- 女の子が泣いてる。 -
- とてもきれいな女の子だ。 -
- だれだろう?僕は会ったことがないハズだけど。 -
- なんで泣いてるんだろう? -
- なにがかなしいんだろう? -
- なんでぼくもかなしいんだろう? -
- ぼくはあの女の子の笑顔がみてみたい。 -
- 僕はあの女の子を守りたい -
「・・・・・・久しぶりに見たな~、あの夢・・・・・・」
幼少のいつの頃だったか、
泣いてるとても綺麗な女の子の夢を見た。
会ったこともない女の子だったが、
子供の一刀でさえ思わず見とれてしまうほどの美少女だった。
だが、
なぜ泣いてるのかわからない。
なにが悲しいのかわからない。
わかっているのは、
本当は泣かせてはいけない子だってことと、
女の子の笑顔はとても可愛いということだった。
なぜこんな夢を見るのか、
会ったことはない筈なのに何故笑顔が可愛いと思えるのか。
わからないことだらけだが、一刀に決意させるには十分であった。
"夢に見た泣いている女の子を守りたい、あの女の子を守るために強くなりたい"
そう祖父に言い、剣術を指導してもらうキッカケになった夢。
祖父は大笑いしたが、孫が真剣に剣術の鍛錬に取り組むことがうれしかったのか
溺愛していた孫にも厳しく指導した。
おかげで中学を終えるまでに北郷流免許皆伝を修められるほどに成長するが、
今だ成長過程にある身体能力が技術に追い付かず、
免許皆伝の条件である祖父との勝負に勝つことができないでいた。
そこまで一刀を懸命にさせたのは、夢にでてきたあの女の子なのだが、
「昔はもっとハッキリと顔が見えてた気がするんだけどな」
今日見た夢では霧がかかったように女の子の姿が見えなかった。
それが少し寂しく感じる。
「・・・」
「よし!少し早いけど始めるか!」
ベッドから起き出し、ジャージに着替え壁に立て掛けてあった木刀を手に取る。
外にでると朝の冷たい空気が肌に心地良かった。
「よし、行くか!」
ジョギング、ストレッチ、素振り。
一刀の朝の日課である。
素振りは剣術の基本である9つの斬撃の型の素振りを各100本ずつこなす。
それが全て終わるころには結構汗をかいていた。
「ふぅ、今日も快調、快調♪」
いつもと変わらぬ朝だった。
聖フランチェスカ学園 ~放課後~
及川「なぁ~、かずピー」
一刀「ん、どうした?」
及川「今日、剣道部休みなんやろ~? 遊びに行こうや~」
一刀「遊びって…。 お前、まさかまたか?」
以前にもあった、部活の休養日を狙った及川の遊びの誘い。
及川「な、なんのとこかわからんなぁ…」
一刀「はぁ…、俺をダシにして女の子誘うのやめろよな~」
一刀はモテる及川よりは格段に。
文武両道と言えるかどうかだが、成績も中の上、
剣道部では次期主将候補と名高く、全体的に精悍な雰囲気も出ている。
それでいて、誰にでも優しい。(特に女子に対して)
なので、告白も何度もされているのだが、一刀は彼女を作ろうとはしなかった。
及川「ええ~…。 だってかずピーが来るっていうと女の子いっぱいくるんやもん♪」
悪びれずに笑う及川に、一刀はため息をつく。
一刀「はぁ…、別にいいけどさ」
及川「お!、かずピー優しいなぁ♪ じゃあ行こか」
一刀「ん? 行くなんて言ってないぞ」
及川「えΣ (゚Д゚;)! だって今いいって言うたやん」
一刀「行くとは言ってないだろ? それに俺今日はじいちゃんに呼ばれてるんだよ」
及川「かずピーのじいちゃんって九州にいるんやなかったっけ?」
一刀「ああ、なんか知り合いの道場に用事があるとかで、今こっちに来てるんだ」
