No.84671

ショタ一刀のお祭巡り(祭編)

MiTiさん

お待たせしました。ショタ一刀シリーズ祭ルートです。
読者の方によっては「こんなの祭じゃない!」「こんな展開納得できない!」って、
思われる場面があるかもですがご了承ください

2009-07-16 00:20:34 投稿 / 全13ページ    総閲覧数:15269   閲覧ユーザー数:11103

『祭の理由』

 

さて…遂に祭ルートに入ったわけだが…

真恋姫をプレイした方がこれを読んだなら疑問に思ったことがあるだろう。

彼女は子供が苦手ではなかったか?

 

うん…そうだったんだよね~…

実は自分も書いててこのことは気になったんですよ(マテ

 

で…これから、自分含めて皆さんの疑問に対する解答を得るために…

本人に聞いてみましょう!

 

さて、祭さん。呉ルートにて子供に囲まれて珍しくも赤面してしまうほどに苦手と言うことでしたが…

何故に彼、ショタ一刀にはその苦手意識がでなかったのでしょうか?

 

「うむ…何というかじゃな~…雰囲気がじゃな、他の子供とは違うのじゃ」

 

ほう…具体的に言うと…

 

「具体的にといわれても言いづらいのじゃが…こ~、他人と言う感じがしないでな」

 

他人で無い?

 

「他の子供であると、こう一線引かれて接せられてしまっている感じがあってのう。

 それに引き換え今の北郷は、我が子の様…と言えば良いのか、一番近いのがそんな感じじゃな。

 流石にに自分の子供が嫌い苦手な親は中々おらんじゃろうて」

 

ですね…しかしま~、出会ってごく僅かな間にそこまで親しみを持たせるとは…

ショタ一刀、恐ろしい子!

 

 

さて、祭ルート第一話はこの辺で終わらせてもらいます。

 

銭湯開店が翌日であるため、初日の夜は体を拭くというイベントがあり、

読者の方々にはこのイベントを楽しみにしている方もいたと思いますが…

スイマセン。自分の実力では書けませんでした…OTZ

書くには書けたんですが、ブッチャけ規制に引っかかるような表現や内容になってしまったので。

 

考えても見てくださいな。

ショタ化した一刀が両手でやっと持てるようなものを、彼女は持っていますよね…

身体を拭くとなると、当然それも拭くことになるんですが、

敏感な所を小さなものが這い回ると結構感じやすいんですが、これが正に、祭が感じるそれですよ。

幼児の手で身体をまさぐられ、感じてしまって顔を赤らめながら喘ぎ声を出している光景なんて…

そんな想像しただけで鼻血が出てしまう光景とてもかけませんって!

 

てなわけで、本編は次の話から入ります。

 

 

『事件発生?』

 

そこは祭の部屋の前。今その扉の前に一人の少女の姿があった。

 

「ふっふ~ん♪私のおかげで勝った様なものなんだから、私も楽しんでも何も言われないわよね~」

 

少女の名は小蓮。サバゲーではスクリュー小蓮として大活躍(本人の意思ではなかったが)した少女だ。

彼女は、サバゲーであんな目にあったのだから自分もいい目見ないと納得できないと言った感じで、

現在ショタ一刀が寝ている部屋つまりは祭の部屋に突入し、自分もお楽しみにあるいはお楽しみを奪おうと考えているのだ。

 

「それじゃ~…突入!」

 

部屋に入り変わったことが無いかを確認した後、寝台に視線を向ける。

まず視界に入ったのは祭の背中。どうやら横向きに寝ているらしい。

そして、彼女の脇腹辺りからは明らかに彼女のものでは無い手が伸びていた。

間違いなく一刀(ショタ)のものだ。体勢からして祭に抱きつきながら寝ているのだろう。

 

「じゃぁ…いっただっきま~す♪」

 

回り込んで、抱きしめている祭の腕の中から一刀を引き抜く。

奪回成功を喜び早速連れ出そうとする…が、ここで違和感を感じる。

引き抜くときも抜いた後も一刀が動いた様子が無いのだ。

正面から見ても特に変わったところは…あった。なんと、今の一刀は、

 

「い、息してなーーーーーーい!?!?」

 

そう、なんと彼は息をしていなかった。

小蓮の驚愕の大声を聞いて、宿に宿泊していた武将達も起きて部屋にやって来る。

 

「小蓮様!どうかなさいましたか!?」

「息をしていないってどなたがですか!!?」

 

まず現れたのは呉の隠密、明命。次が亜沙。その後続々と宿泊していた魏と呉の武将達が入室してくる。

ちなみに雪蓮と蓮華はとある事情によりいません。その事情はこの後で…

それはともかく、入室してきた武将達は小蓮に抱えられている息をしていない一刀を見てこれまた大慌て。

 

騒ぎ声によって起きてきた祭も、今の一刀をみて一瞬驚くが、彼女は何とか冷静に対処。

マウス・チュー・マウスによって一刀を覚醒させる。この行動により一刀は息を吹き返した。

 

息が止まっていたにも拘らずケロッとしている一刀をみて皆安心する。

そして何があったかを聞いてみても祭は分らないとのことなので本人に聞くことに。

 

「…で、一刀くん。何があったか覚えてる?」

「う~んっとね…やわらかかった!」

「………は?」(全員)

「なんだかね、寝てたらやわらかいのにはさまっちゃってね、でられなかったんだけど気持ちよかったからそのままになってた」

 

柔らかいものに挟まれる…これを聞いてこの場にいた全員が納得した。

そして、100%犯人であろうと予想される人物を睨んでみると…

 

「おお、あれは北郷であったか!抱き心地が良かったもので、ついつい力を入れて抱いてしまったわ」

 

以上、犯人の感想でした。

つまり、一刀は寝ているとき祭に抱きしめられて、大多数の男性にとっての『意識遠のく理想郷』を味わっていたのです。

これが普通のとき(大人)であれば問答無用で死刑確定でしたが、あいにくと今はショタ。

貧乳同盟のメンバーを筆頭に、ほとんどの者の怒りの矛先は犯人に向けられる。

向けられた犯人は、特に気にした様子もなく、むしろ悪化するであろう言葉を発する。

 

「しかし、そうか。気持ちよかったか。ではもう一度やってやろうか?」(ニヤリ

「う~~ん…きもちいいのはいいけど苦しいのはヤ!」

 

つまりは、苦しくなければやってもイイと言うことで。

これを聞いた祭は即座に一刀の頭を、そのたわわな双西瓜の間に挟みこむ(息は出来るように)。

若干驚いたが、その感触を気に入ったのか抵抗する様子は無い。

 

見ていた者たちは怒りが爆発し飛び掛ろうとするも、祭が抱きかかえている人質(ショタ一刀)により断念せざるを得なかった。

これ以上この場にいれば自分にとって毒にしかならないと判断し、祭と一刀を残して全員退室する。

 

退室する敗者たちの後姿を見ながら祭は思う…「本当に良い抱き心地じゃ」と…

 

 

『AISHA'sドラッグの影響!?』

 

 

ひとしきり一刀を抱き終えた後、祭は一刀を連れてある場所へと向かっていた。

その場所とは、昨日『呑兵衛王者決定戦』が行われていた会場となった飲食店。

朝食もかねて、祭は昨日飲むことが出来なかった酒を飲むつもりでいた。

朝っぱらから、しかも子供の前で飲むなんて非常識なことを止めるものは生憎近くにはいない。

せっかく得た(飲酒の)自由、彼女は存分に堪能するつもりである。

 

で、たどり着きました、目的の飲食店。決定戦の名残か、僅かに酒の匂いが漂っている。

店内を見回して空き席を探そうとする。すると下から引っ張られる。

 

「ねぇ、サイおねえさん。あそこにいるのってシェレンお姉ちゃんとレンファお姉ちゃんじゃない?」

「なに?」

 

一刀が指差した方向を見てみると…彼の言葉通り、そこには雪蓮と蓮華がいた。

 

「あら、祭に一刀君じゃない。おはよ~」

 

