No.181227

真・恋姫無双紅竜王伝最終話~エピローグ~

真・恋姫無双紅竜王伝最終話です。
1年と1カ月ほど続いたこの作品も今回で最終回。閲覧してくださったすべての方、本当にありがとうございました。
最後にあとがきを載せていますが、設定と作者の泣きごとなので、不快に思われる方もいるかも・・・
ともかく、本当に、本当に今までありがとうございました。

2010-10-30 02:56:46 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:4887   閲覧ユーザー数:4072

「お祖母様、また来ますね~!」

「ええ、またいつでもいらっしゃい」

物語を聞き終えた子供たちは、来た時と同様、騒がしい足音を立てて帰って行った。

「全くあの子たちは・・・まぁ子供達は元気がよい事が一番いいのでしょうね」

実はあの子供達の全員が彼女の孫ではない。彼女の親友ともいうべき者達の孫だが、祖父は彼女の孫と同じなので、『お祖母様』と呼ばれている。

「もうそろそろかしら・・・」

子供達の祖父は、長年の宿敵たる五胡を討つべく軍を率いて超長期遠征に出ていた。つい先日、敵の頭を討って凱旋してくるという報告が彼女のもとに入った。この城に到着するのは今日だという。

「やはり城で待っているのは落ち着きませんね」

普段着から動きやすい服に着替えた彼女は、城下町を騎乗姿で門へ歩みながら呟いた。城門でも衛兵に護衛を付けるよう散々進言されたが、「大丈夫ですよ」と断って城を出た。

戦乱が終わって数十年。主要街道は整備され、治安も向上した。地方街道も続々と整備されている。整備された街道には行商人や旅人が溢れ、街道沿いに宿場町もできた。

(賑わっていますね・・・これも平和になった証拠でしょうか)

微笑ましく思いながら、宿場町を抜けてさらに街道を進む。一里塚代わりに植えられている槐の木の下で馬を降り、水筒の水を飲む。季節は初夏。運動するにはちょっと暑い時期だ。

「まだしばらくは来ないでしょうから、本でも読んでましょう」

馬の手綱を木に結び、幹に背を預けて持参していた本を開いた。

「風が涼しいですね・・・」

いつのまにか寝ていたらしい。コツンと頭を小突かれる衝撃で目覚めた。

「お前、どこで寝てるんだ・・・」

「ふぁ・・・」

視界を開けると、そこには呆れ顔をした彼女の夫の姿があった。年を経て皺などが隠しきれなくはなったが、若い頃より変わらぬ強い意志の宿る紅の瞳が彼女を見つめていた。長年の戦場生活で、疲れたはずなのに彼女にはその様子を見せず、彼は笑顔で妻に告げた。

「ただいま、瞳」

そして妻も、笑顔で彼を迎えた

「お帰りなさい、舞人さん」

戦乱で荒れる大陸に突如として現れた素性の知れぬ紅の髪と瞳の青年。彼は秘密を持った皇帝に仕え、大陸を平定する戦いに足を踏み入れる。

その戦いの中で友と出会い、その知略と彼の武勇で戦いを勝ち抜き大戦を経て大陸の平和を勝ち取り、実は女性だった皇帝と結ばれる―――

後に大陸の民に広がるこの話は彼の勇敢な戦いを竜に例え、こんな題が付いた。

『紅竜王伝』と。

あとがき

いかがでしたでしょうか。

前々回から予告していました通り、『真・恋姫無双紅竜王伝』は今回で最終回です。このあとがきでは、この作品の設定や終盤に頂いたご質問の答えになどについて書こうと思います。

まずこの作品の主人公である『織田舞人』は、日本の戦国時代の武将・織田信長がモデルです。当初は『炎を操る』設定があったものの、使う機会がなくなったので次第に忘れ去られてしまったという経緯があります。というより私が戦闘シーンを描くのが苦手だったという理由があるのですが。ページ数が少なくなったのもそれが原因ですね。難しいですね、殴ったり蹴ったりかわしたりするのを書くのは。

それと激闘編以降、織田信長の戦いをモデルにした状況が出てきます(気が付いた人は多いかもしれませんが。特に対馬超戦)。てゆーか織田・曹操包囲網とかもろパクリですよね(苦笑)。

読者の方から質問がありましたが『織田』ですから旗は当初木瓜にしようかと思ったのですが、織田家の家紋は『木瓜』のほかに『永楽銭』、そして『揚羽蝶』があるので、自分が一番好きだった『揚羽蝶』を選びました。

最後の五胡侵略の合戦シーンを書かなかったのは、敵将の名前がゲーム中にも出なかったですし、ゲームと同じような展開しか思いつかなかったのであえて書きませんでした。

本当はもう少し番外編みたいなのほほんとした物を書きたかったんですが、どうも書きづらくて・・・結果的にはほとんど合戦シーンになってしまいましたね。

反省点は山ほどありますが、そのなかでも張三姉妹ですとか、自分で作ったオリキャラですとかが初めから出てこなかったり、フェードアウトしてしまった事が特に挙げられますね。

まぁ色々ありましたが、長期間にわたって作った作品を終わらせるのは初めてで、着地点をすごく悩みました。でも、未熟な自分なりに納得できる終わり方に出来てよかったと思います。後の事ですが、短編を時々出していきたいとは思っています。主人公が一刀君なのか舞人なのかはわかりませんが・・・

なにはともあれ、今まで1年と1ヶ月ほど、この駄作にお付き合い頂き、心より御礼申し上げつつ、作者の挨拶とさせていただきます。

本当にありがとうございました。


 
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