ある日の休日の午後、俺はこの国の王様である華琳こと曹操に呼び出しをされた。
(別に、最近は何も怒られるようなことは何もやってないよな~)などと考えているうちに華琳の部屋の前についた。
コンコン
「華琳。俺だけど」
「いいわよ。入ってきなさい」
そう言われ華琳の部屋に入ると中はかなりの量の本があった。
「どうしたんだ?この本の山は」
「今日は私もあなたと同じで、久しぶりの休日だったの。それで今まで書庫から持ってきたものの、手をつけてなかった本を読んでいたのよ」
あれ?なんかご機嫌斜めって感じだぞ?それになんだか嫌な予感がしてきたぞ・・・・。
「へ、へぇ~。そ、それでなんで俺を呼んだんだ?」
「あら?それを言う必要があるのかしら?」
「これを俺が片付けろと?」
「ふふ、わかっているじゃない」
はぁ、やっぱそうですよね~。
「ま、まぁさすがにこの量をあなた一人にやらせるほど私も鬼では無いわ。それにこれを持って来たのは私自身だもの、私もやるわ」
なんだか意外な答えが返ってきたぞ?前にも片付けてくれと言われたことがあったけど、今回と大差ない量なんだけどなぁ。
そんなわけで、書庫まで本を大量に抱えやってきた。
だが、そこで俺に問題が発生した。
「なぁ、華琳」
「なに?」
「ちょっとトイ・・・厠に行って来ていいか?」
「はぁ、仕方ないわね。早く行って来なさい」
「悪い。すぐ戻るから」
そうして厠に猛ダッシュでむかい、さっさとすませ、また猛ダッシュで書庫まで戻ってきた。そこまでは良かった。だが、書庫に入るところをもっとも見られてはならない人物に見られた。
「くっくっく。あの全身精液男が書庫にいったい何の用か知らないけど、これは良い機会ね」
そう桂花である。桂花は一刀が書庫に入ったのを確認すると、扉に鍵をかけた。
ガチャン!という重々しい音がした。
「ん?何の音だ?」
「どうしたの?」
「いや、何か今ガチャンってあっちから聞こえ・・・・。まさか・・・」
「一刀確認してきなさい」
「わかった。見てくるよ」
どうやら華琳も、もしかしたら陥っているかもしれない自分たちの状態に気がついたようだ。
扉を確認してみると案の定、鍵を掛けられていた。
ドンドンドン!
「おーーい!誰かいないのか!」
扉を思いっきり叩き、大声で叫んでみたがまったく反応が無かった。
「どうだった?」
「駄目だ。誰もいないみたいだ」
「・・・・この頃になるとさすがにここに来る人間はまずいないわね」
日はだいぶ傾いてもう夜と言っていい時間帯になっていた。
「ということは・・・」
「私とあなたはここに一晩は閉じ込められたって訳ね」
最初のうちは火があったので多少なりと本が読めたが、さすがに空腹などで集中力が切れた。
ぐぅ~
「はぁ、一刀。腹の虫くらい何とかできないの?さっきから何度も何度も」
「しかたないだろ。減ったもんは減ったんだから」
「まぁ、確かに。私もずっと本を読んでいて昼食をとって無いから、そろそろ辛くなってきたわね。体力も勿体無いしもう寝ましょ」
「だな。正直本を読むのに疲れてきたところだし」
そう言って寝ようとしていると、隣のほうから「くちゅんっ」という可愛いクシャミが聞こえた。
「さすがに夜は少し冷えるわね。な、なによ(////)」
「はい。少しはマシになるでしょ?」
そう言って俺は自分の上着を華琳にかけた。
「あ、ありがと(/////)」
顔を赤くしながらそっぽを向いてお礼を言われた。可愛いって言ったら怒るだろうなぁ。
「それじゃあ、改めて寝よう。お休み華琳」
「お休みなさい」
正直、華琳が隣で寝ているだけで、どうにかなりそうだったがさすがにぐっと堪えた。
寝てからしばらくたったが俺は寝れないでいた。しかしそれは華琳も同じだったらしく声をかけてきた。
「一刀。起きてる?」
「うん。起きてるよ。どうしたの?」
「ま、まだ少し寒いわ。もっとこっちに来なさい(////)」
いやいやいや。華琳さん。俺の理性を亡き者にする気ですか?
「い、いや、でも・・・」
「いいから、早くこちらに来なさい!」
「は、はい!」
有無を言わせないすごい迫力だ。さすがは魏の覇王。
そして今は二人背中合わせの状態。
余計に眠れなくなった。どうやら華琳も寝てないようだったので、少し疑問に思ったことを質問してみた。
「なぁ、華琳」
「何?一刀」
「なんで今日は読書ばかりしてたんだ?」
「言ったでしょ。積みあがってしまっていた本をいい機会だから読んでしまおうと思ったからよ」
「いや、それでも規則正しい華琳ならちゃんとお昼食べるだろ?それがなんでかなって思ったんだけど?」
「・・・・・・」
「華琳?」
「・・・・・・・・・ってたのよ」
「え?なんて?」
「あなたが誘いに来てくれるのを待っていたのよ!(/////)」
「・・・え?俺を?」
「そうよ!悪い!?」
「じゃ、じゃあなんで呼んでくれなかったんだよ」
「あなたから誘って欲しかったのよ」
だから部屋に入ったとき不機嫌そうだったのか。
「でも、何で結局呼んだんだ?」
「本を片付けた後、夕飯に誘おうと思ったからよ。あなたからの誘いを諦めてね」
「あう。すいません」
「まったくあなたには失望したわ」
「こ、今度必ず何か埋め合わせをするから!絶対!」
「ま、期待せずに待っているわ」
その後は色んな話しをしているうちに二人とも眠ってしまっていた。
朝になると城内は大騒ぎになっていた。
会議の時間になっても華琳がやって来なかったからである。
『華琳様ぁー、華琳様ぁー』
そういった声が城内のいたるところから聞こえた。
「華琳様ぁ。ここですかぁ!?」
そう言って春蘭こと夏侯惇が書庫の扉を蹴破った。すると中には探していた華琳がいた。そしてその隣には一刀が添い寝をしている形でいた。
「北郷ぉぉぉぉぉ!!!貴様!華琳様になにをいているぅぅぅ」
「うーん。おお、春蘭助けに来てくれたのかって!うおぉぉぉ!危ないな!いきなり何すんだよ!」
「五月蝿い!叩っ切ってやる!」
「うわぁぁぁ。シャレになんないって」
「やめなさい!春蘭!」
「で、ですが・・・」
「いいから、剣を収めなさい」
そう言って自分たちの置かれていた状況を華琳が説明すると渋々ながらも春蘭は納得してくれた。
その後、他のみんなにも華琳から説明がされた。その説明の最中、桂花の顔がやたら青かった。
「一刀」
「ん?なんだ華琳」
「約束はきちんと守りなさいよね」
「おう。もちろん」
後日。
先日の一件が桂花が原因であることが発覚。
桂花は罰として1週間一刀と戦が起こったときを除いた何時如何なるときでも一緒にいるという罰を受けた。
その際、何故自分もなのかと必至に訴えた一刀だったが、「元はと言えばあなたが厠に行かなければこんなことにはならなかったはずよ」の一言に一刀両断された。
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前回のように思いつきと勢いで書きました。
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