No.117677

真恋姫無双 北郷一刀と  天の御使い

Thyleさん

この話は、本編とは関係のない外伝です。
本編より先に外伝が早く出来上がりました。

さあ、北郷一刀の肩書きである『 天のおつかい』とは……
勇者 北郷一刀と恋、ねねの壮大なる冒険が、今ここに『恥じ』まる!!

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2010-01-10 08:07:45 投稿 / 全19ページ    総閲覧数:4080   閲覧ユーザー数:3540

 

 

 

 

 北郷一刀と天の御使い

 

 

 

 

 

 

 

     (はじめに)

 

 

 

 

                このての話は、……まず考えたら負けです!!

 

                   宜しければ読んでみてください。

 

 

                この話は前回の外伝

                  「北郷一刀の野望」から続いております。

 

               

               1/11 日本語の変な部分やより読みやすいように

               文章を書き直しました。

 

                

 

 

 

 

 

 

北郷一刀と天の御使い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             俺こと、北郷一刀は現在董卓軍の月の元に居候している。

 

 

           先のゴタゴタで、何故か天下の飛将軍 恋と策士 音々音が俺の家

          臣として仕えることになってしまった。その為、本来なら俺がこの時

          代の人間ではないことを秘密にすべきだがこの二人には話しておいた

          方がいいだろうと考え二人を俺の天幕に呼び詳細を説明した。

 

 

          「何ですと――!! 

              ただでさえ変なヘボ主人が巷で話題の御仁だったですと――!!」

 

                   「……ご主人様が、天の御遣い……」

 

                二人はそれぞれ個性的な表現で驚きを表していた。

 

             ねねはあまりにも俺が偉大過ぎる存在に驚愕してその場で石化し、

                 恋は何か考えているようでボッ――としていた。

 

 

         暫くすると、恋は眠たげな表情で俺のガラスの心臓を刺すような質問をしてきた。

 

 

                「……ご主人様。天の御遣いはナニするの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              恋の純粋無垢な質問に、俺自身どう答えればよいか迷った。

 

 

                  「本当、俺、ナニするんだろうね……」

 

 

           別に天下無双の武力があるわけでもなく、

                      千里の先を見通す智謀に秀でているわけでもない。

  

            イカン、このままでは俺自身の存在価値を否定してしまうことになる。

 

 

                 そのとき、俺の脳裏にあることが閃いた!!

 

            

          「天の御遣いとは、そう PRGで言えば勇者だ。

                      だから俺が弱いのは今、俺は1レベル勇者だからだ」

 

                 「あーるぴーじー? 1れべる勇者?」

                          恋は不思議そうな顔で俺を見ていた。

 

         俺は恋とねねに、現代のゲームの知識、DQやFFの話を交えて説明した。

 

         「……と言うわけで、

             勇者は戦いに秀でた戦士や偉大な大賢者を仲間にして、

               民を助け宴に招かれたり、悪のラスボスを倒し世界の英雄になるんだ」

             

                 

                「恋が戦いに秀でた戦士、……宴……ゴハン……」

                「このねねが世界を救う偉大な大賢者ですと―!!」

 

 

          恋は頭の毛をピコピコと動かし、

             ねねは石化が解け今度は大賢者という言葉の響きにウットリとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          「……ご主人様、レベルはどうやって上がるの? 

                           ゴハン沢山食べるとあがるの?」

            

                     俺は苦笑して答えた。

 

          「イヤ、RPGでは町の周りの敵を倒して経験値を上げていくんだ」

                     すると、ねねは立ち上がり俺の腕を引っ張って言った。

 

          「恋殿!! 

