第十一話 模擬戦
自分の対面にはデバイスを持ち、バリアジャケットをまとった、ベルカの魔導士四人(はやて、シャマル、ヴィータ、シグナム)と盾の守護獣、自分のよこにはミッドの魔導士二人(なのはとフェイト)にアルフ、そして稟の姿があった。
模擬戦を観戦できるスペースには芙蓉さんや八重さん、そしてタイムさんがいる
(何でこうなったんだろうなぁ)
ユーノはこの元凶となった自分のデバイスを起動しようとしながら家の地下にある訓練場で模擬戦をすることになった経緯について思い出していた。
きっかけはシグナムのこの一言だった。
「そういえば………デバイスを手に入れたということを数年前に言っていたなユーノ?」
「ええ?確かにもってますけど」
たしかにユーノはデバイスを持っていてみんなにそれを知らせてある、しかし………
「おまえは忙しくて模擬戦などなかなかする機会が無いからな………シャマル以外はおまえのデバイスを見たことが無いんだが………」
たしかにユーノが知り合いメンバーのまえでデバイスを使ったのはシャマルのまえでの一回のみだ
稟とはあうたびに模擬戦なんかをしていたからそれなりに稟は見たことがあるはずだが
「ということでだ………模擬戦をするぞ!」
「………えぇ?!」
「模擬戦ですか………わたしも参加したいですね、シグナム」
「なのは達もいるしなこれだけの人数とメンバーが集まるんだ。どうせなら集団戦闘なんかいいと思うのだが?」
「いいですね、それにユーノのデバイスも見てみたいし………いいよねユーノ?」
ユーノの答えも聞かずにとんとん拍子で話が進んでいく。この流れからわかるようにユーノに拒否権はない。
「嫌だ、っていってもやるんでしょ?」
「もちろん」
「むろんだ」
このようにである
「ヴィータもいいだろ?」
「あたしはパス。無駄な戦いは腹が減るだけだしな」
もちろんそんなことが許されるはずもなく
「ヴィータもやろうよ」
フェイトがおいでおいでしながら言う
「くどいぞフェイトあたしは、はやて以外のために戦う気はねー」
「といって主の前で敗北するのが嫌なだけだったりはしないか?」
シグナムがそういうとぶちっと何かが切れたような音がして
「ただいま~で、いいのかな?」
「ええんやないか?」
「「「「おじゃましまーす」」」」
帰ってきたなのはのもとにヴィータはむかっていったのだ
「なんだとてめぇ!!」
「えっ、えっ?ヴィータちゃんいきなり何?」
こうなることさえもシグナムはよんでいたのだろうか
「ふっ、扱いやすいな」
計算どおりなのだろうか?…………………そして帰ってきたなのは達にそのことを話したら、みんなノリノリだったため冒頭にいたる。
ちなみに地下に訓練場があることはシグナムがリンディさんから聞いていたらしい
稟は模擬戦をやるときいたら俺も交ざっていいかといったため数あわせで参加ということになっている
「じゃいこうか?」
???『はい、主様』
「生(イク)セットアップ!!」
そうユーノが告げるとユーノの手には長弓が握られていた。長さはユーノの身長くらいあるだろう。
バリアジャケットは新調したのか上は薄い黄色の胸当て、下は動きやすいずぼんそしてその上から黄緑色の外套を羽織っている。
「それがユーノのデバイスなんだ?」
フェイトが興味津々といったふうに聞いてくる。周りも(稟以外)そんな感じだ
「そうだよ名前は………」
『生(イク)と申します。主様が普段からお世話になっております』
と女性の声がした
「うん、よろしくね,生それにユーノ、バリアジャケット変えたんだ?」
みんな「コクコク」
皆一様にうなずく
「うん、まぁね………変かな?」
「ううん……えっとユーノにすごく似合ってる。かっこいいよ」
「うんわたしもそう思うな」
「似合っとるで、ユーノくん」
「ん、まぁまぁだな」
「いいじゃないか?」
「似合ってるわよ。ユーノくん」
「なかなかじやないか」
そしてそれぞれ感想を言った。上からフェイト、なのは、はやて、守護騎士たちである
「ありがとうみんな。まぁ、前のより少し防御力が上がっただけなんだけどね」
とりあえずほめられてうれしそうなユーノであった。
「さて、じゃ俺たちもいくかアルト?」
???『そうだね、リン』
「アルト、セットアップ!」
そう稟がいうと稟の体は光に包まれ、それが引いていくと稟の手には一本の西洋剣が握られていた。
剣の根元には宝石らしきものが埋め込まれかなり豪華な作りになっている
稟のからだは青を基調としたずぼん、そして足元から四十センチほどのいちまである上着その上から胸当てに小手という出で立ちだった。
「こいつは俺のデバイスの………」
『アルトっていいますから以後お見知りおきを』
「ふむ、剣か………ベルか式か?」
シグナムがそう質問するが
「いえ、そうじゃないんですよ」
稟はそう言葉を濁す
「そうなのか?まぁいい、それでは始めるか?」
「えー、とゆーわけで久しぶりの集団戦です」
とりあえずは司会進行はやてでお送りします
「ベルカ式騎士 VS ミッド式魔導士 5対5のチームバトル~!!」
はやてがそんなふうにテンション高く宣言している中、ユーノの頭の中に誰かの声が響く
???(ユーノ、ユーノ、審判とか必要じゃありませんか?)
