No.912228

九番目の熾天使・外伝 ~短編㉔~

竜神丸さん

ナイトレイド&イェーガーズ その5

2017-06-30 23:37:24 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2731   閲覧ユーザー数:1698

「デッドスパイク!!」

 

「ぬ…おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

蒼の魔導書(ブレイブルー)の起動と共に、全身から赤黒いオーラを放出し始めたBlaz。彼の振るった大剣が地面を斬り上げる事で地面から発生した強力な斬撃がブラートに迫り、ブラートも自身が装備している槍型アームドデバイスを地面に突き立て、その際に発生した衝撃波をぶつけて斬撃を相殺。大爆発が起こる中、爆風から飛び出した二人は自分が持っていた武器を投げ捨て…

 

「「ふんぬぅ!!!」」

 

クロスカウンターの要領で、両者同時にパンチを繰り出した。お互いの顔面にパンチが炸裂し、またしてもパワーが相殺し合った事でどちらも大きく吹き飛ばされ、それぞれ戦闘中だったFalSigとラバックの近くまで勢い良く吹っ飛ばされる。

 

「うぉいビックリしたぁ!?」

 

「んな、ブラートの兄貴!? 大丈夫か!!」

 

「ん、あぁ……俺は大丈夫だぜ…!!」

 

「プッ……くそ、面倒な野郎だな」

 

倒れた状態から起き上がったブラートは口元の血を拭い、同じく起き上がったBlazは地面に唾を吐き捨ててから相対するブラートを睨みつける。

 

「百人斬りのブラート……エスデスの次くらいに強いんだっけな。面倒なのと当たっちまったぜ」

 

「そうか? 俺はお前のような強い男と戦えてラッキーだと思ってるぜ。俺には分かる……お前、意外と熱血な部分もあるだろう?」

 

「…さぁな、特に考えた事もねぇよ!!」

 

Blazは足元の瓦礫を蹴り飛ばし、ブラート目掛けて突撃。それに対しブラートは左肩の鎧に仕込まれたスイッチを押し、背中の鎧に隠していた長剣を取り出し瓦礫を一刀両断する。

 

「感じるぜ!! 一見冷静そうに見えて、内側には熱い心を秘めている……この俺が言うんだから間違いない!!」

 

「暑苦しい野郎だな……そういうのは苦手なんだよ、こちとら!!」

 

「冷たい返事だな!! そういうのも嫌いじゃないぜ!!」

 

「だから顔を赤らめながら言うんじゃねぇ!! 寒気がすんだろうが!!!」

 

ブラートの長剣を右足で踏みつけ、ブラートの顔面にパンチを繰り出すBlaz。しかしBlazの拳はブラートの右手で防がれ、後方に投げつけた後、投げつけられた先で華麗に着地するBlaz目掛けて長剣を投擲。Blazはオーラを纏わせた右手で飛んできた長剣を薙ぎ払った後、先程放り捨てられ地面に刺さった大剣を即座に抜き取り、ブラートも槍型アームドデバイスを転移で手元に引き寄せ、両者の刃がぶつかり合う。

 

「ははは、何だかんだでお前も強いじゃねぇか!! やっぱり俺の目に狂いは無かったな!!」

 

(ッ…こいつ、蒼の魔導書(ブレイブルー)の力にも拮抗しやがるのかよ…!! あんま長期戦はしない方が良さげだな…!!)

 

Blazの大剣が大鎌に変形し、ブラートの槍型アームドデバイスに上手く引っ掛け宙に高く打ち上げる。そのまま大鎌を振り下ろすBlazだったが、振り下ろされた大鎌がブラートの両手で真剣白刃取りされ、Blazの腹部を蹴りつけてから手放された大鎌をその場に放り捨てる。

 

「ッ…しゃおらぁ!!!」

 

「ぐぶっ……でりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「がっ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

