No.782696

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

soranoさん

第32話

2015-06-10 00:08:39 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1392   閲覧ユーザー数:1265

~カレイジャス・ブリーフィングルーム~

 

「―――待たせたわね。さっきパパからの通信で新たな情報が入ったわ。内戦終結を望むユーゲント皇帝達にとってもそうだけど、正規軍にとってもとんでもない朗報よ?」

「え…………」

「……一体どういう内容なのでしょうか?」

意味ありげに笑みを浮かべるレンの言葉を聞いたアルフィン皇女は呆け、クレア大尉は真剣な表情で尋ねた。

「オルディス制圧から約2時間後にオルディス奪還の為にオルディス近郊に現れたオーレリア将軍率いるラマール領邦軍がメンフィル軍に戦う事なく”降伏”したとの事よ♪」

「な――――――」

「何だと!?」

「あのオーレリア将軍が剣を交える事無く”降伏”したのですか…!?」

「ほええええええ~~っ!?ど、どどどどど、どうやってあの”黄金の羅刹”を降伏させたの~~~!?」

レンの口から語られた驚愕の事実にユーゲント三世は絶句し、トヴァルとラウラは信じられない表情をし、ミリアムは混乱した様子で声を上げた。

 

「……その情報は本当なのでしょうか?私はかつてオーレリアにアルゼイドの剣を師事した事がありますが……あの者は例え劣勢であろうとも戦を諦めるような性格ではありませんが……」

「うふふ、”黄金の羅刹”率いるラマール領邦軍の部隊はユーディットって言う人の説得によって、降伏したとの事よ♪」

驚きの表情をしているアルゼイド子爵にレンは説明し

「ユーディット……?一体誰の事ですか?」

「ユーディット嬢というのはカイエン公のご息女にしてカイエン公爵家の長女に当たる方だ。確か”才媛”として社交界でも有名な存在で、カイエン公爵自身も自慢していた方だ。」

不思議そうな表情で質問するガイウスにユーシスは静かな表情で答え

「ええっ!?カ、カイエン公爵の娘!?」

「何で内戦の主犯の娘がオーレリア将軍を降伏させたんだ!?」

ユーシスの話を聞いたアリサとマキアスは信じられない表情で声を上げた。

 

「彼女の事は私の耳にも入っている……彼女と彼女の妹、キュア嬢は内戦を起こす事に反対し、内戦勃発後は自らの私財をなげうってまで民達に支援物資を送っているとの事だ。」

「そんな方があのカイエン公のご息女なのですか……」

「とてもあのカイエン公の娘とは思えないわね。」

オリヴァルト皇子の説明を聞いたリィンとサラ教官は驚きの表情で呟き

「で、でもどうしてそのカイエン公のご息女の方が領邦軍を降伏させたのでしょう?」

「確かカイエン公爵の家族も拘束したって言っていたよね?」

セレーネは戸惑いの表情で呟き、フィーは真剣な表情でレンを見つめて尋ねた。

 

「彼女と彼女の妹キュア嬢に関しましては情状酌量の余地もある事に加えて”戦争回避条約”にも当てはまらない為、危害を加えるつもりはなかったのですが……レン姫、一体どういう事でしょうか?」

フィーの質問に答えたシグルーンは不思議そうな表情でレンを見つめ

「パパの話によるとカイエン公爵家の存続とカイエン公夫人の助命、後はこれ以上犠牲者を出さない為に自らオーレリア将軍達の説得を申し出たそうよ。」

「あのユーディットさんが…………」

「オーレリア将軍達の為にも彼女は自ら降伏を促す交渉役を申し出たのですね……」

「……ユーディット嬢の噂は私も耳にした事はありますが、噂以上の方ですな。」

「社交界で会った時から素晴らしい淑女であると感じていましたが、私達の想像以上の方ですね……」

「……うむ。”鳶が鷹を産む”とはこの事であろうな。」

レンの説明を聞いたアルフィン皇女は目を丸くし、セドリック皇太子は複雑そうな表情をし、レーグニッツ知事は驚きの表情で呟き、プリシラ皇妃の言葉にユーゲント三世は静かな表情で頷いた。

 

「にしても一体どんな弁論であの”黄金の羅刹”達を降伏させたんだ?」

「うふふ、パパから一連の流れを聞いたけどそのユーディットって人、オルディスを制圧したヒーニアスお兄様達にオルディスに住んでいる領邦軍の家族を拘束して人質にするように提案したそうよ?」

