No.153322

真・恋姫無双 ifストーリー 秘薬騒動

オトナシさん

萌将伝の投票、蓮華には巫女服よりウエディングドレスの方をあててほしかったなぁ。

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2010-06-26 02:22:24 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:7507   閲覧ユーザー数:6231

ある日、俺こと北郷一刀は昼は何にしようか考えながら城の中を歩いていた。すると見慣れた二人と会った。

 

「雪蓮、冥琳。どうしたんだ?そんな難しい顔をして」

 

「ああ、北郷か。実はな、蔵の中から謎の薬が出てきたんだ」

 

「謎の薬?」

 

今二人の前にはなんだか古そうな箱があった。きっとこの中にその薬が入っているんだろう。

 

「そうなのよ。箱の表面にこの薬の名前か何かが書いてあったようなんだけど、かすれてて、なんて書いてあったかわかんないのよ」

 

そう言いながら雪蓮は箱を叩いた。確かに、箱の蓋に何らかの文字が書いてあったようだが読めない。

 

「でも、少しだけ読める部分があるけど、なんて書いてあるんだ?」

 

「『秘薬』と書かれている。ちなみに、中身は丸薬で医者に見せてみたがなんだか分からないらしい」

 

「そうなんだ。で、どうするんだ?それ」

 

「それを今二人で話していたところだ」

 

冥琳はなんだか面倒なものを見つけてしまったという感じの顔をした。

 

「ねぇ一刀。ちょっと飲んでみてよ♪」

 

「はぁぁぁ?なんで俺がそんな得体の知れない薬を飲まなくちゃいけないんだよ。大体今はみんな忙しい時だろ?」

 

そう、今はだんだん国が安定してきたがだかろこその忙しさがあり、呉の武将や軍師たちも各地で色んな仕事をしていた。

 

「だからこそよ。もしかしたらこの秘薬とやらはとんでもない万能薬かもしれないじゃない」

 

「ふむ。雪蓮の言い分にも一理あるかもしれん」

 

「冥琳!?」

 

「どうだ北郷。一粒」

 

「嫌だよ!」

 

そう言っていると雪蓮は秘薬を一粒摘んで俺の口に近づけてきた。

 

「絶対に嫌だよ!」

 

「もう一刀。男らしく覚悟を決めなさい。冥琳、ちょっと取り押さえて」

 

「わかった」

 

冥琳に羽交い絞めにされ、俺はもう首を振って抵抗するしかなくなった。

 

そんなやり取りを繰り返していると、救いの女神がやってきた。

 

「姉さま、冥琳、それに一刀そこで何をしているの?」

 

「蓮華!助けてくれ~」

 

蓮華に助けを求めつつ、蓮華の方へ向こうとしたら、「あっ」偶然雪蓮の手と俺の頭がぶつかり、秘薬が蓮華のほうに飛んでいった。

 

「え?っんぐ」

 

ごっくん

 

飛んでいった秘薬がさらに偶然に蓮華の口に入り、それに驚いた蓮華は思わず秘薬を飲んでしまった。

 

「な、何?今のは」

 

「れ、蓮華早く吐き出せ!」

 

「む、無理よ。もう飲んでしまったわ」

 

「蓮華様。何か御体に異状はありませんか?」

 

「え?別に何も・・・・」

 

すると、蓮華の顔が「ボンッ」という感じにいきなり真っ赤になった。

 

「蓮華?」

 

雪蓮が心配そうに近づくと「バタリ」と、蓮華が倒れた。

 

『蓮華(様)!?』

 

「お、おい蓮華!大丈夫か?」

 

「蓮華様!誰かある!」

 

「蓮華!蓮華!」

 

三者三様に蓮華に声をかけたがまったく反応が無かった。

ここは蓮華の部屋。今この城には俺と穏がいるが、穏が俺の分の仕事をやってくれている。そのお陰で今は俺が看病をしている。倒れてすぐに医者に診せたが体に異常はないから、じきに目を覚ますだろうとのことだった。

 

雪蓮と冥琳は突然現れた賊の討伐に行ってしまった。出発する際に雪蓮は「目が覚めたら誤っておいて。あと、蓮華のことよろしく」と言って討伐に向かった。

 

そうして看病を始めてからしばらくすると蓮華が目を覚ました。

 

「ん、ん~」

 

「蓮華!大丈夫か?どこか変なところはないか?」

 

そう言う俺に蓮華からの返事は大暴投もいいところの返事だった。

 

「ん~。おにいちゃんだれ?」

 

「へっ?」

 

上擦りぎみの変な声が出てしまった。いや、それはどうでもいい。今なんて言った?

