No.226852

学園・鳳凰†無双 0話『残された希望』

TAPEtさん

続きましたww

2011-07-07 23:40:56 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:3582   閲覧ユーザー数:3048

北郷一刀 聖フランチェスカ―高校部(無)

 

智    A

 文   S

 理   A-

 

武    A→B(新学期にてBに下向調整)

社交性  B→C(新学期にてCに下向調整)

カリスマ A

意外性  A

 

飛鳥雛里 聖フランチェスカ―高校部(編入)

 

智    S

 文   A

 理   SS

 

武    C

社交性  C

カリスマ C

意外性  B

 

坂本愛紗 聖フランチェスカー高校部(風紀委員長、剣道部副部長)

 

智    B

 文   A

 理   C

 

武    S

社交性  B→A(新学期にて上向調整)

カリスマ B

意外性  C

 

及川   聖フランチェスカー高校部(無)

 

智    C

 文   C

 理   C

武    B

社交性  A

カリスマ C

意外性  SS

 

 

 

 

「飛鳥雛里って言います。よろしくおねがいします」

 

皆さん、こんにちは、飛鳥雛里です。今年で13歳になりますが、高校二年生です。

この学校に来て二日目、HRの時間にやっとクラスの皆さんに紹介されることになりました。

 

「飛鳥さんは今年で13歳ですが、飛び級で他の学園で高校生になり、今年私たちの学園に編入することになりました」

 

担任の杉原紫苑先生の紹介を聞くと、直ぐにクラスが騒がしくなります。

 

「すげーじゃん、天才か」

「あはーっ!かわいい♡。人形みたい」

 

前の学校でも、最初は大体こんな感じでした。

幼い年で高校生なのが珍しいから、最初の時は直ぐに目を惹きます。

でも、それももう直ぐに……

 

「飛鳥さんに質問とかあると思うけど、HRが終わってからにしてくださいね。後、あまり迫ってくると飛鳥さんが困るから気をつけるように。坂本さん」

「はい」

「後で、飛鳥さんに学校の案内やらお願いできるかしら」

「分かりました」

 

サイドポニーのすっごい美人な人が紫苑先生に答えて、私の方を見ました。

 

「あわわ……」

 

坂本さんはすごく真面目そうな顔をしていて、少し怖い感じもしました。

私は恥ずかしくて頭の帽子を深くかぶりました。

 

 

「前にはどんなところに居たの?」

「その帽子は前の学校の制服?すっごく似合ってる」

「後で一緖にご飯にしましょう」

「ちょっと、何今から誘ってるのよ。後で私たちが誘おうと思ってたのに」

「ふーんだ、先にヤッたほうが勝ちだもん」

「あの、えーと……」

 

HRが終わると途端に、お姉さんたちが私が座った席に集まってあれこれ聞いたり、また自分たちでおはなししたりしていました。

 

「すっげーかわいくね?」

「おい、おまそっちの趣味かよ」

「おうさ!何を隠そう。俺はおとボクシリーズで奏と史しか攻略してないのだ!」

「うわ、こいつはっちゃけやがった」

「そんなに好きならコクってみたらどうだ」

「馬鹿かお前。YESロ○ータ、NOタッチだよ!俺は紳士なんだぜ」

「紳士と書いて変態と読む紳士は死ね」

「あわわ……」

 

あそこでは男の人たちがなんかすごいこと話してました。

 

「こら、そこの男子群れ!あまり失礼なこと言うと容赦せぬぞ!」

「げっ、坂本!」

「い、いやだなー、坂本はん、冗談だよ、冗談」

「冗談でもなんでも、人が聞こえているところでそんなこと言うな!」

 

坂本さんが一喝すると、男の人たちは直ぐに静かになりました。

 

「ほら、お前たちも、それぐらいにしたらどうだ?さっき先生にもあまり迫りすぎるなと言われてるだろ」

「まぁ、そうね。飛鳥さん、後で一緖にご飯食べながら話しましょ?」

「ちょっと、だから、それずるいってば」

「べーっ」

 

そうやって皆さんが帰っていって、やっと落ち着けるようになりました。

 

「あわわ……大変でした」

「皆、この時期の編入生が珍しいのだ。なにせこの学校の編入試験は、入学試験以上に難しいからな」

「そうなのですか?」

 

結構普通だと思いましたけど…

 

「さっき先生に聞いたが、君は理科科目に優れていてこの学園に来たそうだな」

「はい……あまり自慢にはなりませんけど」

「いや、自分の才をそう貶めては行かんぞ。自分の才に誇りを持って磨くことが、この正フランチェスカ―学園の高校部のやり方だからな」

「は…はい……」

 