先程の事件の現場には居合わせなかったために、朝の挨拶を明るくする雪蓮。そんで…

 

「う゛~~~ああ゛~~…おふぁYOU~さいーー、かづとく~~ん…ッヒッく」

 

ぐでんぐでんに酔っ払っている蓮華。

 

「おはようございま~す。ねぇ、あさごはんいっしょに食べてもいい?」

「ええ、いいわよ♪」

 

と、言うことで、相席することになった。席順は、雪蓮・蓮華の向かい側に祭・一刀となっている。

メニューを見て注文して、料理と飲み物(酒含む)を待つこと数分、

子供用の食事×1とと大人用の食事×2と…樽で運ばれてくる酒。

何故に酒樽がメニューにあるかと言うと…お祭仕様だからです。

樽に取り付けられた排水溝から酒を流し杯(丼サイズ)に並々と注いで、準備が整った。

 

「「「いただきます」」」

 

そして食事が始まる。

一心不乱に無邪気に料理を頬張る一刀を微笑ましく眺めながら祭と雪蓮は雑談する。

 

「それで…権殿はどうしてこのようになっておられるのじゃ?」

「それがね~…」

 

祭に問われた雪蓮は呆れを含めた苦笑を浮かべて真横で杯に顔を突っ込んで突っ伏してる蓮華を見下ろしながら話す。

 

「昨日の呑兵衛王者決定戦ね、蓮華が優勝しちゃったのよ」

「ほう!策殿を超えてか」

「そうなのよ~。もうあの飲みっぷりには私も驚いちゃったわ。ちなみに私は準優勝☆

 で、優勝するまで飲んで完全に酔っ払っちゃってね。それをからかったら、

 「私は酔ってなどいましぇ~ん!まらまら飲みまちゅよ~!」て言って飲み続けちゃってね」

「と言うと…夜通し飲んでいたので?」

「ええ。もう私も付き合わされてしこたま飲まされてまいっちゃうわ」

「はっはっは、それは災難じゃったのぅ」

 

理由を聞いて祭は笑う。一緒に飲み続けたのに酔っ払った様子を見せない雪蓮についてはなんとも思っていない…

 

二人が雑談する横では、突っ伏し時々酒を飲んだりうめき声を上げている蓮華を心配して一刀が声を掛ける。

 

「レンファおねえちゃん、だいじょうぶ?」

「あ゛あ゛~…らいしょうぶよ~…このお水を飲んできもつぃよくなってるだけよ~」

「そうなの?…このお水って何?」

「これ~~?うっふっふ~これはね~神様のお水よ~」

「………ほんと?」

「うがたってるの~?じゃぁ飲んでみなさいにゃ~」

 

言いながら、先程まで茶が入っていた一刀の湯飲みに並々と酒を注いで勧めてくる。

その行動を横にいる大人達は止めない。なぜなら…

「私もこの子くらいのころから飲んでいたもの」「右に同じじゃ」

だそうです。

 

差し出された酒を一刀は何の疑いもなく口に入れる。

勢いを殺さずに湯飲みに注がれた酒を一気飲み!!

したのだが…一刀の反応は…

 

「…ん~~?このお水変なお味がするよー?」

「あんら~、い~飲みっぷりんねぃ。それじゃぁこんどはこっちよん」

 

と、そんな感じで、普段雪蓮や祭が飲んでいる量をはるかに上回る量の酒を一刀に飲ませる。

だが、どんなに飲んでも似たような返答が返ってくるだけであった。

子供でありながらこれほど飲んでいるにも拘らず一行に酔う気配を見せない一刀に、

横で見ていた祭と雪蓮は不思議がり、蓮華は…不満たらたら…

 

「もぅ…気持ちよくもなら無ーうぇへんな味なんて言っちゃってもーーーぅ…

 いいんわ。それじゃぁ美味しく飲ませてあげるわねぇ」(ニンマリ

 

言いながら、何時の間に移動したのか一刀の隣に座り肩を抱えて彼を抱きしめる。

そして、自らの口に酒を一杯に入れて一刀の顔をホールド。

何をしようとしているのかを悟った二人はすすぐさま止めようとするも、一歩遅かった。

 

何をしようとしているのか全く理解していなかった一刀は、抵抗することもなく…蓮華の接吻を受ける。

二人の口が繋がり、一刀の口内へ酒が流れ込む。

吐き出すことも溜め込むことも出来ないので、一刀は流れてくる全ての酒を飲み込んでいく。

 

「どうだったかしらん?」

「う~~~ん…レンファおねえちゃんの味!!」

「あっらー、うれしいことをいってくれるわあね。それじゃ今度は一刀君がお願いね?」

「うん!」

 

酔いによるものか照れによるものか、恐らく両方の理由で顔を赤らめながら蓮華は酒の入った杯を一刀に渡す。

一刀はそれを受け取り、口に入れられる限りいれて…口移し返しを行う。

 

一刀の口から流れてくる酒を一滴も漏らさずに飲み干していく。

一回、二回、三回と喉を鳴らしたところで、蓮華に変化があった。

酔いにより赤くなっていた顔がだんだん普通の状態に戻っていき、

赤が完全に抜けたところで蓮華は目を開ける。

そして目の当たりにする。瞳を閉じて自分に口づけをしている一刀を!

 

「――――――――――!!??」

 

唇は一刀によって塞がれている為に、蓮華は声になら無い悲鳴を上げる。

混乱する中、一刀は蓮華の口から離れる。その表情は照れながらも晴れやかだった。

 

「えへへ。おいしかった?おねえちゃん」

「/////////!?」

 

一刀の言葉で酔っていたときの記憶を全て思い出した。思い出してしまった。

これは完全に自分が原因で起こってしまったこと。

となれば、ここで下手な回答をすることは出来ない。ならば、返答は…

 

「お、おいしかったわーーー!!」「ゎーーー!」「ぁー…」

 

顔を真っ赤にしながら、叫び声によるエコーを残しながら、蓮華は脱兎。

それに対して一刀は、

 

「おいしかったんだ。よかった~」

 

普通に喜んでいた。

一部始終を真横で見ていた二人は固まっていた。

何故一刀は酔わなかったのか?何故蓮華は酔いがさめてしまったのか?

頭の中ではこの二点が浮かぶ。それを解明する方法は1つ…

 

「のう北郷よ。儂にも飲ませてくれんか?」

「え~、祭だけずる~い!ねぇねぇ一刀くん。私にもお願いね」

「うん!」

 

祭と雪連から差し出された酒を受け取り、二人にも口移しを実行する。

一刀の口内から彼の小さな唇を通って少量ずつ入ってくる酒を一滴残らず飲み込んでいく。

そして…

 

「…酒気が抜けておるのう」

「ええ。それに…今の酒に加えて体の中のも…」

 

と、言うわけです。これぞ、AISHA'sドラッグの影響!

一刀が薬によって得た特殊能力。それは『幻○殺しの右手』ならぬ『酒気殺しの唇』!!

彼の唇に触れた酒はその強さに関係なく問答無用でその酒気を失わせてしまうのであった。

一刀が酒を飲む、又は飲まされる(口移し等)ときはちょっと変わった味の水でしかなく、

一刀が口移しを行えば、その唇の効果が流れ入る酒を伝って体内の酒気さえも消し去ってしまう。

と害が無いようで、他者にのみ多大な害を与えるものであった…

 

一刀の口移しでは酒を楽しめないと分った二人であったが…

 

「なんだか…癖になっちゃいそうね///」

「幼児の接吻の…なんと甘美なことか///」

 

つい先程感じた感触を思い出して顔を赤らめていた。

この後、二人は幾度もその感触を堪能したらしい…

 

 

『VS貧乳同盟!!』

 

お湯から発せられる入浴剤によるほのかな花の香りを漂わせる白い湯気が立ち上る広い空間。

そこは銭湯。

この施設についての解説は…秋蘭編に出ているのでそちらを読んでください(手抜きでスイマセン)

 

その一画で洗いっこしている二人の人物が。一刀と祭である。

その光景は…だ、ダメだ…び、描写できない!こうなったら…音声のみで表現します!!

