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──徐州──
袁術軍・曹操軍の両軍がこの徐州に向けて進軍中と言う報告に一刀達は混乱していた。
「どうなっているのだ!?」
「愛紗ちゃん落ち着こ!!」
「しかし!!」
状況が状況なだけに流石の愛紗も狼狽え声を荒立ててしまう。
それもそうだろう、普段通りの生活をしていたら袁術軍の侵攻の報と共に宣戦布告の書状が届きその事態を収集するために行動に移そうとしていた元に曹操軍の侵攻と宣戦布
告が届いたのだ。
「桃香の言う通り。みんな一旦落ち着こう。焦っていても状況は変わらない」
「はわわ!!ご、ご主人様の言う通りでしゅ!今は慌てている場合ではありましぇん!!」
「あわわ…今は一刻を争いましゅ」
二人の噛みように少しは落ち着きを取り戻し直ぐに話し合いを始める。
「それで、現在の状況は?」
「はい。曹操軍は現在この城に向けて8万の軍勢を3つに別けて侵攻中です」
「袁術軍は5万の軍勢で城を落としながら此方に進んでいる模様です」
朱里の言葉の後に雛里が言う。
曹操軍は8万の軍勢を3つに別け此方を包囲するように侵攻してきているようだ。
「圧倒的に此方が不利ですな」
「にゃ~袁術一人なら相手にしても負けないのだ」
星の言葉に鈴々が独り言のように呟く。
「桃香様!今すぐに出陣の許可を!!」
「待て愛紗。お主が一人出て行ったところで状況は何も変わらん。いや更に悪くなるだけだ」
「なに?星、貴様もしや怖気づいたのではあるまいな??」
「はっ、関雲長ともあろうものが今の状況も理解できずによくもその様な言葉が言える」
「なっ貴様ぁ…」
二人の雰囲気が一触即発の状態になりかけた時
「愛紗。星。落ち着け。今は争っている場合じゃない」
一刀が有無を言わせない声音で二人に言う。
「この状況の打開策はあるか?」
「いえ、私達は軍備内政共にまだまだ弱小です。とてもじゃないですが二方面に軍を出すことは不可能です」
「それに、曹操さん相手では全力であたっても勝率は低いと思います」
劉備軍が誇る軍師『臥竜』『鳳雛』の二人の意見に沈黙する。
「しかし、手はないわけではありません。」
「どういうことだい?」
朱里が説明を始めだす。
その説明を聞いた者は一様に表情を曇らせる。
「現状ではそれが、一番となるのか・・・」
「だが、敵を前に何もせず逃げるというのですか!?」
「愛紗。確かに今は敵に背を向け逃げる事になる。だけど、この撤退は未来に繋げるためだと思ってくれ」
愛紗は生粋の武人だ。それに徐州は県令として一地方の役人だった俺達がようやく得た領地だ。
それなりに思い入れがある。
「今は、耐えるんだ。必ず、いつかは必ず逃げずに立ち向かえるようになろう」
そう今は雌伏の時だ。
「だから、俺達は『益州』へと向かう」
慌ただしく行動に移しだした
──呂布SIDE──
古びた城の中にある簡素な軍議の場所で話し合う。
「今の状況は?」
「良くないのですぞ。西からは曹操軍8万が南からは袁術軍3万が攻めてきているのです。」
「お館様!!ここは助けにいくべきだ!!北郷には洛陽での恩がある!!」
「候成!焔殿になんて口の利き方してるですか!!」
候成が立ち上がり拳を作りながら叫ぶ。
「んでどうするんだ~?大将~?」
「父上、僕も候成に賛成です。」
「そうですね。僕も皆に賛成ですね。」
魏続、一夜、宋憲が声をだす。
「普通に考えれば、このまま見て見ぬ振りをするのが最善なんだろう……」
ひと呼吸おいて皆を見渡す。
「俺は友を見捨てることなど出来ん、我らは北郷軍を援護する為に北上してくる袁術軍を迎え撃つ」
俺の言葉に皆は喜色を浮かべ、慌ただしく行動し始める。
「恋。行くぞ」
「……ん。分かった」
袁術軍3万に対してこちらは5千ちょい。
馬上の人となった焔は兵と共に古城を出る。
「ねね。俺達はどう当たればいいと思う?」
「袁術軍相手では此方は少ない被害で袁術の首をとる自信はあるのです。」
「孫策か…」
「はいです……勿論、孫策軍を相手にしても引けを取ることはないと思うのです。ですが、3万という大軍とそこに加わる孫策軍となると……」
「ん~。結構厳しいな」
