No.106860

小休止 クラトスと魏の主と二人の姉妹

さん

どもどもKです。
もうすぐブログの更新が済むのでそろそろクラトス編を更新したいと思います。今回は拠点フェイズ的展開です。ではではー

2009-11-13 21:58:16 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:2694   閲覧ユーザー数:2489

今回は拠点フェイズです。なのでクラトス視点という事で。

 

尋問(?)を受けてから数時間が経ち、ようやく私は解放された。

 

まさか曹操が女人だったとは…こればかりは予想外であった。

 

あの筋肉達磨が言っていた「外史」とは、恐らくこういうことではなかったのか…と私は少し自分の考えを纏めてみる事にした。

 

まずこの世界は一体何なのか?…人々が現代で有名な三国志の物語が確立された仮定が膨れ上がりその仮定が何らかの形で実現してしまったのではないのか。その世界を外史といい、今の現代で知れ渡っている三国志の事を正史というのではないか。

 

…と考えれば、趙雲や曹操が女人だったという事にも説明がつく。

 

何故なら三国志の人物名が特定してもそれが男人か女人かまでは文献を読んでも分からないからである。女人が殺しあったりしている描写があるのがまずいのか、それともハッキリと男だといえる証拠が残っているからかは定かではないが(恐らく後者だが)、現代の三国志は登場人物の殆どが男だ。

 

だが、この世界では有名な人物(今の所)の性別が逆転している。恐らく先ほど述べた仮定の話に接続すると「登場人物が全員女なのではないのか」などという仮定もあった筈だ。

 

…だとするとその仮定を生み出した者は中々の思考を持っていると思う(皮肉的な意味で)。

 

ここはその仮定の生み出した世界なのだ…と考えた方が今の所現在の情報と一致するので恐らく合っているとは思うのだが、私はあえてその仮定を信じない。

 

私の仮定とは言え、本当かどうかも分からない答えを信じるわけにはいかない。何より此処は未知の世界なのだ。曹操など知っている武将はいるにせよ、その他の人物、この地の特色…などまだ殆どが分からない事ばかりなのだ。今はまだ、時の流れに身を任せるしかない。下手に詮索して考えが纏まらなくなっても仕方がない。暫くこの世界の事を考えることは止める、という結論に達した。

 

さて…曹操殿に仕え、共に覇道を歩めるようになったのは良いが…

 

「何をすれば良いのか…?」

 

いきなり詰まってしまった。

 

まあ、曹操殿にこの部屋で待ってるように、との指示があったので何か仕事を与えてくれるとは思うが…実を言えば正直、嫌な予感がする。

 

曹操殿と初めて顔を合わせたときに感じたのは、年傍もいかない少女の割に強い威圧感だけはない。あれは…そう、見た目から感じられる気の強い意思…いや、強すぎると訂正したほうが良いな。とにかく嫌な予感がする。背筋に悪寒が走っているのは今し方の事ではない。

 

(何のかは分からないが)…覚悟をしたほうが良いかもしれない。

 

「待たせたわね。」

 

「!曹操殿…。」

 

「あぁ、その事だけどね…これから私の事は「華琳」と呼びなさい。」

 

と、何故か自分の名前ではなく「華琳」と呼べと言う。

 

「かっ、かかかか華琳様!そのような男に真名をお許しになると言うのですか!?」

 

バーン、と部屋の扉が開けられた(開ける、と言うより破壊する感じだったが)そこには夏候惇が息荒げに立っていた。後に続いてその妹の夏候淵もいた。

 

「秋蘭…五月蝿くなりそうだから春蘭は抑えておきなさいと言ったじゃない…」

 

「申し訳ありません…少し目を放した隙に…」

 

と、秋蘭は疲れ気味に言ったが一方でその目は「私には熱くなった姉者は止められません」と語っているようであった。

 

…彼女は大変な苦労性のようだ。

 

「ところでその華琳と言うのは…?」

 

話が逸れたようなのでここで軌道修正を図った。

 

「…もしかしてとは思ったけど、真名のことも知らないのね。」

 

はぁ、と曹操殿は溜息をついた。

 

「して、真名とは?」

 

「真名とは、信頼の証…。普通なら曹孟徳という名前があるけど…真名は自分が信頼できる人物にしか教えられない特別な名前なのよ。」

 

