No.782898 英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルートsoranoさん 2015-06-11 00:15:28 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1492 閲覧ユーザー数:1350 |
~カレイジャス・ブリーフィングルーム~
「うふふ、今の話も含めてこれでわかったでしょう?”貴族連合”は既に”追い詰められている立場”である事を。”貴族連合”でまだ残っている厄介な存在は”黒旋風”だけど、所詮はたった一人の将の上”総参謀”であったルーファス・アルバレアや”黄金の羅刹”と比べれば脅威度は下がるわ。これなら内戦当初から不利な状況であり続けた正規軍でも勝てるでしょう?……というかもしこれで勝てなかったら、メンフィルが現れるまで”大陸最強”の名を冠していた帝国正規軍の練度を本気で疑うわよ。」
「それはそうなのですが………………」
「……ま、確かに”殲滅天使”の言っている事は正論だね。」
「そだね~。”黒旋風”が強いのは確かだけど、あの二人と比べたらそんなに怖くないよね~。」
レンの話を聞いたクレア大尉は複雑そうな表情で言葉を濁し、フィーとミリアムはそれぞれ静かな表情で呟いた。
「さてと。色々と話が逸れてしまったけど現時点での”戦争回避条約”の実行はどうするつもりなのかしら?」
「…………私とプリシラがメンフィルの保護を受け入れる事を実行する。」
「陛下……」
「………………」
「あなた……あなたがそう決めたのならば、私もそれに従います。」
レンの問いに答えたユーゲント三世の答えを聞いたレーグニッツ知事は複雑そうな表情をし、アルゼイド子爵は目を伏せ、プリシラ皇妃は静かな表情で頷き
「…………でしたらレン姫。俺も俺自身の事を示した”妥協案”を実行しますので、エレボニアがメンフィルに対して”誠意”を示したという事で、”戦争回避条約”の条約内容の一部を緩和して頂けないでしょうか?―――お願いします!」
「ユーシス…………」
レンに申し出るユーシスをラウラは心配そうな表情で見つめた。
「”妥協案”なのに緩和を頼むなんてずうずうしいわねぇ……ま、ユーシスお兄さんの言っている事も一理あるし、一応聞いてからどうするか考えるわ。それで?どの条約内容を緩和して欲しいのかしら?」
ユーシスの申し出に呆れていたレンだったがすぐに気を取り直してユーシスを見つめた。
「”戦争回避条約”の”第一項”に記されてあるカイエン公達の引き渡しがありますが……”蒼の深淵”の引き渡しができなかった際、その件については見逃すという事にして頂けないでしょうか?」
「え……ね、姉さんをですか!?一体何故……」
ユーシスの話を聞いたエマは驚き
「……先程のレン姫の情報通りならば”蒼の深淵”は今後内戦に一切関わらず、他国に潜伏していると思われます。それを考えれば現状エレボニアが彼女を拘束してメンフィルに引き渡す事はほぼ”不可能”と言っても過言ではありません。」
「あ…………」
そしてクレア大尉の推測を聞くと呆けた後複雑そうな表情をした。
「……………ま、対価としては妥当な所ね。―――いいわ。その件については後でパパやシルヴァンお兄様達に説明して、説得してあげる。メンフィル現皇帝シルヴァン・マーシルンの名代メンフィル皇女レン・H・マーシルンの名の元にユーシス・アルバレアが自身に課せられた”妥協案”を呑む代わりに、エレボニアによる”蒼の深淵”ヴィータ・クロチルダの引き渡しが不可能だった場合、その件についてはメンフィルは責めない事をこの場で確約します。――――ここまで言えば満足かしら?」
「ありがとうございます……!レン姫の寛大なお心に心から感謝致します……!」
「でしたらレン姫!わたくしもユーシスさん同様わたくしの事を示した”妥協案”を実行しますので、”戦争回避条約”の条約内容の緩和をお願いします!」
「ア、アルフィン!?」
「姫様……」
ユーシスがレンに感謝の言葉を述べるとアルフィン皇女が申し出、アルフィン皇女の申し出を聞いたセドリック皇太子は驚き、エリスは心配そうな表情をした。
「うふふ、まさかアルフィン皇女も申し出るなんてね。それでアルフィン皇女は何が望みなのかしら?」
