No.182413

無真・恋姫無双 五話~前に進むこと~

TAPEtさん

ここは一旦本編とそんなに変わらない話となっています。

2010-11-03 22:38:23 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:2900   閲覧ユーザー数:2502

気を取り直して、私たちは行動を続けた。

開き直ってくれた雛里ちゃんと、朱里ちゃんのおかげで部隊の整備や組み立てが大分素早く決まっていった。

私が部隊一つを半破させたせいもあって、他の部隊が彼女たちに異議を唱えることはもうなくなった。

 

「どうしてそこまでなさるのですか?」

「うん?」

 

私が二人に跪いて謝罪した後、愛紗は私にそう聞いた。

 

「義勇軍の人たちにそこまでして、ご主人さまが尚頭を下げるほど、彼女たちを信用できるわけではないと思いますが」

「信用なら私にはある。彼女たちの名前がその証拠だ」

「どういうことですか?」

「……詳しくは言えない。ただ、愛紗。お前と鈴々はこの大陸でも右に出るものは指に数えるぐらいしかいない。そのように、あの二人ほどの智謀を持った人たちは、この先味方として私たちの前に現れることはないだろう。彼女たちはこれから末永く私たちと戦ってもらわなければならない…」

「あ…」

「愛紗が心配していることは解る。あのような幼い子たちが戦場に立つというのがいやなのだろ?」

「……はい。鈴々はそれなりの武芸がありますが、正直あの二人について、私たちはまだ何も知りません」

「それは今から分かるさ」

 

でも、愛紗が言うとおりあの二人はまだ幼い。自分の策で人を殺すという罪悪感に圧されないように、皆が見守ってあげなくては……

 

 

そして、放った斥候の中から私たちが聞きたかった報告が来た。

 

 

「ここから北へ五里ぐらい離れたところに黄巾党の部隊を発見!数は一万ぐらいです!」

「一万!」

「私たちの部隊は六千弱。ほぼ二倍ですな」

「どうしよう。先に決めたようにやめる?」

 

桃香がそう言ったが、

 

「ふーむ。雛里ちゃん、どう思う」

「へっ!あ、その……」

 

私に聞かれてちょっと慌てた雛里ちゃんが、

 

「あの…やれます」

「え?」

「そのぐらいなら、勝てます」

「どういうことだ?相手は我より二倍も多い数だぞ?」

 

愛紗が疑問に、雛里ちゃんはゆっくり答えた。

 

「私たちには愛紗さんや鈴々ちゃんみたいな強い人たちもいますし、それにえと、…私たちも居ますから」

「ほう…」

 

随分と頼もしいことを言ってくれるじゃないか。

 

「どういうことなのだ?」

「こういう時に…私たちが学んだことが役に立つのです」

「学んだって、どういうものを?」

「えっとですね…」

 

その質問を朱里ちゃんが受けた。

 

「孫氏、呉氏、六韜、三略、司馬法、それに九章算術、呂氏春秋、山海経、後はいくつかの経済書や民政書を勉強しました」

 

あんな長々と言うと凄いような気分がするな。

いや、実際あの年にあの本たちを全部渉猟したというのは天才だとしか言えないものだが…

 

「すごい!ご主人さま!この子たちすごいよ!天才だよ!」

「というか、桃香は兵法書はともかく、民政書とかは分かっていた方がいいんじゃないのか?盧植先生のところでは一体何を学んだんだ」

「あうぅ……ごめんなさい(涙)」

「い、いえ、あの、本当はすごく難しいのですから、いくら桃香さまでもこれらを全部分かるというのは…」

「はぐぅっ!」

 

朱里ちゃん、フォローするかと思ったら見事に止めを刺したな。恐ろしい子だ。

 

「それで、二倍という数の差を覆すためには、どうすればいいんだ?」

 

もうちょっと桃香のフォローをしてあげてもいいのだけど、今はもうちょっと悩むようにほっとこう。

 