 

「…っ…ぅんっ…くぅ」

「ふふ、どうじゃ?気持ち良いか?」

「っく、くすぐったい~…」

「ほおぅ、くすぐったい、と言うことは気持ちいいのじゃな?では、もっとやってやろう」(二パリ

「あっ、う、やん…ら、らめ~~~!!」

 

……………

 

「こ、これ…そこばかり洗っていてはいかんじゃろ」

「でも、おねえさんのおっきくておもいから。ちゃんと洗わないと汗とかのこっちゃうよ?」

「き、気遣いは嬉しいがっ、これ、挟み込むな!そこは自分で…」

「あっ!はさまっちゃった。んーっんーー!!」

「う、動くな!そ、それ以上されては…っああぁぁぁ」

 

……………むしろ音声だけのほうがやばかったかな(汗

 

と、そんな感じで桃色をはるかに通り越した甘ったるい空間を形成している二人、

特にその強大な武器を持っている方、祭のことを、

草葉の陰ならぬ浴槽の陰から覗、というかガン見して睨んでいる眼光が多数あった。

 

「…な、何よ!?自分があんなものを持ってるからってそれを…それを#……」

「…えぇ、許せることではありませんね…一刀殿を独占しているだけでも許しがたいのに#…」

「そーよ!しかも私のお陰であることなんてちぃっとも忘れちゃってるし#」

「本当だったら鈴々がお兄ちゃんを…あー!?また、あんな所を!!??」

「むー、一刀君のお世話なんかボクを流琉でしーっかりできるのに…」

「そうです!普段手間がかかる子(直ぐ隣にいる…)のお世話が出来るのに一刀君のお世話なんて…」

 

それは魏に存在していたある同盟が三国の交流のうちに拡大したあるもの。

その名も『貧乳同盟』!しかも三国連合版!!

自らの体型、特に胸囲についてコンプレックスをもち、

三国が交流するようになってからも自他国に存在する巨乳の者を密かに敵視する者達。

 

そして、目の前で繰り広げられているのは、自分達にとって怒りを増幅する光景。

たまたま同盟のメンバーが揃って雑談している所に入ってきたその光景。

全員の顔はお湯のせいなのか怒りのせいなのか、茹蛸のように真っ赤だった。

 

「もう我慢できないわ!!これ以上この状況を続かせてたまるもんですか#!」

「「「「「応!!」」」」」

 

小規模な津波を引き起こしながら同盟軍は祭に向かって突撃する。

敵意と殺意、怒りと嫉妬、その他諸々のものがこれだけ自分に向けられればイヤでも気づく。

祭が振り返ってみたものは…

 

両足に石鹸を装備してアイススケートのように風呂場を滑って自分に向かってくる少女達。

一糸乱れぬ動きで、身体を腰の高さほどまでに低くし、的確な体重移動でスピードスケートと同等のスピードで迫り来る同盟軍。

迎え撃つは呉の乳将…じゃなかった、宿将、祭。

とりあえず安全確保のため、かつどのような事態にも対応できるように片手で一刀を抱える。

抱え込む際、一刀の頭の上半分がその胸の谷間に挟み込まれ「おねえさ~ん、前が見えないよ~」

などと暢気なことをのたまっているが、その光景を見た同盟軍は更にスピードを上げる。

 

「巨乳は我らの敵である!!」

「「「「「敵である!!」」」」」

 

走り、と言うより滑りながら更に身をかがめて、ばねのように体全体を弾き上げ蹴りの姿勢で飛び上がる。

慣性の法則により、前方に進む勢いは止まることなく、放物線を描きながら祭へと向かう。

いわゆる『ライダーキック』ですね。とりあえずちょっと名前を変えまして『ひんぬーきーっく』にしておきましょうか?

 

全員が全員全く崩れることなく同時に向かってくるのを見てひとしきり感心した祭は、

身体洗浄用洗剤液…ボディーソープのことです。を身体に塗ったくる。

白くとろとろとしたもの…決して○液ではないですよ…を身にまとった祭は、

ゆったりとした動きで前進する。

自らダメージを増やしに歩いてきたのを見て、あと数瞬で当たり勝利をつかめると思った同盟軍。

 

だが、その予想は外れた。

きっくが当たる瞬前、祭は僅かに体を捻らせる。

それは、攻撃の衝撃を最小限に受け止め、そして流す動作。

攻撃が流され足、膝、太腿、腰とどんどん身体を滑っていく。

その勢いを殺そうと祭の体を掴もうとするが全身に纏った白き鎧がそれを許さない。

白き鎧は身体に触れる全てのものを滑らせる。

 

「「「「「「やーなかーんじーーーー!!」」」」」」

 

ドンガラガッシャン!と一部でお約束な音を立てながら、桶のピラミッドの中に突っ込んでいく。

騒音が収まり、同盟軍が完全に桶の下敷きになったところで、鎧の効果が広がって、

挟み込まれていた一刀が滑り落ちる。

 

「っぷはぁ!…あれ、こんなに散らかってどうしたの?」

「あぁ、別になんでもないぞ。さて、湯当たりしたりしたら大変じゃな。もう上がろうか?」

「は~い」

 

何事もなかったかのように一刀の手を取って風呂場を後にする。

扉の前に来たところで祭は一度、崩れた桶の山を一瞥し、

 

「…っふ。まだまだじゃな」

 

決め台詞を残して去っていった…

 

 

 

『お袋の味を再現せよ! 前編』

 

その日の朝、祭は宿に設置されている掲示板に張られたとある広告を見て参加を決意する。その広告とは、

『お祭お料理対決!参加者求ム』というものだ。

 

この対決、お祭に出す為の上手い料理を大量に勝つ迅速に調理して、確保するというもの。

そして、優勝者には珍酒、天界の酒数種大徳利で進呈。というものだった。

自分の得意とするもので望むものを得ることが出来る。これを逃す手はないとやる気満々だ。

 

開放に到着し参加者名簿に名前を記入しようと並んでいると見知った顔がちらほらと…

呉からの参加者が祭一人に対して魏・蜀からは複数参加している。

自国の者同士で組まれたりしたら不利になるが、相手にとって不足なし!と祭は不敵に笑う。

 

少々遅めに到着したために、名前を記入してからそう掛からないうちに開会式となった。

壇上に司会者、音々音が現れる。

 

「オッホン…え~、今日は皆この料理対決の場に良く集まったのです!

 皆には各々の料理の腕を振るい、そして審判、特に恋殿を満足させることが使命なのですぞ!!」

 

ま~…そういうわけです。お祭が進むにつれて料理不足になったと飲食店から相談を受けた蜀の軍師勢は、

どうせならお祭の一イベントとしてしまおうと急遽この料理対決を発案。

審判をどうしようかと議論している所でねねが「審判にはぜひとも恋殿を!!」と恋を推薦。

思いっきり下心が見えてると詠が指摘すると、代わりに自分が司会を進行するといったので、こうなった

 

「それでは早速、料理対決予選を開始するのです。

 作る料理は何でもよし、自分の得意な料理を作ればよいのです」

 

これを聞いて、参加者は自分の得意なものを作ればもしかしたら優勝も!?と希望を抱く。が、

 

「ただし!食材に関しては自分達で集めなければならないのです!

