No.184579

無真・恋姫無双 六話上編~我の理想を示すこと

TAPEtさん

北郷一刀はまだここにはいないことにします。
最初からいるとややこしいので。
はい、一応出ますよ?はい

2010-11-14 21:42:42 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:3052   閲覧ユーザー数:2617

趣味悪い。先ずそれが脳を走った。

 

真ん中の少女は先ず髪飾りが骸骨。

しかも両側にいる武将たちは各々片腕に長い骸骨の肩保護具着けてるし。

どんだけ骸骨愛してるんだよ。

 

「誰だ、貴様は」

 

そんな私の個人的な感想とは関係なく、突然現れた彼女らを警戒するように愛紗は言った。

 

「控えろ下郎!この方こそ、曹孟徳さまだ!」

 

アホ毛をしている赤い服の女性が怒鳴った。怒鳴ったというか、素で声が大きいらしい。

 

ははーっ、とでも言ってあげればいいのか?

あれだな。本人は黙っているのに隣に五月蝿いのがいて、そいつさえなければこの人もそれほど悪い人じゃないのになぁって思わせる的な立場にいる人間だな。このアホ毛は。

うん、凄く気持ち悪い。

 

「あなたが曹操さんですか?どうしてこんな早く……先伝令を出したばかりなのに」

「人の許しを得てから行動して、この乱世で生き残られると思う?それに、あなたたちが頭が回る連中ならば私たちを必ず会うと思ったからね」

 

曹操はなんともないように話した。自分の考えから相手が外れるとは全然思わないようだった。

 

「改めて自己紹介しましょう。私の名は曹操、字は孟徳、陳留のししをやっている者で、朝廷の命令で黄巾党の討伐にかかっている者よ」

「あ、はい…私は劉備って言います」

「劉備、良い名ね。あなたがこの軍を率いているのかしら?」

 

曹操は桃香を見てそう言った。

ほらね、どう見ても私は隊長には向いてないって。最初からこの場にいなくても大丈夫だってば。

と、愛紗に目で言ったが愛紗はジド目をしてそっぽを向いた。

 

「あ、いいえ、大将は私じゃなくて私たちのご主人さま……」

「ご主人さま?」

「桃香」

 

話が私に振ってくるのを見て、私は桃香を呼んだ。

 

「この場を代表するのは桃香、お前だ。私に話を振るな」

「え?でも……」

「お前の理想はお前のものだ。それは誰も代わりなってあげられない。ここにいる皆、私も含めて、お前の理想のために戦っている。だから、この場の大将はお前だ」

「あなたがこの子のご主人さまとやらなの?」

 

曹操まで私に話を振ってきた。

 

「……そういうことになっている」

「へー……」

 

曹操は私の体を上から下まで見て、私と目を合わせた。

 

「名前は影の子と書いて影子(えいす)。この世でいう、天の御使いという者らしい」

「天の御使い?…ああ、あの胡散臭い噂ね。まさか私にそれを信じろって言うの?」

 

天の御使いという話を聞いて、曹操は冗談でしょうって嘲笑する顔で私を見た。

 

「世が私をどう呼ぶかには興味がない。私はただ、あの子たちが叶えたいという理想のために全力を果たすだけだ。誰かに認められるかは、そんなものはどうでもいい」

「どうでもいい、ね……そんな体勢でも大丈夫かしら?」

「この乱世に人の心配をしてくれるとは余裕満々だな」

「貴様!華琳さまに戯言を…!」

 

曹操の右に立っていたアホ毛が五月蝿い。

 

「やめなさい、春蘭」

「で、ですが、華琳さま、あ奴が…」

「…部下の躾がなってないな。曹操」

「なっ!!」

「私はやめなさいって言ったわよ」

「うぅ……」

 

私の挑発に乗ってまたむきとするアホ毛だったが、曹操の叱りに後ろに下がった。

 

「大した部下だな。あんな猪で大丈夫か?」

「あら、この乱世に人の心配とは余裕があふれてるわね」

 

曹操は先私が言った言葉をそのまま返した。

 

「にしても、人の部下に言ってくれるじゃない。私を愚弄するつもりかしら」

「愚弄ならあなたの部下が先にしたが?人の部下を下郎と呼ぶとは中々いい口ぶりをしてくれるじゃないか」

 

平然な顔をしている私と曹操だったが、その会話や周りの空気は決して穏やかではなかった。

初めて会った相手との腹の探り合いというか、機先制圧というか……

というか、こいつ今覇気出してない?そう来るのならこっちも負けるわけにはいかな、

 

「あ、あのご主人様、それほどにしないと雛里ちゃんが泣いちゃいそうだけど…」

「うぇ?」

「……<<うるうる>>」

 

ああああーーーーーー!!!

 

「いや、どうしたの、雛里ちゃん?」

「ご主人さま……怖いです」

「いやー、そんなことないよ。怖くないよ。怒ってないんだから。ね?だから泣かないで」

 

しばらく雛里ちゃんを慰めるのでお待ちください。

 

 

 

 

雛里ちゃんを慰める辺りに無駄な時間を使ってしまったため(もとい、曹操たちを待たせてしまったため)、曹操たちは完全に呆れたのような顔でこっちを見ていた。

もう機先制圧もなにもない。

後、まどろっこしいので、雛里ちゃんは鈴々ちゃんと一緒に下がらせてもらった。

 

「あー……なんというか、済まん」

 

痴態を見せてしまってちゃんと顔を見ることができない私が眉間を手でつきながら言った。

 

「ま、まあ、こっちも急に現れたせいでそっちもちゃんと準備ができていなかったのだからのだから、構わないわ」

 

