No.964086

PokemonSM CosmosEpic 17:博士夫妻とリーリエ

フウイさん

あの人物の登場に驚いて、さらにポジションに驚いたのは私だけじゃないとおもいたい。

2018-08-18 15:03:50 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:345   閲覧ユーザー数:345

博士夫妻とリーリエ

 

ヨウカがマオスペシャルによって気絶した事件から3日後、意識を取り戻し正気にも戻ったヨウカはオハナタウンのポケモンセンターを旅だった。

 

「なんか、気付いたら3日経ってて・・・その間の記憶がないんやけど・・・」

「あまりおもいださないほうがいいロトよ」

「そうやろか・・・?」

 

なんだかロトムにうまくはぐらかされた気がする。

そう思いつつもヨウカは今朝ジョーイさんに聞いた聞いたククイ博士の伝言に従い、カンタイシティにある空間研究所という場所を目指していた。

ロトムの案内の元その研究所を探して発見すると、その施設の前でなにかをしている、白い帽子とワンピースの少女の姿を発見した。

 

「いけ、ほしぐもちゃん!

はねる・・・ですっ!」

「ぴゅい?」

 

その少女とはリーリエであり、コスモッグにたいし技の指示をしていた。

突然技の名前をいってきたリーリエにたいし、コスモッグは首を傾げるような動作をとるだけだ。

そんなコスモッグの反応に気づいたリーリエは小さく照れ笑いをしつつ、自分がとった行動の意味を説明する。

 

「ちょっとだけ・・・ヨウカさんやハウさん達の真似をしてみました。

最近・・・ちょっとずつだけどポケモントレーナーというものに憧れを感じてて・・・。

ポケモンさんを傷つけるから・・・そんな理由で私はポケモンバトルは嫌いだったんですけど・・・。

でも、ヨウカさんとかハウさん、そしてハラさん達の姿を見てみると・・・本当にそれだけじゃないんだなぁって思えてきたんです」

「ぴゅ!」

 

リーリエの話を聞いたコスモッグはぴょんぴょんととびはねて、リーリエの周りを飛び回った後彼女の手の中に収まりすり寄った。

そんなコスモッグに対してリーリエもくすりと笑う。

 

「リーリエちゃん?」

「ひゃあ!」

 

そこにヨウカが声をかけてきたので、リーリエはビックリして声を上げてしまった。

そのときコスモッグから手を離しそうになったが、すぐにキャッチして抱き抱えて振り返り、ヨウカの姿を視界に入れる。

 

「あ、ごめん・・・!

びっくりさせちゃったよね・・・」

「ヨウカさん・・・い、いえ、大丈夫です!」

 

少ししょんぼりしたヨウカに対しリーリエはあわてて弁解し、中にはいるように促す。

 

「とりあえずこの空間研究所に入りましょう!

ククイ博士が中でお待ちですよ!」

「うん、せやね」

 

リーリエにいわれてヨウカも元気を取り戻して笑い、2人で空間研究所の中に入っていった。

 

 

空間研究所のロビーに、ククイ博士はいた。

 

「ヨウカ、きたか!」

「はい!」

 

名前を呼ばれたヨウカは元気のいい返事を返した後で、リーリエはあることに気付き周囲を確認した。

どうやら誰かを捜しているようだ。

 

「ハウさん、連絡入れてたのに遅いですね・・・」

「まぁハウはマイペースだからな。

だが、あれは恐らくハウさん並の大物になりそうな予感がするぜ!」

「ホントかなぁーっ!?」

「わっ!」

 

噂をすれば何とやら、と言うように、ハウの話題になった瞬間いきなりハウが飛び出してきた。

 

「ここでおどろかすか!」

「えへへー」

「まぁそのマイペースっぷりが君の持ち味だからな。

とりあえず役者はそろったし、加速して2階へ行くぞ!」

 

ククイ博士に言われて、3人はエレベーターに乗って上の階層に移動する。

そして目的のフロアに到着するとエレベーターの扉が開き、4人はエレベーターを降り部屋の中に入る。

するとククイ博士は大きく手を振って誰かを呼び始める。

 

「やぁ、ハニー!」

「はにー?」

「はーいっ!」

 

ククイ博士の発言に対しヨウカが首を傾げると、彼の言葉に反応して一人の女性が彼女たちの前に現れた。

ボリュームたっぷりにまとめた白い髪に金色の目、ラフなタンクトップに指輪が通ったペンダントをかけている女性だ。

初対面のヨウカにククイ博士はその女性を紹介する。

 

「彼女はバーネット博士!

この空間研究所の所長であり、僕の奥さんだぜ!」

「へぇ、奥さんですか・・・」

 

ヨウカはそう返したが次の瞬間驚きの声を上げる。

 

「って、え、えぇー!!?