 更に!食材を集める際は、金は一切掛けてはいけません!食材集めの際には各人に一人判定員がつくのです

 あ、調味料に関してだけはこちらで用意してあるのです」

 

これは、飲食店側が食材の消費を抑えつつ、参加者に集めてもらった食材を自分達が使わせてもらおうと考えての指示。

これを聞いて一般の参加者はかなり焦りだした。自力調達となると使える食材も限られてくる。

一方武将達は…特に困っていなかった。

 

「時間は今日の日没まで。全員が帰ってきたら調理開始です。

 それでは…食材集め開始なのです!!」

 

宣言が終わると同時に参加者は一斉に駆け出して言った。

 

 

『食材調達 野菜・果物編』

 

side.女将

 

庭先栽培を行っているとある飲食店を商っている家にて…

 

「ふぅ…まさか、庭先で育ててたもんがこんな所で役立つとはねぇ」

「お、おい!それはワシが丹精込めて育てた…」

「ごちゃごちゃ言うんじゃないよ!こういうときに使わなくて何時使うんだい?」

「だ、だけんどよぅ…」

「あ゛~もぅ!うるさいったらないね#!」

「お、おいおい。そ、そんなもの取り出して何を…あ、あーーーーーー…!」

 

…何を取り出して何をされたかは想像にお任せします。

ここでいえることは…女は強いってことです…

 

side.流琉

 

町外れで畑を持っている老人の家にて…

 

「ほんにありがとうな。御譲ちゃん」

「いえいえ。これでお野菜がもらえるのならお安い御用です」(ニコリ

「こっちはぎっくり腰でやられて困っていた所なんだよ。

 それを手伝うどころかいつも以上の出来なんだ。

 そのお礼がうちの野菜なんかで済むのなら安いもんさ」

「はい。では!!」

 

絶妙な武器さばきで行う除草作業や耕運。

使用法を激しく間違ってるという指摘は無視!

 

side.蜀二大軍師

 

商店街のような所で…

 

「どうしよう朱里ちゃん…私達の力だけじゃお肉なんかは手に入らないよ?」

「大丈夫だよ雛里ちゃん!お肉料理は出来なくても私達の得意なものはお菓子なんだから!」

「うん…でも、私達だけじゃとってこれるものも限られてくるよ…」

「何も山や野で現地調達するだけが手段じゃないよ」

「え?」

…………

「おかみさ~ん!」

「あら御譲ちゃん!毎度ありがとう。今日は何が欲しいんだい?」

「はい。実は今…かくかくしかじか…というわけなんですけど、よろしいでしょうか?」

「ああ。いつもたくさん買ってってくれるからね。応援してるからがんばんな!」

「はい!ありがとうございます!!」

…………

「ね!お金を払わなくても日ごろの行いがよかったらこういうことも出来るんだよ」

「うん…そうだね」

 

彼女の言うとおり。普段の行動によって少量ではあるがこういうことも出来るんです。

 

side.祭+一刀

 

野菜・果物を売っている店にて…

 

「さて北郷よ。これから上手いものを作ってやるのだが…この食材が入るのだが…」

「おつかい?」

「そうじゃ。これらをあの店で貰ってきてくれんか?」

「はーい!」(ニッコリ

「…さて、隠れて見守っているか…」(こそこそ

…………

「おねえちゃん!」

「あら坊や。どうしたの?(無邪気に笑っちゃって可愛い♪)」

「あのね、ぼくのおねえさんがねお料理してくれるんだ!

 それでね、おやさいとくだものをもらってきてってね。おつかいにきたの」

「そうなの(やっば、この笑みは反則だわ…保護欲が抑えられない!)…それじゃ、どれが欲しいの?」

「えーっとね。これと…それと…あとあれ!!」

「はい、ありがとう…そういえばお金は?(量からして結構なものだけど…まさか)」

「…ぼく…今おかねもってないの」(ションボリ

「(うっ…だ、ダメよ私!ここで甘えさせたら将来のこのこのためにもならないわ…)

 …ごめんね。だけどお金がないと」

「ぼく…おつかいできないの?」(ウルウル

「(っつ!?だ、ダメ!耐えるのよ、私!いくら可愛い可哀想だからって屈してはいけないわ!!)

 あ、あのね…」(く~っと目の前の子供、一刀の可愛らしい腹の虫が

「ぼく…サイおねえさんのおりょうり…食べられないの?」(片手で腹を押さえ、もう片方で女性店員の服のすそを掴みつつ涙目で見上げる

「(あぁぁ…もうだめ…耐えられない!!)

 い、いいえ!さっきのは嘘よ。お金なんかいいからこれもそれもあれも持って行っちゃって!!」

「本当!?」

「ええ!もちろ「おいおい娘よ。そんなことをしたら今月の売り上げg」る゛っせー黙れ#!」(腰の入った裏拳を決める

「ごはぁ!」(鼻血を吹きながら地面に倒れ付す…

「さぁ、どうぞ!」(満面の笑み

「ありがとう!おねえちゃん!!(チュっ」(頬にキス

 

片手を返り血で染めた女店員は、顔を真っ赤にして湯気を発しながら倒れ伏す。その表情は正に至福と言った感じだ…

 

「う~む…まさかこれほどとは…」

 

一部始終を影から見守っていた祭は、一刀の魅力の可能性を予測していながらも、

それ以上の成果を出した一刀に戦慄するのであった…

 

 

『食材調達 肉・魚編』

 

side.秋蘭

 

とある森の中にて…

 

「…この木に何匹かとまっているな…」(懐からリボルバーを取り出し

スキューン!バサバサバサ ズキュズキュズキュズキュズキューン!!

「この連射速度…中々使えるな」

 

リボルバーを評価しながら、撃ち取った6匹の獲物を回収して去っていく。

銃初心者でありながらこの腕…半端無ぇ…

 

side.凪

 

とある川にて…

 

「…うん。この辺りだな」(川の中にいる魚の様子を確認する

「これだけあれば食材には困らないだろう…

 ハーーーーーーーー!!」(溜め込んだ気を一気に川に向かって解き放つ

ブォッチャーーーーン!!ボトボトボト

「よし!魚確保」

 

これぞ手榴弾漁業ならぬ気爆弾漁業!

自然を汚染することのないクリーンな漁法でございます。ぜひとも依頼しましょう!

たぶん却下されますけど…

 

side.祭+一刀

 

とある森付近にて…

 

「…さて、料理するには肉が必要なのじゃが…さすがに北郷の目の前で血を見せるのはのぅ。

 どうしたものか…って北郷?」(いつの間にか傍からいなくなっていることに気付く

「…ぉ……ん…けてー…」

「北郷?北郷どこじゃ!?」 「ここー!」

「ん?…そんな木の上で何をやっておるのじゃ?」

「ハチミツとろうとしたらね、下りられなくなっちゃったの~」

「…はぁ、今下ろしてやるから、そこを動くっ!?」

「グルルルルルルルル…」

「な!?あの熊、まさか北郷を!?気をつけよ!!」

「え?…わ~クマさんだー!」

「…ってそんな喜んでる場合ではな…ん?」

「ぺろぺろぺろぺろ」(一刀に目もくれずその頭上の蜂の巣、その中の蜂蜜をなめとる

「なんじゃ…脅かせお(メキメキメキ)………」

熊は木に登る際、ちゃんと自分の体重や木の強度を把握して登って果物などをとる(らしい)。

Q:熊一匹をぎりぎり支えることが出来る枝に、更に一刀が加わればどうなるか?

A:折れます ボッキン!

「「あああああああああああああ(ぐるるぁあああああああ)!?」」

「ほんごーーーーーーーーー!」

大きな音を立てて熊が頭から落ちる。

それに続いて一刀も落ちそうになるが、祭は辛うじて滑り込むのに間に合い、

落ちた場所も熊の上だったのでたいした衝撃もなく受け止めることが出来た。

「大丈夫か?北郷」

「……………」

「北郷?…気絶しておるか。それにしても…これで肉を手に入れることが出来たな。しかも蜂蜜のおまけまで」

 

寿命を縮めるような想いであったが、思わぬ収穫を得ることが出来、

自分の腕の中で眠る、というか気絶している一刀を撫でてねぎらってやる祭であった…

 

 

『お袋の味を再現せよ! 中編』

 

「さて、集めてきましたな?それでは本当にお金を掛けていないか見てやるのです」

 

ねねは各人に宛がった判定員から判定用紙を受け取り確認をしていく。

 

「ふむふむ…見た所大体の者が合格です。むしろ失格者を言っていったほうが早いです。

 と言う訳で、失格者は………以上が失格者ですぞ!」

 

失格の理由は、食材の強奪だったり付けによる後払いだったりと、多種多様。

現時点で金を掛けてなくても後から掛かってくる金のことも考慮に入れられていたのだ。

強奪なんかは論外…

 

「では、食材も集まったことですし、早速調理開始…の前に審査員を紹介するのです。

 まずはこの方。食に関しては外してはならない我らが恋殿ですぞーーーーー!!」

「…………たくさん食べる」

「続いてはこの方。厳しい評価、調理者以上の腕により有無を言わせずに幾多の店を潰した過去をお持ち。

 魏の王、曹孟徳殿ーーー!」

「…紹介文は気に入らないけど…ま~楽しみにしているわ」

「時期王を影から(かなり大っぴらで今更ですが)お守りし、これまで数々の料理の毒見をし、

 見抜けぬ毒はないと自信をお持ち、呉の御庭番甘興羽殿ーーー!」

「……ま~、事実だから良いが…」

「お二人に掛かればどんな高級食材も毒へと変貌!その腕は右に出るものなし!!