「はい、黄巾党が陣を敷いてあるという、ここから北へ五里の場所は、兵法でいう「衢地(くち)」、つまり戦略や交通の要衝地となっています」

「そんなところを、たった一万の兵で占めているところから、相手は雑兵だと判断できます」

「そういう相手ならこっちの策に嵌りやすいだろうな。何せ、こっちは相手の半分しかいないのだから」

「はい、その通りです。そして、その雑兵たちが占めている地は黄巾党にとって重要な地点。ここでかつと、私たち義勇軍の名は一気にあがるでしょう」

 

一言でいうと、この場は私たちにとって二度も来ない大チャンスってことだ。

 

「機会なのはともかくとして、具体的な策はあるのか?」

「は、はいっ、あの…」

「……愛紗」

「…はい?」

「…言葉に力を入れすぎだ」

「ええっ!?」

 

せっかく二人とも喋っていたのにまた凹んでしまったではないか。

 

「わ、私は普通に話しただけですぞ?」

「あう…ごめんなさいです」

「といっても、こればかりは二人に慣れて貰うしかないがな」

「は、はいです」

 

二人はそう言ってるうちに愛紗はかなり凹んでいた。

 

「私の口の言い方は、人そこまで怖く感じられるのでしょうか。

「そんなことどうでもいいのだー!で、これからどうするのだ?」

「ぐあっ!」

 

鈴々が愛紗にとどめを刺した。

これで私たちの戦力は大分減った。

 

「えっと…まず基本は相手を陣から全部引きだすこと」

「そして、敵と同じ数を接しながら戦える場所で戦闘を行うこと」

「数の暴力に負けないような場所が必要か……峡間とかならいいか?」

「あ、はい、まさにその通りです」

「あわわ、先に言われちゃいました。

「おおー、お兄ちゃんすごいのだー」

「こんなことも考えられないようでは……鈴々ちゃんには後で桃香と一緒に勉強をしてもらわないとダメみたいだな」

「にゃにゃーっ!?(ガクッ)」

 

鈴々が勉強という言葉を聴いて頭を落とした。

 

「ここより東北に二里行ったところに川が干上がってできた谷があります。敵を全部引き出した後、反転してそこまで敵を誘い出すことができれば…」

「後は士気と武勇次第ってことか……良し。それで行こう。愛紗は…あれ?」

 

「…へー」

「……しゅん……」

「がくーっ……」

 

あれ?いつの間にかメインキャラ三人が全部精神的に撃沈…どうしてこうなった?

 

 

作戦が決まった後、愛紗に兵三千で先陣を切り、黄巾党を引き出すことを任せた。

私と桃香、雛里ちゃんは本隊で待機。鈴々と朱里ちゃんは愛紗が反転した後その殿役をさせてもらった。

 

「黄巾党の陣が見えます。陣地から動きがあります」

 

伝令がそう話を伝えた。こっちに嗅ぎついたようだ。

 

「愛紗、先陣は任せた」

「御意!全軍戦闘姿勢を取れ!!作戦は先通達したとおりだ!先ずは敵を全部中から連れ出して、それからここより二里先にある峡間まで退く!峡間に着いたところで全軍反転し、黄巾党を一気に潰す!」

「応っ!!」

「今回が初陣は人たちもいるだろうけど、黄巾党をやっつけて、皆が平和に暮らせる世の中を作るために頑張って!」

「おおおおおおーーーーーーー!!!!」

 

と、桃香は皆を励んだが、

現実は厳しいものだ。

 

 

 

・・・

 

・・

 

 

「雛里ちゃん、まだなの?!」

「まだです。まだ敵の半分ほどが城に篭っています。もうちょっと我慢してください」

「我慢って……」

 

釣りに全軍を使うことは行かず、数に押されて敵の全軍を誘い出す前に、こっちの戦線が崩れてしまうかもしれない。

それはつまり、わが軍の敗北を意味するのであり、また、大きな犠牲が出るという意味でもある。

 

「……ヤバいな…雛里ちゃん」

「はい?」

「私が少し敵を荒して来る。桃香のことを頼んだぞ」

「ダメだよ、ご主人さま!一人で行ったら……」

 

桃香が心配そうに言ったが、

 

「心配するな。無茶はしない。愛紗も頑張ってくれてるだろうし、ただもうちょっとこっちの被害を少なめにしたいだけだ」

「ご主人さま……」

「……それじゃあ」

 

スッ!

