No.107741

新たなる外史の道 22 劉備、来蒼

タナトスさん

恋姫無双の愛紗ルート後の二人が真の世界にやってきたら?
という妄想から生まれた駄文です。
読んでもらえれば幸いです。

2009-11-18 22:51:51 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:8512   閲覧ユーザー数:6171

蜀から劉備が来る・・・

 

そのニュースは蒼の国中に知れ渡る・・・

 

果たして戦争回避は出来るのか……?

 

それとも戦争状態の継続か……?

 

この大陸は正にその話題で持ちきりだった・・・

 

 

≪劉備サイド≫

蜀を出発してから1週間ようやく蜀と蒼の国境に到着した。

 

私達の会談に臨む人員は私、朱里ちゃん、愛紗ちゃん、焔耶ちゃんだ。

 

護衛は必要ないと私は言ったが、愛紗ちゃんと焔耶ちゃんはダメです! 着いていきます! と言い張りこの人員となった。

 

雛里ちゃんや他の人達はもしもに備えて、お留守番だ。

 

暫く馬で進むと蒼国境の関所が見えた。

 

「劉備様ですね?」

 

門番の兵隊さんの一人が私に尋ねてくる。

 

「はい」

 

私は簡潔答える。

 

兵士達は即座に開門を命じ、門が開く。

馬を進めると、一人の男の人が私達を出迎えた。

 

「劉備様、諸葛亮様、関羽様、魏延様ですね。お待ちしておりました。ここから幽州までは不肖ながら私めが馬車にてご案内いたします。どうぞ」

 

男の人は馬車を丁寧に指し示し私達を案内した。

 

その指し示す先には黒塗りの四頭建ての馬車があった。

 

あれが蒼の長達が乗る馬車か・・・

 

私達は馬車に乗り込むと馬車は走り出した。

 

最初は緩やかな景色からとても速い速度で走りだす。

 

硝子越し見る景色は私の目から線となって消えていった。

馬車に揺られる事、一時・・・

 

北郷さんの首都、幽州に到着した。

 

水掘りと石作りの橋を超え城門を抜けるとそこには・・・・・・

 

大きな大きな通りと大きな市が開かれ一杯の商店が広がっていた・・・・・・

 

街路樹を挟んで馬車が四台は通れる大通りには馬車が南北に規則正しく行きかい、警察官と言う人たちが交通整理を行っていたり、歩道と言う所には人の切れ目が無く、多くの買い物客で賑わっていた・・・・・・

 

これだけで蒼の国力の高さが私達には身に染みた・・・

 

私達の国の大通りとは大違いだ・・・

 

こんな大国と喧嘩しようとしてたんだ・・・私達・・・

 

今更ながら命知らずな事をしたなと思ってしまった・・・・・・

 

それだけじゃ無い、町は石作りの建物や、木の建物など様々な建物がある。中には五階建ての建物まである。

 

私は一際目を引く五階建ての建物を指差しながら馬車の操縦士さんに問いかけた。

 

「あの建物は何ですか?」

 

操縦士さんは建物を見ながら納得した様に言う。

 

「ああ、あれは幽州百貨店です。あの店舗には様々な商品が販売されています」

 

「へ~・・・」

暫く進むと、今度は石造りの建物が目立つようになった。

 

人々が集まり、瓦版を読みながら表みたいなものを熱心に見ていた。

 

今度は朱里ちゃんが質問した。

 

「皆さん真剣に表など見て何しているのですか?」

 

操縦士さんは答える。

 

「あれは証券取引所で株取引の表を見ているのです」

 

朱里ちゃんは解らない単語を質問する。

 

「証券取引所とは?」

 

「私も詳しくは存じませんが、主に株式や債券の売買取引を行う為の施設であり我が国の経済の中心的な役割を担う場所でございます」

 

操縦士さんがそういう。

 

う~~~ん・・・全然解らないよ~~~

 

「愛紗・・・何言ってるか解るか?」

 

「・・・解るわけが無いだろう・・・」

 