でも、ほんと私はあまり……

 

「おい、坂本ー」

「なんだ、及川。今編入生と話してる途中……」

「あ、そうか。おはよー、雛里ちゃん」

「あ、あわわー」

 

メガネをしたすごく暢気そうな人が私の手をつかみながら挨拶しました。

 

「こら!いきなり下の名で呼んだら失礼であろう!すまんな、飛鳥さん。こいつは元がこういう奴で…」

「おうさ!俺はこの性格のおかげでこの学校にいるのだからねー」

「良く言うわ……」

「で、なんの用だ」

 

坂本さんはため息をつきながら及川と呼ばれた人に訪ねました。

 

「ああ、そうそう、かずぴってさ、今日なんで学校に来てないのか知らない?」

「し、知らんぞ。そんなの知ったことか」

 

隣の席を見ると、HRが過ぎてもまだ空いています。

おそらく……昨日のあの事から……

 

「あのー、あの席の人名前って、北郷一刀さんですよね」

「そうだが…何故知ってるんだ」

「あの……北郷さんが来ていない理由…私のせいかもしれません」

「は?」

 

昨日……

 

 

 

 

 

「へ?」

「…………」

 

この人…今、なんて……

 

 

「あ、あわわー!あ、あの!今のはですね!」

「………(´;ω;`)ブワッ」

 

泣かせた――!

 

「あわわ!あわわー!ごめんなさい!今のちゃんと聞いていませんでした!あの!しょの、えーと、だからですね!今のごめんなさいというのは、別に断ったわけではなくですね!」

「……」

「あの、私、また会ったばかりというか、互いに名前以外に全然知らないのにい、いきなりそんなこといわれると何がなんだかもうわけがわからないと言いますか」

「……うん、そうだね……ごめん…うん。俺が変なこと言ったよね」

「ご、ごめんなさい…」

 

知らぬ間に、人に告白されて…自分も知らない間に振ってしまいました。

な、なにせ突然過ぎることでしたので、な、何が起きたのかも理解するのに結構時間がかかりました。

この人は、高校二年だとおそらく17歳、私と4歳差があります。

元々だと、私は今やっと中学校に入学している年。

つまり、これって…あの……

 

いえ、深く考えてはいけません。

もしかすると、この人は元々そういうキャラなのかもしれません。

会った女の人には誰でも告白してふられるというオチなそういうキャラな人なのかもしれません。

そう思うと、今私がした行動ってそれほど変ではありませんよね。だっていきなり全然知らない人相手に告白されたところではいという人なんて……

 

「あ……初恋は叶わないって本当なんだ」

「やっとの仮定をおもいっきりぶっ飛ばされちゃいました―!?」

「はぁ……今日はもう帰ろう」

「え?」

 

そう言ったその人は、私の席を通りすぎて、窓側の椅子で鞄を持って窓の方を見てふと言いました。

 

「ごめんね、変なこと言って…」

「え、あ、あの……」

「じゃあね」

 

そう言った北郷さんは、そのまま窓側から飛び降りました。

え?!ちょっとここ三階…!

 

「あわわー!」

 

急いで下の方を見ると、落ちた北郷さんは見事に着地して、何もなかったかのように校門の方を向かって歩いて行きました。

 

・・・

 

・・

 

 

 

 

「そんなことが……」

「「………」」

 

…あわ?

 

皆さん、どうして私をそんな目で…

というか、この二人だけでなく他のクラスの皆さんまで………

 

「あ、あの……」

「な…」

「え?」

 

 

 

 

「「「「なああああああああああーーー!!!!」」」」

 

 

 

クラスの皆さんの叫び声が全校舎に広がんばかりに響きました。

 

「あわわ!」

「ちょっ、マジで!?かずぴーがお前にコクってたって?」

「よ、良くわかりませんが、なんかいきなり付き合ってくださいと言われて…」

「というか昨日も居たんだ!」

「あの絶対魔王が人に先に告白したですって?!」

「信じられない。一年の時同級生の半分以上振ったあの一刀が!?」

「あいつ、まさか俺と同類だったのか」

「いや、いや、それはないだろ!あいつの告白した連中でもそういう領域も連中もあったんだぞ!?」

 

な、なんかすごいことになりました。

 

「おい、誰か新聞部に連絡しろ!」

「もう知ってるんじゃない?」

「というかあの絶対魔王が振られたのよ、大丈夫なの、あの娘?」

「下手すると、何かの仕返しされるかも」

「あ、あわわ!?」

 

ど、どうしてそんなことに…

 

「そ、そんなに大変なことなんですか?」

「………」

「ひっ!

