No.736746

真・恋姫†無双 侍臣墜遇、御遣臣相偶~第二席~

ルルさん

中心軸じゃなくてこっちを先に投稿しました。
タイトルを変えさせていただきました。そのPRも兼ねて、めったに投稿しないとか何とか言っていたこちらを投稿しました。

英雄譚の新キャラは使います。何進も、譚のほうを使います。

2014-11-12 18:59:40 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2637   閲覧ユーザー数:2208

第二席

 

 

 

「さて、一刀、話してくれ。漢の未来を」

一刀は、遮侖の屋敷に通された。

そこで、ふと思ったことがある。

遮侖は十常侍の一人ということもあり、確かに屋敷は広い。

ただ、見たところ使用人は2,3人であり、奥の部屋は、掃除が行き届いているようではない。

「正直、俺は、遮侖がどういう人なのかはっきりと分からない。遮侖の考え方によっては、全てが上手くいかないかもしれない。俺の知っている漢の状況とは違うかもしれないからね」

「そう?なら一応……本当に何も知らないのなら教えておこう。今の皇帝は劉宏陛下だ。妹が一人いる……が……ま、まあ、陛下よりも出来がいいかもしれない。ただ、何進が何太后の威光を借りて、実権を握っている。さっき追われてたのも、陛下に現実を教えようと思ったんだけどね。何太后に邪魔されて、何進に伝わったってわけ。ま、当分宮中には行けないねえ」

遮侖はふふっと笑って見せた。

 

一刀は、考えるふりをして、部屋を見渡してみた。

部屋の隅に蝋燭と机が一つあり、布団が置かれているが、寝台らしきものはなく、何より質素だ。

「ああ、変な飾りなんかに金を使う気はないよ。宮中から配られた官服があれば十分。それに部屋のものが増えれば、片付けが面倒だ。これ以上使用人なんか雇ったら、幾らかかるか考えたくもない」

「遮侖みたいな立場なら、賄賂なんか贈ってくる人も多いんじゃないのか?」

「別に賄賂貰ったって対応を変える気はない。貰えるものは貰っとくのがいいよ。贈り損だね」

 

遮侖は、一刀に顔を近づけると、声を潜めて言った。

「本当に一刀が協力してくれるのなら、ひとつ、見せたいものがあるんだ」

遮侖は、立ち上がると、一刀を手招きした。

「真名を預けたんだから。僕は本当に信じてるよ」

そういって向かった先は、奥の、埃だらけの部屋である。

「ええーと、ここだっけかな」

遮侖は、一つの床板滑らすように外し、その両脇の板も取り外した。

床下はもっと埃臭かった。土台となっている石を右に滑らすと、その奥に、埃をかぶった金や銀の宝物、壺10個余りにいっぱいに入った銅銭などがあった。

「賄賂やもらい物は全部ここの中。一刀は勝手に使っていいよ。たとえばこれなんか、ここで売っても大した金にはならない。そうだな……陳留なんかじゃよく売れるよ」

遮侖は、小ぶりの金壺を見せて言った。

「羽振りよく使ってしまうと、また何進に怪しまれるからね。あ、とりあえずの給料」

そういって、壺から取り出したかなりの額の銭を一刀に押し付けた。

 

 

「で、これからの漢だけど……」

初めの部屋に戻った一刀が口を開いた。

「今の重税、政治に不満を持ち、それが爆発した民が暴徒と化す。黄色の布を頭に巻いているから、黄巾党って呼ばれる。首謀者は、張角、張宝、張梁の3人」

繰り返すが、一刀はかつてその3人と親しかったこと、そして、彼女らの容姿すら忘れている。

「じゃ、先にその3人を捕まえればいいのか?」

「駄目。彼女らはまだ何も起こしていない。黄巾党が現れる前に、漢を変えるのが最もいいんだけど、まず無理だ。とにかく、今の漢では黄巾党を抑えられない。各地の諸侯が立ち上がって、手柄を目指して黄巾族を弾圧する。そして今度は諸侯を漢が扱いきれなくなる。宮中に入り込んだ諸侯は、ほとんどが何進と手を組む。そして……あまり言いたくないが、陛下がお隠れになり、いよいよ何進の時代がくる。その混乱の中、十常侍は何進に殺される……」

遮侖は、黙って一刀の話を聞いていた。もちろん一刀はかなり端折って話していたが、遮侖にとって、自分の最期が、自ら予想したとおりになっていることが分かったのは大きな収穫だった。

 

「やはり何進か……僕たちがいくら頑張ろうとしても、四六時中陛下にくっついている何皇后から情報が漏れてしまう。奴の暴政のおかげで、僕らの評価も下がりっぱなしだよ」

遮侖は、そのまま、しばらく考えていた。

「なら……もう陛下をなんとかするのはあきらめようかな……」

一刀は、それはあまりいい考えだとは思わなかった。

一刀の話を完全に鵜呑みにして、劉宏陛下の崩御を待つというものだからだ。

十常侍の標的が、皇帝の妹に変わってしまえば、いよいよ何進に賛同するものが増えてしまう。

それを伝えると、遮侖はうなずいた。

「そうだね……とすれば、黙って時を待つしかないのか……一刀、仕掛けるべきは何時だと思う?」

「黄巾党の勢力がいよいよ大きくなった時だ。諸侯が動き出したとき、どれだけ隙を見せないかで、未来がかわる――」

 

 