「それでは…私はその名を授けられる程度の信頼があると?」

 

これは恐らく、私の自惚れだろうが。

 

「まあ…少しは信頼できる、と言う事ね。」

 

「ふん!本来貴様のような輩が華琳様、と呼べるだけでも奇跡なのだ!ありがたく受け取れ!」

 

「ああ…そうさせて頂く。」

 

「賢明な判断ね。」

 

笑顔になりながらも曹操殿…華琳殿はそう言った。

 

「では華琳様…私達の真名も教えたほうが…?」

 

「ええ、そうしなさい。」

 

「クラトス殿、私が夏候淵…真名は秋蘭だ。」

 

「夏候元譲…真名は春蘭だ。」

 

と、秋蘭に釣られて(嫌そうではあったが)春蘭もそう言った。

 

「曹操殿に信頼を置かれた身だ…私も、素性を…というより真実を教えねばならぬな。」

 

「貴様ぁ…尋問の時調べたと言うのにまだ秘密があるというのかぁ!」

 

夏候惇…春蘭はまたも初めて出会った直後の様に私に噛み付いてきた。

 

…今後、何度もこのようなことになる事を予期しておこう。

 

「姉者…折角の素性明かしだ。ここは黙って聞いておこうではないか。」

 

「しかし…」

 

「春蘭。」

 

「…はい。」

 

そして大体このような終わり方になるのも予期しておこう。

 

「では…改めて。」

 

私はそう言い放つと、俗に言う口上文の様な言葉を私は口にする。

 

「私は…向こうの世界でとある機関に属していた。…そして、向こうの世界ではかつて四大英雄の一人と言われた。」

 

「四大…英雄?」

 

と、色々聞きたいことができた三人を代表して華琳殿がそんな質問をした。

 

「そう…。私の世界で約4000年前に起こった古代大戦を終結した者として…」

 

「よ…4000年前だと!?そんな話があるわけないだろう!」

 

これは春蘭でなくても信じられないのは無理も無いな…おっと、少しばかり失礼だったな。

 

「そもそも本当に4000年も前ならお前だってとっくに死んでいるはずだ!それに例え生きていたとしても見た目が若すぎるであろう!」

 

「…それはこの石によって可能になった。」

 

かつて私にとって大切な者の命を犠牲に創られた手の甲につけたエクスフィアを見せた。

 

「それは何だ?」

 

「これは身に着けたものの戦闘能力を増幅させるものだ。私の世界の兵士は殆ど身に着けている。…しかし私のこれは少し特別でな。体の成長を止める事ができ、見た目も若く見えるのは当然だろう。」

 

「な…!?」

 

春蘭は驚いているようだが、華琳殿、秋蘭はまだ信じられないのか少し眉を潜めていた。

 

「華琳殿と秋蘭が信じられないのも無理は無い。しかし今から見せる事をを見せれば信じる気にもなるのかもしれない。」

 

「今から見せる、姿?」

 

華琳殿がそう聞くと私は頷き、私は普段はしまってある澄んだ水色の羽を出した。

 

そして私の周りが光に包まれ、清々とした雰囲気(実際この羽は殆ど作り物と変わらないのだ)が自然に醸し出されていく。

 

出し終えると、羽が機能していることを示す為、体を少し浮かせて見下し気味になりながらも私は続けた。

 

「私は元人間。そして…人々は私を、四大天使と言った。」

 

実に、皮肉なものであった。

 

「これが他の者が身に着けているこれとは決定的に違う機能…天使化だ。」

 

私が羽を出すと、三人が全員驚いた表情をした。…しかしこれは無理もないだろう。

 

やはり信頼されたとはいえ、こうも簡単に天使化を見せるのはまずかったか…

 

「…クラトス」

 

口を開いたのは華琳殿だった。

 

「…何であろうか。」

 

「貴方をここに居させたのは目的は更に貴方の事について聞こうと思ったんだけど…事情が変わったわ。」

 

「やはり…追放ですか?」

 

秋蘭がそう聞いた。内心、そうだろうとは思っていた…が。

 

「追放?そんなものするつもりならとっくにやっているわ。」

 

私の羽を見て驚愕するどころか面白いものを見つけた、と言わんばかりの目をしている…様な気がした。

 

「一つ、聞いてもいい?」

 

