No.88548

真・恋姫†無双 -The Beginning- 1

sennaさん

真の本編の始まる以前を妄想してみました。
初投稿ですので、至らぬ点は多々あると思いますが、よろしくお願いします。
基本は恋姫キャラですが、史実や演義で出てくる何人かは台詞ありで登場しますので、お許しを。

2009-08-07 17:28:32 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:3843   閲覧ユーザー数:3214

 

後漢第12代皇帝、霊帝崩御。

 

 

 

霊帝には二人の皇子がいた、何皇后の子、劉弁と王美人の子、劉協である。

 

劉協の母である王美人は何皇后の嫉妬によって毒殺されており、劉協は霊帝の母である薫太后に育てられた。

 

劉弁は誰がみてもわかる暗愚であり、劉協の聡明さは際立っていたので、劉協を擁立する声も大きかったのであるが、

 

何皇后と異母兄である大将軍何進の政治力の前に、第13代皇帝は劉弁と決まった。のちの少帝である。

 

 

 

劉協「肉屋の一族どもめ!、なぜあのような暗愚な男が皇帝なのだ!」

 

劉弁が帝位に就いた後は、陳留王となった劉協は王宮の自室で憤慨していた。

 

蹇碩「殿下、お声を小さく・・・誰が聞いてるかわかりませんぞ。」

 

劉協「くっ!」

 

蹇碩「霊帝陛下の崩御により、朝野に満ちていた不満が爆発寸前の状態になっております。なにかのきっかけで爆発さえすれば、あの皇帝と何一族では抑えきれません、まだまだ機会はありまする。」

 

劉協「なるほどのぅ、だが待ってるのは性に合わぬ、そのきっかけを作るためにも策をもって何進を暗殺せよ」

 

蹇碩「!」

 

劉協「大将軍とて皇帝に謁見する時は剣をもつことは適わぬ。宦官ではあるが、身体壮健で近衛軍を率いる貴様にかかれば造作もなかろう」

 

蹇碩「・・・はっ!」

 

蹇碩が顔を青白くしながら退出して行ったあと、劉協は杯に酒を並々と注ぎ一気に飲み干した。

 

劉協「フフフ、失敗してもかまわんのだ、騒動が起こればよい・・・暗殺されかかった何進は、どうでるであろうな・・・フフフ」

 

もう一度、酒をあおった劉協は侍女に王允を部屋に呼ぶように命じた。

 

洛陽の街の北門で、北部尉の任につく少女がいた。

 

決して高い地位ではないが、少女の仕事ぶりは自分に厳しく部下にも厳しかった。

 

副官「曹操様!間もなく門を閉じる時間になります!」

 

兵士の声に振り返った金髪の少女、曹孟徳は、そこが合戦場であるかのように覇気をこめて、だが静かに命令した。

 

曹操「不寝番の者たちとの引継ぎをおこない、そのあと私に報告しなさい。それで貴様の今日の任務はおわりよ。」

 

副官の報告を受けたあと、書類整理と不寝番の兵たちの様子を見に行き、帰路についたときにはもう月がでていた。

 

そして、北門から自分の屋敷まで半分くらいの距離にきたときに、曹操は乗っていた馬の足を止め、後ろを振りかえり怒気を込めて叫ぶ。

 

曹操「でてきなさい、春蘭、秋蘭! 私が一人では帰れないとでも思っているの!」

 

すると叱られた猫のように情けない顔をした夏侯惇と、夏侯淵が姿をみせた。

 

春蘭「か、華琳様、も、もうしわけありません」

 

秋蘭「いかような罰でも・・・・」

 

その二人の顔を見ると、華琳は、もうそれ以上は怒れなくなってしまった。

 

華琳「・・・まあ、いいわ。心配してくれたのは嬉しいし。このまま帰るのもあれだし、その先にある酒房にでもいきましょう、ついてらっしゃい。」

 

春欄「ありがとうございます!」

 

秋蘭「御意」

 

 

そうして三人は少し進んだ後、そのあたりでは一番大きな店に入り、席につこうとすると・・・

 

