No.736373

真・恋姫†無双 侍臣墜遇、御遣臣相偶~第一席~

ルルさん

中心軸の合間にちょこちょこと書いていこうかな、と。
中心軸とは一切のクロスはありません。
ご了承ください。

※追記:タイトルを変更しました。すいません、結構即席です。

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2014-11-10 19:04:20 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2999   閲覧ユーザー数:2535

 

蒼天の御遣い ~第一席~

 

 

 

 

「さてさてさて、今度は一体どこだ?記憶リセットったって、ここは三国志の世界だろ?えーと……曹操、劉備、孫権……」

新たな外史に派遣される直前、外史の狭間で貂蝉がいった、記憶のリセット。

しかし、場所はわからなくても、これが三国志の世界で、武将はほとんどが女性である、なんていうことはわかる。たしか、真名ってのもあったな。勝手に呼ぶと殺されても文句は言えないっていう……。ま、俺に真名を預けている人は誰もいないけど。

一刀は、まだ、記憶がリセットされていることには気づかない。思いつく限りの武将を挙げるが、彼女たちから一度は、別の外史で真名を預かっていることなんて覚えていない。

つまり……生まれてからずっとここに住んでいるような感覚で、一応の常識は身についているのである。

 

正直、ここがどこかもわからず、近くに町がある気配もない。

とりあえず川に沿ってぼんやりと歩いてみる。

「あ、誰かいる」

川のほとりでうずくまっている少女がいた。見た目、年は一刀と同じくらいである。

「すいません!この辺に街はありませんか!」

川の葦の陰にいた少女は、ビクッと体を強張らせ、ゆっくりと振り向いた。

「誰だ?」

「あ、これはすみません。北郷一刀と申します。どうも、道に迷ったようで、この辺に街はないかと……」

少女は、自分がどこにいるのか確認するようにあたりを見渡したが、一刀の問いに答える前に一刀を葦の茂みに引っ張った。

「静かに」

訳が分からないまま、一刀が息をひそめていると、土手の上を走っていく数人の兵がいた。

「行った……か」

「あれはなんだ?君は追われているのか?」

少女はうなずいた。

「一体誰に……?」

「……何進」

「何進!?」

一刀がうっかり大声で聞き返したときだった。

「そこに誰かいるのか!?」

土手を駆け下りてくる数人の足音が聞こえた。

「……っ!」

少女の顔がみるみる青ざめていく。

一刀は足音を数えた。

1, 2……6人である。

一刀は刀を2本とも抜き、少女のほうを見た。

青ざめた少女と目があった。藁にもすがりたいという目で一刀を見返していた。

 

「そこにいたか!張譲!何進大将軍のご命令である!神妙にしろ!」

兵の一人が叫んだ。一刀はゆっくりと刀を構えた。

「生憎だけどね。彼女は俺が守る。なに、うっかり川に落ちて取り逃がしたとでも報告しとけばいい」

「どけ、小僧。大将軍の命令なのだ。貴様も逆賊となるぞ」

「どっちが逆賊かは知ったことじゃない。勝てば官軍、負ければ賊軍……っと、時間かけるとやばいから……死ね」

後ろの一人が反対側から回り込もうという動きを見せたので、一刀は自分から、兵にとびかかっていった。

刀の切れ味すさまじく、骨をも滑るように斬る。通り過ぎるたびに兵の首が落ちる。もちろん、一刀の腕、速さも素晴らしいもの。6人の兵は何も言えないままに絶命した。

 