及川「それにしたって女の子やで~? 比べたら絶対女の子優先や~ん」
一刀「じいちゃんは一応俺の師匠だからな。 師匠としての呼び出しなら断れないよ」
近くにいるのだから稽古でもと祖父から連絡があったのだ。
弟子としては師匠の申し出を断るわけにはいかないし、
今は女の子と遊ぶよりも、強くなりたいという気持ちのほうが大きかった。
及川「しかもなんで、彼女作らんの? 選り取りみどりやんか。 まっ、まさか!!」
一刀「なに考えてるのか知らないが、それ以上言わないほうが身の為だぞ」
いつの間にやら及川の喉下にはキャップの取られたボールペンが突き付けられているwww
及川「じょ、じょーだんですぅ…orz」
一刀「まぁ、別に欲しくないわけじゃないけどね」
及川「なら、なんで? 好きな子でもいるん?」
一刀「…。 いや、いないけど。 ただ合わないってだけだよ。」
好きな子と聞かれ、夢の女の子を思いだすが、
会ったこともない子が好きだなんて可笑しいと思われるに決まっている、
それに一刀自身、好きなのかどうかもわからなかった。
及川「ふ~ん。 まぁええわ。 じゃあまたな、かずピー」
一刀「ああ、またな」
一刀「さて、俺もじいちゃんとこに行くか」
道場にて~~~~~~~~~~~~~
祖父「久しぶりじゃの、一刀」
一刀「うん。 じいちゃんも元気そうだね」
祖父「あたりまえじゃ。 かっかっかっwww」
一刀「で、今日はどうする? 手合せ?」
一刀が聞くと、それまで穏やかだった祖父の気配が厳しいものに変わる。
祖父「うむ。今日はお前の本気を見てやろう」
一刀「……」
祖父「いつぞやの免許皆伝の試験の続きじゃ」
一刀「!? なんで突然?」
祖父「なんじゃ? 自信がないか?」
一刀「むっ! わかったやるよ」
挑発だとわかってはいるが、今の自分がどれだけ成長できたのか知るよい機会だった。
しかし一刀の考えを読んだのか、祖父が追い討ちをかける。
祖父「この試合でワシを納得させられなければ免許皆伝はやらん!」
一刀「なっ!?」
祖父「その覚悟で来い」
いつになく真剣な祖父の言葉に一刀も頷くしかない。
一刀「…、わかった。どれだけやれるかわからないけど、全力でいくよ」
祖父「ふん。 なら準備せい」
なぜ祖父が今こんなことを言うのかわからなかったが、一刀は受けるしかなかった。
祖父が剣術に関して、一刀に冗談をいうことはなかった。
いつだって真剣に相手してくれたのだ。
その祖父が今が時期だというのなら正しいのだろうと自分を納得させ、
このあとの試合にそなえるべく、集中する。
試合がはじまった。
先に仕掛けたのは一刀。
挨拶代わりの一撃を放つ。
祖父は軽々とその一撃をかわし、鋭い一撃で返す。
一刀もそれをかわし、一旦距離をとる。
祖父「ふむ。少しは成長しておるようだの」
一刀「そりゃどうもっ!!」
一刀は気合を入れながら、
祖父へと二合、三合と打ち込み続けるが、
祖父もそれをかわし、いなして反撃してくる。
一刀は辛うじて祖父の攻撃をかわすが目に見えて圧されていた。
一刀「くっ! 化けモンかよっ!? (くそっ! 前より速い!)」
祖父「ほお、まだ叫ぶ余裕があるか」
祖父「力を抑えたまま、ワシと戦えるつもりか?」
一刀「っ!?」
祖父「ふむ。 気付いてないのか」
一刀「なんのことだよっ!?」
祖父「…。 その程度の覚悟では何も守れんぞ?」
一刀「くっ!」
一刀は今までにないほどの速さ、強さで打ち込んでいる。
手加減しているという祖父の言葉が理解できない。
だが、その一刀に祖父が言葉とともに追い討ちをかける。