??「おーほっほっほっほ」

 

華琳「聞きたくない声を聞いてしまったわ・・・」

 

華琳たちが座ろうとした席の少し奥のところに、金髪巻き髪の少女?が緑の髪の少女と紺色の髪の少女と酒を酌み交わしていた。

 

別に隠れるつもりはなかったので、あっさりと華琳たちは三人組に見つかってしまう。

 

??「あーら、そこにいるのは、北部尉の曹孟徳、チンチクリンの華琳さんじゃありませんこと?」

 

ピキッ

 

華琳「これはこれは、司隷校尉であらせられる袁本初、麗羽殿ではなくて」

 

金髪巻き髪の少女?は袁紹(麗羽)、緑の髪の少女が文醜(猪々子)、紺色の髪の少女が顔良(斗詩)である。

 

麗羽「そちらも三人なのね、こちらにいらっしゃいな、名族であるこのわたくしめが奢って差し上げて

 

よ!おーほっほっほっほ」

 

華琳は少し考えたあと、

 

華琳「そうね、あなたに借りを作るのは嫌だけど聞きたいこともあるしね、ご相伴に与るわ」

 

店の人間に了解をとって、三対三で向かい合うように座りなおした一同。

 

ある程度、杯と食が進んだところで、華琳が切り出した。

 

華琳「麗羽、あなたは何進大将軍と昵懇と聞くけど、宮廷の様子はどうなのよ?」

 

麗羽「キー、猪々子さん!その料理はわたくしが食べてる最中ですのよ!」

 

猪々子「エー、麗羽様には、そちらの青梗菜があるじゃないですかぁ」

 

華琳「・・・・」

 

春蘭「バクバクバク」

 

秋蘭「姉者は可愛いなあ」

 

斗詩「そ、それは私がお話します」

 

空気を読んだ斗詩が華琳の問いに答えはじめた。

 

斗詩「朝野の不満は先の皇帝の時代に好き勝手なことをしていた、宦官の十常侍に向けられています」

 

斗詩は周りを見渡し、声を小さくして話を続けようとすると、

 

斗詩「ですので、何進大将軍は宦官を・・・」

 

麗羽「斗詩さん!」

 

斗詩「は、はい!」

 

話など聞かずに猪々子と食い意地のはった騒ぎをしていたと思われた麗羽が斗詩の会話を遮った。斗詩は思わず飛び上がってしまう。

 

麗羽「それ以上は、たかだか北部尉である華琳さんに、していい話ではありませんことよ」

 

斗詩「す、すいません。ただ曹操殿は優秀なお方、お仲間にした方がと思いまして・・・・」

 

麗羽「この方の祖父は中常侍・大長秋まで出世した宦官。十常侍との繋がりもあるでしょう、無用心すぎますわ、斗詩さん」

 

斗詩「申し訳ありません」

 

華琳「フフフ、さすがにこの私が真名を許しただけはあるわね、ただの名族なだけの当主ってことはないようね」

 

麗羽「名族なだけとはなんですの!だけとは!」

 

華琳「さて・・・私は馬鹿ではないので、顔良の言葉だけでおおよその察しはついてしまったのだけど・・・どうするのかしら?」

 

ガタン!

 

斗詩の隣にいた猪々子が立ち上がる・・・・

 

猪々子「麗羽さまぁ、殺っちゃいますか?」

 

猪々子の周りの空気が殺気で歪みはじめた・・・・

 

春蘭「面白いことをいう奴だな・・・華琳様、殺ってよろしいですか?」

 

丁度、猪々子の正面にいた春蘭も立ち上がり殺気を撒き散らしだす・・・

 

それぞれ自分の主の盾になるように、秋蘭と斗詩も体勢を変え始めた。

 

そうして、春蘭と猪々子の殺気が今にも爆発しそうになる瞬間。

 

麗羽「まちなさい、猪々子さん」

 

華琳「あなたもよ、春蘭」

 

二人の殺気はたちどころに消え、着席した。

 