焔耶ちゃんの言葉に愛紗ちゃんも解らないと返す。

 

朱里ちゃんは言葉の中で出てきた疑問を口にする。

 

「株式と債券とは?」

 

「株式とは株式会社における出資権のことでございます。債券とは、社会的に一定の信用力のある発行体が資金を調達する際に、金銭消費貸借契約類似の法律関係に基づく金銭債権の内容を券面上に実体化させて発行する有価証券のことをいいます。広義には券面が発行されない場合も含まれておりますな」

 

操縦士さんの言葉が呪文の様に聞こえてきた・・・

 

「・・・愛紗・・・」

 

「私に聞くな・・・」

 

焔耶ちゃんの言葉を愛紗ちゃんがそう言いさえぎる。

 

朱里ちゃんは一人納得していた。

証券取引所の道路を抜けると次に大きな建物と敷地がありその中央には時計と言うからくりが目に入る。

 

「ここは一体・・・」

 

私の質問に操縦士さんが答える。

 

「あれは我が国唯一にして我が国の最高学府たる幽州王立大学でございます」

 

その言葉に朱里ちゃんが反応する。

 

「アレが大学ですか・・・」

 

確かに敷地内では賢そうな人たちが話している所が見て取れる。

次に私達の目に飛び込んできたのは大きな石造りの建物だった。

 

「あれは一体・・・?」

 

「アレは我が国の唯一の立法府、国会の議事堂、通称、鳳凰殿でございます」

 

朱里ちゃんの質問に操縦士が答える。

 

「アレが蒼の政治の中枢・・・」

 

朱里ちゃんは呟くように操縦士さんの言葉を理解していく。

 

「アレは?」

 

「あちらは、司法府の最高機関、蒼最高裁判所、通称、天秤殿でございます」

 

「アレが蒼の法の番人の集う場所・・・」

 

操縦士さんと朱里ちゃんの言葉に私達三人は最早着いていけない・・・

 

更に進むと、軍服を着た人達が目立ち始めた。

 

「あちらの建物は・・・?」

 

「あちらは、我が国の防衛の要、軍務省でございます」

 

「ホウ、あれが蒼の軍事の中枢か・・・」

 

愛紗ちゃんが操縦士さんの言葉に反応する。

 

焔耶ちゃんも反応した。

 

関係あることや興味あることには反応するんだね・・・二人共・・・

 

「あちらの建物は?」

 

私の質問に操縦士さんは答える。

 

「あれは中央区役所でございます。区役所は東西南北中央の五つに分類されております」

 

「どんな事をする所なんですか?」

 

「大まかに言いますと、戸籍の登録、外国への関所に必要な通行手形の発行、税金の支払い、などがございますな」

 

「へ~~~」

 

私は理解できないまま相槌をうつ。

ようやく北郷さんの居城が見える。

 

しかし・・・大きい・・・その一言につきる。

 

「さあ、ここが我が国の全ての中枢、王政府、建物の正式名称が蒼国王政殿幽州城、通称、幽州城でございます」

 

私達を乗せた馬車は騎兵銃を持って警備する橋の入り口まで近づく。

 

「彼らは、北郷 愛紗様直轄の第一近衛軍特務護衛任務師団、第一大隊の方々です」

 

通りで強そうなわけだ・・・

 

「この感じ・・・私と同じくらいの実力か・・・」

 

焔耶ちゃんは悔しそう呟いた。

 

焔耶ちゃん位の強さになるまで訓練したって・・・どれほどの地獄を北郷夫人は彼らに施したのだろうか・・・想像できない、したくない・・・

 

きっと、身の毛も弥立ち、血の気も凍るなんて言葉が生暖かく感じるほどの地獄を彼等に与えた事は想像に堅くない・・・

 

そんな事を考えていると橋の向こう側の城門が開く。

 

「どうぞ、お入りください」

 

近衛兵の人達の指示に従い馬車は正門を潜る。

 

この会談何としても成功させたい。

 

そんな想いが私の心を占めていた。

 


 
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