トヴァルの疑問にレンは不敵な笑みを浮かべて答え

「な―――――」

「何ですって!?」

「りょ、領邦軍の家族を人質にするって……!」

「そ、そんな……あのユーディットさんがそんな事を提案するなんて……」

「……そうかしら?リィンとエリスを人質にしたカイエン公の娘らしいやり方だと思うわよ。」

「セリーヌ!」

レンの話を聞いたユーゲント三世は絶句し、サラ教官は厳しい表情で声をあげ、アリサとアルフィン皇女は信じられない表情をし、セリーヌの指摘を聞いたエマは声を上げた。

 

「まさかヒーニアス殿下達はその案を実行したんですか!?」

「ええ♪弁論だけで降伏する様子を見せなかったから人質を見せて、後ついでに戦艦の部隊を上空に待機させて、人質を見せた後に領邦軍の頭上に戦艦の部隊を見せたらオーレリア将軍は悔しそうな様子で声を上げた後無念そうな様子で降伏を指示したそうよ♪」

「……なるほどね。人質を見せた上、空からの砲撃準備がある事を思い知らされたら例え人質を無視しても自分達は”犬死”するとわかっていたから、”黄金の羅刹”も無念の降伏をしたんだ。」

「うわ~……そんなえげつないやり方、ボク達でもしないよ。」

「……………………」

血相を変えたリィンの問いかけに笑顔で答えたレンの話を聞いたフィーは厳しい表情をし、ミリアムは呆けた表情で呟き、アルゼイド子爵は重々しい様子を纏って黙り込んでいた。

 

「そ、そんな……罪もない民達を人質に取るなんて、余りにも卑劣ではありませんか!?」

セドリック皇太子は怒りの表情で反論したが

「クスクス、さっきも言ったように民達を人質に取る事を提案したのはユーディット・カイエンよ。それにそのお蔭でオーレリア将軍達は戦死せずにすんだのだから、結果的にユーディット・カイエンはオーレリア将軍達を救ったし、ユーディット・カイエンはこれ以上犠牲者を出さない為にも心を鬼にして、その提案をしたと言っていたとの事よ。」

「それは………」

「………………」

「……念の為に聞いておくけどオーレリア将軍達が降伏した後は、人質達は解放してくれたんだよね?」

レンの指摘を聞くと黙り込み、ユーゲント三世は目を伏せて黙り込み、オリヴァルト皇子は真剣な表情で尋ねた。

 

「ええ、人質達は当然解放したわよ。ああそうそう。ちなみにユーディット・カイエンはクロスベルや戦争回避条約の件を知った際、新たな”祖国”であるクロスベルに忠誠を誓って、妹と一緒に働くつもりだって言っていたそうよ?」

「ええっ!?ど、どうして彼女達が……!?」

「……恐らくはカイエン公爵家を存続させる為かと思われます。」

「……………」

「あらあらまぁまぁ……フフッ、ちゃんと自分達の立場がわかって行動している事に加えて優秀で従順な人達は私も好きだし、そんな人達は勿論重用するつもりよ?将来が楽しみな人達が来てくれて、私達も助かるわ♪」

ルイーネを見つめて言ったレンの話を聞いて驚いているプリシラ皇妃にラウラは説明し、ユーシスは複雑そうな表情で黙り込み、、ルイーネは微笑み

「それとカイエン公爵家を存続させる事を含めた自分の”希望”を叶える為にヴァイスお兄さんとの交渉を求めていて、ヒーニアスお兄様がその嘆願に応えたとの事よ♪」

「え”。よ、よりにもよってヴァイス様にですか…………?」

「た、確かに状況を考えるとその選択が一番正しいかと思われるのですが……」

「うふふ、その時どんな展開になるのか、お姉さん、もうわかっちゃったわ♪」

(お父様ですとそのユーディットという方に自分の”女”になる事とかを冗談抜きで条件に出しそうですわ……)

レンの説明を聞き、ヴァイスの性格を考え、まだ見ぬユーディットがどのような事になるのか既に察したマルギレッタとリ・アネスは表情を引き攣らせ、ルイーネは微笑み、メサイアは疲れた表情をしていた。

 

「さ・ら・に♪”結社”も”貴族連合”と手を切って、今回の内戦から手を引いたそうよ♪」

「な――――――」

「ええっ!?」

「何ですって!?」

「ほええええええ~~っ!?あの”結社”が逃げたの!?」

「ね、姉さん達が”貴族連合”と手を切ったというのは本当なのでしょうか!?」

笑顔を浮かべるレンの口から語られた驚愕の事実を聞いたオリヴァルト皇子は絶句し、エリオットとサラ教官、ミリアムは驚きの表情で声をあげ、エマは信じられない表情で尋ねた。

 

「ええ。ラマール領邦軍に紛れ込んでいるメンフィルの諜報員の報告では今回のメンフィルの襲撃によって受けた大損害をカイエン公から責められて、それが切っ掛けで口論になってカイエン公と仲違いしてね。更にユーゲント皇帝達がオリヴァルト皇子達に奪還された事や”黄金の羅刹”が降伏した件を知るとその場で”結社”は”貴族連合”と手を切る事を宣言して転移魔術で去ったそうよ?」

