No.106062

新たなる外史の道 19 蜀交渉編 1

タナトスさん

恋姫無双の愛紗ルート後の二人が真の世界にやってきたら?
という妄想から生まれた駄文です。
読んでもらえれば幸いです。

2009-11-09 00:04:19 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:10349   閲覧ユーザー数:7484

俺達は・・・この世界に何の為にいるのだろう・・・

 

今だ、俺達はこの世界に来た意味は未だに解らない・・・

 

だが、俺はこの世界に来た意味が、来た理由があると信じて・・・

 

俺達は戦う・・・それが俺達がこの世界とこの世界の住人に誓った約束だから・・・

 

 

俺達、3人はそれぞれ馬車に乗り込みそれぞれの赴く国へと旅立つ、護衛はいない、馬車の操縦士くらいだ、俺達は稟、風、星、鈴蘭に国を任せ出立した。

 

四頭立ての馬車は走り出した。この世界に光をもたらす為に・・・

 

≪劉備サイド≫

朱里ちゃん、雛里ちゃんが急に緊急の軍議をしたいと申し込んできた。

私達は急遽集まり、朱里ちゃん、雛里ちゃんの説明を聞こうとしていた。

 

「朱里ちゃん、雛里ちゃん、緊急の軍議ってなに?」

 

私の質問に2人は重たい口を開いた。

 

「まず始めに、皆さんに謝らなければなりません・・・」

 

私は朱里ちゃんの謝罪の意味が解らなかった。

 

「どういうことなのかな?」

 

「北郷さんに関する情報です・・・実は私達が集めた情報は偽者だったんです・・・」

 

朱里ちゃんの言葉を私達は一瞬理解できなかった。

 

「・・・どういうことだ・・・詳しく話せ・・・」

 

愛紗ちゃんが2人を促す。

 

「・・・はい・・・私達が送り込んだ草(スパイ)からの情報は北郷さんが草に偽の情報を掴ませて、私達にもたらされた偽の情報だったんです・・・」

 

この言葉に私達は驚きを隠せなかった。

 

「何だと!? では、私達は偽の情報を元に北郷の人物像を描いていたのか!?」

 

愛紗ちゃんがそう怒鳴りながらいう・・・

 

「・・・はい・・・ご丁寧に裏を取る草にも偽情報を持たせていたみたいです・・・」

 

「なんと・・・」

 

問う方も問われる方も言葉が無い・・・

「・・・それだけじゃ無いんです・・・私達の草さんは全て捕まっている事が新たに送り込んだ草さんの情報で解ったんです・・・」

 

雛里ちゃんがそう言う・・・まさか・・・こんな事が・・・

 

「・・・更に悪い事に、草さんと裏を取る草さんの連絡手段もバレていたんです・・・」

 

雛里ちゃんの言葉にもう何も言えない・・・

 

「・・・どうしてその事が解ったんだ・・・?」

 

愛紗ちゃんが何とか言葉をひねり出す・・・

 

「監視の緩くなった今、草を派遣したんです・・・その報告には、今までの情報とまったく違う情報がありました・・・そして今まで送り込んだ、私達の草は全て狩られ、収容所に入れられているとの事です・・・更に・・・その草を狩ったのは北郷さん自身だったんです・・・北郷さんは的確に草の潜伏先、行動、情報伝達方法を調べ上げ、捕らえて、私達に偽の情報を掴ませていたんです・・・」

 

朱里ちゃんの言葉は正に私達を打ちのめした・・・

 

「更に蒼の今までの改革や、技術考案などは、殆どが北郷さんの発案だったんです・・・学校制度、税改革、軍隊機能、道路や水、手紙等の公共事業、商いの貿易自由化、女性や子供でも気軽に働ける場所、夜間学校なる制度、銀行、小銃や大砲の開発、そして、草を大量に扱う諜報機関・・・私達は偽の情報からこの事を知りませんでした・・・曹操さんもこの情報を知らないはずですが、以前交友関係にあった呉の孫策さんは知っていたみたいなんです・・・更に驚くのは北郷さんの戦いの実力は北郷 愛紗さんと同じぐらいか、或いはそれ以上なんです・・・」

 

桔梗さん、紫苑さん、焔耶ちゃん以外は驚きを隠せなかった・・・いや・・・北郷夫人の印象が強すぎて、洛陽での“あの事”を私達は忘れていた・・・

「それは本当なのか!?」

 

愛紗ちゃんはもう驚きを隠せないで叫んだ。

 

「それが本当なら人質に取らなくてよかったのだ・・・」

 