 

坂本さんが何故か黙りこんで私を睨んでいました。

こ、怖いです。

 

「あー、はい、はい、坂本、もう許してやれよ。みっともないぞ」

「なっ!」

 

及川さんがそう言うと、坂本さんの目つきが更に酷くなって及川さんを睨み突きました。

そういう坂本さんは気にせず及川さんは私の方を見ながら言いました。

 

「雛里ちゃん、雛里ちゃんはようしらへんやろうけど、あいつ一年の時には絶対魔王とか言われてだな。一年の時からすっげー人気だったけど告白する娘たちは容赦なく全部振り切ったんや。自分はそんなことするつもりないって」

「え…?」

「そんな奴がお前にいきなり告白したんだ。ぶっちゃけると、雛里ちゃんはこの高校部で一番モテてる男を振ったことになるんや」

「……あわ……あわわ……」

 

そんなに人気のある人たったんですか。

で、でも、昨日のあれはあまりにも突発で……

 

タッ!

 

「新聞部から来ました!ここに編入生の飛鳥さんはございますか」

「うわっ、もう来た、早っ!」

「流石元諜報部出身なだけあるよな」

 

なんか来ました!

 

「新聞部から来ました!かの絶対魔王と呼ばれた北郷一刀さんを振ったって本当ですか!?」

「え、えっと…あの、その……はい……」

「はうあ!まさか、本当のことだったなんて…その話を詳しく話してもらえませんか?!」

「あ、あの……話すと、それ記事にするのですか?」

「はい…あ、でも、情報元の方が拒否なさったら書きません。ただ、既にこれは一大事なことなので、そのまま噂で放って置いた場合、情報が変な方向にとんでしまうおそれがあります。そうなると、飛鳥さんにもなにか害があるかもしれません。ここは公式に発表する方が、飛鳥さんの身の安全のためにも宜しいかと思います」

「そ、そんなに大変なことなんですか!?」

 

編入した真っ先から、私なんて大変なことをやってしまいました。

 

 

 

 

 

Brrrr

 

「あ、メールだ」

 

及川さんがケータイを開きながらいいました。

 

「お、かずぴーじゃん」

「何?なんと書いてあるんだ」

「えっと…今起きたんだが風邪が酷くて動けそうにない。そういうことだから愛紗に伝えてくれ、だって」

「風邪だと?それぐらいで学校に出ないというのか?」

「せやな…それとも…」

「………」

 

二人の視線が私に向かってます。

私に振られた衝撃で、学校に来ていない、と思ってるのでしょうか。

いえ、実際私もそう思うのですけど…昨日帰る時の北郷さんの顔、すごく沈鬱でしたし。

 

「……あの、私、どうすれば…」

「別にどうともしなくてもいいだろ。振られたぐらいで学校に来ない情けない奴ではない。明日にでも学校に来るだろう」

「はぁ……」

 

でも、やっぱり気になります。

学園の皆さんがあんなに驚くほどの事件を起こしたのですし、その原因が私だとしたら、放っておくというのも……

 

「アイツんち、教えるか?」

「及川!」

 

及川さんが突然そんなことを言いました。

 

「ええやろ、別に。どうせ確認する人も必要なんだ。それとも坂本が行く気か?」

「っ…それは……」

「俺も今日は用事あってダメなんや。だから、雛里ちゃん、どうや?行ってみるか?」

「………」

 

人の家に…いきなり行くというのも少しどうかと思いますけど、こうなったわけですし、ここは一つ、家に行ってはっきりしておいた方がいいかもしれません。

 

「お願いします、及川さん」

 

 

 

 

早退して、及川さんに教えられた通りに、北郷さんの家に来ました。

早退した理由ですが、道中から噂を聞いた人たちが私に迫ってきて、とても一人で乗り越えられない状況にまでなったので取り敢えず、坂本さんが先生に言って早退できるようにしてくれました。

もう初日からコリゴリです。

 

『あいつ、一人で住んでるんや。今頃一人で悶々としてるやろうから言ってちゃんと話とかしてくれや』

 

「こんな家に…一人で?」

 

家は二階建ての結構大きい家でした。

普通なら六人ぐらいの大家族のための家ですが…こんなところに一人で……?