               すぐさまこのヘボ主人を連れ出して敵を倒し、

                          英雄となって大賢者になるのです!!」

 

                  「……宴……ゴハン……ウン、恋も行く」

 

         ちょっとまて、それはゲームの話だ

           といくら説明しても、ねねは大賢者になるのです、恋はゴハンと呟き、

                     二人がかりで俺は天幕の外に引っ張られて行った。

 

                  「アンタたち一体ナニしているの?」

       

             天幕を出るとちょうど運よく、月と詠に鉢合わせになった。

 

                     ふう、これで助かった~。

 

              「ねね達は近くの敵を退治して、

                         戦士や大賢者になるのです」

                   「……宴……ゴハン……」

 

            二人はヤル気満々に月達に言って更に俺を強く引っ張り続けた。

 

                   「月!! 詠!! 助けてくれ―」

 

          詠はボクは面倒見切れないわと言ってスタスタとその場を去り、

                         月は恋に何かを言ってお金を貰っていた。

           

                  「それじゃあ、恋ちゃんお願いね」

 

           恋はコクコクとなずき、月は俺を見捨ててそのまま行ってしまった。 

       

               

 

 

 

 

 

 

 

 

         俺はとうとう二人に引っ張られ、陣から離れた荒原をあてもなく歩いていた。

 

           「はぁ~、ゲームじゃあるまいし。ここらに敵なんか出るわけ……」

 

                 誰か――――!! 助けて―――――!!

 

             俺は話の途中で、若い女性の絹を裂くよう声が聞こえた。

           

             俺の超感覚、ホンゴウ・センスが素早く位置を特定した!!

 

              「美少女の声はアッチだ!! 恋、ねね行くぞ」

 

          声のする方向に向かって行くと、

            馬車が横たわり一人の雅な身なりをした若い娘に、

                 三人の盗賊らしいヒゲとチビ、デブが迫っていた。

 

 

                   ムムッ!やはり美少女だ。 

                  

        俺は先ほどまでヤル気がなかったのが、この美少女を見て俄然ヤル気が出た。

 

        すると、ねねが、

              ここはねねの出番なのですと言って盗賊に向かって咆哮した。

 

 

                「攻撃まほー!!  チンキューきぃ――く!!」

 

 

            どうみても ただの跳びひざ蹴りにすぎないが、

                  デブの後頭部に直撃してデブはその場に崩れた。

 

         恋も方天画戟を振り回し、あっというまにチビとヒゲを倒してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              俺はすかさず、倒れこんでいる娘さんを抱きかかえた。

 

               「お美しいお嬢さん、お怪我はありませんか?」

 

             ショックのあまり声が出ない娘さんに、俺は優しく微笑んだ。

 

        「美しいお嬢…はぅ、

              あぁハイ、助けて頂き、ありがとうございます。

                 私は長安の京兆尹(長安を統治する最高職)司馬防の子です」

 

          前回の件で、詠に焚書される前に『及川の書』から

                   体得したホンゴウ・スマイルにより

                           この嬢さんは頬を赤らめながら答えた。

 

           「所用で長安に帰る途中に盗賊に会い、あの、馬や従者達は……」

 

           「馬や従者達はどうやら逃げたようですね。

                   宜しければ俺が長安までお送りいたしましょう」

 

                俺は爽やかな青年を演出すべく紳士的に言った。

 

                 「……ハイ、宜しくお願い致します」

 

         あれ、このお嬢さんは頬を赤くしたが

             このホンゴウ・スマイルを10秒以上見た女性は、

                     言葉も出ないほどメロメロになるはずだが…… 

 

 

 

                むむっ、この技はまだ研究の余地があるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                       「お父様!!」

 

              「おおっ、懿よ 無事であったか! 心配したぞ!!」

 

             あれお父さんが司馬で、この娘さんは懿って、と考え込んでいると

             長安の京兆尹 司馬防さんが俺達を見てこちらの方々はと言った。

 

              ねねはまな板のような胸を反り、

                  ねね達は大賢者の勇者ご一行様なのです。エッヘン。

 

               何時のまにか大賢者がパーティーの中心になったが……

                         

                  ともあれ、司馬防さんは驚愕して俺達を見た。

 

 

             「勇者様がこの長安に来られるとは……

                まさに天のお導き。勇者様にお願いがございます」

 

                  司馬防さんは畏まって俺達に語りだした。

 

            今この長安では戦争の準備の為、様々な物資が高騰しております。

           とりわけ食糧が酷い状態ですが最近この長安に『食欲大魔王』という輩

           が出現し、多くの飯店や屋台を食い荒らし、その大魔王が通った後には

           ペンペン草も生えないとのことです。

             

