No.146033

真・恋姫†無双 外伝 - 鬼を従えし、天の御遣い - 第三章

注意書き:オリジナル色が強い作品ですので、もし苦手でしたら推奨できません。

休止中の結城つきみんです。

今回は、多忙な中での気分転換に書いたものなので次回は未定です。

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2010-05-28 10:23:22 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:2340   閲覧ユーザー数:2108

 

 

 

 

真・恋姫†無双 外伝 - 鬼を従えし、天の御遣い -

 

 

 

第三章 『神の娘?!いきなりの許嫁に騒然!!修羅場の開始5秒前!!・前編』

 

 

 

 

 

 

 

日が明け、動物達の鳴き声も聞こえはじめた頃、樹夜が朝食の支度していた。

 

 

 

 

 

 

 

「野宿明けだから、朝食は質素な物やけど食べるかー?」

 

樹夜が、寝ぼけ眼で食事の匂いにつられて来た皆に声をかける。

 

「これは、なにかの? 七乃は、知っておるか?」

 

袁術は、朝食を見て可愛らしく小首を傾げながら張勲に尋ねてみる。

 

「私も、こういうのは初めてですねぇ。

 お嬢様ぁ~、そんな風に小首を傾げる動作すら可愛いですよ♪」

 

孫堅達も、同様な感じなので樹夜が簡潔に説明する。

 

「これは、野草で食べれるもんと俺が持っとる七草で作った薬膳粥や。

 朝は冷えるし、病気予防にもなるから体にいいんや」

 

「樹夜は、博識じゃの~。最近、若者は薬草についてなぞ習わないのではないか?」

 

魅麗は、感心するような眼差しをしていた。

 

「これは趣味というか、家じゃ両親が店で使うハーブも育ててるハーブ園もあったからなぁ。

 自然と親に教えこまれたっていうのもあるんや。親父曰く、『サバイバル技術もできなきゃ

 男じゃねぇー!!』という現代らしから教育方針やったしなぁ……

 

 

 あんな体験は、もぅこりごりや。無人島で1ヶ月間、調味料以外は自給自足して生活しろとか……

 

 思い出したら、泣けてまう」

 

樹夜は、昔を思い出しつつ涙ぐむ。

 

「樹夜殿? さばいばる、は~ぶとやらは何の事なのでしょうか?」

 

道雪は、聴きなれない言葉だったので尋ねてみた。

 

どうやら、他の面子も同じ様子だ。

 

魅麗のみは、感心したように微笑みかけてくるだけである。

 

「えっと、さばいばるって言うやつは野宿生活みたいに自然の森とか山とかの中で生活する事やな。

 後、は~ぶって言うんは野草の中で香草に当たるやつやな。

 

 ちなみに、種とかは持っとるし乾燥済みのやつもあるから

 次の機会に美味しい料理作ってあげるから楽しみにしててな」

 

「そうなのですか。労働を常日頃しているというのは感心します。

 戦国の世では、若き青年は戦場で功をあげて生活する人が大半でしたから

 何だかとっても、不思議です」

 

道雪は同じ国生まれど、時代や世界の違う国からやってきた樹夜には興味が尽きないようだ。

 

「美味しい料理が楽しみだなぁ~♪ この薬膳粥も、温まる~♪」

 

家久は次回の料理に胸をふくらませつつ、今は薬膳粥が一番なのかいの一番に食べはじめた。

 

他の面子も、話を切り上げて朝食に箸をつけ始める。

 

「こっ、これ美味しいです! 味が素朴で、何だか優しい温もりを感じて心が満たされます…」

 

春日は、ちょこちょこと少しずつ口に運びながら微笑み浮かべている。

 

 

「ふむ、どうやら黄巾党のやつら姿を見せたようじゃな。

 何も起きねばいいが、そうもいくまいか」

 

式に近くの邑を探らせていたが、どうやら黄巾党らしき盗賊が近づいてるとのことだった。

 

「初陣としては、些か早い機もするがの……これも乱世ゆえか……」

 

 

獣は餌を求め、貪欲にまでも無作為に貪る。民も必死に抵抗するが、多勢に無勢であるのが常だ。

 

襲撃された後の邑は、娘、妻を奪われ泣く親達、親を失い路頭に彷徨う子供達など、悲観に暮れる者ばかり。

 

漢の衰退、腐敗した悪政、欲のみで蠢く獣が跋扈する世の姿である。

 

 

 

『樹夜よ、お主はこの乱世の現実に立ち向かえるのか?