幾ら此方の練度と士気を加味しても数の暴力には勝てやしない。
確かに大軍を前に突破し退却することは出来る自信がある。だが、勝つのは不可能に近い。
「まっ、俺の旗みてどれだけ袁術が怖がってくれるかだなぁ~」
袁紹を殺した時の事はすでに大陸中に広がっているだろう。
それに袁術は反董卓連合軍との戦いの時にもいたから俺の事は知っているだろう。
「っと敵さんのおでましか」
大きな砂塵を巻き上げながら大軍が押し寄せてきている。
「高順!兵の士気は?」
「ハッ!」
騰が手に持った獲物を上げると5千余の精兵が雄叫びを上げる。
「魏続!候成!宋憲!部隊を各部隊への指示は任せたぞ。武運を祈る」
「うぃ~す……大将も武運を」
「任されたぁぁぁ!!!!お館様もご武運を!!!!」
「御意です。ご武運を祈ります」
三人は兵を配置に着くべく移動していった。
「公台。戦況をみて逐一指示を出せ。それに従う」
「御意ですぞ!奉先殿もご武運を!!」
「高順。公台を配下と共に護衛しろ」
「ハッ…殿、ご武運を」
残ったのは恋と一夜と俺だけだ。
「さて、一夜。ここまでの大軍を相手にするのは初めてだな」
「…はい」
「……緊張してる?」
「母上……正直緊張しています」
得物を強く握り締め少し俯く息子の頭を少し乱暴に撫でる。
いきなりの事に一夜は目を丸くする。
「適度に緊張しておけばいい。その方が生き残れる。慢心してないだけ良い事だ」
「ん。大丈夫。恋も焔もいる」
「あっ…はい!!」
恋がナデナデと優しく撫でてあげれば緊張が少し和らぐ。
「一夜、今回の戦で多くを学べ」
「はい!」
よし。んなら敵さんも此方に気付いて行軍を止めたことだし行くか
俺は一人『鬼焔』を肩に担いだまま馬を進ませる。
「袁術軍に告ぐ!!!!」
空気を裂くかのような怒号に袁術軍は思わずたじろぐ。
「我が名は呂 奉先!!!!貴様らに恨みは無いが此処は通さん!!!」
呂布の名前を聞いた兵に動揺が走りだす。
一部では悲鳴さえ上がっている。
「どうしても、通ると言うならば……我が真紅の呂旗を、この呂奉先を打ち倒していけぇぇぇい!!!!!」
真紅の呂旗が空に翻り兵達が雄叫びを上げる。
雄々しく翻り風に揺れる真紅に染まりし旗を見上げる袁術軍は混乱の極みに陥る。
──太史慈SIDE──
俺たちの目の前に出てきた男はいきなり馬鹿でけぇ声を出しやがった。
「袁術軍に告ぐ!!!!」
その声は腹のそこに直接響くような声だった。
そしてあの身体の内から迸る様な闘気。
只者ではないという事は分かっていたが、次の言葉で更に驚いた。
「我が名は呂 奉先!!!!貴様らに恨みは無いが此処は通さん!!!」
その名乗りに俺はぶるっと身体を震わせる。
恐怖?いや、ちげぇ。これは……武者震いだ。
大陸中に響き渡る呂布と言う名の武人。
武に生きるものならば必ずは聞く天下無双の豪傑。
それが今目の前にいる。俺たちの敵として目の前にいる!!
その事が堪らなく嬉しくて、つい笑みを零してしまう。
「どうしても、通ると言うならば……我が真紅の呂旗を、この呂奉先を打ち倒していけぇぇぇい!!!!!」
あぁ、最高だぜ。あんな奴と戦えるのか。
正式な孫呉の兵じゃないが、雪蓮達の名を売るには丁度いい。
それに俺は前線だ。真っ先にやりあえる。
「くっくくくく」
「炎虎?だいじょッ」
「雪蓮、炎虎ここにいたか…ないがあった?」
「あっ冥琳、それが」
雪蓮が心配して俺の顔を覗き込みハッと息を飲む。
「フハッハハハハ!!」
俺は顔を手で覆い抑えきれない感情に身を焼きそうになる。
「伯符!公瑾!止めてくれるなよ。あれは俺様の獲物だ」
炎虎の瞳は琥珀色に輝き、瞳孔は縦に割れていた。
「やはり、発熱したか」
「炎虎のは私以上に酷いのよね~」
雪蓮の発熱とかなり似ているが、戦の雰囲気と血などによって発動はせず。
強者との戦いに対してだけ発動するのだ。
限定であるからなのかは分からないが発熱し、事が終わると雪蓮以上の性に対しての欲望が強くなるのだ。
「で冥琳、袁術はなんて?」
「心底怯えていたが、相手が少数と見ると途端に何時もの調子だ」
「あら、なら戦うの?」
「あぁ、そして私達は前線だそうだ」