 

私は先陣に向かって突っ走った。

 

「す、すごく早いです!」

 

後ろから雛里ちゃんが驚いたような声を出したが、今は前だけを見て動く。

戦線の左の方がちょっとぬるいか?先ずはあっちへ向かおう。

 

 

 

 

「死ね!死ね!しねぇ!!」

「うるせぇ!てめぇが死ねぇ!」

 

戦場は名通り修羅場。

頭が高いところにいる人たちは口を述べてばかりいたらいいが、戦いとは結局こういうものだ。

大将は全軍を、将軍は全部隊を見るが、兵士一人は自分ひとりの命だけを見る。

だけどそれでいい。

 

「ひぃっ!」

「くへへっ!くたばれぇぇ!!」

 

サシュッ!

 

「ぐべしっ!」

 

こっちの兵を殺そうとしていた黄巾党の奴に手裏剣を投げたら、相手はそのまま倒れた。

 

「大丈夫か!」

「は、はい!ありがとうございます!」

「生き延びろ……もう少し耐えればこちらの勝機が来る」

「はいっ!」

「皆の者!あともう少し踏ん張れ!相手は人以下の獣も同然!あんな奴らに死んでたまるか!!」

「おおおおおーー!!」

 

そこそこから共鳴して雄叫びを上げる。

これでなんとか戦線を維持できるか?

 

「しゃあああ!!!」

「…下郎が」

 

サシュッ!

 

「ぐえっ!」

 

ちっ、こんな奴らに投げる手裏剣がもったいないわ……。

 

「剣を貸すぜ」

 

今殺した黄巾党の奴の剣を拾って構える。

使えそうな獲物を見つけるまではまだこうしてるしかないけど、流石に主武器だった双短剣がないと戦いに制限がある。

普通の剣でいつものように戦っても直ぐに刀の歯がなくなってしまう。あの双剣無しで戦ってみたら今更私の剣の使い方がすごく荒かったんだなぁって思ってしまった。

 

「たはっ!」

 

ガキン!

 

「って!言った側から折れるんかい!」

「隙ありだぜー!」

 

ちっ、他の奴が…でも、この姿勢じゃあ防げないっ!

 

ガチン!

 

「!?」

「大丈夫ですか、ご主人さま!」

「愛紗!」

「この下郎が!!」

 

シャキン

 

「ぐべっ!」

 

愛紗の青龍刀に斬られた黄巾党は見るにも怖そうな姿になってドドンって倒れた。ドが二つなのがかなり重要なポイントだ。何が重要なのかは私の口ではとても言えない。

 

「どういうおつもりですか!またこんな危ないところまでろくな武器もなしで走ってくるなどと…少しは自分の身分を知って…」

「躾は後で聞く!!先ずはこの状況を打開する。それだけを考えろ!」

「…分かりました」

 

 

・・・

 

・・

 

 

暫くそうやっていたら、

 

「関羽さま!敵陣からまた敵が出撃しています!」

「ひるむな!これこそ我らが待っていた瞬間ではないか!」

 

来たか。

 

「愛紗ー!助けに来たのだ!」

「ご主人さま!」

「鈴々!朱里ちゃん!」

 

ちょうどいいところに鈴々と朱里が援軍に来てれた。

 

 

「よし、愛紗、鈴々、後一押ししてから作戦通り逃げる!」

「はい」

「わかったのだ」

「はひっ!」

 

 

 

その後、私たちは敵がずっと私たちを追ってくるように逃げ延びた。近くも遠くもなく距離を取らせながら峡間へ向かい、その峡間黄巾党が全部入ってきたとたん、

 

「おおおおおお!!!!!」

「な、なんだ!?」

「ひぃっ!上から岩がぁぁ!!」

 

峡間の両側で待ち構えていた雛里ちゃんたちが上から矢と岩の投げ始めた。

策に嵌ったことを知った黄巾党だったが、もはや遅かった。

前には私たち、両側には絶壁、後ろからはまだ状況を知らない連中が進んできている。

 

