No.111950

真・恋姫無双紅竜王伝激闘編⑤~凪のご褒美~

週1ペース守ってます!激闘編第5話です。今回は戦争から外れて拠点イベントですが、少々短すぎたかも・・・
最後に今後のあらすじも掲載してます

2009-12-13 04:15:19 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:6168   閲覧ユーザー数:5175

「凪!」

疲労困憊で朦朧とした私の意識は、あの人―――大好きなあの方の胸に抱かれて現実に引き上げられた。

「よくぞ生き延びて帰ってきた!ありがとう、凪・・・!」

(ああ―――よかった。生きて帰って来て、本当に、よかった)

許昌城に帰還して数日後、凪は将軍専用の食堂に一人、ちょこんと座っていた。昼食時より少し前で周りには誰もいない。かといって彼女一人だけではない。

「凪、もうちょっと待っててくれなー。もう少しで出来るから」

「は、はい」

厨房に立つのは漢の大将軍・織田舞人。彼の手には中華鍋が握られ、厨房内には美味しそうな香りが漂っている。

(隊長の料理・・・♪)

そもそもなぜこのような状況になったかというと―――

「褒美・・・ですか?」

許昌城に戻った翌日、舞人に呼び出された凪は、舞人がある意味悩んでいた事柄について質問を受けていた。

「ああ、俺もよく頭を捻ったんだがどうにも出てこない。それならいっそ本人に聞いてみようかと思ってな」

普通の武将なら土地や官位を与えれば事足りる。例外の武将でも物を与えればいいのだが、目の前に立つ真面目な格闘少女に何を与えたら喜ぶのか皆目見当がつかなかったのだ。

「お、恩賞なんて・・・」

頬を赤らめてモジモジとする凪。食欲以外の欲に乏しい彼女にとって、急にそんな事を言われても・・・という感じだ。

「どうだ?なんかないか?俺に出来る事なら何でもするが・・・」

「美味しい!美味しいです隊長!」

そこで彼女が選んだのは唯一豊かな欲である『食欲』、即ち料理を食べる事だった。

「そ、そうか」

(ちょっと辛味を入れ過ぎた気がしないでもないが・・・まぁ喜んでくれるならいいか)

実は舞人、料理は人並みには出来るのだ。今こそ大将軍として軍の頂点に立つ彼だが傭兵として各地を転戦している頃は一兵卒として戦っていた事もある為、炊事は得意なのだ。

辛い料理が大好きだという凪に用意したのは辛い料理の山。笑顔で箸を進める部下の顔を見て「ああ、よかったな」と思える舞人だった。

ちなみに凪は戦地から帰還した親友2人に「なんで『私を食べてください』っていわなかったんや(のー!)!」と責められたのはまた後の話・・・

次回以降予告

南は孫呉、東は劉備、北に袁家残党、西に馬超軍。

東西南北に敵を抱え、許昌に戻った舞人はまず北伐を開始する。

「いやはやさすがのご英断!この袁煕感動いたしました、さすが袁譚様は選ばれし英雄でございますなぁ、いやはやほんとに全く」

「名門袁家の当主たるあたくしにかかっては紅竜を片付けるなんて赤子の手を捻るようなものじゃなぁい?」

「まったくもって!」

立ちはだかるは汝南袁氏の一門で実力者だった『袁家三人衆』。

「馬鹿どもにいつまでも構ってられん!一気に潰せ!」

一方南の寿春城では、小覇王が親友と共にかつての思い人に想いを馳せる。

「ねぇ冥琳。子供を産むなら相手は絶対舞人がいいわよね?」

「・・・そうだな。天下を取って織田殿に求婚するとしようか」

「あ~。冥琳顔赤くなってる~」

「う、うるさい!」

西では、馬超・韓遂連合軍が魏軍相手に連戦連勝。しかし―――

「なぁ、たんぽぽ」

「なに、お姉様?」

錦馬超は従妹の馬岱にふとした疑問をぶつける。

「韓遂叔父の所に曹操の使者が出入りしてるって事・・・どう思う?」

固い結束が必要になるはずの連合軍に、亀裂が生じ始めていた。

そして―――すべてが崩れた時、義姉妹に別れの時が―――

「愛紗ちゃん!」

「愛紗ー!」

「鈴々!桃香様を頼むぞ!私は―――」

美しき黒髪の軍神は、義妹に、仲間たちに敬愛する義姉を託して立ち向かう。

「紅竜王を止める!」

紅き竜王を、迎え撃つべく出陣する。

(たとえ、我が身が斃れても―――あなたを止めて見せる!)


 
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