蹴りつけられたBlazは右足を後方に置く事で踏ん張った後、すかさず駆け出し、右手拳をブラートの腹部に炸裂させる。負けじとブラートも拳をBlazの左肩に炸裂させる。拳の炸裂した左肩の骨がミシミシと悲鳴を上げる中、ブラートの右手を掴んだBlazはブラートを引き寄せてから彼の額に頭突きを命中させ、頭突きを受けたブラートの額からは血が噴き出し、リーゼントが崩れて黒髪がパサァと広がる。

 

「ぐ……どうだぁ、そろそろ決着を付けないかぁ!?」

 

「ッ……上等だ、これで終わらせたらぁっ!!!」

 

既に全身が悲鳴を上げている両者。Blazは右手拳に再度オーラを纏わせ、ブラートも右手拳に魔力を収束し、同時に駆け出し拳を突き出した。

 

「「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」」

 

-バギィッ!!!-

 

Blazの拳はブラートの顔面に。

 

ブラートの拳はBlazの腹部に。

 

これで遂に限界が来たのか、2人は全身から血飛沫が舞い上がった後、ほぼ同じタイミングでその場に大の字でドサリと倒れる。

 

「ハァ……ハァ……やるじゃねぇか、お前…」

 

「ゲホ……ゴホ……お前、じゃねぇ……俺はBlazだ…」

 

「そうかい……ッ…良い勝負だった、ぜ…」

 

「…ま、何だかんだで……俺も嫌いじゃなかったぜ……テメェの事、は…」

 

「「ごふぅっ」」

 

血反吐を吐き、そのまま意識を失う2人。ブラートは全身に纏わせていた魔力が、Blazは全身に纏わせていた赤黒いオーラが消失し、2人の倒れている場所は静かな状態となるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

OTAKU旅団No.20 Blaz vs イェーガーズメンバー ブラート

 

勝者 両者戦闘不能により引き分け

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!?」

 

「おっと、逃げないで頂戴な!!」

 

少し離れた場所にて、引き続き戦闘を続けていたFalSigとラバック。途中まではお互いに糸を利用した戦法を多用していたのだが、糸同士の対決に飽きたFalSigが途中から別の武器として大量の銃器を取り出し始め、ラバック目掛けて次々と乱射し始めていた。帝具クローステールの糸による防御すらも貫通するFalSigのスナイパーライフルの弾丸はラバックの右頬を僅かに掠り、ラバックは青ざめた表情で全力で逃げ続ける。

 

「ちょ、流石に勘弁願いたいって!! 何だよアンタの銃!? 何でクローステールの糸すら貫通すんだよマジで意味分かんねぇ!?」

 

「知らないっすよそんなの。こっちは何処を狙い撃てば貫通出来るのか、それを冷静に見極めて撃ってるだけだからさ!」

 

「それもそれで凄ぇな!? アンタ狙撃手の才能あるって!!」

 

「褒め言葉をどうも! ついでにこれもプレゼント!」

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

今度は複数のナイフを一斉に投擲し始めたFalSig。ラバックが悲鳴を上げながら走る中、そんな彼等のすぐ近くに突如何かが落下。轟音と共に土煙が舞い上がる。

 

「んむ? 今のは…」

 

「な……ラン!?」

 

「ぐ、がは…!!」

 

落ちて来たのは、翼の形状をした帝具―――万里飛翔(ばんりひしょう)マスティマを装備したラン。しかし既にマスティマの翼は所々がボロボロに朽ちており、使用者のラン自身も全身に斬り傷や火傷を負ったボロボロの姿になっていた。

 

「ラン、大丈夫か!?」

 

「ッ……まさか旅団に、あれほどの戦力がいたとは…!!」

 

ラバックに支えられながら立ち上がるラン。そんな彼が見据えるは、紺色の和服に身を包み、カランコロンと下駄の音を鳴らすガルムの姿。

 

「どうも、優男さん。『ファイナルマスタースパーク』を跳ね返して来た時は、流石にちょっとビビったぜ」

 

「え、『ファイナルマスタースパーク』跳ね返したの!? あのイケメンさん凄いっすねぇ~……っと隙あり!!」

 