落石は沈んだ後、

 

「よしっ!全軍反転!民たちを苦しめる盗賊どもに、我らの力を思い知らせてやれ!」

 

私の号令に従って、逃げていた峡間の真ん中の私たちの部隊が反転し、黄巾党に突撃した。

あっという間に状況が変わってしまい、黄巾党は手も足もでないまま私たちの攻撃にやられるままだった。

 

「いっくぞー!どっかーーん!!」

「はあああああああっ!!!」

 

「ひぃっ!お、俺は逃げる!逃げるぞ!!」

「どけ、どけ!!俺は、俺はこんなところで死にたくねぇ!!」

 

直ぐに戦線が崩れ、各々生き延びようと逃げ始めるが、逃げられる道はあらず。

黄巾党はその峡間で壊滅した。

 

 

「初陣は…なかなかの出来だな」

 

黄巾党の残党を片付いた後、私たちは敵の陣に向かった。

ほんのわずか残っていた黄巾党の奴らは、私たちが自分たちの部隊を壊滅させて戻ってくるのを見て逃げ出した。

追った方がいいのではないかと愛紗は言ったが、別にそうする必要はないし、寧ろああ逃げて私たちのことを広めてくれるとこちらとしては好都合だ。

 

「はい。愛紗さんと鈴々ちゃんとご主人さまが頑張ってくださったおかげで、こちらの被害も少なめにすみました」

「朱里ちゃんたちの統率がよかったおかげだ。殿の時の部隊の扱や時を的確に計らった峡間での奇襲。二人の用兵には素直に驚いたよ」

「そうだよ。雛里ちゃんが指揮をとったら皆はまるで一人みたいに動いてくれたもの。すごいよ」

「そ、そんな……えへへ」

 

私と桃香に褒められて、朱里ちゃんと雛里ちゃんは顔を赤らめた。

 

「むーっ、鈴々もすっごかったのだ!鈴々も褒めてもらいたいのだ!」

「あ、そうだったな。鈴々もすごかったな」

「…にゃはぁ<<なでなで>>」

 

頭を撫でてあげたら、嬉しそうにこっちに抱きついて来る鈴々だった。

 

「……」

 

と、愛紗がこっちは睨んでいるのだが……

そういえば先、私が勝手に戦線に入ってきてびっくりしてたな。

 

「……」

「…すまん、愛紗」

「え?」

「大将が急に戦線に一人で突っ込んではいけないとはわかっているが、それでも戦うべく時であれば戦わなければならない。そのまま兵たちが押されるのをみては居られなかったのだ」

「あ、いや、その……そうですね」

「うん?」

 

なんか様子が……

 

「べ、別にご主人さまのあの行動が間違っていたとは言いませんが、けど、私たち臣下としては主がそのような危険が行動をとったらこちらの能力を疑うようになってしまうのです。ですからその……あの…」

「……?」

 

何か、あまり怒っているように見えないな。

 

「ご主人さま。愛紗ちゃんは、自分もご主人さまに褒めてもらいたいと思ってるんだよ」

「と、桃香さま!」

「………」

 

……

 

「…ぷっ、ぷははは」

「ご、ご主人さま!笑うなんてひどいです!」

「ごめん、ごめん、本当……なんか、愛紗も意外と考えるのがかわいいなって思ったよ」

「か、か!?」

 

あー、久しぶりにすっきりと笑った。涙出ちゃいそう。

 

「愛紗も頑張ったよ。そして…ありがとう、先私のこと助けてくれて」

「か、家臣として当然の働きです…」

「にゃはーっ、愛紗照れてやんのー」

「こ、こらぁ!」

 

鈴々が愛紗をからかうのを見て、側にいた朱里ちゃんと雛里ちゃんがちょっぴり笑ったのは言わないままにしておこう。

 

「けど、やっぱ、今回の勝利は朱里ちゃんと雛里ちゃんおかげが大きかった。こらからも二人ともよろしく頼んだぞ」

「は、はいっ!ありがとうございましゅ!」

「これ、これからも頑張りましゅ!」

「……後はその噛むのをなんとかしたら一人前ってところかな」

「はわわ」「あわわ」

 