「とりあえず、服はそのままのほうがいいと思うなぁ。あまり見下されると、君も何もできなくなるからね」

一刀が、この服は目立つと言ったところ、遮侖は首を横に振った。

遮侖は、官服のままで、奥の一部屋を自ら掃除している。ここが、一刀の部屋だそうだ。

使用人なんか金がかかるからなるべく使いたくない、という、いい意味でケチな遮侖は、雇った使用人には、洗濯と、書庫の掃除、厨房を任せている。自分の部屋には人を入れたくないのもあるのだろう、部屋の掃除は自分でやる。一刀が入る部屋も、使用人に、余計な仕事をさせたくないと言って、結局遮侖がやってしまった。手つきの良さはだれが見ても漢の重臣とわからないだろう。

 

 

5日後、久々に遮侖が宮中に向かうというので、一刀も付き添って、宮中に向かった。

「それにしても、何進というのも思いつきで行動する人だからね。結局兵を向けたのはあれっきりだよ。あ、そうだ一刀、後で僕に武芸の訓練をつけてくれないかな。手が空いた時でいいんだ。自由時間をとるんだから、給料は上乗せするよ?」

一刀は、承諾したが、給料アップは固く辞退した。

遮侖が言ったが、あれ以来、彼の屋敷にもだれも来なかった。何進がどういう人物なのか、なんとなくわかった気がした。

 

「あ!張譲さん、無事だったんですね!」

何進が張譲を殺さんと兵を差し向けたことは宮中にも伝わっていた。

趙忠は、何度も張譲の屋敷を訪ねようとしていたのだが、宮中から出ようとすると、何かしらの理由をつけて何進の部下に邪魔されるのだった。

「ああ。この方のおかげで助かった。僕の護衛になってもらったよ」

遮侖は、一刀のほうを振り返った。

趙忠は一刀の顔をじっと見ていた。

「あ、あの~何かついていますか?」

「わあ、見れば見るほどかっこいい人ですぅ!追っ手は何人いたんですか?」

「6人いた。一刀が簡単に殺したけどね」

「6人もいたんですか!それを簡単に!張譲さん、この方はなんというのですか?」

「ああ、そうか。紹介がまだだったね。彼は北郷一刀。一刀、こちらは趙忠だ。十常侍の一人で……えーっと、女だっけ?」

「はい!女性なんです!北郷さん、趙忠と申します!」

 

「宦官って言ったって、もともとが男か女かで若干違うんだ」

「女の宦官って、どうやるんだ?」

一刀が、何気なく聞いた。

「趙忠、ここには僕ら以外だれもいない。覗いている輩もいない。見せてやれ」

「はいぃ!北郷さん、女性はこうするんです!」

趙忠は官服の裾をずらし、下着をはかずに、代わりに鉄の貞操体をつけた股間を見せた。

一刀はあわてて目をそらした。

「ちなみに、その鍵は僕が持ってる。しかもあれ、何を持ってしても壊れないから。彼女を犯そうとしても無駄だよ」

遮侖が愉快そうに笑った。

 

「ときに、張譲さん……」

趙忠が、不意にまじめな顔をしていった。

「このところ、各地で反乱が相次いでいるのはご存知でしょう。その中で、額に黄色い布を巻いた勢力が各地に拡大しているようです。何進が皇甫嵩将軍と、廬植将軍を討伐に向かわせましたが……」

遮侖は、一刀のほうを見た。

一刀は少し考えた。ここで、諸侯の台頭を簡単に許してしまえば、遮侖が危険にさらされることになる。が、ここは史実通りに進めるべきであった。

「各地の諸侯は手柄をほしがっている。なら、黄巾党の討伐令を出したほうがいい。何進に何とか頼んで……」

「待って。別に何進に頼み込む必要はない。十常侍の権限を持って、勅命として発布すればいい。もし何進が褒賞を渋ったら、諸侯の反発心は何進に向く」

遮侖が反対した。趙忠は窓の外を飛ぶ蝶に目が行っていた。

 

遮侖たちの動きは早かった。その日の晩には、各地に向けて朝廷からの使者が走って行った。

「ひとまず第1段階、ってとこかな。一刀、隙を見せないって、どうやるの?」

遮侖が酒を注ぎながら言った。遮侖の中では、一刀は彼より立場が上らしい。

「十常侍が、良か悪か、はっきりさせなければいけないだろ。黄巾党の討伐後、褒賞を求めて諸侯が洛陽に集まる。そこでも賄賂を求めるようなことがあれば、完全に漢は終わったとだれもが思うだろう。ところで、さっきの皇甫嵩将軍と、廬植将軍は敵なのか?」

一刀が聞くと、張譲はちょっと考えた。

「どっちつかず、って感じかな。賄賂を贈ろうとしないから、いい人たちなんだろうけど。とりあえず、結構歳いってるよ。一刀がとられないといいな……」

そういって、グッと酒をあおるのだった。

 

遮侖、かわいいので、なんかお利口さんにしちゃいました。

本当はエプロン姿で一刀のためにお料理♪ なんてのも書きたかったんだけど、そこまですると十常侍の威厳なんてとんでっちゃいますので、厨房は使用人にお任せです。

 

あ、タイトル変えました。ハセヲさんからご指摘いただいて、実は私も以前読んだことがある方のSSとタイトルかぶってましたので。

「遇」の字繰り返すのはやめたほうがいいかな、とも思ったんですが、どうしても両方に使いたかったw

 

タイトルの語順についてのご指摘はお受けします。漢文なんて書いたことありませんし、読むのも苦手なんです。

 

そういえば、公式の霊帝って、宏様と弁様どっちなんでしょう。

協様の姉って言ってるから弁様かと思ったんですか、霊帝って宏様だし・・・・・・黄巾の乱の時に、十分身体が成長しているし、しかも現皇帝っていってたので・・・・・・・


 
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