パカラッパカラッパカラッ
茜は白馬の白龍で(ややこしい)荒野を駆け抜けていた。
時間にして二時間位だろうか小さな建物らしきものが見えて来た。
いや、建物というか何といか例えるなら部屋をそのまま地面に置いた感じだ。
「こんにちは~」
白龍も走りどうしで疲れているようなので此処で休ませてもらおうと思い、茜は白龍から降りて扉を叩いてみた。
「「「「どうぞ、入って来ていいですよ」」」」
「しつれいしまーす」
茜が部屋に入ると其処には似通った顔をした四人の人物が居た。
「あ、あの~、私は」
「ああ、聞いてるよ茜ちゃんだろ?」
「は、はい」
「僕達も君と同じように別の世界の人間だよ。僕は江井」
「僕は備衣」
「私は私意」
「俺は出居」
「あの~、皆さんはご兄弟ですか?あ、私意さんは女性ですよね」
「わあ、女の子に見えるんだ。嬉しいな♪」
「いや、コイツは男だから。いわゆる男の娘という奴だ」
「それに俺達は元々一人の人間だったんだがな」
「じゃあ何で四人に?」
「「「「それはな(ね)」」」」
四人は遠い目をして語り出した。
とある場所である闘いがあった。
長く、苦しい闘いだった。例えて言うなら200コメ(笑)を軽く超える闘いが。
そこで俺はヒ○ヤ犬という奴に噛まれて意識を乗っ取られてしまった。
やがてその闘いは終わり俺も元の姿に戻ったが再発を恐れてこの世界に隔離されてしまった。
時空を超えた影響か、元からあった四つの人格がそれぞれ肉体を得てしまったのさ。
「そうなんですか。そ、それより私は……」
「分かってるっていったろ。事情はJINから聞いている。俺達から言えるのはどれが一番ましかって事だけだ」
「どれがって…」
「あまり迷って時間をかけると「奴等」に捕まってしまうよ。勿論その後は……」
江井は怪談でも聞かせるかのように語りかける。
「それだけは絶対に嫌です!!」
「まあ、それぞれの王には問題があるがそれでもその王を抑えるまともな側近が居るのも確かだ。その抑え役に期待するしかないな」
茜は此処でも明確な答えを得る事は出来なかった。まあ、抑え役となる人物が居ると分かっただけでも収穫だと思うしかなかった。
「そうですか」
「あまり役に立てなくてごめんね。代わりといっては何だけどお弁当を作っておいたわ、食べて頂戴」
「ありがとうございます」
「それと」
私意は茜の手に小さな小瓶を握らせた。
「これは?」
「性転換の蜂蜜よ。いざとなったら漢女達に使いなさい。時間稼ぎにはなると思うわ」
「は、はあ(何て爆弾を)」
部屋の外に出ると其処には見違えるように元気になった白龍が茜を待っていた。
「良かった、元気になったのね」
「腹一杯に喰わせて水も飲ませておいたからな。暫くは元気に走れる筈だ。そう簡単には追い付かれないだろう」
「色々とありがとうございます」
茜がお礼を言い白龍に跨ると部屋から残りの三人が出て来た。
「この辺りには色々と罠を仕掛けておいた。これでかなりの時間は稼げるぞ」
「がんばれ」
「負けるなよ」
「応援してるからね」
「はいっ、頑張ります!!」
そうして茜を乗せた白龍は走り去って行った。
「大丈夫かな?」
「信じるしかないだろ」
「そうだな」
「さて、茜ちゃんが向かった先にはへたれ雷電が居たな。連絡しておくか」
その頃、とある場所では……
「邪魔をするな干吉、貴様の出る幕じゃない!!」
「いくら愛しい左慈の頼みでもそれは聞けません」
「貴様はアニメで抜け駆けしやがっただろうが、ここは俺に譲れ!!」
「そ、それは言わない約束だったじゃないですか」
という訳で茜ちゃんにはあの爆弾を持たせてみました。
へたれ雷電さん、バトンタッチ。
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リレー、五話目になります。
はてさて、此処からどうなる事やら。