祖父「その程度では、女子1人として守れんぞっ!!」
祖父の今日一番の一撃を受けきれず、跳ね飛ばされ壁に激突する。
瞬間意識が飛び、
夢の女の子の姿を思いだす。
話したこともない、会ったことすらない。
だが、あの女の子が泣いている。
守りたい。
だが、祖父の言葉が響く。
祖父「その程度では、女子1人として守れんぞっ!!」
一刀「("守りたい"じゃない。 "守る"んだっ!!)」
そう、決めたのだ彼女のために強くなると。
一刀の瞳に今までにない力が宿る。
それは祖父でさえも、息を呑むほどの変化であった。
一刀「はぁっ!!」
その一刀の攻撃が気合とともに祖父に襲い掛かる。
祖父はその一撃をかわせず、初めて木刀で受け、
そのまま壁際まで弾き飛ばされる。
祖父「痛っ!! なかなかやりおるが…」
一刀の一撃を受け、その威力に顔をしかめる。
その一撃を放った一刀も肩で息をしていた。
一刀「はぁ、はぁ、はぁ」
祖父「そろそろ限界かの? ならば自身の渾身の一撃を放ってこい」
祖父「ワシも最高の一撃で答えよう」
祖父が木刀を上段に構え、さらに老体と思えぬ気迫を見せる。
一刀は自信の最高の一撃と言われ少し考える。
祖父に教わったのは剣術の基本の型だ。
その自分にだせる最高の技。
これしかないと木刀を腰に構える。
祖父「ほう。居合いか」
祖父「しかし、鞘がなければ威力半減ではないか?」
一刀「それでもだよ。俺が出せる攻撃で一番速い自信がある」
祖父「ふむ。わかった。 ならば放ってこいっ!」
勝負は一瞬。
祖父に劣らぬ気迫を放ちながら、
一刀は祖父に向かっていった。
祖父「久しぶりじゃの、わしじゃ」
祖父「今日、とうとう一刀に一本とられたわ」
祖父「高校生の孫に一本取られるとは思いもせなんだわ」
祖父「うむ、免許皆伝の証、九字兼定はくれてやった」
祖父「まさかここまで成長するとはのぅ」
祖父「強く、そして心優しく育ったよ、お前の息子は」
祖父「お前に似て女ったらしでもあるがの~、かっかっかっかっ」
祖父「それではまたな、たまにはお前も顔を見せに来い、息子よ」
一刀「あ~あ・・・。 あれは一本取ったって言っていいのかなぁ」
祖父との試合を終えた帰り道、星を見上げながら呟く。
互いの渾身の一撃は、互いの木刀を破壊するという結果に終わった。
あのまま木刀を変えて続けていれば、確実に負けていただろう。
しかし祖父は嬉しそうに笑うと、
免許皆伝の証だと一振りの刀をくれた。
祖父「免許皆伝の証じゃ、銘を九字兼定という。 受け取れ」
一刀「でも・・・」
祖父「ワシが認めたのじゃ、不服か?」
一刀「でも俺はまだじいちゃんに認められるほど強くないと・・・」
祖父「ワシが認めたのはお前の力ではない」
祖父「お前の思いの強さを、覚悟を認めたのじゃ」
一刀「じいちゃん・・・」
祖父「じゃからな、これからも精進せい」
一刀「わかったよ、ありがとう。 じいちゃん」
一刀「しっかし、銘が九字兼定で、鞘から抜けない刀が免許皆伝の証ねぇ・・・」
刀袋に入った刀を背中に背負いながら呟く。
一刀「しかも九字兼定っていったら、土方歳三とかが使ってたっていう名刀じゃんか」
一刀「じいちゃんのじいちゃんは抜いてたっていうから刃はあるんだろうけど・・・」
一刀「まぁあれも何代目とかいろいろあるらしいからそのうちの1本かもな」
祖父曰く、鞘も特別製らしく壊すわけにもいかないのでどうやっても抜けないらしい。
祖父から託された九字兼定を握り締め、
胸に秘めるは、顔も思い出せない夢の中の女の子。
一刀「もっともっと強くなる。君を守るために」
