、と返す。
「おかしいわね。玲(れい)のことだからてっきりすぐにあんたに泣きつくかと思ったんだけど」
「子供じゃないんですから。大方その竹簡を見てないか、まだ届いていないかのどっちかでしょう」
そう予想を蒼燕が立てた時に扉の向こう側から、小気味(こきみ)好く走ってくる音が聞こえてきた。
この時点で部屋にいる二人は大体予想が付いた。
そして、バン!と勢いよく両方の扉が開かれ茶色のツンツン髪をした小柄の女性が入ってくる。
「蒼(そう)ちゃ~ん!!」
ただし、涙目になりながらダッシュで。
「衝撃を受けたのは分かりましたから、取りあえず落ち着きなさい。あと公私を分けろと言ってるでしょう沮授」
そのまま蒼燕の机に齧(かじ)りつく様にして、沮授はへたり込む。
「か、郭図に嵌められたっス!陰謀っスよ~~!!」
上目遣いに蒼燕を見上げる沮授だが、蒼燕は鼻で息を吐き呆れかえってる感じを醸し出している。
「で、愚痴でも言いに来たんですか?」
「なんか蒼ちゃん冷たいっス!?でも、頭撫でて慰めて欲しいのは確かっス」
「子供ですか……」
麹義の言葉に子供じゃないだろうと返した蒼燕だが、実際には子供だったと言うことで二重に呆れる。
「嘘っス」
「しかも嘘なんだ」
ケロリとした表情で言った沮授に麹義は呆気にとられながらもツッコんだ。
「それにこうなる事ぐらい予想はついてたっス」
「では、防がなかった理由は?」
にこやかに言った沮授に対して蒼燕は単刀直入に聞いた。予想が付いていたのならなぜ防がなかったのか、当然と言えば当然の疑問である。
「力を付け過ぎたのはもちろん、そのわっちの権限を狙ってくる者が出てくるのも当然のこと。君主から与えられた権限スからわっちがそれについて何か言えば、不満があると思われかねない。あまり迂闊に言えないから権力が自然に増大するのは止められない。ならばと思い、讒言すると感じた時には促すかそのまま放置すると決め込んでたっス。郭図が言ってくれたおかげで、わっちを危険視する者が減り監軍から外されずに済んだっス。まあ、監軍が縮小されていつも通りに権限は行使できないかもしれないっスが特に問題はないと思うっス」
袖を口元に当てクスクスと笑う沮授。郭図が讒言してくれたお蔭でまさか沮授が延命したとは夢にも思わないだろう。
ちなみに言うとこの時の沮授が就任していた『監軍』とは、のちに出てくる役職の『丞相(じょうそう)』に匹敵する独裁官(言わばディクタトール)の様なもので、軍事は言うに及ばず、外交・内政から人事・裁判権まで全ての分野を直接統括する権限を付与委任されている役職である。現代でいえば総司令官であろう。
この役職の最大のメリット、それは巨大化した組織を即時対応させ得ると言う点にある。
そんな中疑問に思った点が一つ麹義にはあった。
「あんた、監軍を外される可能性は考えてなかったの?」
「甘いっスね。結(ゆい)」
即答に近い感じで否定された。
結(ゆい)、麹義の真名を言いながらも袖は口元に当てたまま、引き続きクスクスと笑う。
そして、言葉を続ける。
「今まで監軍を受け持ってたのはわっちだけっスよ?監軍をどのように行使するのか知っているのもこの軍ではわっちだけ。ならば、教えられるのもわっちだけとは考えなかったスか?故(ゆえ)に監軍を外されると言う事はあまり考えてなかったっス」
「一応、少しは考えてたんだ」
「当たり前っスよ。あらゆる可能性を考えるのが軍師っスから」
誇らしい笑みを浮かべながら言う沮授に、感心の視線を向ける結。
「ま、沮授を謀殺すれば監軍の席がそのまま手に入ったんでしょうけどね。誰の手に入るかは知りませんが」
「それは言わないで欲しいっス。監軍がわっち一人だけの時は一番それが恐かったっス」
蒼燕が言った事が一応、駄目な方で正解だったらしい。
「でも、三つに分ける必要はなかったんじゃないの?」
「無いっスね」
結の疑問は沮授の一言で片づけられた。
「元から上手くいってたんスから、変える必要性は特になかったっス。わっちの寿命的には必要だっただけっス」
「そうなんだ……」
この時、結は監軍を三つに分けた理由が沮授の延命の為と言うことになりつつある気がしてならなかった。