 これを気にさっさと自分の料理、というより毒に変える腕を自覚するのです!

 蜀より関羽殿ーー!魏より夏候惇殿ーー!」

「……………い、言い返せぬ…」(OTZ×2

「そして忘れてはいけないのがこの子!

 事情により詳しい説明は出来ないですが、ここにいる人たちの大半にとって大切にされている子供です!!

 ち○こ太…ではなかった、天の御遣いの縁者!!ねねも(今は)大切にしていますぞーーー!」

「おねえちゃんたちみんながんばってーーー!!」

「この他、数店の飲食店の料理師が審査員となるのです。

 では審査員の紹介が終わった所で…調理開始なのです!!」

 

そして調理が開始される。

 

ある者は包丁を振るって肉を切り裂き、皮を剥ぎ取り、血を撒き散らし…

 

ある者は串を使用し、食材を突き刺し風穴を開け…

 

ある者は鍋を振るい、その内にあるものを灼熱の炎獄へと誘い…

 

ある者は空の鍋でお玉を回して虚ろな瞳でこちらを見てヤンデレっぷりを見せつけ…

 

ある者は泡だて器を使用し、容器の中を白き混沌と化し…

 

具体的な料理過程は作者の都合により飛ばします…スマセン

 

それから時は過ぎ、調理終了。ついでに審査終了。

 

「ではこれより決勝に残ったものの名を挙げるのです!」

 

挙げられた名前は…参加した武将全員。決して身内贔屓したわけではないですからね!

それぞれが出した料理は…原作をプレイして想像してください…

 

「決勝は明日行われるので、また明日集まるのです。それでは解散!」

 

翌日行われる決勝戦のために、武将達は早々に帰路に着き、就寝するのであった。

 

 

 

『お袋の味を再現せよ! 終編』

 

ここはとある勝負、料理対決の決戦の場。

先日の予選で参加者全員が金を掛けずに入手してきた食材の数々の余り+決勝のために用意された食材、

それが山どころか山脈となって机の上に鎮座している。

そして、その山脈の前に威風堂々と仁王立ちする決勝進出者達。

 

「さぁ、いよいよ『美味く、早く、大量に料理する対決』の決勝なのです!

 予選では得意な料理を審査員の人数分ではありましたが…

 今回はこちらを埋め尽くすことが必須なのです!!」

 

そう。予選では参加者の腕を審査員に見てもらうのが目的で、

一口で済ませられるものから多くても皿一枚分しか作らなかった。

が、今回決勝ではそんな少量では不戦敗に等しいもの。

決勝進出者一人一人の前にあるのは、王族貴族が会食のために用いるようなやたらと長い机。

詰めれば1つの机だけで50人は座れそうなその机を隙間なくとは言わないが埋め尽くすことが必須条件と言う。

 

「それでは、全員の準備が完了した所で…早速開始なのです!!」

 

宣言が終わると同時に全員がん自分が望む食材を手に取ろうとする。

正直、料理よりもこの食材をとる作業のほうが苦労したり…

なにせ少々大きめな机に全ての食材を乗せるものだから、高さは天井に届くほどまであるのだ。

取る為には梯子を使って上から取っていかなければそうれはもう大変なことに…

 

とにかく、自分が目的とする食材を得た武将達は、己の得意とする料理を作るために奮闘する。

ではその光景を音声でどうぞ…

 

凪の場合

 

「目がーーーー!目がーーーー!?」

「鼻がーーーー!鼻がーーーー!?」

 

「………常人にはそんなに辛いのかな?唐辛子他香辛料ヴィッタヴィッタ料理…」

 

朱里+雛里の場合

 

「あ!あの料理は!?」

「なんだ?あの二人が作っているものを知っているのか?」

「ああ…以前我らに菓子を振舞ってくれたときがあるのだがな、

 その後、お礼にとご主人様があの二人に天の料理を教えて差し上げたのだ」

「へぇ…天のお菓子ね。それで、味のほうはどうなの?」

「うむ、流石天の菓子と言った所だな。味、食感共に今まで食したことのないくらいのものであった。

 好評だったので一時期店に出してみたのだが…出品してから一刻もせぬうちに完売して住まうほど…

 我ら身内の中でも食べられるのはご主人様のみ、他はよほど幸運のときだけだ。

 まさか、アレをもう一度食することが出来るとは(ジュルリ」

 

「あ!愛紗さんの口から涎が…隣にいる春蘭さんからも!」

「朱里ちゃん。これならいけそうだね…」

「うん!!」

 

流琉の場合

 

「か、華琳様…流琉が今使っているのは…」

「ええ。彼女の武器の名前、葉々と同じ名前の天界の玩具のことを聞いて、

 それを真桜に作ってもらったものなんだけど…大分姿形と用途が変わってるわね…

 私が教えられて、みたものはあんな刀付いてなかったわ」

「それを自らの手足指のごとく扱う流琉もすごいですね。

 投げ放ち引き戻すだけで全ての食材を切り刻むとは…」

 

「天界のようよう、本当に便利です!」

 

秋蘭の場合

 

「秋蘭殿のあの動き…両手を使いながらも全く衰えることのない調理器具捌き…

 少々行儀が悪いが、食材を外すことなく鍋に、皿に放り入れる正確さ…

 まるで全身に目があるようだ!?」

「ふっふーん、流石秋蘭、私の妹!!」

 

「…っふmこのくらいは当然さ」

 

祭の場合

 

「な!?何なの、あの怪力は…」

「10人前の食材を一気に焼くことの出来る中華鍋を片手で…

 しかもそれを目に見えぬほどの構想で開店させて、具材全てに分け隔てなく火を通す。

 祭殿にしか出来ないことでしょう…」

 

「待っておれ~北郷、ワシが今すぐに美味いものをたんと食わせてやるぞ!」

「サイお姉さんガンバってー!!」

 

…………以上、調理風景の一部でした。具体的な描写は読者の皆さんが想像してください。

 

『お袋の味を再現せよ! 終編・後』

 

全員の調理が終了すると、そこには多色多種多様の料理が並んでいた。

 

まずは課題である『大量に』と言う点は、全員合格だった。

次に『迅速に』と言う点、ここで勝敗が分かれてくる。

『大量』の最低量である机を埋め尽くすほどの料理をどれだけ早く作り終えるか。

その順位は…

1位:祭 2位:秋蘭 3位:流琉 4位:凪 5位:朱里+雛里

だった。

一回で扱う量が半端無い祭、調理場を広範囲でバランスよく使う秋蘭、

総合的に出来るがその体格から少々遅れる流琉、彼女特有の赤い料理を作るために必要な限られた食材を使う凪、

料理において恐らく一番時間が掛かるであろうお菓子を専門に攻めた為に少々遅くなった朱里と雛里。

 

この早さに加えてもうひとつの課題『美味しさ』を合計したものが優勝判定、となる。

 

「それではこれより試食タイムなのです!」

 