「おいおいおい……!”結社”まで手を引くとか、一体どうなっているんだ!?”リベールの異変”の件を考えると、連中はどんな事があっても”計画”とやらの成就を重視しているんだぞ!?」

「……恐らくは今の貴族連合の状況ではその”計画”の成就すらも不可能であると判断したのかと思われますわ。加えて”リベールの異変”の時と違い、”計画”の途中であるにも関わらず既に”結社”の被害は甚大な事になっています。”執行者”―――それも”結社最強”と恐れられている”劫炎”の死亡という損失は”結社”にとって相当な痛手です。これ以上貴族連合に協力すれば、自分達の命も危険と判断しての事かもしれませんわね。」

「…………引っ掻き回すだけ引っ掻き回しておいて、自分達が不利になったら後始末もしないで逃げ去るなんて、ヴィータらしいわね。」

「この内戦でもう姉さんと会えないのかしら……?」

レンの説明を聞いて信じられない思いでいるトヴァルにシャロンは静かな表情で説明し、セリーヌは呆れた表情で呟き、エマは複雑そうな表情をしていた。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!クロチルダさんが”貴族連合”と手を切ったという事はまさかクロウもですか!?」

「あ…………」

「そう言えばクロチルダさんはクロウさんを導いた”魔女”ですものね……」

リィンの質問を聞いたアリサは不安そうな表情をし、セレーネは辛そうな表情で呟き

「ええ。”蒼の深淵”の転移魔術によってその場から消えたとの事よ。ちなみに自分の手で内戦を終結させたいみたいな発言をしていたそうだけど、”蒼の深淵”に諭されて断腸の思いで”貴族連合”から手を切る事を決めたらしいわよ?」

「そんな……!あの時俺の前で口にした”勝負”も逃げたら、俺との”約束”すらも果たせないぞ、クロウ…………ッ!」

「リィンさん……」

「兄様……」

「フン……自分達の状況が不利になったからと言って尻尾を巻いて逃げるとは。まさか奴がそんな情けない男だったとはな。」

「”貴族連合”の状況を考えれば、先輩の判断も当然と言えば当然だが……」

「クロウ君…………」

「クロウはこれからどうするつもりなんだろう……?」

レンの説明を聞いて唇を噛みしめているリィンをアルフィン皇女とエリスは心配そうな表情で見つめ、ユーシスとマキアスはそれぞれ複雑そうな表情をし、トワとジョルジュはそれぞれ辛そうな表情をしていた。

 

「”帝国解放戦線”のリーダーである”C”が”貴族連合”と手を切ったという事は、まさか”帝国解放戦線”の幹部やメンバーたちもでしょうか?」

「さあ?その場にいたのは”C”だけだったそうだから、それについてはわからないわ。ただ”結社”の”幻焔計画”の件を考えると”蒼の騎神”は何らかの形で”灰の騎神”との勝負を仕掛けて来ると思うから、”蒼の騎神”についてはあまり楽観視しない方がいいと思うわよ。」

「え……………」

「何故そこでヴァリマールとオルディーネが出て来るのでしょうか?」

クレア大尉の質問に答えたレンの話を聞いたリィンは呆け、ガイウスは不思議そうな表情で尋ねた。

「”結社”によるエレボニアでの幻焔計画”の真の目的とは”蒼の騎神”と”灰の騎神”の勝負の舞台を整え、その勝敗を見届ける事だとの事です。」

「ええっ!?」

「意味不明だし。」

「……相変わらず何を考えているか、わからないわね……」

「ふむ……ヴァリマールとオルディーネの勝負を見届ける事が”結社”にとって一体何の意味があるというのだ……?」

「一体何を考えてそんな事をするのかしら、ヴィータは。」

シグルーンの説明を聞いたセドリック皇太子は驚き、フィーとサラ教官は呆れた表情をし、ラウラとセリーヌはその場で考え込み

「で、でもその話が本当だったら、いつか必ずクロウが私達の前に現れるって事よね……!」

「はい……恐らく姉さんもその時に……」

「あ…………」

アリサとエマの話を聞いたリィンは明るい表情をした。

 

「うふふ、敵対関係であるとは言え、かつての仲間との勝負ができる事に嬉しがっているなんて、若いわね♪」

「……私も彼らの気持ちは何となくですが理解できます。」

「フフ、リ・アネスは”騎士”だから、そう言った約束事を大切にしているものね。」

リィン達の様子を見守っていたルイーネは微笑み、リ・アネスの言葉を聞いたマルギレッタは微笑んでいた。

 

 


 
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