 

チーン

 

「……」

 

誰も、返事が出ません。

 

チーン

 

「………」

 

居ないのでしょうか……

 

がちゃっ

 

「あわ?」

 

玄関の扉が開いてました。

 

「……」

 

どうしましょう。はいってみましょうか。

でも、勝手に入ったって後で何を言われるものか……

いや、いつまでこうやって立っていても、何も始まりません。

私が起こした事件ですから、私が決着をつきにいきます。

 

「お、お邪魔します」

 

靴を脱いで、中に入ります。

中は静かで誰も居ないみたいです。

 

「……誰も、居ませんか?」

 

恐る恐る一歩ずつ部屋の中に足を運んでいきます。

 

「…誰だ?」

「あわっ!」

 

すごく枯れた声が二階から出てきました。

 

「あ、あの、飛鳥です。昨日のことで……話がありまして……」

「……飛鳥さん?」

 

上から思い歩きの音を出しながら北郷さんが姿を現し……

 

あわわー!」

 

「ああ、飛鳥さん、こんな所にまでどうしt……」

「寝てください!」

「…え?」

「いいから早く布団に戻ってください!」

 

もう見てるだけで病人でしか見えないほどの酷い顔の人がそこに立っていました。

もう立っていることさえも危うく見えます。

 

「いや、お客が来たのに寝ているわけには……」

 

そう言って階段を降りて私に近づこうとした北郷さんは

 

バタン!

 

階段を降り終わった途端、そのまま地面に顔面受け身で倒れました。

 

って

 

「北郷さーーーん!!!」

 

 

「いやー、お見苦しいところを……ごほん、ごほん!」

「………」

 

二階から落ちた北郷さんは二階に戻る気力もないようでしたので、一階にあった部屋から布団を敷いて、北郷さんをそこに横にさせました。

 

それにしても、まさか本当に風邪だったなんて…

しかもこんな状態で一人で家でなんて…普段なら病院に行くべき状態ですよ?

 

「及川から話は聞いているよ。災難だったみたいだね」

「あわわ、いえ、別に私は……」

「ごめんね、編入して来たばかりなのに俺のせいで大変なことになっちゃって……」

 

昨日の出来事の際見せていた欝なかおは居なくなって、私のことを心配してくれている北郷さんを見ていると、何だか自分が馬鹿みたいに思えてきました。

 

「俺さ、実は一年の時は酷いことたくさんしたんだよ」

「……え?」

「自分が振られてみたらわかった。…自慢じゃないけど、一年の時にね。結構たくさんの娘たちに告白とか受けたんだ。でも俺、今までそんなこと考えたことなかった。学園時代の恋愛ごととか、そういうの要らないし、そういうことする気にもならなかったから……」

「……」

「でも、昨日飛鳥さんにそう言われたらね。なんか……俺に付き合ってって言って断られた娘たちの気持ちが分かってきた。いやー、何も経験してみるもんだねー」

 

北郷さんのことを聞いていると、どうしても気になることがありました。

 

「北郷さんは……その、どうして、前はそんなこと思わなかったのに、突然私を見た時、そんな…付き合ってとか言ってたんですか」

 

もしかして、朝の男の人たちみたいにあっち系の趣味とかじゃ……

 

「さぁ……正直良く分からないよ。なんかこう…見たとたんに、そんな考えが思い浮かんだ……一目惚れって奴…かな」

「……私、今年で十三歳なのですよ。下手すると犯罪にみえちゃいますよ」

「ははっ、そうだね。それは大変だ……」

 

あまり真面目に聞いていない気がします。

 

正直に言うと、今まで男の人に告白されたことなんて、ありませんでした。

前の高校は女子高でしたし、その以前に通っていた小学校でも、特別扱いされたせいで異性に告白はおろか、友たちをつくることもままできませんでした。

だから、北郷さんが自分に言った言葉がどういう意味かに気づいた時には……もう頭がむちゃくちゃで、ちゃんと反応することができなくなってました。

 

「でもまぁ、結果的には振られたわけだし。これで問題解決だろ。学校には俺が明日にでも行って話せば直ぐに静かになるよ。初日から大変なことにさせてしまってごめん」

「え、あ、あのですね」

「うん?」

 

 

「わ、私…あの時実は…ごめんなさいって言ったのは、そういう意味合いで言ったわけではなくてですね、あの……突然、北郷さんが迫ってきて……私ちょっと人と話すのが苦手でそういうことになると思考が変になって取り敢えず謝っておこうと思ったんですが、そこにいきなり北郷さんが付き合ってとか言って……」

