華琳率いる魏軍は樊城の劉綜軍と合流して南下、江陵を経由して烏林に布陣した。一方、劉備・孫策率いる連合軍は夏口で合流し、黄河を挟んで赤壁に布陣した。
「桂花、兵たちの様子はどう?」
「はっきり言いますと、よくありません。慣れぬ風土や船酔いに体調を崩す者が続出しています」
烏林の魏軍本陣で、華琳は桂花から懸念すべき報告を受けていた。魏軍の領地がある大陸北部に比べて、今回の戦場である大陸南部は湿気が多く、風土の違いから体調を崩す者が続出していたのだ。
「話には聞いていたけど、北と南でこんなに風土が違うなんてね。稟、薬や医師は足りている?」
「そうですね・・・医師はともかく薬の量が心許ないかと。現在許昌や鄴など領内から薬を手配させていますが、我が軍の数も数ですし・・・」
今回華琳が樊城救援、及び劉備・孫権征伐に率いてきたのは数十万という大軍。薬も医師もいくらあっても足りないのは仕方のない事であった。
「ともかく、薬も医師もいないからといって敵は待ってくれないでしょうからね。風、例の準備は出来ている?」
「船をつなげる鎖ですね~?もうほとんど完成して、あと少しで全ての船を繋ぎ終えます」
魏軍が地元の民から聞いた船を揺らさないようにする方法。それは、『すべての船を鎖でつなぎ合わせて揺れを抑える』というものだった。
「どうだった、雛里ちゃん?」
「朱里ちゃん、曹操さんは連環の計にかかったみたいだよ」
蜀軍本陣で鳳統は諸葛亮に策が成功した事を報告していた。『連環の計』―――この計略こそ、数で劣る連合軍が海戦と合わせて魏軍に勝利する切り札の一つであった。
「後は、周喩さんだね」
その数日後。連合軍に驚くべき事態が起こった。
孫家の宿老・黄蓋が周喩と対立して棒叩きの刑を受け、そのことを不服とした彼女が魏に投降したというものだった―――
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赤壁合戦編6話、いよいよ合戦が始まります。