「ただ、このままだと重臣の間で抗争が出る可能性があるっスね。三監軍になってから機能するかと言うのも気になるっスが、問題はそっちっスね」
「どちらを擁立するかと言う話ですか?」
「そうなんスよねえ。この忙しい時に軍内部で抗争の横行なんて勘弁して欲しいっスよ」
蒼燕と沮授は分かったような話をしているが、結にはなぜ抗争が起きるのか分からず首を傾げる。
「玲と蒼燕の話が何なのか私にはさっぱりなんだけど……」
「ん?教えて欲しいっスか?教えてもいいっスけど、どうしようかな~?」
若干イラッとする沮授こと真名を玲の言い方に自身の武器を構える結。
「さすがに室内で『猿落とし』は駄目っスよ?蒼ちゃんの部屋が吹き抜けになるっスけど、それでも構わないなら撃つといいっス」
更に挑発するが撃たないと分かっているからの挑発。当然、結も撃つ気ない。
暫く数秒ほど睨み合いが続くが、第三者の横やりが入る。
「はいそこまで。今回は沮授の方に分があるんですから潔(いさぎよ)く引きなさい」
「くっ、覚えてなさいよ」
「軍師に口や駆け引きで勝とうと言うのが間違いっス」
結は再び武器を構えそうになるが、そこはグッと堪(こら)えた。
代わりに玲はニヤニヤとした感じでその様子を見る。
「貴方も性格がたまに悪いですね」
「軍師やってると腹黒くなるもんスよ」
気にした感じもなく堂々と言う玲に思わず微笑する蒼燕。
しかも、話を有耶無耶にされた事に結は気付いていなかった。
「さてと……」
仕事に戻ろうかと、蒼燕が提案をしようとしたその時に再び扉の方に気配。今日は人がよく訪れると思いながら扉の方を見る。
結も気付いたのか後ろの扉に注目する。
それに釣られて玲も後ろの扉に向く。
「お邪魔するわ」
おっとりした口調で入ってくる長身の女性。結われている菫(すみれ)色の髪にそして糸目。如何にもお姉さんと言う言葉が似合いそうな第一印象を受ける。
「邪魔するなら帰るといいっス」
「いきなり酷いわ玲ちゃん」
しゅんとした感じにしおらしくなる女性。結構真に受けている様子で慌てて玲は訂正する。
「いやいや、冗談っスよ紫雨(しう)さん」
「あら、そうなの?」
紫雨と言う人物は、良かったと言う風な表情をする。
「あんた、紫雨には弱いわねえ」
「冗談がある意味通じないっスから苦手っス」
結が呆れる様にして玲に横眼で言うが、玲はトホホと言った感じで首を垂らす。
そんな二人を横目に椅子に座りなおして話を進める蒼燕。
「警邏の報告ですか?高覧将軍。そう言えば今日はあなたと文醜と顔良が担当でしたね」
「三人とも警邏は終わったんだけど、猪々子ちゃんが……」
真名を紫雨こと高覧は途中で濁した言い方をする。猪々子がどうしたかで対応も変わるので、蒼燕は問い質(ただ)す。
「文醜がどうしたんです?」
「猪々子ちゃんの警邏区域で集団で盗賊が出現したんだけど、その盗賊を捕まえるために武器を思いっきり振り回しちゃったおかげで店が一つ半壊状態なのよ」
「……負傷者は?」
「さすがに人が多いところでは振り回さなかったし、そもそも人通りが少ないところでもあったから負傷者はいなかったわ。ちなみに店が半壊した理由は、盗んだ奴らが店に入って逃げようとした直前に大剣を振り下ろした際に勢い余って店の一部に引っ掛かったのが原因よ」
はあ、と蒼燕は溜息を吐く。盗賊を捕まえると言う大義名分と人が少なかったとはいえ、通りで武器を振り回すのはさすがに頂けない。多分それらの条件下であった事を考えて抜刀したのだろう。結果論だけ見れば何ごともなくて幸いだったと言うところだが、釘は厳重に刺しておこうと蒼燕は考えた。後はなにかしらの処罰だろう。
「分かりました。他には?」
「猪々子ちゃんから竹簡を預かってるわ。多分、店を壊しちゃったことに関する報告じゃないかしら?」
「珍しいですね。文醜がそんな細かい事をするなんて」
思った事を口に出しながら紫雨から竹簡を受け取り、開く。
その内容は。
『蒼燕様へ 今日の警邏で盗人(ぬすっと)を捕まえるために、店一軒を半壊させてしまいました。けど、あたいは警邏のあと斗詩と愛の調練なんで、店の修理代は蒼燕様宛に出して置きましたんで。それと店の主人への謝罪はお願いします。 猪々子』
「……………………」
しばらくの沈黙。