鈴々ちゃんはホッとしたように言う。

 

「・・・世の中・・・広い・・・」

 

あの恋ちゃんでさえ安心したように呟く。

 

「マジかよ・・・蒼は本当にバケモノの巣窟だな・・・」

 

「反対していてよかったね、お姉様・・・」

 

翠ちゃんは呆れながら呟き、蒲公英ちゃんはホッとしたように呟いた。

 

それぞれの言葉は違うけど想いは同じらしい・・・

 

“良かった・・・人質取る事に反対して・・・”だった。

「そんなに強いのか? 北郷は? 言っては悪いが戦場に滅多と出てこない王だろ?」

 

焔耶ちゃんは至極疑問と言う。

 

「強い・・・北郷 愛紗は・・・恋が負けると思ったの・・・初めて・・・」

 

恋ちゃんの言葉に焔耶ちゃんは押し黙った。恋ちゃんの強さは我が国一だから・・・

その恋ちゃんが負けると感じたのならその実力が窺い知れる・・・

 

「それは!! 恋殿が多くの武将を相手にした後、あのバケモノ女と戦ったからです!!

恋殿が完全ならあんな、バケモノ女に恋殿が負けるはずありません!!」

 

音々ちゃんがそう吼えたが恋ちゃんは首を横に振った。

 

「完全でも・・・恋は負けてた・・・あの人の前では・・・疲れているとか・・・お腹が空いたとか・・・そんなの関係ない・・・あの人が同じ状態でも・・・恋は負けてた・・・

それに並ぶ実力なら・・・ここにいる全員で挑んでも・・・負ける・・・」

 

それを聞いた全員が押し黙る・・・

 

恋ちゃんは動物的な素直さがある・・・恋ちゃんがそう言うのならそうなんだろう・・・

「私達は・・・尤も油断してはいけない相手に油断してしまいました・・・北郷さんは多分・・・交渉が成立しなければ戦争も辞さない覚悟で挑んできてます・・・北郷さんにとって私達は、敵では無いんです・・・」

 

「それを解らず私達は情報を鵜呑みにし、北郷さんを勝手に決めつけ、国境を閉じた・・・完全な視野狭窄状態に偽情報、そして、今回の不況・・・私達や魏、呉は情報戦の重要性を余り理解していませんでした・・・北郷さんの情報の扱いは正に私達三カ国の遥か斜め上を行く技量です。北郷さんは解っていたのかもしれません・・・情報は時に人の命より重い事を・・・」

 

朱里ちゃん、雛里ちゃんは悔しそうに俯く。

 

「結局、私達は・・・北郷 一刀の掌の上で目隠しをされ、北郷の吹く笛の音に合わせて踊っていた・・・ということか・・・」

 

愛紗ちゃんの言葉が私達の胸に突き刺さる・・・

 

情報戦の重要性を理解し切れていない私達と情報を扱う達人、北郷 一刀さん・・・

 

私達は戦う前から負けていた事をこの時点で理解した・・・

 

馬車に揺られる事1週間、劉備のホームグラウンド、成都に到着したが・・・

 

何たる活気の無さだ・・・商店は軒並み戸を閉め、住人の顔からは活気が無い・・・

 

蜀は正に深刻な経済危機だった・・・この人達も救いたい・・・俺にそう思わせるに充分な状況だった。

 

馬車を物珍しそうに見つめる人々の顔を馬車から見ながら俺はそんな事を考えていた。

城の城門に到着した。俺は、馬車から下りて、門番まで歩み寄る。

 

「何者か! ここは劉備様の居城だ!! 関係者以外は立ち入り禁止だ!!」

 

兵達は槍を俺に向け警戒する。

 

「我が名は北郷 一刀である!! 蜀が王、劉備殿にお会いしたく参上した!! 開門いたせ!!」

 

俺の叫びに兵達は動揺した。

 

「ほ、北郷・・・一刀・・・あの蒼天王、北郷 一刀!?」

 

「劉備様に今すぐ報告しろ!! 速く!!」

 

暫くして、門番の兵士が大慌てで俺を呼びに来た。

 

「劉備様がお会いするそうです・・・係りの者が案内いたしますので、その支持に従ってください・・・」

 

兵の言葉に俺は答える。

 

「委細承知した」

 

俺は兵士の案内で奥へと通される。

 

暫く歩き、俺は応接室へと案内される。

 

さて・・・鬼が出るか蛇がでるか・・・

おまけ

蜀の一刀に対する感情

 

 

お飾り君主→→→→→尤も油断なら無い危険人物


 
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