No.728724 九番目の熾天使・外伝 ~改~竜神丸さん 2014-10-08 16:09:02 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:2438 閲覧ユーザー数:965 |
「ハッハァァァァァァァァァァァァッ!!!」
『ブヒィィィィィィィッ!?』
ZEROの変身した
「馬鹿が…甘いんだよぉっ!!!」
-バギャアッ!!-
『フゴォォォォッ!?』
生身の状態ですら、とてつもない剛腕を誇っているのがZEROだ。オーク達がどれだけ丈夫な武器を持っていようが、その武器ごとドラークに切り裂かれてしまうのがオチなのである。
「何だ? どいつもこいつも弱過ぎる……もっと俺を満足させられる奴はいねぇのかぁ!!」
薙ぎ倒したオークの死体を右足で踏みつけながら、両側から襲って来たオーク達の武器をピタヤクローで防御するドラーク。それらを力強く弾き返すと同時にピタヤクローの鉤爪が収納され、その状態から戦極ドライバーのカッティングブレードを弾くようにして下ろす。
≪レッドピタヤスカッシュ!≫
「消えろ…うりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
『『『『『ブヒィィィィィィィィィッ!!?』』』』』
ピタヤクローの鉤爪にエネルギーが充填すると同時に、ドラークは両腕を広げてその場で回転。ピタヤクローから放たれる斬撃が周囲にいたオーク達を一体残さず蹂躙し、大爆発すると共にオークの大群が全滅した。
「…チッ」
ドラークはレッドピタヤロックシードを閉じ、変身を解除してZEROの姿に戻る。オークの大群を相手に大して楽しめなかったのか、ZEROは戦闘開始前よりも不機嫌な表情をしていた。
「食糧程度にしか大して役立たねぇとはな…弱いだけの豚共が」
全身が焼けたまま絶命したオーク達の死体。その内の一体の死体をZEROが左手で掴み上げ、そのままオークの肉に噛り付く形で食事を始める。
「…ん」
オークの肉を喰らい始めてから数十秒後、ZEROは気付いた。自身の後方から…
「ご、ご飯…」
「…は?」
オークの焼ける匂いに釣られ、腹の虫を鳴らしながら行き倒れている凛の姿があった事に。
一方、場所は変わり…
「―――ん…?」
魔力の過剰消費によって、今まで意識を失っているままだったディアーリーズ。そんな彼が、ようやく意識を取り戻した。
「ッ……ここは…」
目を開けてみると、視界には石で出来た天井が見えていた。感覚が戻ると共に、自身の身体がフカフカなベッドの上に寝かされている事が分かる。
「たく、やっと目を覚ましやがったか」
声の聞こえてきた方向を向けば、そこには椅子に座ったままオーガドライバーの調整を行っている支配人の姿があった。ディアーリーズの目覚めを確認し、支配人は呆れたような表情を見せる。
「支配人さん…? あの、ここは一体…」
「レジスタンスとかいう連中が、隠れ蓑として使ってるアジトだとよ」
「レジスタンス?」
「生き残った人間達による組織だ。このアジト自体は街の地下に拠点として用意したものらしい。今は俺以外にもロキにBlazに刃、シグマやフィアもいる。ユイはアジトの外で、見張り番の手伝いをしてる最中だ」
「レジスタンス……!! そうだ、あの人は…」
「お前が助けようとした娘なら、今は別の部屋で休んでるところだ。命にも別状は無いとよ」
「…そうですか。良かった…」
「良かった…じゃねぇよアホンダラ」
「あだっ!?」
安堵の表情を浮かべるディアーリーズ。そんな彼の後頭部に、支配人が容赦なくチョップをかます。
「魔力を枯渇させてまで彼女を助けようとするそのお人好しっぷりは結構だが、それで本当に倒れられたりしたんじゃ元も子も無い。もしロキ達がいない状態でそんな事をしてみろ。碌でもない事態になってたのは目に見えてる。これ以上アキちゃん達に心配させるような事して楽しいか? ん?」
「う……す、すみません…」
「…お前の場合、まずその自己犠牲精神からどうにかした方が良いだろうな。そんなんじゃ、守れる物も到底守れやしない」
支配人から辛辣な言葉をぶつけられ、何も言い返せないディアーリーズ。実際、今までにも自分の身を犠牲に誰かを守ろうとしたような事が何度もあった為、今のディアーリーズにとってはかなり耳の痛い話である。
「おやま、目覚めたようですね」
「刃か」
ちょうどその時、お盆にお粥を乗せた刃が部屋に入って来た。
「意識が戻ったようで良かったです。ひとまず、このお粥をお食べ下さい」
「あ、はい、どうも…」
「目が覚めたかい!?」
「「「うぉわビックリした!?」」」
突然刃の真後ろから顔を覗き込ませた楓に対し、突然の登場を想定していなかった三人は驚きで思わず仰け反る。
「え、えっと、あなたは…?」
「あたしかい? あたしは楓だ、よろしく! それからそこの君」
「ん、僕ですか?」
「他に誰がいるのさ? 聞いたよ、あんたがユーリを助けてくれたって事。助けてくれてありがとな!」
