俺達は動き出す・・・・・・
この未曾有の世界に光を示す為・・・・・・
俺は魏、蜀、呉、蒼の三国の記者団を前にしての公式発表を行おうとしていた。
いくら戦争状態、或いは、冷戦状態にあるにしても、言論の自由や知る権利は他国にでも必要だと思うし、彼等を通じて我々の意思を世界に示すのは重要だ。
ゆえに、魏、蜀、呉の三カ国の記者を招待した。
「お集まりの記者諸君、まず、私の招待に参加していただき真に感謝に耐えません・・・
さて・・・皆さんに集まっていただいたのは他でもない・・・
この大陸全土に広がる経済不況についてだ・・・記者諸君に我々、蒼の提案を大陸全土に広めていただきたい・・・
我々の提案は、魏との即時停戦、および呉との同盟復活、および、蜀との国交回復です」
この提案に集まった記者達はどよめいた。
「それは、魏と戦う前の状態に戻すということですか!?」
一人の記者が質問してきた。
「その通りです。我々、蒼は魏と戦争状態に入るまでは曲がりなりにも魏、蜀、呉とは友好関係だった。ここは過去の遺恨を捨て、一王としてではなく、この大陸に住む一人の住人として、私は魏王、呉王、蜀王に提案したい! 今は自分の目的を捨て、この世界の民の為に我々力ある者が団結し、弱き者達の悲しき声無き声に耳を傾けるべきではないだろうか? そして我々王は、民の悲痛なる叫びをその耳に聞くべきだ! 国の土台は民なのだ!! 土台を疎かにし、国益に奔り、戦争にしか目を向けなかった文官は今一度、民の生活に、民の声に耳と目を向けていただきたい! 武官はもう一度考えていただきたい! 貴方達の武が誰を守るものなのかを! その武は、王や国を守るためだけに使わず、弱き者を守る刃となっていただきたい! 我々、蒼の敵は魏でも蜀でも呉でもない、人類の創り出した矛盾、貧困が我々の敵なのだ!!
その為に、私は蜀に国交回復と商いの再開の交渉へ、我が妻、愛紗は条約復活の交渉の為呉へ、そして、我が親友にして、我が国筆頭将軍、及川 佑が停戦交渉にそれぞれ赴く!!」
俺の言葉は大陸全土を駆け巡った。
それはそうだ、この状況下で、一気に国のナンバー1、2、3が抜けてまで大陸に住む全ての人達の為に、動こうとしている。
驚かない方がどうかしている・・・
大陸全土の民達はマスコミの影響からか蒼はこの大陸の為に立ち上がった!! と思ってくれているみたいだった。
≪曹操サイド≫
マズイ事になった・・・
北郷関連の瓦版があちらこちらに出だし、我々の民だけでなく、兵にもこの戦争に疑問を抱き始めた。
一部では北郷をこの不況を救う英雄として祭り上げる者まで出だす始末・・・
今も軍議でコノ話題が持ち上がった。
「このままでは戦わずして我らは敗北する。道を踏み外すとコトだ」
秋蘭は事態の深刻さを説明した。
「・・・難しいコトは解らんが・・・兵はこの戦いに疑問を抱いているのも確かだ・・・前線からは兵糧が付きかけていると泣き言みたいな申請が矢の催促だ・・・国境を抜けれないのも痛い・・・何とかならんか秋蘭?」
春蘭がまともな事を言うくらい、今の現状は切迫している。
「商店も軒並み閉鎖していますし・・・」
流琉が悲しそうに呟く。
「ご飯がいっぱい食べれなくなっちゃた・・・」
季衣が項垂れながら呟く・・・
「町の治安も悪化しています・・・」
凪の言葉も今の深刻な状況を表している・・・
「・・・桂花、率直に聞くわ、このまま戦闘は続けられそう?」
桂花は悔しそうに呟く。
「厳しいですね・・・始まる前の状況なら可能でしたが・・・今の状況では現状継続が難しいかと・・・」