月に向かって誓う。
その日一刀は自分の部屋に着くなり、
激しい睡魔に襲われ着の身着のまま、
刀も握ったまま眠ってしまった。
目が覚めると不思議な場所にいた。
一刀「どこだ・・・?、ここ・・・」
そこは自分の部屋ではないし、ましてや聖フランチェスカ学園でもなかった。
見渡す限り広大な大地で、遠くには山が見える。
とりあえず覚えていることを思い出す。
一刀「え~と、いつも通り学校に行って、その後じいちゃんと知り合いの道場で手合わせして」
一刀「免許皆伝の証、九字兼定を貰って・・・、あっ兼定は?」
慌ててまわりを確認すると、すぐ横に九字兼定が置かれていた。
一刀「よかった・・・。 やっと認めてもらったんだから大事にしないとな」
一刀「兼定をもらって・・・、その後部屋に戻って・・・、戻って・・・」
一刀「戻ってベットに倒れこんだあたりから記憶にないな」
一刀「なんの手掛かりにもならないなぁ」
などと考えていると、
兄貴「おいニイチャン、死にたくなかったら身ぐるみ脱いで置いていきな」
と、いつの間にやら脅されていた。
一刀「(じいちゃんに比べたら大したことないんだけど・・・)」
一刀「(ぶっ飛ばしちゃっていいものなのかなぁ・・・)」
一刀「(ここがどこかもわからないしなぁ)」
と、どうしたものかと一刀が悩んでいると、
兄貴「テマ掛けさせるんじゃねぇっ!!」
リーダー格の男を剣振り上げ一刀のすぐ横に突き刺し、威嚇してきた。
一刀「(おおっ! 本物かコレ? てか今どきこんな恐喝があるんだなぁ)」
と関心しているのを3人組はなにを勘違いしたのか、
チビ「兄貴の剣技にビビッて声もだせないようですぜwww」
デブ「あ、兄貴凄いんだな
兄貴「ふんっ! あたりまえだろう! さぁ、さっさとしろよ」
一刀「剣技って・・・、素人に毛が生えた程度にしか思えないな~」
と、あきれた一刀は声に出してしまう。
3人組「なっ!!!」
一刀「あ、やばっ!!」
兄貴「小僧が生意気言いやがってっ!! ぶっ殺してやるっ!!」
一刀「(やるしかないかっ!?)」
一刀が覚悟を決めたそのとき、
???「待てぃっ!!!」
兄貴「だ、誰だっ!」
??「たった一人の庶人相手に、3人掛かりで襲い掛かるなどと…その所業、後言語道断!」
??「そんな外道の貴様らに名乗る名前など、ない!」
声が響いた次の瞬間。
既に3人組の1人は膝を折り、その場に崩れ落ちていた。
チビ「な…っ! 何だコイツ! ぐはぁっ!」
潰れたような無様な叫びを上げて、小柄な男が吹っ飛んだ。
それが、女の子が振り抜いた槍によるものだと、一刀でさえ辛うじて確認できたほどだった。
一刀「(速い…。 目で追うのがやっとだった…。)」
女の子「なんだなんだ。所詮は弱者をいたぶることしか出来ん三下か?」
兄貴「くっ…おい、お前ら! 逃げるぞっ!」
チビ「へぇ…」
デブ「だ、だな…」
女の子「逃がすものか!」
一刀「あっ! ちょっと待っ…」
一刀「(行ってしまった…)」
??「大丈夫ですかー?」
一刀「ん…?」
いろいろなことに驚いていると、
おっとりと間延びした、女の子の声がした。
??「ちょっと風! む、傷は…ないな。 立てるか?」
風 「あ、稟ちゃん」
一刀「え…、ああ、うん」
風と呼ばれた女の子を追いかけるように現れた
もう1人のしっかりした感じの子が手を引いて立ち上がらせてくれる。
??「やれやれ。 すまん、逃げられた」
風 「お帰りなさい。 …盗賊さん達、馬でも使ってんですか~?」
女の子「うむ。同じ2本足なら負ける気はせんが、倍の数で挑まれてはな」