 

「あ、あの蓮華さん?」

 

「ん~?なんでおにいちゃん、れんふぁのなまえしってるの?」

 

「・・・・・」

 

聞き間違いじゃ無かった。

 

「れ、蓮華ちゃんはいまいくつかなぁ~」

 

絶対本人がされたら怒るであろう聞き方で聞いてみたが、それくらいの年の子がするであろう返事の仕方で元気よく答えてくれた。

 

「えっと、えっと。よっつ!!」

 

間違いない。蓮華は四歳児に幼児化している。あの秘薬って若返りの薬だったのか?いや、それは違う。なぜなら目の前の蓮華はいつも見ている蓮華なのだ。つまり、精神だけが幼児化してしまったようだ。

 

俺が考え込んでいるのが辛そうだったのか、心配そうに俺の顔を覗き込んできた。

 

「おにいちゃん、だいじょうぶ?おなかいたいの?」

 

「え?ああ、大丈夫だよ」

 

か、顔が近い。

 

「でも、おかおがまっかだよ?」

 

「大丈夫、大丈夫。ちょっと暑いだけだから」

 

うう、あんな無防備なの反則だ。とか考えていると蓮華が聞いてきた。

 

「ねぇねぇ、おにいちゃんのおなまえは?」

 

「一刀だよ」

 

「かじゅとおにいちゃん!」

 

し、舌足らずなのがまた可愛いな!もう!

 

なんて思ってる場合じゃない。どうやったら元に戻るんだ?と、とにかくこの蓮華の状態を穏に伝えないと。

 

「ねぇ、蓮華ちゃん」

 

「なあに、かじゅとおにいちゃん」

 

「お兄ちゃん、ちょっと出てくるけど、ここで大人しく待っててくれないかな?」

 

「うう、すぐかえってきてくれる?」

 

上目遣いに涙目。めっちゃ可愛ええ!いやいやそうでなくて

 

「もちろん!すぐに戻ってくるよ」

 

「うん。じゃあれんふぁいいこにして、まってる」

幼児化した蓮華を残し、今は穏のいる部屋にいる。

 

蓮華の状態を説明し終えると穏はいつもの調子で答えた。

 

「ん~。それは中々おもし・・・いえいえ、大変なことになりましたねぇ~」

 

今この人絶対面白そうとか言おうとしたよ。

 

「ですけど、薬でそうなったのならいずれ効果が切れて元に戻るんじゃないでしょうか~?」

 

「う~んなんとも言えないけど、そうであってほしいな」

 

「とにかく、一刀さんは蓮華様の相手をしていてください」

 

「わかったよ。でも仕事全部任せちゃっていいのか?」

 

「ええ、構いませんよ~。今度私のお願いを聞いてもらえれば」

 

「わかったよ。でも俺に出来ることにしてくれよ」

 

「わかってますよ~」

 

本当に分かってんのかな?まぁ今は頼るしか無いしな。仕方ない。

 

「それよりも早く戻らなくていいんですか?」

 

「ああ、そろそろ戻るよ。ありがとう穏」

 

「いえいえ~」

 

穏にお礼を言いつつ急いで蓮華の部屋に戻った。

「ただいま~っとと」

 

部屋に入ったとたん蓮華が飛びついてきた。

 

「えへへ~。おかえりなさい、おにいちゃん」

 

この蓮華は自分が四歳児の体でないことに気付いているんだろうか?その、胸とか思いっきり当たっているんですけど。とにかく、平静を保たないと。

 

「ご、ごめんね。寂しかった?」

 

「うん。でもいいこにしてたよ」

 

「そっか。でも、これからはずっと一緒にいるからね」

 

「ほんと?」

 

「本当だよ」

 