(まぁ、いたほうがいいだろうけど………)
???(ならわたしがやっちゃいますね?い・い・で・す・よ・ね?)
凄味が何だか利いていたが気にしてはいけない
「ルールは局の戦闘訓練準拠で、攻撃の非殺傷設定は言うに及ばず、武器持ちの子は相手のバリアジャケット抜かんようにちゃんと威力設定してなー」
みんな『了解』
そういったところでユーノが
「ねぇみんな。模擬戦に審判っていたほうがいいかな?」
みんな不思議そうな顔をして
「まぁ、そうだな」
「審判いないとシグナムとフェイトなんかはずっと闘ってそうだしな」
というふうに答えた。
ちなみに二つ目の発言にはフェイト、シグナムそして稟の三人をのぞく全員が頷いていた。
シグナムとフェイトは不満顔だったが。(稟は知らないので反応の仕様がない)
「でもそんなん出来る人もおらんしこのままするしかないやろ」
はやてがそういうと
???「なら、わたしがいたしましょうか?」
そう声が聞こえるとユーノの周りに風がおこり、治まると龍の刺繍が施された青のチャイナドレスをきた女性が立っていた
年の頃は二十代半ばくらいにみえ青の髪を肩くらいで無造作に切っている。そしてなにか神聖な空気を纏っている。
ついでに樹(変態)なんかがみたらすぐに声をかけそうなくらい美人だ
「わたしは、ユーノと契約している聖霊で青龍と申します」
「まぁそういうことだから青龍にまかせてもらえないかな?」
みんなこの突然の登場に唖然としていたが
「まぁききたいことはたくさんあるけどそれでいいんじゃないかな?ユーノあとで覚悟しといてね?」
一番早く立ち直ったフェイトがそういうと
皆うなづいた(前半に)
ちなみにフェイトは機嫌が悪くなって宥めるのに苦労したのはいうもがなである…………………
「ほな、気を取り直していこか」
はやてがそう仕切りなおす
「じゃミッドチームのリーダーはユーノくんでええんやね?」
「まぁというかユーノしかそういうの出来る人いないし。ユーノ以外はちょっと…………(それにユーノの指示ならなんか安心できるんだもん)」
「まぁ、妥当だろう」
「ユーノくんなら安心して任せられるし」
「つーか、ユーノ以外無理だろ?」
そう周りからも賛成の声が上がる
「じゃ、ミッドチームのリーダーはユーノくんベルカチームのリーダーはあたしでええね?」
はやてが確認としてそう問うと『了解』とそう返事がかえる
「ほな、少し作戦タイムをとります、それぞれ確認することがあるんならやっといてな」
そして両チームは集まると作戦会議を始めた
~ベルカチームSide~
「ヴィータとザフィーラが前衛」
その言葉にふたりは頷く
「おぅっ」
「了解した」
はやては続けて
「シグナムは遊撃、シャマルはわたしの後ろや」
「はい」
「了解よ、はやてちゃん」
まずはそういってポジショニングを確認した後
「マッチアップは入れ替え早め!主砲二人に大きいののチャージタイムを取らせたらあかんで!それとユーノくんやけど一応何してくるかわからんから注意はおこたらんようにな?」
そして注意点を述べて準備完了
「よっしゃ!魔導士のみんなに騎士の戦闘見せたろ!」
以下四名「「「おうっ!!」」」
こちらは気合い十分なようだ
~ミッドチームSide~
「ホントにぼくでいいの?」
ユーノは不安そうにみんなに聞く
「ユーノ以外はありえないよ」
「そうそう」
「自身持ちなって」
「というか、俺はおまえの指示に不満なんか言わないって」
みんなそういって肯定する
「はぁ、わかったよ」
そういうとユーノは顔を引き締めて
「それじゃ基本的な作戦をいうよ?」
そういうとみんな「コクン」と頷く
「まずフェイトには遊撃を任せてもいいかな?」
「うん大丈夫」
フェイトは頷く
「それとフェイトはだれか一人でもあっちが撃破されて情勢がこっちに傾いたらヴィータの足止めお願いできる?」
ユーノのそのことばにフェイトは首を傾げる
「ヴィータ?シグナムじゃなくて?」
フェイトの疑問ももっともだろう
いまのこのメンバーでシグナムの足止めをできるのはフェイトしかいないのだから
なのはは中、遠距離での戦闘を得意とするし
