投降した孫呉の宿老黄蓋と謁見し、彼女の投降に偽りがないと読んだ華琳は、来るべき連合軍との決戦の先鋒を命じた。
「丞相閣下、失礼します」
「ああ、蔡瑁。忙しいところ悪いわね」
黄蓋を下がらせた後、華琳は荊州水軍都督・蔡瑁を呼び出した。彼は前の荊州牧・劉表の後妻の兄で、現荊州牧・劉綜の伯父にあたる荊州軍の事実上の最高権力者である。
「今回の水軍の指揮は蔡瑁に一任するわ。我が魏は水軍になれぬ者たちばかり。よって、蔡瑁。あなたが私を補佐し、連合軍の水軍を討ち破りなさい」
「は・・・ははっ!この蔡瑁、命に代えましても劉備・孫策の首を挙げてみせまする!」
蔡瑁は小躍りしたい気分で丞相の陣幕を辞した。たかだか一州の州牧の家臣が天下を統べんとする覇者の補佐を任されたのだ。『有頂天』という言葉は自分の為にある―――そんなことすら考えていた。
「しかし、魏軍の兵が水に弱いとはいえあの鎖・・・少々不安じゃな」
しかし、ここで意見して丞相の機嫌を損なって不倶戴天の敵を討つ機会を永遠に失うわけにはいかない。そして―――
「勝ったあかつきには、閣下はわしを荊州牧に任じてくれるとおっしゃった・・・甥御殿はちと邪魔だな」
荊州牧は、2人もいらない―――
「華琳様、荊州牧劉綜が急死したとのことです」
「そう。あの愚か者はあなたの策にはまってくれたというわけね・・・よくやったわ桂花。さあ、今晩は可愛がってあげる・・・」
華琳は寝台に腰掛け、桂花を寝台に誘う。
「ああ、華琳さまぁ・・・」
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赤壁合戦編第7話です。最近主人公出てないですね・・・っていうか、しばらく出しません!(断言)
しばらくずっと、華琳のターンです。