「うげ、しまった!?」

 

「ぐっ…!!」

 

ラバックがランを支えている状態を好機と見たのか、FalSigが再度伸ばした糸が2人の身体に巻きつき、即座に2人を捕縛。グルグル巻きにされた2人の首筋に、ガルムが右手から生成した刀剣状エネルギーが据えられる。

 

「さて、お二人さん。大人しく捕まってくれるとお兄さん達は嬉しいな♪」

 

「…すみません、カンナ隊長」

 

「あ、あはははは……降参しまぁ~す」

 

これにより、ランとラバックはガルムとFalSigの2名により捕縛される事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

OTAKU旅団No.10 ガルム No.18 FalSig vs イェーガーズメンバー ラン ナイトレイドメンバー ラバック

 

勝者 ガルム&FalSig

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そぉれ、もっと行くわよぉ~♪」

 

「ッ……このぉ!!!」

 

楽園(エデン)の城壁最上部。そこでは朱音とマインが激戦を繰り広げていた。マインの銃型帝具―――浪漫砲台(ろまんほうだい)パンプキンから放たれる銃撃を、朱音はヒラリヒラリと簡単にかわし、朱音の振るう刀剣からは強力な剣圧を飛ばし、マインも飛んで来る剣圧を必死に回避して回っている。

 

「ふぅ♪ …あら、1人足りないわね」

 

(その通り、俺はこっちだ!!)

 

一方で、マインと一緒に戦っていたタツミは鎧型帝具―――悪鬼纏身(あっきてんしん)インクルシオの能力で密かに透明化していた。朱音がマインと相対している間に、こっそり背後から朱音を奇襲する戦法だ。しかし…

 

「―――な~んちゃって♪」

 

「な……うぉおっ!?」

 

朱音の背後から攻撃しようとするタツミだったが、その直後、突然振り向いて来た朱音がナイフを飛ばして来た事により、身体を反らして回避。普通ならばナイフ程度では傷一つ付かないインクルシオだが、この時タツミは朱音から感じ取れた殺気から「避けないとヤバい」と直感で判断、防御ではなく敢えて回避を行ったのである。

 

「あら、防ぐんじゃなくて避けるのね。意外と良い判断するじゃない」

 

「ッ……悪いマイン、奇襲は無理そうだ!!」

 

「問題ないわ!! これほどの大ピンチ、私にとってはむしろ大チャンスよ!!」

 

「あら、次はどんな手で来るかし……らぁっ!!?」

 

パンプキンから放たれた弾丸は、朱音の繰り出した剣圧をいとも簡単に打ち消し、朱音目掛けて飛んできた。まさか相殺すら出来ないとは想定していなかったのか、朱音は瞬時に身を屈めて銃弾を回避する。その回避された銃弾は朱音の後方で、城壁の壁を大きく破壊してみせた。

 

「あぁ~驚いたわ……それもあなたの帝具の力かしら?」

 

「さぁて、どうかしら? こっちはアンタにヒント与えるつもりなんて微塵も無いわよ!!」

 

「まぁ、それもそうよねぇ……で、あなたもあなたで地味に抜け目ないわよね!!」

 

「ッ…!!」

 

朱音が刀剣を真上に振り上げた瞬間、金属音と共にタツミの装備していた長槍ノインテーターが防がれる。そのまま弾き返そうと考えていた朱音だったが…

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

「…ッ!?」

 

朱音の予想とは裏腹に、タツミのノインテーターは弾かれるどころか、朱音の刀剣を力ずくでへし折り、そのまま朱音目掛けて振り下ろされた。朱音は自身の身体を後退させる事でギリギリ直撃を免れたが、完全に避け切る事は不可能だったのか、斬られた朱音の豊満な胸の間から少量の血が流れ出る。

 

「しゃあ、どうだコンチクショウ!!」

 

「…ふぅん、流石はあの東雲環那(しののめかんな)の弟ね。良いわ2人共、存分に可愛がってあげる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「轟け、雷鳥(らいちょう)!!」