「わ~い。かじゅとおにいちゃんといっしょ」

 

「はは、そんなに喜んでもらえるとうれしいな。それじゃあ蓮華ちゃん、何かして遊ぼうか?」

 

「う~ん。れんふぁおなかすいた」

 

時刻はお昼をだいぶ過ぎていた。そりゃお腹空くよな。俺も空いたし。

 

「じゃあ何か食べよう。何が食べたい?」

 

「えっとね、にくまんがいい!」

 

「それじゃ、食べに行こうか」

 

そう言って俺はあることに気付いた。このまま蓮華を街まで連れて行くのはあまり良くないんじゃないか?いや、あまりどころか絶対に駄目だろう。う~んどうしよう。食堂にまだ余ってるかなぁ?

 

「とりあえず行ってみるか」

 

蓮華の手を取って歩こうとしたら、蓮華は腕に抱きついてきた。

 

「えっと、蓮華ちゃん?」

 

「はやくいこ、おにいちゃん」

 

「う、うん。そうだね」

 

まさに至福の時だった。

今俺たちは中庭の死角ぎみになっている木の下にいる。

 

ここに来る前に食堂に寄り、まだ肉まんはあるかと聞いてみたところ何個かあった。その際も蓮華は俺の腕を抱き続けていた。その様子を見て厨房の人とかがニヤニヤしていたが、事情を説明したら理解してくれた。

 

こうして蒸かしたての肉まんを持って中庭まで来た。何故死角ぎみになっているところを選んだかと言うと、やはり今の蓮華はあまり人に見られないほうがいいと思ったからだ。

 

「おいしいね。おにいちゃん」

 

「うん。そうだね」

 

よっぽどお腹が空いていたのか、蓮華ってこんなに食べられたのかと思うくらいの量を食べていた。

 

しばらくするとそれなりの量があった肉まんはすべてなくなっていた。

 

「うう~ん。ねむい~」

 

お腹が一杯になって眠くなってきたようだ。目元を擦りながら俺の膝の上に頭を乗せて横になった。

 

「蓮華?」

 

「すぅ、すぅ」

 

「もう寝てるよ。子供って寝るの早いのかな?」

 

なんて思っていると、なんだか俺も眠くなってきた。

 

「ふわ~。俺も寝よ」

 

蓮華の頭を膝に乗せたまま俺も眠りについた。

チリーン

 

一体どのくらい眠っていたのかわからないが、なんだか聞いてはいけない気がする音がするぞ。

 

チリーン

 

「んん。なんだ?この音」

 

「北郷。貴様一体何をしている」

 

「思春?早かったな。もう戻ってきたのか?」

 

あれ?体が重くて動かない。

 

「貴様、私がいなかったからといって調子に乗るなよ」

 

「なんのことだよ?」

 

「ならば、今の自分の状態を良く見てみるんだな」

 

俺の状態?なんか体の上に乗ってる。これは・・・蓮華?そして今俺の傍には思春が・・・・・

 

チリーン

 

「待て待て待て、思春!お前は誤解をしている!そして、この状態には訳があるんだ!」

 

「ほう、ではその言い訳を聞かせてもらおうか」

 

俺は必至に今の蓮華に起こっている異状と現状の説明をした。だがしかし

 

シュンッ

 

「ひっ」

 

顔の真横には思春の剣が突き立てられていた。蓮華が体の上に乗っているために身動きが取れない。

 

「私にそのような戯言を信じろと?」

 

「戯言も何も今のが真実で現実なんだって」

 

俺と思春が騒いでいたためか蓮華が起きた。

 

「んん。かじゅとおにいちゃん?」

 

「なっ!?れ、蓮華様?」

 

「ど、どうした?起きたか?」

 

蓮華ナイスタイミングだ。やっぱり救いの女神だ。

 

「う~ん、うん。おきた」

 

そうは言うもののまだ寝ぼけている感じだ。

 

「な、思春。いくらなんでも蓮華があんなこと言うとは思わないだろ?これでさっき言ったことをわかってくれたよな」

 

あ、あれ?俺の話し聞いてる?なんか手とか肩がプルプル震えてますよ!?額に青筋が浮かび上がってますよ!?