「その……可能ならば”第2項”によってメンフィルにエレボニアの領地を贈与する事になっていますが………少しでも構いませんので、緩和――――エレボニアがメンフィルに贈与する予定であった領地を返還してください……!」
「ハア……さすがにそれだと対価になっていないわよ?”救済条約”によって既に4つの条約内容が消滅して、更に一つの条約内容が緩和される事が決まっているのだから。」
アルフィン皇女の嘆願を聞いたレンは呆れた表情で溜息を吐いた後指摘した。
「―――でしたら”救済条約”によって消滅する条約内容の一つを放棄し、更に”救済条約”の条約内容の一つも放棄しますわ!それならば対価になるかと思いますわ!」
「ええっ!?」
「ア、アルフィン!?一体何を……!」
「”救済条約”によって消滅する条約内容を放棄して更に”救済条約”の内容も放棄するって……!」
「”戦争回避条約”の第3、4、9、10項のどれかを実行するという事になる上、”救済条約”の条約内容のどれかも消滅するという事だろうね……」
アルフィン皇女の話を聞いたセドリック皇太子とプリシラ皇妃は驚き、トワは表情を青褪めさせ、ジョルジュは重々しい様子を纏って呟いた。
「うふふ、”そう来る”とはね。少しは交渉事に関してわかってきたじゃない♪それで”救済条約”で消滅するはずだった戦争回避条約のどれを実行して、”救済条約”のどれを消滅させるのかしら?」
「まず”戦争回避条約”の件ですが、”第9項”を実行致しますわ!」
「”第9項”というと……エレボニアが”帝国”の名を捨てる件か。アルフィン、理由を聞いてもいいかい?」
「”帝国”の名を捨てるだけでエレボニアの領地が返還されるのであれば、安いものだと思っています。それに今回の内戦とメンフィル、クロスベルとの戦争によって衰退する事が決定し、挙句の果てには”ハーメルの悲劇”を隠蔽していた事……これらの件を考えればエレボニアにもはや”帝国”を名乗る資格等ありませんわ。」
オリヴァルト皇子の問いかけにアルフィン皇女は静かな表情で答え
「アルフィン…………」
「殿下…………」
「「………………」
アルフィン皇女の答えを聞いたセドリック皇太子とレーグニッツ知事は複雑そうな表情をし、アルゼイド子爵とユーゲント三世は目を伏せて黙り込んでいた。
「娘があんな事を言っているけど、父親であり、この場で決定権がある肝心の皇帝の意見はどうなのかしらねぇ?」
レンは意味ありげに笑みを浮かべてユーゲント三世を見つめ
「あ…………」
レンの問いかけを聞いたアルフィン皇女は辛そうな表情でユーゲント三世を見つめた。
「……アルフィンの言う通りだ。ただ”帝国”の名を捨てるだけで、少しでも領地が戻ってくるのであればこちらも望む所。それに”ハーメルの悲劇”を隠蔽した責任も取る必要がある。―――よく決心し、私より早くそれを口にしてくれた、アルフィン。」
「少し見ない内に成長しましたね……」
「お父様……お母様………」
ユーゲント三世とプリシラ皇妃に微笑まれたアルフィン皇女は目を丸くし
「…………―――それで?更に”救済条約”の内容も一つ放棄するって言っていたけど、どれを放棄するのかしら?」
真剣な表情でアルフィン皇女を見つめていたレンは話を続けて問いかけた。
「それはリィンさんとわたくしの間に産まれた子供の”皇位継承権”を”アルノール家”が望まない限り、存在しないとされる件ですわ!」
「で、殿下!?一体何を………!?」
アルフィン皇女の申し出を聞いたリィンは驚き
「……リィンさんは将来はシュバルツァー家の跡を継ぎ、クロイツェン州を治める方。―――つまり広い意味で言えばメンフィル帝国の役人です。その役人の子供が他国の”皇位継承権”を持っている事は、メンフィルにとっても”利”となると思いますわ。」
「へえ…………中々目の付け所がいいわね。―――でもそれがエレボニアにとってとんでもない爆弾に発展する可能性がある事は理解しているのかしら?」
アルフィン皇女の答えを聞いたレンは感心した後、不敵な笑みを浮かべて問いかけた。
「ば、爆弾に発展する可能性ってどういう事ですか!?」
「アルフィン殿下はエレボニアの皇族なのですから、その子供に皇位継承権はあって当然だと思うのですが……」
レンの問いかけを聞いたアリサは血相を変え、エリオットは不安そうな表情をし
「……”皇位継承者”争いが起きる可能性がある事をレン姫は指摘しているのだと思いますわ。」