試食の為に、それぞれ自分が作った料理の中から自信のあるものを数品少量用意するようにしている。

一人だけ全品大量に出すことを希望しているものもいたが…

ともあれ、これより試食開始。そしてそれぞれに対する評価は…

 

朱里+雛里の料理

 

「うむ!やはり天界のお菓子、しょうとけぇきの美味しさは頬が落ちるほどのもの!!」

「うむ!まさかこれほどものとは!!」

「確かに今まで食べたことのないものね。

 抵抗を感じないふわふわな食感、口の中全体を包み込むような甘さ…

 私も教えてもらおうかしら…」

「ハムハム…モグモグ…」

「これなら蓮華様もお気に入りになるだろう」

「ケーキ♪ケーキ♪」

 

凪の料理

 

「…不思議ね。凪の料理と言えば口に入れる前から辛くなるので有名なのに、

 今回のはそうでもないのね」

「流石に皆に振舞う料理を私好みにしてしまうと食べられる人が限られてきますので…」

「そう。これくらいの辛さならちょうどいいくらいね」

「うむ。いい感じの辛さだぞ凪」

「ありがとうございます」

「ハグハグ…ヒリヒリ…パクパク」

「っっっかっらーーーーい!サイお姉さーん辛いよーーー!!」(舌を出しながら涙目で

「おお、よしよし。無理に食べる必要はないのじゃぞ」

「…………OTZ」(一口しか食べてもらえないことにかなりショック

 

流琉の料理

 

「やはり普段季衣のわがままに付き合っているだけ合って美味いな」

「そうね(どちらかと言うと春蘭のほうが…)」

「ありがとうございます!」

「美味いものだな」

「モクモク…ムグムグ…」

「ぱっくんぱっくん」

 

秋蘭の料理

 

「さすがわ我が妹!やはり美味いな!!」

「ええ。しかも得意料理なだけあってより美味しいわね」

「ありがとうございます」

「う~む…これくらいになるまでにどれほど掛かるのだろうか…」

「ズルズル…ゴックン…ムギュムギュ…」

「あむあむ」

「ふふふ、ほら口の周りについているぞ」(微笑

「ん~む~~」

「っく…それはワシの役であると言うのにっ#」(握りこぶしからは血が滴り落ち

 

そして祭の料理

 

「…なぜだ…祭殿の料理を食べていると、何故か母上のことを…」

「母様…我が覇道は費えたけれど、私たちは平和を謳歌しているわ…」

「母上…私は貴方のお約束を違えることなく華琳様をお守りしております」

「…一時は江賊となっておりましたが、いまでは孫家に仕えております。それはこれからも違えることなく…」

「モク…モク…ハグ…ハグ…私、泣いてる?」

肝心の一刀はというと…

一心不乱に食べ続け瞬く間に皿の上は空になる。

「お母さーん、おかわりー!」

「…北郷?今なんと?」

「ん?おかわりー!」

「いや、その前じゃ」

「お母さん?」

「っ…いや、おかわりじゃッたな。よし直ぐに用意してやるぞ!」

「わーーーい♪」

「(…お母さんか…悪くはない、いや…良い、非常に良い!!)」

 

祭の料理、その味は食したものに過去に感じたぬくもりを、母親のぬくもりを思い出させ、

そのぬくもりを感じるであろう時期にある一刀には、彼女のことを母親と認識させてしまうほど…

それは強制されたものではなく、自然に以前からそうであったかのように…

 

………

 

「それでは結果発表なのです!優勝者は…黄蓋殿ですぞ!!」

 

この結果には皆反対したなった。いや、出来なかった。

審査員全員が過去に感じたぬくもりを思い出し涙した。それほどの料理だったのだ。

 

で、その本人は優勝したことよりも、商品の酒をゲットできたことよりも喜ぶことがあった。

それは…一刀に母親認定してもらえたこと。

彼は女性のことをお姉ちゃん、あるいはお姉さんと呼んでいた。

自分より年上にはお姉ちゃん、更に上に行くががまだおばちゃんと呼ばれることを気にしているものにはお姉さん。

例外として紫苑と桔梗に関してはシオンお母さん、キキョウお母さんと呼んでいるが、

これは本人達がこういう呼び方を希望したからだ。

だが、一刀は今祭のことをお母さんと、お母さんとだけ呼んでいる。

呼び方を強要したわけでもなく、本人の意思で祭一人に対し呼んでいる。

 

それは、祭の親バカならぬ一刀バカが始まった瞬間であった…

 

 

『祭の親ばかならぬ一刀ばか日誌』

 

お祭4日目の夜が明ける。

 

その日の祭の一日は、自分の横で未だに規則正しい呼吸をしながら寝ている一刀を、

自らの口付けで起すことから始まった。

寝ている時に感じたちょっとした変化を感じ取って一刀は目を覚ます。

 

「ん~むにゃ…おはようございます」

「おう。おはよう一刀」

 

先日、母親認定されてから祭は彼のことを一刀と呼ぶようになった。

それは、祭自身も彼のことを自分の子供と認めたからだ。

 

目を覚まし、寝巻きから私服に着替えた二人は朝食をとりに行く。

朝食時、一刀の座る場所は祭の膝の上。食べ方はお互いに「ア~ン」で食べさせ合い。

頬についてしまったときは一滴一粒残さず舐め取る…

 

朝食後は普通にお祭を回っていくのだが、このときの祭の行動は全て一刀を中心に回っていた。

あそこに行きたいと望むならその場所へと赴き、

アレが欲しいといわれればどんなに高価であろうと何個要求されようとも与え、

少しでも自分の視界から消えてしまったときは警備隊を総動員させ捜索…大抵探すまでもなく近くにいますが…

 

そして、陰から視線を、武将達の嫉妬の視線を感じたときは、一刀にその場を動かないように言ってから、

視線の発生源まで音もなく移動し、相手が驚いて振り向いた瞬間、胸の谷間に挟み込む。

 

「ん゛ーーーーーん~~~~~!?!?」

「ふっふっふ…何人たりともワシと一刀の時間を邪魔させはしませぬぞ…」

「ん゛ーーん~~…ん~……」

 

窒息により対象は意識を手放す…こんな出来事がこの後数回…

ちなみに死んでませんよ?

 

昼食時、立ち寄った飲食店では他の武将に見つからないように最上階の個室へと入っていく。

扉の向こう側では他の客たちが騒がしく食事をする中、

祭は一刀にあ~んなことやこ~んなことを…するのは流石にまずいので、普通に食事を。

口の周りについたものを拭取ったり、子供ゆえに正しくない箸の持ち方を手取りナニ取り教えてあげたり。

料理をリスのように頬張る一刀を眺めて悶えたり…

 

昼食後は午前の繰り返し…またしても数人の犠牲者が…

 

夕食時、宿の厨房を借りてまたしても母親の味を一刀に振舞う。

無邪気にがっつきおかわりをねだる一刀に祭は微笑む。

 

入浴時、祭は一刀を侍女が主人の体を洗うときのように甲斐甲斐しく洗う。

その絶妙な力加減に一刀はくすぐったい思いをして悶え、その姿を目の当たりにした祭は…

直死の○眼ならぬ直感の魔眼でも持っているかのように弱点を突いて洗って来る一刀に対して祭は…

どうなったかはご想像にお任せします。ただ両方とも顔も身体も真っ赤になるまで風呂に入っていました。

 

そして夜、就寝時。祭は自身の体を布団に、枕にして一刀を抱えながら寝入る。

一刀を抱きながら、この母親としての幸せが何時までも続けば…と願う祭であった。

 

 

『VSマミーズ!』

 

お祭も残す所後3日、最終日は一同が集まり後片付けと、一刀をどうするかを考えるために、

一刀と二人きりで過ごせるのは後2日…

 

この日も祭は昨日と同じように過ごそうと思っていた。

武将と遭遇することをなるべく避けて、しそうになっても先日同様一刀が気付く前に意識を刈り取る…

そんなこんなで昼食時…ここで一刀中心で動いていた祭にとっての誤算が起きた。

 