「構わないが…」

 

「貴方には…力も知識もある。その気になれば、貴方だって私の部下などで終わるはずも無く、天下をも狙える…。それが分からない貴方ではないでしょう?どうして、私の部下に志願しようとしたの?」

 

華琳殿の疑問はもっともであった。

 

しかし、私の目的は変わらない。先ほど言った天下を狙う気など毛頭ない。もとより変えるつもりなど無かった。それはこの世界に来る時に誓った変わらぬ事実であった。

 

「尋問の時に私は言ったはずだ。英雄を求めている…と。そして、貴女が私の追い求めた者だと。」

 

私はあえて強い口調でそう言った。

 

「これでは…答えにはならないか?」

 

確認を取る様に、私は最後にそう告げた。

 

「フフフ…私の目に狂いは無かったようね。」

 

「そのようですね…姉者。納得いったか?」

 

「…フン!そのような言葉、私など当の昔に何百回と言っている!」

 

…何だか三人の様子が妙だ。もしや先ほどの嫌な予感とは。

 

「あぁ…嫌な予感が当たったような顔でもしてるわね…。悪かったわね。試すような真似をして。」

 

「華琳殿…」

 

私はどうやら嵌められたらしい。

 

「初めは貴方の素性を聞くだけだったわ。…でも少し貴方の心を試したくてね。あんな問い掛けをさせてもらったわ。…あら、怒ってる?」

 

「…別に。」

 

聞かずとも分かるだろうに、と私は思わずにはいられなかった。…どうやら嫌な予感は当たったらしい。

 

この予感の正体は、どうやら華琳殿の性格にあったようだ。この、人が苦しんだりしている所を見て嬉しそうに笑っているのを見ると意地の悪さが伺える。

 

…私が追い求めていた英雄はこんなにも加虐性があったのか。

 

「それで私は認めてもらえたのだろうか。」

 

「ええ。貴方を正式な曹操軍の者として認めるわ。」

 

「…裏切れば私の大剣の錆にしてやるからな。」

 

「姉者…やれやれ。クラトス殿、よろしく頼む。」

 

三者三様、違った歓迎の言葉を向けてくれた。…春蘭は最早敵意剥き出しだが。

 

そんな中でも私は感謝の様子を表しつつ、軽く「こちらこそ」…とだけ言った。

 

「では、貴方の仕事を言い渡すわね。」

 

「ああ。」

 

「仕事は…自分で探しなさい。」

 

やはりここでも無理難題を押し付けてくるか、と私は少し予想していたので驚きは少なかった。そんなにハッキリとされた態度でそんなことを言われても痺れもしないし憧れもしない。

 

ふむ、私に向いている仕事、か。…なら。

 

「じゃあね。精精仕事探しに励みなさい。」

 

踵を翻して部屋から去ろうとする覇王殿に私は停止をかけた。

 

「…華琳殿。なら私を護衛の役として傍に置いてはくれないだろうか。一応、私はここに来る前は傭兵として雇われたことがあるのだが。」

 

「なっ!駄目だ!そんなこと私が---」

 

「落ち着きなさい春蘭。そうね、なら条件があるわ。」

 

条件…か。なら大方---

 

「ここにいる春蘭を納得させる程の技量を示しなさい。」

 

「やはり…では、春蘭を倒せ、と?」

 

「ええ。私もそれで良いしそれで春蘭も納得するでしょう?」

 

「分かりました…もし負ければそれで納得します。」

 

そういうと春蘭はキッと私を睨み、後に曹魏の礎となるであろう英傑の覇気を私に向けてきた。

 

「クラトス…覚悟しておけ。」

 

春蘭はいつの間に持っていた大剣を私に向けて宣戦布告した。

 

それから戦いの為、部屋を出て広場へ向かった。

 

その場には対峙する私と春蘭、華琳殿と妹の秋蘭がいた。…二人とも、私の技量を見極めるつもりか。

 

…なら、手を抜くわけにはいかない。目の前の覇王に焼き付けるのだ…私の力を。

 

「では…始めようか。」

 

「ああ。手加減はせんぞクラトス!」

 

「無論、こちらも…」

 

「では…行くぞっ!」

 

その声を合図に、先手必勝とばかりに春蘭が突撃してきた。

 

「はぁぁぁーっ!!」

 

フォンッ!!