博士って奥さんいたんですかーっ!?」

「驚くところ、そこですかっ!?」

「最初から僕が既婚って証拠はあっただろ、ほら」

 

改めてククイ博士の左手の薬指をみる。

確かにククイ博士のそこには指輪があり、バーネット博士がペンダントにしている指輪と同じものだとわかる。

納得したヨウカはバーネット博士に挨拶をし、彼女の話に改めて耳を傾ける。

 

「私はここで、様々な空間というものについて研究しているの。

過去には夢の煙というのを採取したこともあるし、それがどこからくるものなのかを解明しようと挑んだこともあるわ」

「夢の世界に行ったことあるのー?」

「まぁ似たようなものはみたことあるわね。

それで、今回はこのアローラでまた、別の空間について調査しているところよ」

「別の空間?」

 

そんなものがあるの、とヨウカが疑問を持つとバーネット博士が話し始めた。

 

「別の空間・・・それはアローラ最大の謎とも言われているもの・・・。

その名も・・・ウルトラホール!」

「う、ウルトラホール・・・?」

「そう、別世界とも呼ばれる場所で、そこにはその世界にしか存在しないというポケモンがいるという話もあるのよ。

アローラでは極希に空に穴が開くとされ、そこから怖いものがでてくると言われているの。

ハウは知ってるわよね?」

「うん」

 

バーネット博士の言葉にハウは頷くと、話し出す。

 

「昔からみんなが言ってるよー。

悪いこととか人やポケモンを困らせることばかりしてるとー、空からこわーいポケモンが出てきて、おしおきのために連れてっちゃうんだぁーって!」

「なんかありがちやね」

「確かに、よくある子どもへのしつけのための言いつけなのかもしれないけど・・・。

根拠もないわけじゃないし、貧弱な可能性でも無視することはできないのよ」

 

バーネット博士は空間の研究者として、再び語り出す。

 

「ほかの地方には空間を司る神と呼ばれるポケモンがいる。

この世の裏側と呼ばれる世界に住み、この世界をみているという神のポケモンもいる。

空間をつなげていろんなものを呼び出したりできるポケモンの存在もある。

・・・とか、沢山の空間に関する情報も各所に存在している」

「そうなんですかぁ。

あの、さっき言ってた、怖いポケモンって・・・」

 

なんなのだろう、とヨウカは聞いたらバーネット博士はすぐに答えてくれた。

 

「ウルトラビースト」

「へっ?」

「ウルトラスホールから出てくるポケモンを、私達はそう呼んでるわ。

私達が知ってるポケモンより、もっとスゴい力を持っているそうよ。

そして・・・野生のポケモンと比べて非常に凶暴で、未知の力を秘めていて・・・容赦なく襲いかかるとも言われているわ」

「・・・わぁ・・・」

 

少し怖くなったらしい、ヨウカはびくっと身体をふるわせる。

ハウも少しだけ顔を堅くさせつつ、幼い頃から自分が聞いてきたあの言いつけと先ほどの話を重ね合わせる。

 

「もしかしてそれがー、空から悪い子をつれていっちゃうというポケモン達のことなのかなー?」

「カンが鋭いわね、ハウ。

完全にそうとは決まった訳じゃないけど、可能性が高いわね。

いずれにせよ、ウルトラビーストやウルトラホールを直にこの目で確認しないことにははじまらないわ」

 

ウルトラビーストの説明を一通り終え、バーネット博士は穏和な笑みを浮かべる。

 

「まぁ、私がここで調べているのはそんなものよ。

わからないことだらけで、実際に発見して謎を解明できればサイコーなんだけどね。

もし興味があるならあとは様々な資料も保管されてるし、研究者も沢山いるからいろんな話を聞いてみるのもいいわ」

「はーいっ」

 

こうしてバーネット博士から話を聞いたヨウカ達は、またアローラの謎にふれたのだった。

 

 

その後ハウは研究所の中をのんびり観察して回り、ククイ博士もほかの研究者と話をしていた。

ヨウカもまた、バーネット博士のことで気になったことを聞いてみた。

 

「あの、バーネット博士はリーリエちゃんとも知り合いで、ほしぐもちゃんのこともしっとるんですよね?」

「そうよ」

「そうです」

 

バーネット博士とリーリエは、自分達のことをヨウカに説明し始める。

 

「今から3ヶ月前のこと・・・この近辺の浜辺で倒れているこの子を発見して保護したの。

バッグの中にいたコスモッグも弱ってたわ」

「私・・・迷いに迷って・・・どこへ行けばいいかわからず・・・そのまま力つきてしまって・・・。

そんな私をバーネット博士は見つけて、ここまでつれてきてくれたんですよ。

意識が戻ったのは夜中で・・・お腹を空かして喉もカラカラだった私に食事と飲み物を用意してくれて・・・さらに、私のお話にも真剣に聞いてくれたんです」

「ぴゅい」

 

コスモッグを腕に抱きながらそう語るリーリエの表情は今までよりずっと穏やかで落ち着いていて、うれしそうだった。

それだけで博士夫妻にたいする信頼と感謝が伝わってくる。

 