風 「追い払えただけでも充分ですよ~」
稟 「それにしても災難でしたね。この辺りは盗賊は比較的少ない地域なんですが…」
一刀「比較的…?」
現代の日本では考えられない言葉に一刀が首を傾げる。
一刀「あの…風、さん?」
風 「…ふぇっ!?」
女の子「貴様…っ!」
一刀が風と呼ばれた少女の名前を呼んだ瞬間、
突き付けられたのは先ほどのチンピラを追い散らした女の子の槍の穂先だった。
一刀も明確な敵意に無意識に反応して九字兼定を構えるが、それを遥かに超える速さだ。
一刀「…っ!(速ぇぇ!! じいちゃんより速いぞ!?)」
女の子「おぬし、どこの世間知らずの貴族かは知らんが…」
女の子「いきなり人の真名を呼ぶなど、どういう了見だ!」
風 「て…っ、訂正してください…っ!」
一刀「え…?な、何…?」
稟 「訂正なさい!」
風 「うぅぅ…っ!」
一刀「(な、なんだってんだ? ただ名前を呼んだだけなのに…)」
一刀「(でも、逆らわないほうがいいか…)」
一刀「わかった。 ごめん。 訂正する。 だから槍を引いてくれないか?」
女の子「…結構」
風 「はふぅ…。 いきなり真名で呼ぶなんて、びっくりしちゃいましたよ~」
一刀「真名ねぇ…。 じゃ何て呼んだらいいのかな?」
程立「はい。程立と呼んでください~」
戯志才「今は戯志才と名乗っております」
一刀「(程立ちゃんはともかく、この子は偽名だろうなぁ…。 …あれ?)」
一刀「程立に、戯志才…って」
一刀「(似たような名前の人が昔いたような…、気のせいか?)」
一刀「二人の名前からして、ここってもしかして中国?」
程立「ちゅうごく? 星ちゃん、この辺りにそういう地名ってあるんですか~?」
星 「いや、聞いたことがないな」
星 「その格好からして、どこかの貴族か豪族の一員のようだが、どこの出身だ?」
一刀「出身? 日本の東京だけど」
星 「…にほんのとうきょう?」
星 「稟、そのような地名を知っているか?」
戯志才「無いわね…。 南方の国かもしれないけど」
一刀「あれ? (日本を知らないのか…?)」
星 「…ふむ。 まぁ、後のことは陳留の刺史殿に任せるとしようか」
程立「そうですね~」
一刀「…しし?」
戯志才「ほら。 あれに曹の旗が」
一刀が戯志才と名乗った少女の指した方向をみると
地平線の向こうから砂煙が立ちのぼっていた。
しばらくすると、騎馬武者の群れとその上にひるがえる大きな旗が見えてきた。
一刀「はぁ……」
一刀がその群れに声も出せずにいると3人は立ち去ろうとしていた。
一刀「あ、あれ? 3人とも行っちゃうの!?」
戯志才「我々のような流れ者が貴族のご子息を連れていると」
戯志才「大概の者はよからぬ想像をしてしまうのですよ」
一刀「俺…、貴族なんかじゃないんだけどな」
星 「その辺りはご自分で説明なされ。」
星 「面倒ごとは楽しいが、官が絡むと途端に面白みがなくなるのでな」
星 「しかし、先ほど私の槍に反応したのは見事だった」
星 「次に会う機会があれば、手合せ願いたいものだ」
星が不適な笑みを見せながら言う。
一刀「…、君のほうが上だと思うけどね」
星 「なら、次に会うときまでに精進なされよ」
星 「それでは、ごめん!」
程立「ではでは~♪」
一刀「あ! 助けてくれてありがとうなっ!」
3人は軽く片手を上げて答え、あっという間に姿を消した。
さっきの女の子達が官軍と呼んでいた連中に囲まれる。
するとちょっと偉い感じの2人の女の子が兵の前に出てきた。
一刀「(さっきの子達は彼女達を官軍って呼んでいたから、この国の軍隊みたいなものか)」