麗羽「まあ、斗詩さんのいうことも一理あるわ、華琳さん、私たちの仲間になりなさい」

 

華琳「どうせ、すぐの話ではないのでしょう?」

 

麗羽「そうね、一ヵ月後くらいね」

 

華琳「フフフ。私は7日後に陳留の県令として赴任することが決まってるのよ、残念だけど辞退するわ」

 

麗羽「な!この時期に都を離れるとおっしゃるの!?」

 

華琳「洛陽のみが天下ではなくてよ、麗羽」

 

麗羽「洛陽と帝さえ押さえてしまえば、我が袁一族の名声でどうにでもなりますことよ、おーほっほっほっほ」

 

華琳は大きなため息をついた。

 

華琳「ならアナタが洛陽での天下を手に入れてる間に、他の天下は私が頂いておきましょう」

 

麗羽「たかだか県令ごときが天下ですって! そこは笑うところなのかしら?」

 

華琳「麗羽、天下を取るには天の利、地の利、人の利がいるのよ。あなたはその名族ゆえの天地人の人しかないのよ、今はね。」

 

麗羽「な、なんですって!」

 

麗羽は怒りのあまり、立ち上がった。

 

華琳も立ち上がり、麗羽を指差す。

 

華琳「あなたたちの企みは、この都であなたの倍以上の年月を権謀術策と腐敗の海を乗り切ってきた十常時に天の利を与る! なおかつ、あやつらにとってこの洛陽こそが天下、ゆえに地の利はあちら!」

 

麗羽は唇をかみ締めて悔しがる。

 

華琳「2つと1つでは勝てないでしょ・・・答えなさい、袁本初!」

 

麗羽は思わず後ずさり、さらによろけてしまう。

 

華琳「袁本初! 二歩下がると名が泣くぞ!」

 

袁紹本初、一歩下がって身動きとれず。

 

麗羽「くうぅ・・・」

 

華琳は麗羽を指差していた指を下げ、静かに座った。

 

華琳「失敗して洛陽を出るときは、北門から出なさい。兵には話を通しておくわ」

 

斗詩「麗羽様・・・」

 

斗詩が座れないままでいる麗羽の肩を押さえるようにして座らせた。しかし、怒りなのか麗羽の体はプルプルと震えたままだ。

 

華琳「さて、料理も頂いたので帰るわね。成功は疑問だけど、それをあなたの力で変えてみせなさいな、麗羽」

 

麗羽「いわれなくても必ず成功させますわ!」

 

華琳「それでこそ、麗羽よ」

 

そういうと、華琳は麗羽に向かって優雅に微笑んだ。

 

しかし、麗羽には嘲りにしか見えなかった・・・

 

華琳と春蘭、秋蘭は店を出て帰路についていた。

 

華琳が馬にのり、手綱は秋蘭がもち、春蘭が灯りを持ちながら周りを警戒しつつ先導している。

 

秋蘭「あそこまで、袁紹殿を煽ってもよろしかったので?」

 

華琳「フフフ。あれでやる気になってくれればいいのよ・・・あの娘はね、優しすぎるのよ、名族で育った故にね」

 

秋蘭「・・・・」

 

華琳「あの娘につく軍師次第では私の覇業の一番の壁になるかもね、今はまだいないみたいだけど。まあ、それは私も同じね・・・・」

 

春蘭「華琳様に軍師など必要ありません!華琳様以上の知略をもつ者を私は知りません!」

 

話を聞いていた春蘭は振り返りながら興奮して叫んだ。

 

華琳「ありがとうね、春蘭。でも、私一人では限界があるのよ、優秀な人材はいくらいてもいいのよ」

 

春蘭「はぁ・・・」

 

華琳「さて、天の利は待つとして、地の利、人の利を築くためにも陳留に向かわないとね」

 

春蘭&秋蘭「はっ!」

 

漢朝末期の闇がそこにあるかのような深い夜の帳のなかを帰っていく三人。その闇を僅かに照らす月明

 

かり、それが時が経てばやがて闇をすべて消し去る陽の光になる。その光になりたいと華琳は決意していた。

 

 
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