No.106427

真・恋姫無双紅竜王伝激闘編①~「形あるもの、いつかは終わる」~

まず皆様に一言。
更新遅れて申し訳ありません・・・orz
久しぶりの投稿です。変換の関係で今回から『激闘編』と名付けて①からのスタートです。
これからもよろしくお願いします。

2009-11-11 01:30:39 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:6596   閲覧ユーザー数:5420

許昌に戻った舞人は丞相に就任する華琳と共に大将軍に再任する事が内定し、袁家から降った諸侯を含めた軍の再編成に頭を悩ませていた。

そして華琳が袁紹を破って版図を拡大した時期とほぼ同じ頃、大陸の情勢も変化していた。袁術配下にあった江東の孫策が自身を慕う諸豪族や妹の孫権などの一族を糾合して徐州の劉備と睨みあう袁術の背後を脅かすべく反旗を翻したのだ。

さらに漢中の五斗米道を率いる張魯が益州太守・劉篶没後、後を継いだ劉璋に自分を従わせる実力なしと踏んで兵を挙げ、討伐に来た劉璋軍を撃退。さらに彼は中央―――華琳に近づいて漢中太守に任じられ、自身の挙兵の正当性を獲得した。

劉備は未だに呂布と袁術相手に戦っていたが、関羽・張飛・趙雲など将の質で勝る劉備軍は数の差を覆して次第に優位に立ってきている。

その様な状況のなか袁紹を破って河北をほぼ統一した華琳は、天下を取るべく策をめぐらせてゆく。

しかし、そんな彼女の足を引っ張らんとする者達も暗躍していた・・・

光武帝から数える事11代目(史実で11代目の皇帝・劉弁は即位していないので)の皇帝・劉協は丞相・華琳と大将軍・舞人を呼び出し、2人が彼女の私室に入るや否や開口一番こう告げたのだ。

「朕の即位式を行ってはどうだろう」

「もうやったじゃねぇか。呆けたのか、お前?」

半眼の舞人はパコン、と皇帝の頭を叩く。「ち、違いますよぅ」とちょっと涙目の皇帝陛下はいったん解かれた『皇帝モード』に戻り、ポカンとしている華琳(さすがの彼女も皇帝がはたかれるとは夢にも思っていなかった)に向き直る。

「簡単な事だ。孟徳、そなたが朕の名で諸侯に上洛命令を下し、『曹孟徳は皇帝の名を使えるまでに勢力を強くした』と印象付けよ。そして上洛せぬものは我が漢王朝に従わぬ逆賊として討伐・・・子供にも分かる大義名分が得られるぞ」

華琳は唖然とした。劉協は『お前の天下取りに自分の権力を使え』と隠そうともせず言っているのだ。

「わ・・・分かっているのですか?陛下は臣(華琳)に高祖が起こし、光武帝が復活させたこの王朝を潰させようとしているのですよ!?」

思わず後半は悲鳴に変わる。華琳は皇帝や王朝を利用する気はあったが、潰そうとまでは考えていなかったのだ。それに重ねて皇帝自ら王朝の権威を失墜させるような発言・・・しかし当の皇帝は、ふっと寂しそうに微笑んだ。

「民の暮らしを守れぬ王朝など、いっそ滅んでしまえばいい。孟徳よ、朕はそう考えているのだよ・・・」

「舞人、陛下があのようにお考えだったのは知ってたの?」

「いんや、知らなかった・・・知らなかったけど、あいつならいつか言いだすんじゃないかなっていう予感はあったよ」

劉協の自室を辞した2人は、将軍などの高官専用の食堂で昼食の大皿をつついていた。

「『形あるものはいつか終わりを迎える。我が王朝もその時だ』・・・か」

「そうね。終わりが来て、始まりが来る・・・今はまさにその時かもしれない。舞人、あなたに任せてあった軍の再編成案の提出、締め切りを早めてもかまわないかしら?」

「任せとけ、曹丞相殿」

『洛陽の変』で炎上した後漢の前の首都・洛陽は曹操のもと、復興に向けて動き出していた。

その街の一角、高級文官の屋敷が並ぶ住宅群のうちの一軒の屋敷で密談は繰り広げられていた。

「それでは手順を確認いたしますぞ」

『うむ』

密談に参加するのは3人の男。彼らの顔には一様に緊張の色が広がっている。

「・・・それでは私は計画通りに―――殿には陛下を欺く悪しき紅竜を捕らえる依頼をいたします」

「ではわしは―――とともに兵を挙げて孟徳めを長安に引っ張りださせる。そして―――」

「拙者が―――に乗じて帝を奉じ、―――殿のもとにお届けし、曹操追討の詔をいただく・・・これでよろしいな」

「うむ、では成功を祈って乾杯いたしましょう」

3人の男の持つ杯がカァン、と甲高い音を立てる。

『すべては漢王朝の栄光をお守りする為・・・』

次回予告(次もするかは不明)

華琳は諸侯に上洛命令を下す。

苦境に立たされた者は己の保身のために。

雌伏の時から立ち上がる者は大義名分を得るため。

それぞれ曹孟徳の居城・許昌を目指す。

しかし東の大徳は義憤に燃え、孟徳の覇道の前に立ちはだかる。

「私は漢を救う!その為に―――織田舞人さん!あなたを私の手中に収めさせていただきます!」


 
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