「おまけにバーネット博士はククイ博士にもお話しして、あの研究所で居候させてくれたんです。

開いていたからといって、わざわざロフトを改良してそこに私のお部屋を用意してくれたんです。

助手として働くのは・・・私なりの恩返しなんですよ」

「だから助手になってるんやね」

「はい」

「ほぇー・・・リーリエちゃんは偉いねぇ」

 

ヨウカは素直に関心してそう言うと、リーリエは少し恥ずかしそうにほほえんだ。

そんなリーリエの頭に手を置くバーネット博士も、笑っていた。

 

「恩返しとか大袈裟なことをしなくてもいいわ。

私もあの人もこの子のためになにかしてあげたくて実行に移しただけよ」

「・・・本当に感謝しているから、恩をお返ししたいんです・・・。

このことは・・・私がしたくてしてることですし、貴女方がいるからそうしたいって思ったんです」

 

リーリエの素直な言葉にバーネット博士はさらにうれしそうに笑った。

 

「・・・でも、頑張ってあの人を手伝ってくれてるのも事実だし・・・。

そのことでも私は十分感謝してるわ。

ありがとうね、リーリエ」

「・・・はい」

「ヨウカも、リーリエと仲良くなってくれてありがとう。

ハウと同じくらい感謝してるわ。

これからも仲良くしてあげてね、友達として」

「はいっ、もちろんです!」

「ふふ、聞いてたとおり元気がいいわね」

 

そのとき、バーネット博士の名前を呼ぶ助手達の声が聞こえたのでバーネット博士はそちらに向かっていった。

彼女がそこから去っても、リーリエは変わらず穏やかなほほえみを浮かべながら話を続けた。

 

「・・・私にとって、バーネット博士はまるで・・・本当のお母様のようです。

ククイ博士も本当のお父様みたいで・・・。

ちょっと失礼かもしれませんが、博士と言うよりも両親のように思っちゃうんです。

それくらい優しくて、包容力のある方々です」

「なんか・・・ホントに子どもができたらホントにいいパパとママになりそうやねっ!」

「はいっ」

 

考えてることが一致した2人はその場で互いの顔を見てニッコリと笑いあった。

このヨウカの爆弾発言に、遠くから二人の男女が吹き出す声が聞こえたとか聞こえなかったとか。

 

 

ククイ博士はバーネット博士と話があるといっていたのでそこに残し、ヨウカ達は空間研究所をでた。

リーリエは、気になることがあるからもう少しこの研究所の書庫で調べ物をすると告げて研究所の中に残った。

 

「ヨウカはー、これからどうするのー?」

「コニコシティへいくよ、あとは大試練だけだもん」

「えーっ、もうそこまで行ったのーっ!?」

 

外にでたヨウカとハウは、近状とこれからについて話し合う。

 

「おれねー、マオって人の試練は突破したよー!

それで今はスイレンの試練を突破するためにポケモンを鍛えてたんだー!」

「どんな順番!?」

「マオのシレンはタイヘンだったロト?」

「すこしー!

だけどー、たのしいから問題ないよー!」

「ハウくんっていつもホントに楽しそうやね」

「もちろーん!」

 

のんびり口調で変わらず会話を続けるハウにヨウカも楽しく会話を続ける。

とりあえずハウはせせらぎの丘に、ヨウカはコニコシティに向かうとわかり、今回はここで一度別れることになった。

 

「じゃあまたねー、ヨウカー!」

「うん、またねハウくーん!」

 

ヨウカはハウを見送った後、近くの店でお弁当を購入し、草原でそれを広げ自分のポケモン達と一緒にそれを食べる。

そして空を見上げて、今日の話を思い出す。

 

「ウルトラホール・・・空に突然開く穴かぁ・・・。

そこから出てくるウルトラビーストって、どんなポケモンなんやろなぁ・・・?」

 

本当にどんな存在なのか、そして本当に自分達にとって危険な存在なのだろうか。

ヨウカがそれを気にし出したそのとき。

 

「・・・?」

「ニャ?」

 

ヨウカは空に何か、違和感のようなものを感じた。

というより、目撃したのだ。

規模こそ小さいが、突然空がゆがみ雲が乱れ、一瞬ではあるがなにか亀裂が入ったようにも見えた。

その異変はすぐに消滅し元の空に戻ったが、その一瞬のことがヨウカの記憶にしっかりと刻まれた。

 

「いまの・・・なに・・・?」

 

状況が飲み込めず、お弁当を食べる手が止まるヨウカ。

そんなヨウカの様子が気になったポケモン達が彼女に声をかけたことでヨウカは我に返った。

 

「カキリッ?」

「ヒーニャッ?」

「あ、ううん、なんでもないよ。

さ、お弁当食べたらコニコシティを目指して再出発だよ!」

「ニャッ!」

 

ヨウカはお弁当を食べ終えるとポケモン達に声をかけて立ち上がり、また歩き出した。

彼女がみてないとき、空はまた、ゆがみを見せたのには気づかないまま。

 

そして、まだ・・・自分がその歪みと今回の話とに、大きく関わることは知らなかったのだった。

 


 
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