 

「ッ…!!」

 

朱音達が戦っている城壁。その城壁内部では、二百式とアカメが剣戟を繰り広げている真っ最中だった。二百式の振るう太刀から放たれた斬撃は電撃を纏い、アカメは高い跳躍力でそれを回避し、刀型帝具―――一斬必殺(いちざんひっさつ)村雨(むらさめ)で二百式の左側から斬りかかる……が、アカメの動きを予知していた二百式がマントの下から出した2本目の太刀で防御される。

 

「俺の死角から来るのは良いが、動きがバレバレだ」

 

「いや、防がれるのは想定内……だ!!」

 

「!? チィッ!!」

 

するとアカメは村雨を放り捨て、瞬時に自身の両足を二百式の左腕へと絡ませ、関節技の構えに入ろうとする。二百式は舌打ちしてから力ずくで左腕を振るい、アカメを壁に激突させた際の衝撃で無理やり彼女を振り払う。

 

「ぐっ…!?」

 

「関節技も使えるのか……小賢しいマネを!!」

 

二百式の2本の太刀をかわし、素早く村雨を拾い上げたアカメは再び剣戟を開始。剣戟による余波で周囲の壁や床が破壊されていく中、後退した二百式はマントの下から取り出したショットガンでアカメを狙撃。アカメは村雨で飛んできた弾丸を両断した後、床を数回ほど斬りつける。それにより、2人の立っていた床が崩れ出し、2人は下の階へと落下していく。

 

「貴様、楽園(エデン)を破壊する気か…!!」

 

「無策で勝てるとは想定していない。だからこそ手段も問わない……それが私達ナイトレイドだ」

 

「手段を問わなければ勝てると……舐めるなよ小娘がぁ!!!」

 

刃と刃が何度も激突し、更に激しくなっていく2人の戦い。このまま戦闘が長引いていくと思われたその時…

 

 

 

 

 

 

-ドゴォォォォォォォォォォォォォンッ!!!-

 

 

 

 

 

 

「「―――ッ!?」」

 

突如楽園(エデン)中に響き渡った轟音が、2人の動きを一時的に停止させた。

 

「何だ…!?」

 

「今の音……外か…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-ドゴォォォォォォォォォォォォォンッ!!!-

 

 

 

 

「うぉわぁ!? 何々、今度は何すか!?」

 

「!! 今のは…」

 

場所は戻り、城壁外部。ラバックとランを捕縛していたガルムとFalSigのすぐ近くに、また更に何かが速い速度で落下して来た。その落ちて来た存在を見て、ガルムとFalSigは驚愕した。

 

何故ならそれは…

 

「んな…!?」

 

「ディアーリーズ!?」

 

全身ズタボロで、罅割れた仮面から右目が露出しているウォーロックだったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまらん。所詮はこの程度か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「!!」」

 

そこに降り立って来たのが、先程までフライマンタの上に乗っていたイェーガーズ隊長―――東雲環那(しののめかんな)(以下カンナ)だった。地面に減り込んだまま動けないでいるウォーロックを冷めた目で見下ろす彼女は、次のターゲットとしてガルムとFalSigに狙いを定める。

 

(いやいやマジかよ、遂に東雲環那が動き出しやがったよ…!!)

 

「そこの少年は大した事なかったが、お前達はどうだ? 少しはこの私を楽しませてくれるんだろうな?」

 

「い、いやぁ~、自分は遠慮しときま~す…」

 

「そうか、ならば死ね」

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

 

カンナがFalSigを睨みつけた瞬間、瞬く間に生成された氷の針がFalSig目掛けて放たれ―――

 

 

 

 

 

 

「そこまでにしといて貰おうか」

 

 

 

 

 

 

―――FalSigに命中する直前で、ガルムの右手が氷の針を掴み粉砕してみせた。そんなガルムを見て、ウォーロックの変身が解けたディアーリーズは立ち上がろうとするも、蓄積されたダメージのせいで立ち上がれない。