今度は恥かしそうに二人とも顔を赤くした。

 

 

 

 

「もうしあげます」

 

そんな話をしているうちに兵士の一人がこちらへ来た。

 

「はい、はーい、どうかしたの?」

「陣の南方から官軍らしきものの部隊を発見。こちらの指揮官をお会いしたいと申し込んできました」

「官軍らしき、とはどういうことだ?」

 

愛紗が疑問そうに聞く。

 

「はっ、鎧や武器は官軍のものですが、官軍の旗はなく、代わりに、「曹」の旗を揚げています」

「官軍でありながら旗は「曹」……」

 

それってもしかして…

 

「官軍でありながら、官軍の旗は用いらないというのなら、おそらくこの辺りの黄巾党の討伐をしている諸侯たちでしょう」

「「曹」という旗を使っているのなら、多分許昌に本拠地がある、曹操さんのところかと」

 

曹操か……劉備と共に、今後三国の一つ「魏」を作る乱世の奸雄。

 

「まさか我らの手柄を横取りするために来たわけではないでしょうか」

「普通の官軍ならそれもありうるだろう。が、どうだろう。この世界の曹孟徳はそういう人物なのか?」

「いいえ、私たちが知っている限りなら、曹操さんはそのような恥知らずなことをするように人物ではありません」

 

雛里ちゃんが愛紗の疑問を全否定した。

 

「じゃあ、どんな子なのだ、その曹操って奴?」

「誇り高き覇者、と言えばいいでしょうね」

「覇者……」

 

覇者ね……

 

「武勇と智謀、兵力と財力、全てを手にしている人です」

「うわー、すごいね。完璧超人さんだね」

「その完璧超人さんがどうしてただの義勇軍の指揮官に会いたいのかは分からないけど……ね」

「…え?」

 

私は、桃香の肩に手を乗せながら言った。

 

「さて、桃香さま、どうなさいますか?会いますか?会いませんか?」

「え?そ、そうだね。取りあえずあっちから会いたいって言ったのに会わないのも道理じゃないし…とりあえずあったほうがいいんじゃないかな」

「そう…じゃあよろしくな」

「ええっ!?」

「私は負傷兵の治療でも…「逃がしませんぞ」うげっ!」

 

後ろに下がろう(もとい、にげようと)した私のマフラーを愛紗が掴んで引っ張ったため、私は息ができなくて一瞬目が眩んでそのまま後ろに倒れた。

 

「…な、何をする……」

「大将の貴方が行ってしまってどうするのですか?」

「大将ならそこにいるだろ」

「桃香さまもご主人さまも、我が軍の筆頭です。だから、よもや抜け出そうとは思わないでください」

「うぅっ…」

 

厳しい、この子厳しい。

私はあまり表に大将として出たくないんだよ……

 

「他に曹操という人物について何か知っていることがあるか?」

 

私を死に掛けようとしたその手をマフラーから放して(鈴々が手を貸してくれて私は立った)愛紗は朱里に聞いた。

 

朱里「治政の能臣、乱世の奸雄…その二つの名を同時に持っている人です」

「能力もあるが、その分野望も深いってか?」

雛里「はい、それと、一つだけ分かっていることは、自分にも他人にも誇りを求めるということ…」

「誇り?誇りってどういう…?」

 

雛里ちゃんの話にきょとんとした顔で桃香が聞いた。

 

その時、

 

「誇りとは、天へと示す己の存在意義己。誇り無きものは、たとえそれが有能な者であれ、人としては下品の下品。そのような下郎は我が覇道に必要無し。そういうことよ」

 

「「「「!!」」」」

 

私たち全員、その正体不明の声の聞こえた処へ振り向いた。

そしたらそこには、

 

 

金髪をクルクルと巻いている小さな少女と、

その両側に、少女を守るようになっている赤と青の服を着た武人たち立っていた。

 

彼女たちを見て初めての感想…

 

 

 

趣味悪っ!


 
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