 

「むっ!」

 

迫り来る大剣をちらと見た瞬間、「盾で受ける」という考えを消去し、咄嗟の判断で私は避けた。

 

ドガァン!

 

「なっ…」

 

…どうやら受けるべきではなく避ける、という私の判断は正解だったらしい。春蘭が剣を振り下ろした場所を見るとそこには子供くらいなら軽くは入れそうな大穴ができていた。

 

ここの世界の英傑は女ばかりでなく力もこんなに強いのか…軽く眩暈がしてきた。

 

「まだまだぁ!」

 

そんな私の思いも知らず、春蘭は再び突撃したきた。一気に間合いを詰め、あっという間に攻撃射程距離内に踏み込まれた。息つく暇も与えないつもりか、はたまた早期決着か。恐らくは後者か。

 

「死ねぇぇぇぇっ!」

 

フォンフォンフォンッ!

 

「甘い!」

 

連続で襲い掛かってくる剣劇にも慌てず、落ち着いて対処した。大剣の攻撃は隙も多いはず。なら…その隙を突くっ!

 

「はっ!」

 

「むっ!」

 

攻撃が止んだ一瞬の隙を突き、反撃を試みたが、そこはやはり曹魏の立役者。多少怯みはしたものの私の剣は防がれてしまった。剣と剣がぶつかり合い、鍔迫り合いの形になる。

 

「はぁぁぁっ!」

 

「くっ…!」

 

女人とはいえ夏侯元譲。先程にも見せたあの怪力をもって私の剣を捻じ伏せてきた。

 

「くっ!」

 

私は重心を後ろへ傾け、春蘭がぐらついた隙に鍔迫り合いの形から持ち直した。

 

「流石は春蘭。いや…夏侯元譲殿。」

 

「ふん!貴様も少しはやるではないか!」

 

春蘭が不敵な笑みを零した。

 

「そうでなくては…なっ!」

 

そう言い再び突撃してきた。…あの馬鹿力を持ってしての突進は厄介だな。接近戦は無理か…。

 

なら…距離をとって攻撃を仕掛け、そこから生じた隙を突くしかない。

 

「魔人剣!」

 

「なっ、何!?」

 

流石に地を這う斬撃という攻撃は予想だにしなかったのか、急停止し春蘭が慌てて避ける。だが、攻撃を止めてはならない。ここで更なる追撃をかける。

 

「魔人剣・双牙!」

 

今度は二つの斬撃を春蘭の回避している方向へ放つ。これで春蘭は攻撃を受けざるを得ない筈。

 

さあ…おとなしく受けるか?

 

「くっ…舐めるなぁ!」

 

すると春蘭はバッと飛んで斬撃をかわし、そのまま空中から攻撃を仕掛けに来た。

 

「ちぃっ!避ける気か!」

 

春蘭は攻撃態勢に入った。空中からのあの馬鹿力をまともに受ければ無事では済まぬだろう…だが生憎だが、相手の有利な土俵で勝負する気など私には毛頭ない。春蘭から距離をとることにしよう。

 

ならば次に狙うのは…着地後か。

 

私は春蘭が地に近づくに連れ、間を少しづつ詰めていった。

 

(…!私の着地後を狙っているのか?)

 

春蘭が地に付くまで後5秒程度。そして私は一気に距離を詰めに掛かった。

 

(やはり!)

 

「受けよ!剛魔人k…」

 

「はぁっ!!」

 

「!?」

 

春蘭は私が距離を詰めた瞬間に剣で力の限り地を穿った。馬鹿力による地の破壊で砂煙が起こり、視界が閉ざされた状況だった。くっ!読まれていたか…。

 

「どこだ…」

 

砂煙で遮られている辺りを見渡すがやはり確認は無理だった。

 

「ここだぁ!」

 

「!」

 

後ろから大声と共に奇襲が掛けられてきた。…くっ、避けるのが間に合わぬ!

 

そして私は再び春蘭の剣を受け、何とか持ちこたえたものの、そこから鍔迫り合いになった。

 

「くぅっ…」

 

「どうした!貴様の力はこんなものか!」

 

「まだだ!」

 

「何っ?」

 

渾身の力を込め、春蘭を押し切り、そこから生まれた隙に付け込むような形で私は春蘭との距離を一気に詰めた。

 

「受けよ…雷神剣!」

 

ビュッ!!