「あ、一刀くーん!」

「リリちゃんだ!やっほー」

 

この後の祭りの期間中はずっと一刀を独占しようと思っていた祭にとっての誤算。

それは彼が先に気付き、彼自身が誰かと共に行動することを望んだときだ。

今目の前にいるのは一人の少女、蜀の武将の一人娘璃々だ。

この少女がいるということは、その傍には…

 

「あら祭さん、こんにちは」

「ご無沙汰しておりますぞ」

 

少女の母親である紫苑、それとその親友の桔梗がいるわけで。

全員に気付かれないように舌打ちをし、表面上いつも通りにつくろいながら挨拶を返す。

 

「お二人方こんにちは。昼食をとられているところであったか?」

「いいえ、今来た所よ。良ければご一緒にどうですか?」

 

一刀と二人きりを望む祭にとって、この提案は正直断りたいものであった。が…

 

「お母さん。リリちゃん達と一緒に食べよう?」

「「!?」」

「そうじゃな、ではご一緒しようか」

 

一刀の希望により相席に。椅子がひとつしか空いていなかったが、祭が座るとそれが当然というかのように一刀がその膝に嬉々と座ってくる。

それから暫く5人で雑談した後、一刀と璃々が席を立つ。

実はこの飲食店、バイキング方式な為にどれだけ待とうとメニューも料理もやってこない。

てなわけでこの二人がまず動くことに。

 

「ねぇ一刀くん、一緒に取りに行こう」

「うん!あ、シオンお母さんとキキョウお母さんは何がいい?」

「私たちの分は良いから好きなのをとってきて良いわよ」

「わしらの分まで持ってきては後が大変であろう。気にせずともよいぞ」

「「は~い」」

 

母親三人は息子娘を笑顔で見送り、二人が見えなくなったところで…

 

「では…説明願おうか(してもらえるかしら)」

 

互いを見る目つきと、その場の空気が変化した。氷点下まで…

一刀と祭のやり取り、特に「お母さん」の部分を聞いたとき、表面上は何事もなかったかのように振舞っていたが、

「お母さんってどうゆうことやねんごるぁ!?」という心の声は確かに聞こえていた。

 

「実はじゃな…(カクカクシカジカ)…と言うわけじゃ」

 

と、先日行われた料理大会から母親認定されたことの経緯についてを語る。

その話を語っているときの彼女の顔は、正に一人の親としての幸せを満喫している一人の母親の顔だった。

その表情を見て二人は…嫉妬し、対抗心が…

 

「それじゃ、私は娘の璃々と『息子』の一刀くんを手伝いに行こうかしら」

「わしも行こうか」

「……………ちょっとマテ。何故一刀のことを息子と?」

「うふふ、一刀君は私たちのことも『お母さん』って呼んでいます」

「それ即ち、一刀もわしらの息子であるも同然」

「…………」

 

(祭にとって)衝撃の事を告げられ固まってしまう。

それが事実であるならば、自分が本当の一刀の母であるとは言えない。

若干勝ち誇っている二人を見て、祭が反撃の糸口を探しているところに一刀達が帰ってきた。

 

「おかーさーん、みんなの分のお茶持って来たよー」

「あら璃々、そんな持ち方したら危ないわよ」

「これくらい平気だモン!」

「そうか偉いぞ璃々よ。ところで一刀はどうした?」

「お母さんと桔梗お母さんと祭おばさんと璃々達のお料理を持ってるの」

「…全員のを?どうやって?」

「ああやって」

 

言いながら指差した先には、機内食を運んでくるような車で数人の料理を運ぶ一刀の姿が。

高さが足りず時折前方確認のために前がぎりぎり見える位置まで顔を持ってきては引っ込める仕草がなんとも可愛らしい。

祭たちが待つ卓まで辿りついた一刀は両手で掲げ上げるように大皿を載せていく。

 

「お母さん、たくさん持ってきたよー」

「ほおぅ、よくこんなに持ってこられたのぅ」

「うん!はい、これシオンお母さんとキキョウお母さんの分」

「あら、私達の分も持ってきてくれたのね」

「感謝するぞ一刀」

「うん「はんばぁぐ焼きあがりました~」…ハンバーグ!?欲しい!」

「一刀くん、いっしょにいこう」

「うん!!」

 

好物の名前を聞いて一刀達は再び料理のほうへと向かう。

それを見送った後祭を見ていると、彼女の表情は一変していた。その表情は「我勝利を確信せり!」と言っていた。

 

「何かしらその表情は…」

「っふ…今の一刀の言葉を聞いて気づかなんだか?」

「どういう訳であるかな?」

「まず、璃々殿が紫苑殿を呼ぶとき『お母さん』と呼び、桔梗殿のことを『桔梗お母さん』と呼んでおる」

「それで…?」

「この呼び方の違い、それは紫苑殿のことを産みの、本当の母親と。そして桔梗殿のことを義理の母親として見ているのではないか?」

「そ、それは…」

「そして一刀の我々の呼び方。ワシのことを『お母さん』と呼び、おふた方のことは名前を呼んでから『お母さん』と言っておる。それ即ち…」(ニヤリ

「「…………」」

 

言っていることは事実であるため否定も反論も出来なかった。出来なかったが…負けは認めていない。

 

「それでも…一刀君の母親であることは譲れないわ」

「わしも同じじゃな」

「っふ言わずもがな。それでは…」

「「「勝負(ね)(ですな)(じゃな)」」」

 

その後、普通に食事を楽しんだ後祭達は勝負の舞台へと移る。その舞台とは…酒屋!!

最初は射的対決にしようかと思ったが、それだと勝負がつくまでに一日が、

下手するとお祭そのものが終わってしまいそうなので、他で勝負するとしたらと考えていると、

飲み比べの案内が張ってあるのを見つけてここになった

 

勝負の方法は早飲。テキーラのような小カップをずらりと並べて端から端へと飲んでいく。

一列飲むたびに酒は強くなっていき、もう飲めない、つまりは降参を宣言したものからリタイア。

最後まで生き残っていたものが優勝となる。

 

で…一般の参加者が酒豪の武将に叶うはずもなく、あっという間に三つ巴状態になってしまった。

ちなみに他の武将の参加はありません…

三人ともそろそろやばくなってきたかな~…って状態になったところで、祭は秘密兵器を投入する。

その秘密兵器とは…

 

「一刀!」

「なに?おかあさん」

「うむ。せっかくの酒なのでな、美味く飲みたいのでの。あの飲み方でお願いできるか?」

「は~い」

 

あの飲み方とは何か?その光景を目の当たりにした紫苑と帰郷は飲んでいた酒を噴出しそうになった。

その飲み方というのは…口移し…正直使いたくはなかったが、この勝負に勝つには使わざるを得なかった。

一刀の唇はあらゆる酒気、アルコールを消し去り、口移しをした場合は対象の体内にも影響を及ぼす。

今までの酒気が抜け、目の前の二人含め衆人環視の注目を浴びることになるが、祭は使った…

 

一刀が祭に接吻、口移しをしている。

一刀は口に入ってくる祭の舌の感触の気持ちよさから、祭は一刀に口移しをしてもらっているという状態から顔を赤らめている。

そして唇が離れるたびに伸びたれる銀の糸…その光景が幾度と繰り返される。

 

紫苑と桔梗は羨望と嫉妬が膨れ上がり興奮する。

酒を飲んでいるときにその状態になってしまっては、酒の回りも速くなる。

程なくして、二人は意識を手放すことになってしまった…

 

こうして、祭の優勝という結果で早飲み対決という名の母親対決は終わった。

片や至福と言った顔を、片や意識を失いつつも悔恨の顔をしていた。

そして、両方とも真っ赤だった…

 

 

『チキチキショタコンレース開催!(笑』

 

その日の朝、小蓮はまたしても祭の部屋に侵入し、一刀奪回を試みようとしていた。

本当にお祭を楽しめるのは今日で最後。明日は後片付けなどでかなり忙しくなることだろう。

と言う訳で、せめて最後くらいは一緒にいても…という思いでやってきた。

 

で…祭の部屋に入ってみた所、祭も一刀もいなかった。

もう出たのかな?と思い部屋を出ようとしたところで寝台の上に置かれたメモ書きに気付く。

それを開いて読んで…

 

「さささささ、祭が……………一刀くんを掻っ攫ってっちゃったーーーーーーー!?」

 

手紙に書かれていたメッセージは、

『やはりワシは一刀と離れることを望まぬ。故にワシらはここから去る。

 そして、実家に帰り一刀を大切に育て、強き武士(もののふ)となることを約束しよう!