アルフでは難しい、ユーノは後方支援向きなので除外される
というのがいまのユーノと稟を除くみんなの全会一致の見解だ
「うん、フェイトはヴィータをお願い。シグナムさんは稟、頼める?ちなみにシグナムさんの剣の腕はかなりのものだよ」
そのことばに稟を除く三人は猛反発した
「ちょっ、無理だよユーノ!?土見くんがシグナムの相手なんて」
「ユーノくん土見くんを殺す気?」←もちろん比喩的な意味です
「ユーノそれは酷いよ」
アルフは普通にユーノを非難しているが、なのははシグナムにきかれたらぼこられそうな言葉を吐き、フェイトは暗にシグナムと闘わせろ?みたいなのが伺える気がする、まぁ気がするだけなのだが
「大丈夫だよ、たぶん稟ならシグナムさんとクロスレンジで互角以上に打ち合えるから」
そのことばに三人は固まっていた
「そのシグナムさんはユーノより剣の腕は上なのか?」
「そのへんはなんとも、ぼくとは違うタイプだからスタイルは稟に近いと思う」
「了解、じゃ暴れてくるよ」
そしてユーノは横で固まっている三人に
「なのはは基本的にぼくの後ろで火砲支援、アルフはフォワード、ぼくはその中間くらいで」
そのことばに反応して
「了解だよ、どうなっても知らないんだから」
「ま、頑張るしかないねぇ」
「あぁもう、ユーノのばか。どうなってもしらない」
そして最後に一言
「じゃぼちぼち頑張ろうか?やるからには勝たないとね?」
「「「「もちろん(なの)(だろ)」」」」
その様子を見ていた青龍はやわらかに微笑んでいた。その表情はまるで愛しい弟を見守る姉のような優しさに満ちていてユーノのことを大切にしているのがみてとれた。
青龍にとってユーノはただの契約者ではなく弟みたいな存在なようだ。
両チームは真ん中で向かい合っていた。
そして青龍が確認する意味でもう一度最初からルールを説明する。
「では確認しますが、ちゃんと攻撃には加減を加えてください、バリアジャケットを抜くことが無いように。リーダーがやられたらその時点で終了になるので気を付けてください。ちなみにわたしが無理だと判断したら力づくにでも止めます。いいですね?」
みんなそのことばに頷く。だが力づくは無理だろうとユーノと稟以外の全員が思っていた。だが実際は違う。そもそもここにいるもの中で青龍に単体で勝てるものは存在しないのだ。ちなみに稟は
(逆らわないようにしよう)
とか思っていたりする。
(↑昔にユーノと模擬戦をしていて指示に従わなかったことで酷い目にあったことがある)
「では各々配置に付いてください」
そのことばにみんな自分の場所へ向かっていくユーノは自分のチームのメンバーを呼び止めると
「最初にぼくが仕掛けるからそれを合図に攻撃に移って。ぼくの攻撃のあとに青龍が声をあげたらそのままでいて」
「うん、わかったよ」
「うん」
「了解だよ」
「…………あれをやる気か?まぁいいか」
そう各々返事をして配置に着いた
青龍は全員が配置に着いたのを確認すると、
「はじめっ!!」
そう声をかける。そうして模擬戦の火蓋はきっておとされたのだった。
最初に動いたのはユーノだった。
青龍の号令の直後手に持つ長弓に魔力で精製した矢を八本つがえ、狙いを定めるそして
「いけっ!!」
ベルカチームに向けて放ったのだった。
シグナム VIEW
ユーノと契約しているという聖霊……青龍……が号令をかけるのとほぼ同時にユーノが誰よりも早く動きだしたのをシグナムはみた。
ちなみにユーノが死角を取るように動いているのでシグナム以外はユーノの動きに気付いていない。
その手に持つ弓に矢を八本もつがえていることからコントロールは困難と見られるし、込められた魔力量も少ないことからシグナムはこれを牽制と判断する。
(まずは様子見といったところか……)
そう判断した瞬間ユーノの手元から矢が消えたように見えた、実際は矢を放ったのだがシグナムでも線のようにしか見えない。しかも極めて精確に自分達を捕らえているのだ。そのことには驚かされたが、シグナムにとっては線のように見えるだけで十分だ、だがそれはシグナムにとってはということなのであって全員に当てはまるわけではない。