「大丈夫かい?君はほんとにあの張譲なの?」

茂みから出てきた少女に一刀が振り向く。

「そうだ……」

張譲はやや、顔を赤くしている。

「十常侍は宦官って聞いたけど」

「僕は一応宦官だよ。……女じゃない。悪いことをしたな。この歳でアレを切り落とすのは勇気がいったよ……顔と声は変わらないと思ったんだが」

顔も、声も、仕草も、完全に女のそれである。

「どっちかなんて関係ないさ。追われて、ふるえてたから助けただけだよ」

「べ、別にふるえてなんか……!」

「それはそうとして、街はどっちだって?今日の宿も探さなきゃいけないし、できれば案内してくれるとうれしいんだけど」

「北郷……やけに態度が大きいな。……ま、助けてくれたんだから、しょうがないか。……ねえ、さっきの戦いぶり、どこかに士官していたのか?それに、その服は……」

「何処にも。じいちゃんに小さいころから仕込まれた。この服は、聖フランチェスカ学園の制服だ。……2千年後……ぐらいかな。東の島国にある」

張譲は、いまひとつピンとこないようだ。当然である。

「なら、お前があの、『天の御遣い』なのか?」

「なんだ、それ?」

「管路の予言だ。『天より飛来する光に乗りて、一人の青年が降り立つ。その者こそ大陸に安寧をもたらすであろう』と」

「ふーん。……俺はそんな大した人間じゃない。それに、天なんて名乗れるわけがないだろ」

張譲は、少し黙っていたが、やがて口を開いた。

「なら、天を名乗れるまで、やってみたらどうだい」

「何を?」

「漢室は腐れきってる。十常侍の僕が言うのもなんだけど。もし本当に漢に安寧をもたらすのなら、やってみようよ。僕が手伝う」

「手伝う、って?」

「北郷の武は、先ほど見せてもらった。それに、本当に2千年後から来たのなら、漢の未来も、諸侯の動きも知っているはずだ。北郷が協力してくれれば、僕は何進を倒せるかもしれない。そうすれば北郷、君の出番だ」

一刀はしばらく考えていた。さっきも言ったが、どっちが逆賊かなんて知らない。しかし、一刀の知っている三国志の十常侍は、私腹を肥やして、皇帝に偽りを述べ、漢の滅亡を招いた元凶である。しかし、目の前の少女……いや少年は、そんなことを考えている様子ではなかった。むしろ、天の御遣いという予言に頼っても、大陸に安寧をもたらそうとしている。

一刀は刀を鞘に納めて、張譲に向き直った。

「わかった。やってみよう。俺は絶対張譲を守る。張譲も死んではいけないよ。民の安らぎを確かめるまで」

張譲は満足げにうなずいた。先ほどより、顔の赤みが増した気がした。

「では、今日から僕の家に住みなさい。さっきも追われてたけど、僕の身は安全じゃない。図々しいけど、僕が死んではいけないのなら……守って」

一刀は自分の武が、どこまで通用するのか、分からなかった。

「俺の武がどこまで使えるのかわからないけど、絶対に」

「ありがとう。僕の真名は遮侖(しゃろん)だ。真名、受け取ってくれるかい?」

「勿論だ。改めて、俺は北郷一刀。真名はないから、一刀と呼んでくれればいいよ」

二人はガッチリと握手を交わした。

どうも。中心軸最新話を投稿する前に、ちょっと一息……的な感じではじめてしまいました。

正直、見切り発車です。

 

乙女大乱の張譲がめっちゃ可愛かったので、宦官だと知りつつ、書いてしまいました。

アニメでは微妙に胸があった気がするんだけどなぁ……。

 

中心軸の合間に執筆するので、めったに蒼天最新話が投稿されないかもしれません。

その点は、ある程度ご承知おきください。

 

中心軸最新話は、今日の20時頃投稿する予定です。

 

 

いきなりですがすいません。

一刀の双剣(刀?)の銘をどなたか考えていただけないでしょうか。

コメント欄にでもちょこっと。お願いします!

 

 

張譲の真名は勝手につけさせていただきました。

「またオリキャラ物かよ!」

というコメントは、ちょっとお控えください。

今作は、オリキャラといっても、アニメに出てきた者しか使いません。

つまり、多くても……7人ぐらい?

まあ、孫静とかは予定にありません。何進は確実ですねw

その分、一刀にはやっぱりチート補正かけさせていただきます。

とりあえず、長い目で読んでいただければ幸いです。

 

 
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