「解ったわ・・・蒼との交渉に臨むわ」
流石に反対はしなかった・・・皆、今の状況に参っているみたいだった・・・
≪雪蓮サイド≫
瓦版が呉の国中に広まった・・・
規制を掻ける暇すらなく広がり、同盟復活を支持する声が日に日に高まる。
もう戦争準備どころではない。
軍議でもこの話題で持ちきりだ・・・
「策殿、どうされるじゃ? 北郷の奥方と交渉するのか? それとも追い返すのか?」
祭の言葉は正にこの国の舵取りの大本を決める為の要因だった。
「交渉するにしても、相手の要求は決まっています・・・問題は同盟の中身です・・・」
亞莎が祭の言葉に反応する。
「中身は我々に有利なものが良いに決まっている。問題は、あの北郷 愛紗がそれを許すかどうかだ」
亞莎の言葉に蓮華がイライラしながら言う。
「ま、交渉しだいよね」
「お姉様!! 悠長に構えないでください!! この国の命運が掛かっているのですよ!?」
そんなに五月蝿く言わなくても解ってるわよ・・・
「蓮華様・・・落ち着いてください・・・貴女が焦っても事態は好転しません。交渉は受ける方向で宜しいですか?」
冥琳の決まりきった質問に私は首を縦に振った。
≪劉備サイド≫
北郷さんの提案は正に私達にとって渡りに船なのだが、状況はそんなに良いものでもなかった・・・
なぜなら、交渉の決裂は、北郷さんの所との戦争を意味していた。
「事態は私達にとって最悪の方向に傾き始めています・・・北郷さん自ら私達と交渉ですから下手な脅しや、交渉を突っぱねる事も出来ません・・・そうなったら、私達と北郷さんの所で戦争になちゃいます・・・」
朱里ちゃんが深刻な顔で言う。
「そうなったら叩き潰すだけだ」
焔耶ちゃんが息巻いて言う。
「戯け! 相手を見て者を言え。自分の軍の倍以上の敵を追い払ったばかりか、敵に大損害を与えた兵共だぞ! しかも、相手は曹魏、我等の兵は数も少ない、国力も負けている。そんな状態で勝てる道理はない!」
桔梗さんが焔耶ちゃんを嗜める。
「北郷さんを人質に取るのはどうでしょう? 魏を押さえ込むにも有効ですし」
紫苑さんが笑顔でとんでもない事を言う。
「人質として、交渉を有利に進めるのか?」
愛紗ちゃんが眉間に皺を寄せて呟く。
「お飾りとは言え国の王ですし、有効かと・・・」
紫苑さんの言葉に朱里ちゃんも賛成した。
「それが現時点で最良かと・・・北郷さんは国でも象徴的な扱いだと聞き及んでいます。北郷さんが生きている限りは私達に手は出せないでしょう・・・ただ・・・問題は北郷さん命を無視して攻め込まれたら厄介です・・・」
「でも、人質なんてそんな酷い事・・・」
「桃香様の言うとおりだ! それに人質を取ったら私達の風評が落ちる。国民からの信頼が得られなくなるぞ!!」
「そうなのだ!! そんな情けないコトはよくないのだ!!」
「人質に取るまでも無いだろ? お飾り君主なんか・・・どうせ虚仮脅しだって」
愛紗ちゃんと鈴々ちゃん、翠ちゃんは反対の姿勢を示した。
「普通に交渉しよう! ね!」
そう言い、今回は普通に交渉する事になった。
俺達はトップ3は、それぞれ旅立つ、コノ世界の安定の為に・・・
おまけ
三カ国の一刀印象
魏・・・・・・油断ならない男
呉・・・・・・楽しい男だが、敵に回すと厄介
蜀・・・・・・お飾り君主
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恋姫無双の愛紗ルート後の二人が真の世界にやってきたら?
という妄想から生まれた駄文です。
読んでもらえれば幸いです。