「……え、どういうこと?」

「だからその……昨日ごめんなさいって言ったのは…その…別に北郷さんのことを振ったわけでは…ありません……」

「…へ?」

 

そんな学校であれほど噂される人なのに、私なんかに告白してくれるなんて……ちょっと…

変な気分です。

嬉しいと思うべきなのか、それとも……

 

「でも、あの、あまり突然過ぎるからなんと答えればいいか、よく分かりませんので……」

「……」

「と、取り敢えず…この話は保留って言うことで……」

「あの…じゃあ、つまり……俺と付き合ってくれるって」

「保留です!まだ付き合うってわけじゃありません」

 

というか、未だに突発的過ぎて良く心が整理できないんです。

 

「もっと北郷さんのこと知ってから……それから、答えるってことで…いいでしょうか」

「……うん……うん、そうだね。それが合ってるわね。いきなり会ったばかりの人に告白するって流石に引くし」

「いえ、別に引いてるとかそういうのでもなくですね…」

 

ぐぅー

 

「「……」」

 

 

「あの、北郷さん、風邪でしたら昼食は」

「…なにも…」

「朝食は」

「………」

 

朝から何も食べてないんですか…。

 

「ちょっと待ってくださいね。台所使ってもらっていいですか」

「へっ?ああ、いいけど……何を…」

「お粥でも作ります。…何か口にいれて元気つけないからには、病気が治りませんから」

「…作ってくれるって?」

「…し、仕方ありません」

 

このまま放っておくわけにもいきませんし。

 

「ちょっと、待っててくださいね」

「あ、うん…」

 

 

 

 

ちょっとしてからお粥を作って北郷さんがいる部屋までもどってきました。

 

「はい、できました」

「……ありがとう」

 

布団から起きてお粥を器を乗せた皿をもらって、一刀さんは蓮華でお粥を掬いました。

 

「ふー…ふー………はふ……うむ……おいしい」

「美味しいですか」

「おいしい………」

 

それからはすごい勢いでお粥が消えていきました。

 

「熱いですからゆっくり食べてください。誰も取ったりしませんから」

「うむ……はむ……」

 

それでも、一刀さんの食べる速度は遅くならず、あっという間にお粥がなくなりました。

 

「ふぅ……美味しかった」

「……そんなにお腹空いてたのですか?」

「いや、想像以上美味しかったのでつい……」

「そんなに大げさしなくても……」

「大袈裟じゃないよ。ほんとに美味しかった。飛鳥さん、料理うまいんだね」

「あ、あわわ……」

 

そんな美味しい美味しい連呼されると本当に照れちゃいます。

 

「………」

「あ、あの、一刀さん?」

「あ!?うん、な、何でもない……ちょっと見とれてた」

「あわっ!?」

 

この人、相変わらずというか言うのが突発的過ぎます。

 

「そ、それじゃあ、私、もう帰りますね」

「え、あ、うん…そうだね、帰らないとね…」

「はい……あの、ちゃんと休んでくださいね」

「うん…明日学校でね」

「はい、学校で……」

「飛鳥さんが好きになってくれるように頑張るから」

「あわわっ!?」

 

だからー!

 

「じゃ、じゃあ…お邪魔しました」

 

そうやって私は逃げるように北郷さんがりう部屋を出て、玄関まで走りぬきました。

 

 

「……ドン引きされ…たかな」

 

無理もないか。

言えないな。風邪引いた理由って、お風呂の中で昼の時のこと考えてたら気づいたら湧いてない水の中に入っていたとか……

どんだけ気抜いていたんだ…俺……

それにしても…

 

「よかった……」

 

他の娘たちにはほんとに申し訳ないと思っている。

でも、あの時は本当、そういう恋愛とかそういうのどうでもよかった。女の子を異性として好きになるとか、そんなことなんてまったく思ってなかった。

 

なのに…飛鳥さんを見た途端に、俺は今まで散々人に言われては断って来たその言葉を人に話していた。

そして即座に振られた、と思ったら……

 

「保留ね……それでもまだ振られたよりはいいよね」

 

いいに決まってる。

もう明日はどうしようかと悶々としている頃だったんだ。

これは神様が俺にくださった第二の機会だ。

絶対に、飛鳥さんに認めてもらうようにしよう。

 

自分でもおかしいということは分かってる。

でも、……なんだろう。

今、すごく嬉しい。

 

「…今は取り敢えず、寝ようか」

 

ちょっと寝られるか心配だが、頑張ってみよう。

明日まで治らないからには何も始まらない。

 

 

 

 

・・・

 

・・

 

 

 

 

 

 


 
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