            又、料理人達は再起不能になり店を閉めるものが次々と出ているそう

           です。このままでは長安の民の胃袋を満たすことができなくなってしま

           います。

 

            このご時勢の為、長安の兵を討伐に多数割くこともできず、また幾多

           の腕に覚えがある武芸者が果敢にも食欲大魔王に挑んで行きましたが多

           くが返り討ちにあっております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             「どうか勇者様、この大魔王を退治し長安の民をお救いください」

 

             うぁ~面倒なことになったな と考えていると、

                 司馬防さんは懿よお前からもお願いしなさいと言ってきた。

 

                お嬢さんは俺の手を握り、潤んだ瞳で俺を見上げた。

 

           「勇者様、私を助けたように、どうかこの長安の民をお救いください」 

 

     俺はお嬢さんの髪から匂う甘い香りにクラクラとなりながら、俺は優しくお嬢さんの手を握り返した。

 

             「アナタがそのように憂う必要はありません。

                   この勇者 北郷一刀が見事退治してみせましょう」

 

                      「北郷さま……」

                 「おおぅ、北郷様こそ真の勇者様だ!!」

              

             司馬防さんとお嬢さんは、おれの言葉に感銘を受けていた。

 

 

 

 

 

       「……と言うわけだ。恋、ねね、

               司馬防さんのお嬢さんの好感を上げる…じゃない、

                   この長安の民を救い、大魔王を倒す為にがんばるぞ!!」

 

                     「……がんばろ―」

                     「がんばるのです」

 

 

                  その時!! 市場で悲鳴があがった。

 

 

             大魔王が出たのか!? そう思い悲鳴のあった場所に行くと、

            一人の流民らしき男が店の売り子をしている女性の首元に小刀

            をあて、壁に寄り添っていた。そして、その周囲には騒ぎに駆

            けつけた兵達が遠い巻きで囲んでいた。

 

            「オマエら近寄るんじゃね! 近寄ったらこの女の命がないぞ!!」

 

            「屯長、奴は娘を人質に取りました。これでは手出しができません」

            如何にも悪役らしいセリフだが、警備兵達には十分な効果があった。

 

                      「ご主人さま……」

                   恋が俺に助けるのかと問いかけてきた。

             無論あの女の子を助けなければ、この勇者北郷一刀様の名が廃る。

 

            「よし! 恋・ねね。俺が奴を引き付けるからその隙に奴を倒すんだ」

                 恋達はコクコクと頷き、俺から離れていった。

 

 

                  「雑魚共!! そこをどけ―――!!!」

 

 

         突然、背後からの俺の大声を聞いて、見物をしていた人達は一斉に俺の方を見た。

 

                       よし! 行くぞ。

  

               俺は人垣を搔け渡り、ゆっくりと男に近づいて行った。

                「オイ、 お前!! 危険だ 一般人が近寄るな」

 

                  警備兵の一人が俺の肩に手をかけてきた。

 

            俺はその手をとり、

                「俺は勇者  北郷一刀だ。あとのことは俺に任せろ」

                                と凄みのある顔で言った。

 

 

                   警備兵達は、俺の気迫にたじろいでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    「近寄るんじゃね――!!」

 

                 「俺を見ろ! 武器など持っていない」

 

                        ひぃ!! 

            男は俺が近づいたら抱えている女の咽喉元に強く小刀を押し当てた。

                         

                       ヤバイな……

 

              「よかろう。俺が武器を持っていない証拠を見せてやる」

 

             俺はそう言い放ち、ゆっくりと歩きながら男に近づいて行った。

 

            「鬼におうては服を脱ぎ、

                 仏におうては服を脱ぐ……

                   ここに隠すものなど一切ない、善悪相殺

                     そこには真のフリーダムがあるだけ。

                                   ふふふふ……」

 

 

                    俺が歩きながら服を脱ぎ捨て、

             男の目の前でパンツ一丁となり最後の一枚を脱ぎ捨てた瞬間、

 

                ひぃ―――――――――――――――――――!!

                       男の手が緩んだ。

 

                     「今だ!! やれ恋・ねね」

                        ゴン!! ごき!!