ヴィータやザフィーラは反応できるだろう。
だが………
(これは主はやてやシャマルではこれには反応できん!しかも直撃コースだと?!いまからでは主はやてやシャマルでは反応が間に合わんし、わたしやヴィータが割って入ることもできん、だが魔力はほとんどこめられていないか………心苦しいがシャマルと主はやてには耐えてもらうしかないか………)
シグナムはそう判断するとすぐそこまで迫っていた矢を迎撃しミッドチームのほうへ飛び出していった
だが………
「そこまでです!!」
その声に静止をよぎなくられたのだった
シグナム VIEW OUT
RIN VIEW
ユーノがはじめに仕掛けると言ったとき稟は
(俺の出番はないだろうなぁ~)
そう考えていた
「はじめっ!」
青龍がそういうのと同時に自チームのメンバーをうまく使って死角になるような場所から矢を放ったユーノの姿が見える。
ただひとり剣のデバイスを持った人は気付いたようだった
(相変わらず鮮やかだよなぁ~、だけどあれに気が付くとはあの人………シグナムって言ったっけ?かなりの腕だな。純粋に今度一対一で模擬戦してもらおうかな)
そしつ稟はユーノの放った矢が相手のリーダーだった八神さんとサポート系の役割を担うであろう女性に当たったのを確認してデバイスを待機状態に戻した。
稟のその行動をユーノ以外の三人は困惑の表情で見つめる
「土見くん?どうしたの」
高町さんが三人を代表して質問してきた
「?いや、だってもう終わりだろ?」
さらに三人は困惑の表情を浮かべる。それを見ながらユーノは苦笑して
「稟、いくらなんでも判断が早すぎるよ。まだ青龍はなにも言ってないよ」
ユーノがそういうと
「すぐに終わりを告げるさ」
稟がそうこたえる
「そこまでです!!」
青龍がそう宣言する
稟はそちらに視線をやって
「ほらな?」
そういって笑ったのだった
RIN VIEW OUT
青龍のその声にユーノと稟以外は困惑の表情を浮かべる
みんなを代表してシグナムが質問をすることになった
「まだ誰もやられていないし、うけたダメージも少量だ、戦闘続行は可能だと思うのだが?」
「?少量のダメージとはユーノの矢のことですか?」
青龍は不思議そうな顔をするがシグナムにはからかっているようにしか見えなかった。当然そのことに対する怒りもたまっていくができるだけ平静を装う
「そうだが、それ以外に攻撃らしい攻撃はなかっただろう?」
たしかにそうであるしかしシグナムは読み違えていた。そのシグナムに対して青龍は
「そう思うのもしかたないと思いますが、直撃をうけたお二方はもう動けないと思いますよ?」
そう返したのだった。はやては納得出来ないのか抗議を行うのだが
「わたしはまだやれ(クラッ)…あれわたしどないしたんやろ………」
そういいながら意識を失ったのでユーノがしっかりとキャッチする
みんな『はやて?!』
「とまぁ、こういうことです。どうしてこうなったかはユーノに聞いてください」
そういって青龍はユーノのなかに戻ったのか目の前から消えた。そしてみんなの視線はユーノに集まり
「ユーノ、きっちり説明してもらうからね♪」
音符が怖さを醸すフェイトのその台詞によってユーノのじんも………もとい質問会が決定されたのだった。
余談ではあるがシャマルは
「わたし限界。なんでこうなったかは検討ついてるから、話が終わったらおこしてね。あとユーノくんはやてちゃんの治療頼むわね?」
という遺言を残して意識を手放したのであった。
運ぶ人がいなかったのでその場に放置されたのは言うまでもない。稟は運ぶべきか迷ったが楓と桜の呼ぶ声が聞こえたので急いでそちらに向かった。
シャマルの知り合いは口をそろえて言ったという。
『大丈夫、ほっといても死にはしない』と
あとがき
今回は初戦闘でした。戦闘シーン難しいです。今回はかなり短いですが
とりあえず戦闘に関してアドバイスなんかありましたら指摘してくれると嬉しいです
では今回はこれで失礼させていただきます。
Tweet |
|
|
9
|
1
|
追加するフォルダを選択
今回初戦闘です。ほとんど戦ってないですが