当然、固まって動かないようになってしまった蒼燕に疑問を覚えた三人は後ろから回り込んで竹簡を見ようとしたが、その瞬間に竹簡が閉じられる。
「(愛の調練はどうでもいいとして、なぜ修理代が自分持ち。おまけにその修理代を返すと言う記述もなし。謝罪も猪々子の代わりになぜか自分を指名。確かに将を束ねてるのは実質自分と斗詩ですが、なぜ尻拭いまで………。と言うか修理代くらい自分で払え…もしかして博打に全部使った?文醜の事だからありえますね。いや、そもそも謝罪も店の修繕も本人が携わるべきでは……)」
と、様々な疑問とおかしな点が彼女の脳内を駆け巡るが本人は既に調練に行っているだろう。しかし、将が民に迷惑を掛けたのに放っておく訳にもいかない。変な風評を立てられて今の君主の権威が落ちるのは致命的すぎる。蒼燕は内心では深い溜息を吐いた。
最後の菓子を口に入れると蒼燕はすぐに立ち上がり、机に立て掛けてあった剣を手に取り腰に挿す。
ここまで蒼燕は、一言も何も言わないものだから三人の表情は訝(いぶか)しげである。
やっと口を開いたと思ったら、
「少し用が出来たので行ってきます」
と言って扉を開けて出て行ってしまった。結局、そのまま三人は蒼燕の後姿を見送る事となった。
彼女が完全に行ってしまったと分かった時に行動したのは、沮授こと玲。
さきほど蒼燕が見ていた竹簡が置かれていたので手に取り、広げ、見る。当然、他の二人も気になり覗きこむようにして両脇から見てみる。
が、三人とも反応は大体同じだった。
「これ、蒼ちゃんがやる事じゃない気がするっス」
「いや、どう考えても蒼ちゃんがやる事じゃないでしょ。これは…」
玲の言葉を多少言い換える結。しかし、紫雨は別の事を懸念していた。
「蒼ちゃん、ちょっと働き過ぎじゃないかしら?」
「ああ、それは私も最初に本人に聞いたわ。働き過ぎで疲れないかって」
「で、どうだったスか?」
結の話に心配気味に玲は聞く。
「答えは否定よ。それどころか仕事してないと落ち着かないらしいわ」
「それは危ないっス。仕事に依存し過ぎっスよ」
「てことは、蒼ちゃん見た目とは裏腹にすごく疲れてるんじゃないかしら?」
その時の三人の思考もまた同じだった。
「休暇ね」「休暇っスね」「休暇よねえ~」
結、玲、紫雨の順番で三人は言ったその時、絶対に蒼燕を休ませようと考えたのだった。
~あとがき劇場~
さて、今回のゲストは金髪のグゥレイトゥ!さんの所から麹義こと結ちゃんが来てくれました~!
結「よろしくね」
正史では、韓馥から鞍替えして袁紹の所に身を寄せ羌(きょう)族で学んだ戦い方を駆使してその精強ぶりを示したそうです。ちなみに正史通り白蓮も彼女に敗れたのだとか。
白蓮「残念だったね、とか言ったら張り倒すからな!?」
……読まれてましたか。
結「えっと……あなた誰?」
白蓮「私を倒した相手にすら覚えて貰えない……ぐすっ、うわああああああああああああああん!!!」
あ~あ、ひどい事を。
結「覚えてないんだから仕方ないじゃない」
さらっと言いますね。で、袁紹に乗り換えたいいが結局、韓馥は袁紹に冀州(きしゅう)を明け渡し韓馥の配下もほとんど袁紹に吸収されたと。勿論、沮授と田豊と張郃もその時に袁紹の下に来たみたいですね。
結「そうね。そう言えば、あの子今回出てないわね」
田豊の出番は後編にて。
それにしても今回資料を探して思ったのは、沮授ヤベーと言う感じでしたね。
結「軍の中じゃあ、あいつが一番上なのよね立場的に」
まあ、総司令官ですしね。三監軍制になって降格したけど。それと沮授が蹴落とされたことに不満を漏らしたと言う資料がなかったので妄想が爆発しましたが、筋は通ってると思いたい。でも、田豊と並んで古の張良・陳平に匹敵するとまで言われていましたからあり得そうな話だとは思うんですけど。
結「そう言えば、讒言が無かったらどうしてたのかしら?」
まあ、根回しをして促したでしょうね。それぐらいはするでしょう。と、妄想。
それにしても横文字を使わずに文章を書くのきつい。最初あたりの『衝撃を受けた』のところを『ショックを受けた』って普通に書いてましたからね。
結「ふ~ん、難しいのね小説って。それにしても次で私の出番も終わりか」
え?なに言ってるんですか?