 

                 恋は戟の柄で男の後頭部を強打し、

                    ねねはトドメとばかりに倒れた

                      男の股間めがけて蹴りを入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   「皆の者。これで悪は滅んだ」

 

                   (キャ―――――!!  全裸よ!!)

 

            うむ。俺の的確な対処に多くの民から賞賛の声が挙がったな。

                                     ふっ、決まった。

 

                    「……お前らは、いったい……」

                警備兵の長らしき男が、弱々しく俺に尋ねてきた。

 

             「俺達はこの長安の司馬防様に頼まれ、

                   これから大魔王を倒しに行く勇者 北郷一刀だ」

 

             「おおっ、大魔王に挑まれる勇者でしたか、

                 大魔王でしたらその角を曲がった五軒目のお店です」

 

                 「うむ。かたじけない。恋・ねね行くぞ!」

                      「ハイ、ですの」

 

 

         そして、俺は衣服を手に持ち、

                  颯爽と大魔王が居る牙城に向かうべく踵をかえした。

 

 

              

 

          (俺さっき聞いた話では、連中は司馬防様のアノ子供を助けたそうだ)

          (エッ! 司馬防様と知り合いだと公然ワイセツで逮捕できないな……)

          (ああ、それじゃあ、ヤツも、司馬防様のお子様と同じ変たぃ……

                いや、我々は連中を何も見なかった!うん、そうしよう!)

 

            なにやら、警備兵達は俺の偉大な行動に色々と語り出したようだ。

               まぁ、これがやがて人々の話題となり、

                    のちの後世の英雄談として語り継がれるだろう。

 

 

 

                    それより今は、大魔王討伐だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                 「ここが、大魔王の居る牙城か」

 

 

             俺達は一軒の飯店、『紅洲宴歳館・泰山』の前に来た。

              泰山か、死者の霊が行くという霊山の名を使うなど

                 まさに大魔王の牙城に相応しい名だ。

 

                      ぎゅ~~う~~♪

 

              飯店から流れ出る数々の料理の美味そうな匂いに、

                恋のハングリ―・アラームが鳴り出した。

 

                 「……ご主人さま、恋お腹減ってきた」

 

              ヤバイ、ここは急がなければ恋が戦線離脱してしまう。

                    

                  よし、

                    俺達は勢いよく店に入った。

 

                     「イっらっしぇエ――!!」

 

                 店の親父が威勢よく、掛け声を寄越してきた。

 

                   「親父!! 大魔王はどこだ?」

        「オウ!! 大魔王はアッチの三番テーブルだ。

                 チキショウ三番に料理があがったよ。てやんでぃベラボ―」

 

 

             俺は店の親父が指差した方向を見ると、

                 三人の少女達が物凄い勢いで料理を貪り喰っていた。

 

                     「キサマが大魔王か?」

                  俺はトラの髪飾りをしている少女に聞いた。

 

         「うにゃ?鈴々は今食事中で忙しいのだ。話はそこのハルマキ頭に聞くのだ」

 

            俺は机の上に山のように積まれていく皿に隠れている

                  ハルマキ頭の少女とポニーテールをした少女を見た。

             こちらもトラの髪飾りをしている少女に負けない位

                          のペースで料理をかきこんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        俺はハルマキ頭の少女に聞くと

           「うん?ボクは今コイツに挑んでいるんだ。

                    邪魔しないで!! おじ―さん、まんが肉追加ね~♪」

 

           わーったよ、チキョウ!

             という店の親父の罵声を聞きながら俺が途方にくれていると

               ポニーテールをした少女が食べながら俺に話しかけてきた。

  

         「アンタも、コイツに挑むのか?

              アタシも今コイツに挑んでいるが……もぐもぐ

                帰りな。コイツはアンタが挑める程生易しいものじゃないね」

 

 

        

            ふむ、どうやら大魔王を退治するのは、

                         大魔王に大食いで勝つ必要があるらしい。

 

               しかし、こちらには最終兵器 無限の食欲 恋がいる。

                          

                      この勝負もらった!!