 

「こんなものぉっ!」

 

ガキィンッ!

 

刀身で突きを受けたか…流石、見事だ。雷神剣の突きは止められた…が、

 

「気を付けろ…まだ終わらんぞ。」

 

「何を言って…」

 

バリィンッ!

 

「くうっ!?」

 

雷神剣の特徴である余波の雷が春蘭に直撃した為、春蘭の言葉は最後まではっきりとは聞き取れなかった。

 

これには衝撃を感じたのか、春蘭が倒れこんだ。

 

「ぐう…ぅッ」

 

「終わりだ…」

 

私は背を向けそう呟いた。これで決着はついた…か…?

 

「クラトス?」

 

「ぐっ…何だこの…力の抜け様は…?」

 

春蘭ほどでは無いが何故か私までもが強烈な疲労感に襲われた。

 

足元がふらつき、視界がぶれる。少しでも気を抜くと気を持っていかれそうだ…何故だ…?

 

「華琳様…勝敗は?」

 

「これは…?どう見てもクラトスが先に一本入れたんだけど…何故あんなに疲れたような顔をしているのかしら?」

 

それは私も聞きたいことだ。今までこのような事は無かったのだから。

 

「!姉者は…?」

 

「…気絶しているようね。」

 

ちらと春蘭の方向を見てみると、確かに気絶しているらしかった。

 

「ではこの勝負…クラトス殿の勝ちという事で?」

 

「そうね…お互いもう戦えないみたいだけど、クラトスはまだ意識があるようだしね。」

 

「では…護衛の任に就けるということ、か…?」

 

「ええ。約束は約束よ。」

 

「そうか…」

 

「…大丈夫?ふらふらよ?」

 

「私のことはいい…春蘭を早く」

 

「秋蘭が行ったわ。」

 

「…そのようだな。すまないが…少し休ませて欲しい。」

 

「ええ。疲れが取れたら私の部屋にいらっしゃい。なんなら明日にでもいいわ。」

 

「…感謝する。」

 

そして華琳殿は、秋蘭に運ばれる春蘭の下へ向かっていった。

 

しかし、この疲れは一体…?

 

「…なるほどね。その「まな」という力がこの世界にはないから、貴方の力の源が一気に無くなって、貴方が倒れたという事ね。」

 

私はあの後、結局中々疲れが取れずに報告を明日に持ち越してしまった。

 

無論その間にもこの力の枯渇について考えてきた。

 

この世界と自分がもといた世界には決定的な違いがあることに私は注目した。

 

この世界には…マナが無いと言う事。

 

マナは魔術師にとっては命の源だが…魔剣士にとっても命の源なのだ。

 

私が使った雷神剣も魔剣士ならではの技だ。魔術と剣術のハイブリッドといった所か。

 

しかし雷神剣も魔力を雷にしてそれを剣に纏わせる技だ。

 

この世界にはマナが無い…よって自分の体からマナを消費するしかなかった。そしてマナを取り込めないまま戦いを続けてしまった。

 

おそらくあのままもう何発かは撃てただろうが、魔人剣から、剛と双牙を撃っていた(剛は未遂だったが)身としては少しきつい所があった。

 

この世界に来る前に何らかの原因によって自分の体内のマナが少し減っているのを感じる。

 

「…どうやらかなり本格的に私の特技は制限されているようだ。」

 

「そこまで深刻なの?」

 

「いや…春蘭にした技は使い込むと危険だがあのように雷など付属効果のない技なら大丈夫のようだ。」

 

「あの飛ぶ斬撃のこと?」

 

「あの程度なら乱射しても大丈夫だが…念のためにあまり特技は使わないようにすべきな様だ。」

 

「その方がよさそうね…」

 

どうやらこの世界では私は修行が必要らしい。

 

何年ぶりだろうか、と考えながら今なすべき事を理解し、その問題の大きさに改めて私は溜息に吐いた。

 

どもどもKっす。

今回はロイド編バトルに続き、クラトスバトル編です、いやぁ、これが中々書きたかったんですが…やっと書けました。楽しんでいただければ幸いです。

次はロイド拠点フェイズ的編です。それでは~

 

 

 

 


 
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