結「え、違うの!?」
はい、それでは前回のテンションで書いたおまけの続きをどうぞ!オリキャラの説明は後編で!
結「ちょっと、なに話を無理やり切り替えてんのよ!?」
~おまけ劇場・緋弾に飛び込む蒼色のメス~
どうも、蒼(あおい)です。
前回、変なハイテンションで『緋弾のアリア』の外史に飛び込んだ私ですが実はこれ設定はランダムなんですよね。誰と密接に関わり、誰の子孫となるか?それによって基本的な能力が変わってくるんですよね。
赤ん坊となり、『自分』と言う存在に気付くが1~2歳でしたね確か。記憶を持つのは5歳くらいでしょうか?現実で自分が覚えてる最初の記憶が五歳くらいの時なので。
まあ、そんなことは置いておきましょう。
「どうかしたの?」
小首を傾げて私の顔を覗きこむのは、理子。そう、理子・峰・リュパン4世。
なぜ私が彼女と共にいるのかは理由は簡単。近所だからと言うよくある話。そして、彼女はツーサイドアップに結った、ゆるい天然パーマではなくアリアの様なツインテールだった。
それにしても、『峰』か……ルパン三世と峰不〇子の子だったり……はしませんね。しかもこのネタ、誰かほかの人が考えついてそうですし。そう言えば、理子の両親は見た事ないですね。
「なんでもないよ。それよりも何して遊ぶ?かくれんぼは……おもしろくないか」
「うん。あおいちゃんがかくれたら、理子が見つけられないもん」
「そうだよね」
一つの能力としてステルスにどうやら長けているようでかくれんぼをすると、見つからないと言う。今のところ発見された回数はゼロ。
「う~ん、じゃあすこし手品を見せようかな」
そう言って左手の掌(てのひら)と手の甲をかわるがわる見せて、それを2、3回繰り返した後に左手首をくるりと回すと。
「チェスのこま?」
理子の言う通りチェスの駒、ポーンが私の指の間に現れる。まあ、ただ単に服の袖の内側にあったのを掌が下になった時に落としただけのちゃちな手品。しかし、その一連の動作が鮮やかなので突然現れて見えるだけです。なぜ、持っていると言う突っ込みは無しで。
それでも、理子は掌を叩いて拍手を送ってくれています。これも手の器用さでおりなせる芸当ですけどね。
その後もいかにも素人が考えたような手品に驚きの表情を見せてくれる理子。そして楽しい時間と言うのは早く過ぎ去るもの。
「4世様。そろそろお家に戻られる時間です」
メイド服を着た使用人が終わりの時間を告げる。どうやら、日が沈み始めたようです。
「……うん。それじゃあね!また、明日も来てね!」
「明日も来るよ!」
大声で来る事を伝えると、彼女はスキップしそうな勢いで使用人と共に屋敷のある方向へ帰っていく。
しかし、4世様と言われた時の悲しげな表情。個人として見られない苦しみか……。分からないもんですね。個人として見られたかったら家と縁を切ればいいんでしょうが、5歳には相応しくない決断です。それに、彼女は両親に愛されてるみたいですからね。5歳の誕生日に貰ったと言う青い十字架も私に見せつけては喜んでいましたし。
「門の外までご案内いたします」
「うん、ありがとう」
さっきとは別の使用人が案内してくれると言うので、年相応の表情で感謝の言葉を述べる。
そして、門までくると使用人が門を開けてくれる。私が門の外へ出ると。
「また、お越し下さい。ジャン・ドゥルイト様」
「うん」
そう言ってから家のある方角へと向かい歩く途中に後ろから、門が閉じられる音がする。
さて、私が誰の子孫か?をネタばらしですかね。
ジャン・ドゥルイト。これはとある事件の時の被疑者として挙げられた名字です。しかし、その事件はいまだに未解決で迷宮の中にあり続けています。
私のここでの本名は蒼(あおい)・J・ドゥルイト。日本人とのハーフで日本の姓は岡崎。こう言った方がいいですねホワイトチャペル・マーダーもしくは。
ジャック・ザ・リッパーと。
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一週間前後で投稿で来たが二つもは無理だったよorz。
前回の続きで蒼燕の過去編です。
理由は何度考えても味気ない現代講座になりそうだからです。
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