「その通りよ。しかもリィンお兄さんはエレボニアにとって”英雄”になる可能性が非常に高い上アルフィン皇女と共に内戦終結に向けて活動するのだから、下手したらセドリック皇太子より二人の子供か、アルフィン皇女が次の皇帝になるべきだっていう声が出て来る可能性があると思うわよ?」
「それは…………」
「………………」
「……あくまで可能性の話です。それにセドリック殿下もアルフィン殿下と共にこの”紅き翼”で活動するのですから、そのような事になる発展する可能性は低いと思われます。」
「確かにそうですな……”帝国の至宝”と称えられているお二人が活動なさるのですから、知名度は対等です。」
セレーネの推測に頷いたレンの話を聞いたラウラは複雑そうな表情で辛そうな表情で黙り込んでいるセドリック皇太子を見つめ、静かな表情で語ったアルゼイド子爵の言葉にレーグニッツ知事は頷いた。
「―――アルフィンの言っていた通り”救済条約”の二人の子供の”皇位継承権”を放棄する件も放棄する。」
「お父様…………!」
「本当にいいのかしら?今じゃなくても、将来セドリック皇太子の子孫とアルフィン皇女の子孫もそうだけど、ひょっとしたらオリヴァルト皇子の子孫もそれぞれ皇位継承争いをして、”獅子戦役”や今みたいに内戦に発展する可能性だってあるわよ。」
ユーゲント三世の決定にアルフィン皇女が明るい表情をしている中、レンは真剣な表情で問いかけた。
「何度も言っているように”庶子”である私に皇位継承権はない。だから私の子孫が皇位継承争いに加わる事は絶対にない。」
「……それを決めるのは私ではなく、その時代の者達。それにもし皇位継承争いによって内戦に発展したとしても、アルフィンの子孫を有しているメンフィルが早期に収めるのではないか?」
「………うふふ、その時はその時で対応を考えるとだけ言っておくわ。――――ただ言っておくけど、緩和するとしてもラマール州とノルティア州の一部については緩和されないわよ。ラマール州とノルティア州の一部についてはクロスベルに贈与する事になっているし。」
オリヴァルト皇子の後に答えたユーゲント三世に問いかけられたレンは意味ありげな笑みを浮かべた後話を続けた。
「ちなみにノルティア州の一部についてですが、”ルーレ”を含めた”ラインフォルトグループ”の大きな工場がある領地になっていますわ。」
「狙いは”ラインフォルトグループ”ですか………」
「そりゃ”ラインフォルトグループ”が納める税収もそうだけど、兵器を含めた鉄鋼業の生産力とか新興の国であるクロスベルからしたら絶対手に入れたいよね~。」
「………………」
「アリサさん……」
ルイーネの話を聞いたクレア大尉は厳しい表情をし、ミリアムの推測を聞いて複雑そうな表情をしているアリサをエマは心配そうな表情で見つめた。
「……しかしそうなるとクロイツェン州も返還する気がないんじゃねぇのか?リィンをクロイツェン州の統括領主にするつもりだしな。」
「残りはサザーランド州の一部という事になってしまいますが……」
トヴァルの話を聞いてある事に気付いたエリスは複雑そうな表情をし
「それを決めるのはパパ達よ。さすがに領地の返還となると、レンでは判断しきれないから、その件については一端”保留”という事にして後で知らせて、その時に誓約書にサインをするかどうか判断してもらう事にするわ。」
「あ、ありがとうございます……!」
レンの答えを聞いたアルフィン皇女は明るい表情で頭を下げた。
「……内戦やメンフィルとの外交問題とは若干外れる形になるけど、例の”教団”の件はその娘に教えた方がいいんじゃないかしら?その娘にとっても他人事じゃないから、何らかの便宜を量ってくれるかもしれないわよ。」
「あ……っ!」
「そう言えばその件もあったね。」
セリーヌの指摘を聞いたエリオットは声をあげ、フィーは真剣な表情で呟いた。
「……”教団”?レンが関係しているって事はまさか”D∴G教団”の事?なに?もしかしてクロスベルの時みたいにエレボニアにも”D∴G教団”の生き残りがまだいたのかしら?」
「――いや、正確に言えば”生き残り”ではない。実は―――――」
眉を顰めて首を傾げるレンの問いかけに対し、オリヴァルト皇子はカレル離宮で会ったヨアヒムの亡霊の事を説明した。
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第33話