 

       「よ~し、恋好きなだけ食べていいぞ~。そして連中にギャフンと言わせるんだ!」

              「えっ、……ご主人様、 恋ゴハン食べていいの? でも……」

            おや?普通なら迷うことなく食べ出す恋が、珍しく躊躇していた。

 

           「どうしたんだ?恋、好きなだけ食べていいんだぞ。

                    勘定は長安の司馬防さん持ちにすればいいんだから……」

                すると恋は数十枚の貨幣と木片を出し俺に言った。

 

           「恋、買い物頼まれた……

                     だから、買い物してこなければならない……」

 

               そんなことか、容易いことだ。

                  俺は恋に買い物は俺がしてくるから、

                      恋は心置きなく食べるように言った。

 

                    「うん……恋、ガンバル……」

 

             「恋殿~ このねねが、ここで恋殿を激励しますのです。

                      ボケ主人はとっとと買い物にいくのです」

 

         恋が一皿目を数秒で完食して、

                  次の皿に手を出すのを尻目に俺は恋の頼まれた買い物に出かけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    一刻が経った頃、

 

 

          俺は買い物を済ませ、

               飯店に戻るとねねは疲れ椅子に座りながら寝ており、

                             恋は今だ黙々と食べていた。

 

           そして、残りの少女達はお腹がはち切れんばかりになり、

                          ピクリとも身動きしていなかった。

 

              「……ご主人様、恋勝った。ぶぃ……もぐもぐ」

 

             よし、勝利したか。

                俺は満面の笑みを浮かべながら

                       横たわっている少女達を見た。

 

            するとポニーテールをした少女が息も絶え絶えに言ってきた。

 

          「これで勝ったと思うなよ……

                 まだ、第二・第三の大魔王が現れ、お前等の前に……うぷっ」

 

          

              すると、店の店員がドラを鳴らし、試合終了~と言った。

 

          

            そして、

              「今日からオマエが、大食い大魔王だ!! ベラボーメ」

                        店の親父は恋に賞金を渡ながら言ってきた。

 

 

                        あ  れ?

 

       

             俺は疑問に思い店の親父に、

                     巷を騒がす『食欲大魔王』とは?

                                    尋ねた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          店の親父の話では、    

             この店の大食い大会で優勝した者は、賞金としてこの界隈

            の飯店の無料飲食券一ヶ月分が渡されるが、この連中の胃袋

            は尋常でなく、あまりにも食べるので一ヶ月分の無料食事券

            のつもりが一年分の食事券と同じことになってしまった。

            

             更に他の客に料理を出すヒマもなく、この連中が去った後

            には、もう食材も無くなり早々に店じまいをしているそうだ。

 

 

             そして、この連中はタチが悪いことに毎回大会で優勝するも

            のから、飯店では食欲大魔王が来ると戦々恐々としていた。

 

 

            

         「おおぅ、

              これで連中は無料食事券が使えなくなったことで

                    店の損失は少なくなったてなもんだ。チキショウメ」

 

 

 

 

         その話を聞いていた大賢者ねねは、目をこすりながら店の親父に言った。

 

        「……そんなに店が困るなら、

                 最初から無料食事券を止めればいいのです。ふあ~~」

 

          

        

              知者の核心を突いた発言に、固まる親父達であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         「と言うわけで司馬防様、

            長安を騒がす食欲大魔王は見事この勇者 北郷一刀が退治致しました。

           しかし、この連中から色々と話を聞きましたが料理人達が、

                       店をたたむようなことはしていないそうです」

 

 

             司馬防さんは大いに喜び、俺達を労ってくれた。

           そして、俺のお目当てである司馬防さんのお嬢さんは俺をまるで英雄

                    に恋焦がれる王女のような表情で俺を見ていた。

 

                  よ~し、決まったな。ふふふ……

 

           「おおっ!そうじゃこの偉大な勇者様に何か褒美を出さなければ……」

               俺の期待が高まった。ここで褒美とくればもちろん……

 

                 「お父様、私は北郷一刀様をお慕い申します」

                    と言ってお嬢さんはいきなり、俺にキスをした!!

 

           あまりの出来事に、

             俺はほんわか~として天にも昇るような気分になってしまった。

 

          司馬防さんは娘の大胆な行動にとても驚き、俺に向かって言った。

         「ナント!! お前、それはまことか!? 勇者様が宜しければ早速にも……」

 

 

 

                   キタッ――――――――――――――!!