一刀「(ずいぶん若い将校だなぁ。 しかも女の子だし・・・)」
一刀「(しかも今どき馬に乗ってる軍隊ってどこの国だろうな~・・・)」
??「華琳様! こやつは……」
目の前の黒髪の女の子がリーダーらしき人物に声をかける。
すると、一刀を囲んでいた兵達の後ろからまた女の子がでてくる。
華琳「ど、どうやら違うようね」
リーダーらしい女の子は一刀を見て黒髪の女の子に言う。
そのとき一刀は華琳と呼ばれた女の子を見てが固まっていた。
一刀「!・・・・・・」
目の前の少女の姿があまりにも綺麗すぎて、言葉を失う。
金砂のように輝く髪、透き通っていてそれでいて自信に満ちた蒼い瞳の少女。
華琳「なによ?///」
一刀に見つめられ華琳も頬を染めているのに気付き、
一刀「(可愛い。。。///)」
一刀「(いやいやいや、そうじゃなくて)」
一刀「いや、なんでもない///」
と、自分では平静を装っているつもりでも、一刀も赤くなりながら辛うじて答え、
なんとなく黙ってしまい、また華琳を見つめていた。
一刀「(やばい・・・、めちゃくちゃ可愛いぞ/// それに名前・・・、華琳っていうのか・・・)
一刀「(この子なのかな・・・、この子だったらいいなぁ)
と、夢の女の子の理想を目の前の女の子に重ねる。
すると先ほどの黒髪の女の子が叫びだした。
春蘭「華琳様っ!離れてください!」
春蘭「賊かもしれないのですよ!」
一刀「(なっ!!)
秋蘭「どうしましょう。連中の一味の可能性もありますし、引っ立てましょうか?」
春蘭「連中の一味に決まっています!」
一刀「(なんか知らないうちにヤバイことになってるっぽいぃーーー!!)
一刀「(しかも、ちょっといい雰囲気だったのになぁ)
華琳との時間を邪魔され、ちょっと残念に思っていた。
華琳「はぁ…、春蘭ちょっと黙ってなさい」
春蘭「華琳さまぁ~…」
一刀「(なにか言わなきゃ! 言葉は通じるみたいだし)」
一刀「あ、あの……」
華琳「……何?」
華琳の少しだけ無愛想な返事に一刀が凹む。
一刀「(ヤバイなぁ、怒らせちゃったかなぁ・・・)
一刀「(たしかにあんなに不躾に見つめられたら怒るよなぁ)」
そして、黒髪の女の子の激しい威圧感と、
青い髪の女の子の一刀を値踏みするかのような視線に耐えながら、
華琳に向かって言う。
一刀「君は……誰?」
一刀「(ああっーー!! 俺の馬鹿っ!! もっと他に言うことがあるだろうっ!!)
一刀の言葉を聞き、驚いている華琳を見て一刀は自己嫌悪に陥った。
あとがき的な
え~、遅くなりました…orz
このご時世仕事があるのは嬉しいことなんですがね。
僕1人にやらせるのはどうかと思うんだ。
そしてね、"エヴァンゲリオン 劇場版 破"おもしろいからって、
3回も見に行っちゃいけないと思うんだ。
今回は一刀君が恋姫の世界に来るまででした。
オリジナルと被ってる部分が多々ありますがご容赦を。
ただ一刀君をちょっと強くしてあります。
魏で比較すると真桜や沙和レベルくらいでしょうか。
でもって一刀君の武器"九字兼定"ですが…、
作者は"空の境界"が好きです(笑)
菊一文字とか、虎鉄とかいろいろ考えたんですが、
あんまり見ない刀にしてやろうと…。
次は華琳様が一刀君を迎えいれるとこですねぇ。
本心ではデレた華琳様が書きたいんですが…、
先は長いな…、いやどうにかして…。
感想やコメントなど頂けたらうれしいです。
Tweet |
|
|
136
|
13
|
追加するフォルダを選択
Re:TAKE 第5話です。
一刀君のお話です。
読んで頂ければうれしいです♪