 

「ほ・ん・ご・う~」

 

「ひぃ」

 

蛇に睨まれた蛙状態になってしまった。

 

「覚悟はできたか?」

 

「なんの!?」

 

「だめーーー!!」

 

「!!!!」

 

そう叫んだ蓮華のお陰ですんでのところで思春の剣が止められていた。

 

「おにいちゃんのこといぢめないで!」

 

「う、」

 

涙目の蓮華に睨まれているのがよっぽど答えたのか、思春にさっきまでの殺気はなくなっていた。

 

「わ、わかりました」

 

「もうおにいちゃんのこといぢめない?」

 

「はい」

 

あきらかに不満そうなんですけど・・・・。うわ、睨まれた。

 

「じゃあ、おねえちゃんもおにいちゃんとなかよくね?」

 

「はい。わかりました」

 

思春がそういうと満足そうに笑い、両手で俺と思春の腕を抱いた。

 

「えへへ、こうしていると、とうさまとかあさまみたい」

 

「そ、そうかなぁ」

 

蓮華ぁー。頼むからそんなとんでもない地雷を踏まないでくれー。ほら、思春さんずっとこっちのほうを睨みっぱなしだよ。

 

「きょうは、ずっとさんにん」

 

「ずっと?」

 

「うん!ずっと」

「はぁ、何故こんなことに」

 

今日何回目か分からない思春の愚痴。

 

今はもう夜。そして場所は蓮華の部屋のベッドの上。少々狭いが俺と蓮華と思春の三人で川の字になって横になっている状態だ。

 

あのあと今日はずっと三人と言った蓮華は、本当に俺と思春を離してくれなかった。離れたのはトイレと風呂のときだけだった。その時もかなりぐずったのだが、なんとか言い聞かせた。

 

さらに雪蓮と冥琳や他の武将、軍師が何故か同じタイミングで帰ってきた。それによって色々言われた。主に雪蓮と祭さんに・・・。

 

「それより、何時までいる気だ貴様は」

 

「そんなこと言われても蓮華が俺の袖をしっかり握っていて離してくれないんだよ」

 

俺と蓮華が一緒に寝ることが気に入らない上に自分まで俺と一緒に寝なくてはならない現状がかなり不満らしい。ちなみに蓮華はもう眠ってしまっている。

 

「一晩だけ我慢してくれよ」

 

「ふん。蓮華様のためでなければ誰がこんなこと」

 

「わかってるよ。だからもう寝ようぜ」

 

「貴様に言われずともそうする」

 

こうして夜は更けていった。

翌日。隣で誰かが起きる気配がして俺も一緒に起きた。そこに思春はいなかった。

 

「蓮華?目が覚めたのか?」

 

「んん。一刀?」

 

ん?かじゅとお兄ちゃんじゃない?蓮華を見るとどんどん顔が赤くなってきた。

 

「か、かず、一刀」

 

「??どうしたの?」

 

「あ、あの、その、昨日は迷惑をかけたみたいで。ごめんなさい」

 

蓮華は俯きながらそう言った。

 

「もしかして、昨日のこと覚えてるの?」

 

コクン

 

「かじゅとお兄ちゃん」

 

「っっっっ!!!!(//////)

 

顔どころか首まで赤くなった。

 

「一刀のバカ!いぢわる!」

 

「ごめんごめん。でも、昨日の蓮華も可愛かったよ」

 

「知らないっ!」

それからしばらくの間、蓮華の機嫌は直らなかった。なぜなら雪蓮と小蓮の姉と妹が俺のことをことあるごとに「かじゅとお兄ちゃん」なんて呼ぶからだ。まぁ、その度に蓮華が顔を赤くしている様子が可愛かったのは言うまでも無い。

 

蓮華が不機嫌なだけでも十分くらい不幸なのに、他にも不幸なことがあった。

 

蓮華が元に戻った日。思春に会ったと同時にいいものを一撃ボディーにもらった。

 

さらにあの秘薬に精神を若返らせる効果があると知った雪蓮は面白がって、執拗におれに飲ませようとしてきた。何回か飲まされそうになったが、何とか飲まずにすみ、秘薬はすべて処分された。

 


 
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