お、案外寛大だな。

 

「それで、こっちの話を進めたたいんだけど…」

「桃香」

「あ、はい、何ですか、曹操さん」

 

私に言われて桃香は話を進めた。

 

「あ、私の名前は劉備、字は玄徳といいます」

「そう、劉備、私たちと行動を一緒にしないかしら」

「え?行動を一緒にするって?」

 

曹操の突然な提案に桃香はキョトンとした。

いや、本当に意味わかってなかったりして。

 

「あの、それってつまり、私たちと共同戦線を組みたいっていうことですか?」

「そうよ」

 

朱里ちゃんが桃香のフォローをしてくれた。

助かるよ。一応私はここでこれ以上口言いたくないからね。

それにしても共同戦線か……利はあるだろうけど、あまり気に食う話ではない。

 

「どうかしら?あなたたちに損になる話ではないわ」

「うーん、ご主人さ」

「優柔不断だ」

「あうぅ……」

 

自分で決めろって言ったそばから……

 

「朱里ちゃん、お前の意見を桃香に言ってくれ」

「あ、はい。曹操さんと言うとおり、共同戦線を組むことは私たちにとって利が多いです。こちらとしては是非とも引き受けたいところですが…」

「…?何が問題なの?」

「問題なのはその逆の方です。逆に、曹操さんのところに、私たちと同盟を組んで何の利があるのかって問題です」

「……うーん?」

 

桃香が分からないおーって顔をしている。

 

「共同戦線というのは両方にいいことがあってこそ組めるものだ。片側に利があってもそれが他の側に不利であれば、普通は同盟を組むわけがない。なのに、兵力も資金も豊かな曹操軍が、こちらの貧乏義勇軍の手を貸す理由といえば………」

 

………そうか・・・

 

「つまり、曹操、お主は私たちを囮に使おうとしているな」

「!!」

「なんですって?」

 

それを聞いた桃香と愛紗が直ぐに反応する。

 

「さあ、それはどうかしら。それがあなたが出した答えならば、それでいいでしょう」

「……なるほど。………そういうことなら、曹操、その共同戦線の申し出、引き受けよう」

「ご主人さま?」

「ご主人さま、何故私たちを囮にするのを知っている上に……!」

 

桃香と愛紗が何か言おうとしているが、今はちょっとスルーの方向で。

 

「いいでしょう。後の軍略的なことは軍師同士で話し合いなさい。そして、言葉ではなく、その行いによって人の本質を理解なさい」

 

人の本質。

 

「行くわよ、春蘭、秋蘭」

「「はっ」」

 

そして、曹操は私たちの前から消え去った。

 

 

「何故そんな条件を引き受けたのです!」

「そうだよ。私たちを付いてきてくれてる人たちのこと囮に使うだなんて……」

「……」

 

曹操たちが去った後、当然愛紗と桃香は異議を唱えた。

 

「理由は先朱里ちゃんが言った通りだ。こちらに利が多いからだよ」

「利が多いって、利とために我らを付いてきてくれた人たちの命を見捨てろというのですか?」

「そんなわけあるか!!」

「!」

 

愛紗の異議に逆上してみた。

 

「……安心しろ。愛紗……お前が義を一番重要に考えることは十分承知している」

「ご主人さま……」

「約束する。今回の決定は決して利を義より先立たせて決めたことではない。私たちを信じてくれる人たちの命を無駄にするような真似はしない。絶対だ」

「……」

 

それを聞いた愛紗はそれ以上何も言わなかった。

 

「…そういえば、桃香に任せるといっておいて、勝手に決めちゃったな。ごめん」

「……ううん、きっとご主人さまが何も言わなかったら私もいいって言っただろうと思うよ。それに、今ご主人さまが言ってくれたから、私はご主人さまのこと信じるよ」

「ありがとう、桃香」

「あの、ご主人さま」

 

ふと朱里ちゃんが口を開けた。

 

「私たちを囮にするってどうして分かったのですか?」

「消去法だよ。兵力、財力は論外、将の質としてはなかなかだけど、あっちも優秀な将は多くいるだろうし、良将が欲しいのだったら、共同戦線じゃなくて仕官を誘っただろう。となると、やっぱり曹操が欲しいのは、単に私たちの義勇軍の存在そのもの。つまり自分の精鋭部隊を消耗しないことが目的と見た。だから、囮に使うだろうと思ったんだよ」

「あぁ………」

 

朱里ちゃんはなるほどって感じで頭を頷いた。

 

「はわわー、すごいです、ご主人さま」

「まぁ………うん」

 

どっちかというと、私がそんなことを多くやったせいなのかもしれない。

なんというか、ボスの前にある雑魚たちにHP削らないように、他の雑魚を盾にして突っ込むって感じに?

 

「朱里ちゃんは雛里ちゃんと話して後で曹操軍の伝令が着たらあちらの軍議に言ってもらうよ」

「ご主人さまは行かないのですか?」

「行きたいけど……どうもあの曹操という奴とは気が合いそうにないかなぁ。出来るだけ会わないほうがよさそうだよ」

「はぁ……」

 

……己を誇りを持つ、ね……

 

「じゃあ、私は負傷兵の手当てでもするにいく」

「あ、ご主人さま、私も」

「お前は大人しく愛紗と一緒に本隊の幕でたいきー」

「えーー、ぶーぶー」

 

頬を膨らめる桃香を後にして、私はその場を去った。

 

曹孟徳、頭は回るようだけど、私のタイプではないな。

 

…いや、ひょっとすると同属嫌悪か?

 

 

・・・

 

・・

 

 


 
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