無論直接はあたらんがな。という言葉に炎虎が反応しグルリと冥琳の方へと向く。
「おい、公瑾。直接は当たらないってのどういうことだ?」
「落ち着け、少しは殺気を抑えたらどうだ?周りの兵が怯えているぞ」
少しだけ殺気を収め冥琳に話を促す。
「ふむ。流石に呂布を相手に真正面から迎え撃てば此方の被害も尋常ではなくなる。故に一度呂布の攻撃を受け流して袁術軍の前衛に当てる。我らが宿願の為にここで兵を失
うわけにはいかんのだよ」
そうだ、俺たちの独立の為にこんな所で兵を失うわけにはいかねぇ
「ねぇ~冥琳。私も前線にで「それは許さねぇ!!」え?」
「伯符、お前が前に出ることだけは駄目だ」
「ぶぅ~なんでよぉ!」
「お前は俺たちの王だ。王が前に出る時、それは王自らが先頭に立ち将兵を奮い立たせる時のみだ。だが、今ではない。お前が今後立つときは、宿願が叶い数多の英雄と対峙
するときだけだ……それと俺は雪蓮に傷ついて欲しくねぇからだ」
「へ?……ッ///」
炎虎の言葉に雪蓮は一気に顔が赤くなる。
「勿論、冥琳も祭も今はここにいねぇが家族全員。まとめて俺様が守ってやるよ」
「ふふっ期待しておこう」
「なんじゃ、気づいておったのか。まっお主に守られるのは悪くないのう」
それから少し、どう動くかを話し合ってから俺達は行動を開始した。
「よぉテメェら準備はできてっか?」
「問題ねぇっすよ!旦那!!」
「おぅそりゃ良い。いいかテメェら。俺達は前線だんでもって相手はあの呂布だ。みっともねぇ姿見せてくれるなよ?」
応ッと頼もしい声が返ってくる。
それに満足げに頷く。
「行くぞ野郎ども!!俺たちが呂布にも勝る精兵って事を知らしめるぞ!!」
その言葉と共に袁術軍の前衛が雄叫びを上げて前進する。
「抜刀!!!突撃ーー!!!!!」
炎虎も叫びそれに続く。
──呂布軍SIDE──
「ふむ、流石に退かんか」
雄叫びを上げて攻めてくる袁術軍を前に不敵に笑う。
その中でも一際動きのまとまった練度の高い兵の一団がいた。
「あれが孫策の兵か。連合の時も見たがやはり、袁術の兵とは比べ物にならんな」
だが、わざわざ当たる必要もないしな。
孫策達がいつまでも袁術の元にいるかは分からんけど、向こうにしてもここで兵を削ぐことはしたくないだろうしなぁ~
でも、孫策とはいつか一刀達が戦う可能性もあるしなぁ~史実的に。
「よし、様子見だけはしとくかなぁ」
「殿、何時でも出れますぞ」
振り向くとすでに陣形はできており、今か今かと焔の号令を待っていた。
「うちの連中は血の気が多い気がするなぁ~」
「……でも皆、強い」
「あぁ、俺の誇りであり自慢だからな」
結成当時から俺に付き従ってくれている古参から連合からの敗北後に従ってきた者。
誰もが、俺に憧れ信頼してくれる。俺の我侭に文句
俺はこいつらを只の兵とは思ったことがない。
大事な家族だ。
『鬼焔』を袁術軍に向ける。
それを合図に呂布兵は獲物を構える。
「行くぞ……我が旗に続け」
静かにされど腹の底に響くような号令に雄叫びを上げ徐々に速度をましていく。
先頭を行くは鬼神と謳われし呂奉先。付き従うは鬼に仕えし鬼兵なり
迎え討つは、袁術軍と虎視眈々と独立を狙っている孫策軍。
3万対5千
呂布と太史慈……二人が初めて戦った戦いである。
あとがき
はい。久しぶりの更新になります。
いや~今年は就活が忙しくていろんなとこに行きました。
東京や千葉、神奈川。広島。大分。
お金がぶっとんで行きましたよ(´;ω;`)
東京では初めてメイドカフェ?なるものに行ってみましたが、うん。至福のひとときでしたなぁ~
高かったけどね。
とりあえず、現実で落ち着いてきたので、此方にも専念していこうと思っています。
まぁバイトなどもあるので更新はバラバラですけどね(^_^;)
上手く書けるように日々精進していくつもりなので、応援とご指導のほどお願いします!
小説をみて、改善点などがありましたらショートメールをお願いします!
では、コメントを心よりお待ちしております!!!
再見!!!!
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曹操、袁術の両軍からのまさかの侵攻
一刀達はどうするのか、焔はどう行動するのか