 

 この世は命が軽く、英傑の一撃は幾人をも薙ぎ払う。

 

 軍師の智謀は、何千の兵をも、国までをも滅ぼすに至る。

 

 平和な世に生まれし青年が、どこまで抗えるかは己次第。

 

 

 

 神も未来などは見えぬ、己が手で掴んでみせよ……』

 

 

 

魅麗は、心の中で樹夜の行く末を案じていた。

 

 

 

樹夜達は朝食を食べ終えた後、近くの邑まで向かっていた。

 

「んー、見晴らしええなぁ。こんな景色を見るなんて初めてやわ」

 

雄大な山が遠方に見え、荒地が彼方まで続いている。

 

「樹夜さん。何か先の方で煙の様な物が見えますが、この時代に狼煙ってあるんでしょうか?」

 

春日は先に見える煙が気になり、樹夜に尋ねてみた。

 

「いや、三国志の時代には無いはずやで」

 

樹夜は山火事か何かと思っていたのだが……

 

「それじゃぁ、敵襲ってことかなぁ?」

 

家久の一言で糸が張ったような緊張感に包まれた。

 

よく考えれば、ここは三国志時代なのだ。盗賊等が跋扈している世である。

 

「ふむ。その邑までさして遠くないようじゃが、樹夜はどうするのじゃ?」

 

魅麗に聞かれた言葉に答えようとするが、体が震え膝が笑う。

 

『邑に住んでいる人達が、危険にさらされてるんや! 皆で、助けに行くに決まっとる。

 でも、体が言う事を聞かへん……頭では分かっとったのに、この様や!』

 

 

樹夜は模索するが、暖簾に腕押し・糠に釘・焼け石に水。いくら考えても、無駄な様に思えてくる。

 

思考の海に耽っていると……

 

 

 

「樹夜殿!!」

 

 

「ひゃっい!」

 

 

道雪が樹夜に喝を入れ、優しく諭すように声をかける。

 

「樹夜殿、世界は違えど同じ日ノ本に生まれた仲間がいるではないですか。

 一人で考えずに、私達に頼ってみたらどうですか?」

 

春日も続いて答える。

 

「そうですよ?道雪さんも私も、戦国の世でいた武将なのですから。

 私に例えるなら弓となって敵陣を貫き、樹夜さんを支えてあげます。

 でも、弓だって樹夜さんが矢をつがえてくれないと駄目ですよ♪」

 

家久も続いて答える。

 

「お兄ちゃんが困っているなら、私が最善の献策するよ?

 内政・戦略・計略等の智謀なら任せてよっ♪」

 

孫堅達も続いて答える。

 

「私は、今はこのような身であるが一国の王だ。樹夜がその気なら、うちに来てもいいしな」

 

「そうなのじゃ! 妾とも、もっと遊んでほしいのじゃ!」

 

「よっ! このわがままお嬢様♪ そんな所も可愛ですぅ~♪

 でも、樹夜さん。お姉さんに頼るのは、弟として当たり前ですよ?」

 

孫堅は家臣にならないか?と誘い、袁術は兄に甘えるようにわがままを言い、張勲は何故か姉目線。

 

 

最後に、魅麗が締めくくった。

 

 

「ここにおる者達は、樹夜を心配しておるものばかりじゃ。それは、私も同じじゃからな?

 神仙としてやれるのは限られるが、心の支えくらいになってやれる。

 

 

 今は、真に為したいと思った事をするがよい!

 

 後悔先に立たずじゃぞ?」

 

樹夜は、ここまで思ってくれる人が身近にいる事を再認し決意した。

 

 

「それやったら、もう迷わへん!! 皆で、あの邑の人達を助けに行くで!!」

 

 

「「「「応!!」」」」

 

 

 


 
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