 では、さらばじゃ』

と書いてあった。

小蓮の声を聞き、慌てて集まってきた武将達は、そのメモ書きを見て瞳を光らせる…

 

「うんみゅ~」

「おお、目が覚めたか?」

「うん…おかあさんおはよ~…ここどこ?」

「今ワシの家に向かって帰っているところじゃよ」

 

なるべく速く移動し出来るだけ距離を稼ぐために、祭は一刀がまだ目を覚まさない真夜中から移動を開始していた。

念入りに一刀を起さないように移動して、馬に乗り実家の呉へと向かい、今に至る。

 

まだ日が昇っていないうちに出発したといっても、一刀を起さないようにとなると当然進行速度は遅くなる。

一刀が目を覚ましたのは、まだ城が見えるような位置だ。

一刀が起きたなら全速力で行っても良いかと思ったが、余り負担を掛けるのはまずいので速度を変えずに進む。

 

だが、そんなにゆったりしていると…

 

「待てーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!#」×48

 

城から出てきた多数の影が猛スピードでこちらに向かってきた。

馬に乗る者、馬車に乗る者、人力車に乗る者、走ってくる者といろいろいた。驚くべきは全員が横一列で来ることだ。

人力車を引く者と走ってくる者の足なんか、速く動きすぎて逆にゆっくり動いて見えてしまうほど…

 

「っく!?一刀、捕まっておれよ!!」

「は~い」

 

追っ手を振り切ろうと祭は速度を上げる。

だがそれだけでは嫉妬に狂った者達を振り切れはしない。

振り返ってみると、先程よりも距離は縮んでいた。

 

「おかあさん、お姉ちゃんたちすごい顔してこっちに来るよ?」

「ああ。あやつらは今ワシを捕まえようと追いかけてきておるのじゃ」

「…追いかけごっこ?」

「………ああ、そうじゃな。捕まる前に家に着けばワシらの勝ちじゃ。頑張るぞ一刀!!」

「うん!!」

 

祭に抱きつき、肩に顔を置きながら後ろを見る一刀に説明(という名の間違った情報を)する。

それが終わり再び振り返ると、集団の中から抜け出て距離を詰めてくるものが出てくる。

それは神速を謳われる霞だった。

 

「こるぁあーー!祭ーーー!!#一刀を自分色に育てるなんざやらせへんでーーーーー!!」

「自分色に育てるのではない!最強の武士に育てるのじゃ!!」

「問答無用ーーーーーー!」

「っく、聞く耳持たぬか…一刀!ワシの後ろに回れ!!」

「はーい」

 

祭は一刀を抱きかかえたままでは弓を振るえぬと判断し、後ろに回す。

胸下に回された腕を自分の乳房で固定して決して落とさないように。

その行動は、図らずとも後方からの攻撃を禁じさせることに…本人は意識していないが…

 

後方からの攻撃を封じられた霞は真横に並ぶべく更に速度を上げる。

最初の一撃は威力を増すために大きく横から突っ込んでの一撃を狙う。

甘んじて受けるわけもなく祭は霞に受けて矢を放つが、ことごとくかわされ弾かれていく。

あと少しで振るえば当たるという距離まで迫った所で祭は剣を抜く。

 

直後、刃が交わる音が鳴り響く。

一刀を護ろうとする刃が…一刀を奪還しようとする刃が…母を応援する一刀の声が何度も鳴り響く。

 

その状態が長く続く中、他の武将達は祭を取り囲んでいた。

囲まれたことに気付き若干意識がそれた所を、霞の槍が突いてくる。

斬撃は防いだが、お陰で剣が砕けてしまう。距離をとるために祭は弓を引く。

このような至近距離で矢を放つという誰もが考え付かない行動に驚き霞は思わず距離を置く。

 

それを見て祭は斬り合って既に使い物にならなくなった剣を捨て、懐からある武器を取り出す。

それは西洋風に呼ぶならばメーネと呼ばれる双身剣。

馬上での戦闘での弱点、剣を振るうとき馬の首が邪魔になる為に動作が遅れるという点を克服するために作られた武器だ。

振らずとも突き斬りできる特殊な武器。それを祭は自分用に改造した。

仕掛けにより弓としても機能できるようにしたことにより、遠近両方の戦闘が可能となった。

 

これを装着した祭はもう止められない。

振るわずとも使える武器を振るうことで、前後上下左右あらゆる方向からの攻撃を防ぎ返し、

繰り出す弓撃は狙い違わず標的に向かって飛んでいく。

 

天下無双の如き武を振るい続けるが、その時間は永遠ではない。

祭本人は良くても、馬のほうに限界が来てしまい、終に倒れ崩れてしまった。

馬から飛び降りすぐさま体勢を立て直し、他はこれぞ好機と言った感じで突っ込んでこようとする。

 

んが…

 

「みーんーなーメーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!なの」

 

それは祭の前に立ち塞がった少年、一刀の一括で止められた。

 

可愛らしく頬を膨らませながら全員を睨む一刀に皆注目。

 

「みんながおいかけごっこがんばりすぎちゃったからお馬さんがこんなことになっちゃってる!」

「い、いや追いかけごっこでは…」

「いいわけダメ!みんなお馬さんにゴメンナサイは!?」

「…ごめんなさい」(×全員

「それから、おかあさん!!」

「わ、ワシか?」

「そうだよ、おかあさんが一番つよいんだから…弱いものいじめはメ!!」

「うぅ…すまんかった…」

「ボクじゃなくて皆にゴメンナサイ!!」

「あぁ…皆すまんかったの」

「うん!これでおしまい♪

 それじゃあおかあさん、ボクおなかすいたからゴハン食べにいこう?」

「そ、そうじゃな。では行こうか」

 

一刀の機嫌が直ったことにホッとした祭は、要望に応えるために城へと向かう。

後に残ったのは、祭が最強であり、自分達は弱いものと認識されてOTZになっている武将達であった…

 

 

その後、かなり送れて返ってきた武将達を迎えた一刀は仲直りに皆で夕食を取ることを提案。

そして夕食時、皆が皆(祭含む)自棄飲みし、ぐでんぐでんになりながら一刀をマワした。

マワされている自覚はなく本人は楽しんでいたのでよしとしよう。

 

こうして、祭とショタ一刀の祭の日々は幕を閉じることとなる…

 

 

あとがき

 

風呂のシーンを覗いて一日分一ページで書くつもりが、

 

何故かこんなに無駄に長くなってしまいましたが…いかがだったでしょうか?

 

特に気になるのは祭の場合のショタコン具合。

 

どちらかというと母として、親ばか…というより一刀ばかなところが強くなりすぎたような…

 

皆さんが気になっていたであろう酒絡みのネタなんか、もうどんな反響が来るか不安で不安で…

 

苦労したのは規制に引っかからないように描写することでしたね。

 

その光景を描写することはなく、しかもセリフはなるべくひらがなで子供風に…

 

 

さて、ショタ一刀シリーズもこれでやっと…本っ当にやっと二人目終了。

 

次回の投稿なのですが…作者の都合により【戦術闘議会】の共通話が先になるかもです。

 

今の所、紫苑+桔梗ルートの話のネタがいくつか上がってきてはいるのですが、

 

進行具合を見るとあっちの方が断然早いので…

 

今後もこんな感じで順番が狂うときが度々あるかもですが、ご了承ください…

 


 
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