 

 

 

          俺が心の中で歓声を挙げると、背後の扉が勢いよく開き月と詠がそこにいた。

 

         「アンタ達、帰りが遅いと思い探していたら……

             司馬防様、この者達は我々の客将でこの戦いに必要な人材です。

               申し訳ありませんが急ぎ戦場に戻らなければならないので……

                                    これにて失礼致します」

                      

                           と詠達に引きずられるように城を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                「あ~~ぁ、俺の麗しの司馬ルートが……」

 

           ねねにしがみつく様に馬乗っている俺はせっかくの機会を逃し、

                       うらめしそうに詠に聞こえるように言った。

 

          「ハぁ、司馬ルート? また、訳のわからんことを…… 

                それにしても、アンタ、また長安で色々と変な事をして、

                     コッチの身にもなってよね。

              それと変な奴と思っていたけど……まさかアレと類友とはね……」

 

                      「類 友?」

 

          「あら、アンタ気がつかなかったの?

                     司馬防様の息子 仲達は『女装癖がある男』なのよ」

 

               俺は詠の衝撃的な話に耳を疑い、月に尋ねてみた。

 

        「はい、仲達さんは洛陽までその才は鳴り響いているのですが……

             あの性癖のせいで中々仕官も出来ず、

            『それならばいっそ、適当な男を見つけ嫁に出すか』

                       という噂があるぐらいなんですよ」

 

                  

                  デハ、俺ノクチニツイタ、アレハ……

 

           

        「ねねや恋殿は、一目見たときに気づいていたのです。

                           ヘボ主人だけが分からなかったのです」

 

                       

                  「ねねでいい!!   口直し!!」

 

             「ぎゃ~~  なにするのです!! このボケ主人!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             俺とねねのやりとりを微笑ましく見ている月に、

                        恋は買い物の品を渡していた。

                 

 

            「あっ、そうだ!月、買い物は寒天で良いんだよな?」

 

                俺は大切そうに荷を抱きしめている月に言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              「はい、  寒 天の御使い  ご苦労様です♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            その頃、長安の屋台ではツインンテールをした少女が、

                           屋台の店主に罵声を浴びせていた。

 

             「こんな料理でよく店出せるわねえ。

                       春蘭、一刀、次の店行くわよ。次!!」

             

             「華琳、 もう十軒目だぞ いい加減、止めたらどうだ……」

 

             華琳は次の獲物を狙う虎のような目であたりを物色し、店の

            店主たちはあるものは屋台をそのままにして逃げたり、またある

            ものは屋台の前に閉店の看板を下げていた。

 

             「まだよ。

                それにしてもこれは私の気分転換にいいわ。

                   うん、長安の料理の品質があがるから一石二鳥よね~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (あとがき)

 

      はじめまして、

        この度は、美陽攻略戦 北郷一刀と天の御使いをご覧になって

                        頂きました誠にありがとうございます。

 

          

             新春一番の例の外伝ですが、投稿当初支援もコメもなくヤベー!

            引いたかと不安になる衝撃の問題作でしたが意外にも皆様から支援

            やコメ、応援等を頂きました。

 

                   皆様、大変ありがとうございます。

 

             さて、本来ですとこの回は順番的には本編のはずですが現在本編

            外伝・テキトーを行き当たりばったりに書いていたら外伝の方が早

            く完成したのでこちらを先に投稿致しました。

           

             今回ですが…… 最後の部分で皆様は氷点下になったでしょうか?

             

            この話は、呉√が種馬、蜀√国主 魏√が天の御遣い アレ? 董卓√

            は何をするのかな?と言う発想からでました。外伝である本編では

            笑い重視の為、最後のオチが『買い物のおつかい』となりました。

             この話にでる仲達の女装ですが、例の孔明が女物の服を送る話か

            らきています。それのしても、この董卓の一刀段々暴走しているよ

            うな……まあ、英雄ですから色々なことが武勇伝になっていくので

            しょうか(笑)

        

         

        最後まで読んで頂きましてありがとうございました。

 

 

 


 
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