No.108313

真・恋姫無双紅竜王伝激闘編②~曹操・織田包囲網~

激闘編第2弾でございます。
いよいよ戦国乱世に突入していきますが、今後は週1ペースで投稿したいなぁ・・・というのが目標です。

2009-11-22 13:01:56 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:6763   閲覧ユーザー数:5630

許昌に建築された後漢王朝王宮の玉座の間には、皇帝・劉協の即位を祝う諸侯が膝まづいていた。

彼らの戦闘で膝をつくのは紫紺の直垂を纏った曹丞相と、深紅の直垂を纏った織田大将軍。曹丞相こと華琳が諸侯を代表して祝いの言葉を述べる。

「この度の御即位、諸侯と民を代表いたしまして、この曹孟徳が御祝い申し上げます」

華琳の名のもとに召喚された諸侯のなかには鮑信・張魯ら曹操派の者もいれば、袁術と孫策のようにお互いが対立をしていて、お互いが有利な裁決を得るために上洛している者もいた。

即位式の後に華琳の丞相就任式及び、舞人の大将軍就任式も並んで行われた。さらに――「曹孟徳を魏王に任ずる」

華琳を王に任ずる勅命を下した。これにより、彼女が名実ともに皇帝を守護する任を負ったと諸侯に知らしめることになった。

そしてその夜、舞人は月夜のもと手酌で酒を飲んでいた。城内では華琳が王に就任した事を祝って桂花達の主催で酒盛りが行われていたが、「酒は少人数で静かに飲むもの」というポリシーを持つ彼はそっと抜け出して酒を飲んでいたのだ。

「舞人、ここにいたのね」

「華琳か」

そこには酒宴の主役であるはずの彼女が。どうやら酒宴を抜け出してきたようだ。

「酒宴の主役がこんなところにいてもいいのか?」

「別にいいわよ。あの子たちはあの子たちで楽しんでるから」

華琳は舞人の隣に腰をおろし、彼に体をくっつける。

「おいおい・・・こんなところを桂花に見られたら、俺殺されっぞ」

「ふふふ・・・」

舞人の情けなさそうなセリフに華琳は笑いをもらした。そして、ひとしきり笑うと表情を引き締めて告げた。

「劉備と馬騰が反旗を翻したわ」

月明かりの下で、2人は身を寄せ合って酒を酌み交わしている。何も知らぬ者が見れば恋人同士が愛を語り合っているように思えるだろうが、その内容は色気も何もないものだった。

「劉備はともかく・・・馬騰が謀反とは意外だったな」

「馬騰の盟友・韓遂が首謀者ね。涼州連合の総帥・馬騰は病を得て動けないから彼女の娘・馬超が総大将になっているわ。劉備の方は車騎将軍・董承がどうも泣きついたみたい」

韓遂は涼州連合に属する軍閥の長の一人で、華琳が漢王朝の実権を握るまで幾度も蛮族と手を組んで中央に反旗を翻してきた札付きの者だ。一方の董承は代々漢王朝に忠誠を尽くしてきた家柄で、先帝にも用いられてきた重鎮である。

「共通点がまるでない2人だな・・・でもお前の事だから、もう動いているんだろ?」

「ええ。董承のほうはすでに逮捕に出向いた時点で自害。韓遂・馬超・劉備に対してもすでに陛下から追討の勅命を頂いてるわ。そこで、あなたには劉備討伐軍の指揮を執ってもらいたいの。私は馬超討伐に向かうわ」

「ほう?」

舞人はおや、と思った。それではまるで―――

「相手の策略が分かっていてそれにあえて乗る訳か?」

「えぇ。それとあなたから依頼されていた孫策と袁術の事だけど、陳宮解放など孫策有利の裁決を下しておいたわよ。袁術は不満そうだったけどね」

ただ、と華琳は続ける。

「孫策も、この決定で漢に服するほど大人しい性格ではないと思うけどね」

帝のあいさつを終えた野心高き諸侯が国に帰った後、華琳は諸将と魏に臣従する諸侯を集めて軍議を開いた。議題はもちろん『馬超・劉備討伐』である。

「この度の戦、我らは軍を二手に分ける」

華琳はまず徐州を指し

「劉備討伐軍は15万。織田大将軍が指揮を執り、張遼・張郃・楽進・于禁は彼の指揮下に入ってもらうわ。参謀には田豊。いいわね?」

『御意!』

「涼州方面はこの曹孟徳が指揮を執ります。指揮下には夏候姉妹・李典・許緒・典韋。さらに長安で我が一門の曹仁・曹洪が合流することになっています。兵は20万。参謀には荀彧と郭嘉」

『御意!』

「程昱には許昌を守ってもらい、兵糧などの輸送を担当してもらうわ」

「了解しました~」

「鮑信殿には程昱の指揮下に入ってもらい、洛陽の守りをお願いしたいのだけどよろしいかしら?」

「おまかせあれ」

その他の諸侯にも東西南北の守りを指示すると、解散を宣言した。

出陣は、2週間後。

一方討伐を受ける劉備は居城・彭城をはじめ、小沛城など主要な城の改修工事を急いでいた。その一方で袁術の支援が打ち切られた呂布を打ち破って配下に加えるなど徐州平定をほぼ終えていた。

「桃香様、すこしまずい事態ですね・・・」

彭城玉座の間で軍師・諸葛亮は、主君の前で可愛らしい顔に陰りを見せていた。

「もう少し防衛準備をする時間が欲しかったところだけど・・・他の人たちとうまく連携をするしかないね」

しかし計算通りに動いた面もあった。

「こちらに向かう軍の指揮は紅竜・・・織田舞人さんが執るそうです」

「漢王朝を守護する紅の竜・・・漢王朝を劉家の手に戻すにはあの人の力が必要なんだよね・・・」

曹操と紅竜に操られている漢王朝を在りし日の姿に戻し、みんなが手を取り合って笑っていける世にしたい―――そんな夢物語のような世界を、劉備は本気で目指していた。

「私は、私の夢の為に戦う!そして漢を救う!その為に―――織田舞人さん!あなたを私の手中に収めさせていただきます!」

彼女の宣言―――それは、暗闇で3人の男によって築かれた『曹操・織田包囲網』が完成した宣言でもあった。


 
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