 

「ッ……ガル、ム…さ…ッ!!」

 

「ディア、お前は体力回復に集中しなよ。あの女の相手は俺が引き受けるからさ……FalSig、ディアを頼む」

 

「あいよ、任せますよガルムさん!」

 

「ほう…?」

 

FalSigがディアーリーズを運ぶ中、カンナはガルムから放たれている殺気を見て、冷めた目ではなく興味津々の目を向ける。

 

「…なるほど。ガルムと言ったか? お前はあの少年とは確かに違うようだな」

 

「なぁに、こっちも伊達に番犬を名乗っちゃいないさ」

 

「口も達者のようだな……北欧の番犬の名前など名乗っているようだが、ここまで攻め込まれているようでは、番犬の名も所詮は口だけのようにも思えるが?」

 

「……」

 

「まぁ良い、お前との勝負は確かに楽しめそうだ。思う存分楽しませて貰おうじゃないか…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お    前    今    何    つ    っ    た    ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!-

 

「―――ッ!!?」

 

一瞬だった。

 

ガルムの繰り出した拳が、カンナが瞬時に生成した氷塊の壁を何も無かったかのように打ち砕き、カンナの腹部に炸裂した(・・・・・・・・・・・)。その一撃はカンナを城壁外部の森林奥深くまで吹き飛ばし、木々は薙ぎ倒され、岩石は砕け散り、川は水が吹き飛び、その地形を大きく変えてしまった。

 

「ッ……何ぃ…!!」

 

「…お前、確かこう言ったな? 番犬の名も所詮は口だけ(・・・・・・・・・・・)だと……言ってくれるじゃないか」

 

吹き飛ばされたカンナが血を吐き捨てながら立つ中、瞬時にカンナの前に現れたガルムは語る……その脳裏に、彼女(・・)の笑顔を浮かばせながら。

 

「何も知らない奴が……お前のような戦いの権化が……“あいつ”の名前を、気安く馬鹿にしてんじゃねぇよ」

 

「…面白い」

 

とてつもない一撃を受けて致命傷であるにも関わらず、カンナはその場からニヤリと笑みを浮かべる。

 

「前言撤回だ。お前のような番犬と戦えるとは、私も喜びで心が震えているぞ」

 

「勝手に震えてろ。勝手に楽しんでろ。少なくとも俺は……お前に楽しむ暇なんて与えはしない」

 

 

 

 

 

 

地面を削り砕くガルムの覇気。

 

 

 

 

 

 

地面を凍てつかせるカンナの覇気。

 

 

 

 

 

 

両者の覇気は、その場にいるだけで周囲の地形を変えていく。

 

 

 

 

 

 

「OTAKU旅団No.10、ガルム」

 

 

 

 

 

 

「イェーガーズ隊長、東雲環那」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「―――参る!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼等の戦いが、そう長引く事は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「……」」

 

既に戦闘が終了し、チャイナドレスを着た眼鏡の女性―――シェーレを起こそうとしていたロキ。先程のウォーロックが落下した際の地響きでバランスを崩した2人は転倒してしまい…

 

「…すまん」

 

「いえいえ」

 

ロキの右手はシェーレの豊満な胸を、左手はシェーレの丸い尻を鷲掴みにしてしまっていたのだった。

 

しかも…

 

 

 

 

-パシャッ-

 

 

 

 

「「!!」」

 

「―――面白い物、撮っちゃった~♪」

 

…それを物陰から見ていたkaitoに、思いっきりカメラで撮影されてしまったのは言うまでもない。

 

「…おいkaito、良い子だからこっちに来なさい。良い子だから、その手に持ったカメラをこっちに寄越せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」

 

「三十六計、逃げるに如かずぅっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、私はいつまでこんな目に遭わなきゃいけないの……ひゃん!? ちょ、そこ駄目だってばぁ…!!♡」

 

そしてチェルシーが未だ、kaitoの人工植物に弄ばれ続けているのも言うまでもないお話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued…

 


 
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