「(ユーリ、それがあの人の名前か)…いえ、気にしないで下さい。僕はただ、僕にやれるだけの事をやったまでですから」
「それでいちいち死にかけるようじゃ、俺達にとっても面倒で仕方ないんだがな」
「うぐ!? …ごめんなさい」
「にゃははは、お前達面白いな~!」
「はぁ、やれやれ…」
さり気なく支配人が吐き捨てる毒舌にディアーリーズがどんどん小さくなっていき、楓はそれを見て笑い刃は苦笑する。
「ところで楓さん。私達に何か御用で?」
「ん~…いや、大した用事じゃないや。単純にユーリを助けてくれた奴に礼を言いたかっただけだし。難しい話についてはレイモンズさんに任せっぱなしだし」
「レイモンズ…?」
「このレジスタンスのリーダーであるとの事です。今現在、ロキさんとBlazさんがあの人と話をしている最中でしょう」
彼等が話しているアジト地下3階。そことは別に、地下5階では…
「―――てぇ事はだ。あんたがここの連中のリーダー、てぇ事で間違い無ぇんだな?」
「そういう事になるだろうね」
とある一室にて、ロキとBlazは中年と思われし茶髪の男性と話をしていた。
「改めて名乗ろう……私はウィドラ・レイモンズ。及ばずながら魔導師として、このレジスタンスのリーダーを務めている」
「キリヤ・タカナシだ。普段はロキと名乗っている。よろしくな」
「俺はBlazだ。まぁよろしく」
茶髪の男性―――ウィドラ・レイモンズはロキやBlazとそれぞれ握手を交わす。ロキ達と力強く握手を交わしている彼の表情は非常に穏やかなものであり、貫禄のある風貌ながらも何処か優しげな雰囲気のある人物。そんな彼だからか、ロキもBlazも彼に対しては少なからず友好的でいられそうだと感じていた。
「テレンス君や楓ちゃん達から話は聞いているよ。仲間を助けてくれて、とても感謝している。ありがとう」
「彼女を真っ先に助けに向かったのは、あのディアっていう馬鹿野郎だ。俺等は後からアイツ等を運んでやったってだけの話」
「それでもだ。君達がいなければ楓ちゃん達も危なかった。感謝する」
「…あぁ畜生、感謝されるってのは妙に落ち着かねぇな」
堂々と頭を下げられた上で礼を言われ、Blazは照れ隠しに髪を掻く。そんな彼にロキは敢えて触れず、レイモンズにいくつかの質問を投げかける。
「感謝して貰ってるんなら、ちょっとばかし聞かせて貰いたい事がある」
「ん、何だい?」
「このミッドチルダの事だよ。一体何が起こってるんだ? 少し見ない内に街中のあちこちにモンスターが出没しちまってるわ、管理局の地上本部は見た感じ占拠されてるっぽいわ、明らかにおかしな状況だ」
「あんたも管理局の魔導師なんだろ? そこら辺、何か分からねぇのか?」
「…君達、まさか何も知らないのかい?」
「あ? どういう事だよ」
「この世界は2年前にモンスターの攻撃を受けて、それからずっとこんな状態だよ。管理局も2年前の戦いで既に壊滅してるしね」
「「!?」」
ロキとBlazは思わず顔を見合わせた。無理も無いだろう。自分達の知るミッドチルダの状態とレイモンズの告げたミッドチルダの状態には、明らかに情報の食い違いが生じてしまっているのだから。
「おいおいロキ、どういう事だよこりゃ? まさかここが平行世界って話じゃねぇだろうな?」
「最初は俺も不思議に思ってはいたが……多分、その可能性が高いんだろうな。じゃなきゃこの状況に説明がつかない」
「…君達のその話、まるで自分の知ってる世界とは違うって感じの反応だね。逆に聞かせて貰うけど、君達は一体何者なんだい?」
「…どうする?」
「…仕方ないな。話が進まないと情報が手に入らない」
二人の会話に疑問を抱いたレイモンズに対し、ロキは人差し指を立ててから忠告を入れる。
「俺達がこれから話す事、あまり広めないように頼む」
そこからロキは、レイモンズに自分達の素性や平行世界の事などについて説明した。自分達は別世界で活動している組織の一員であるという事(当然、その組織がOTAKU旅団だという事は伏せている)。自分達の知っているミッドチルダはここまで荒れ果ててはいないという事。自分達は突然発生した次元震に飲み込まれ、この荒廃したミッドチルダまで飛ばされてしまったという事。
「…という訳だ。お分かりで?」
「……」
それらの話を一通り聞かされたレイモンズは、無言のまま見開いた目をパチパチとさせる。
「なるほど……凄く大変な事に巻き込まれたね、君達も」
「そうなんだよなぁ…」
「しかもこれ、過去にも何度か経験してるし…」
「「…はぁ」」
揃って溜め息をつく二人を見て、レイモンズは思わず苦笑しながらもある事を思いつく。
「なら、君達もしばらくここに滞在してはどうだろうか?」
「「!」」
「設備が充実してる訳じゃないけど、何も無い場所を拠点にするよりかはマシかも知れない。どうだい? 私も出来る限りは君達に協力しようと思っている」
「…少し待ってくれ」
ロキは懐からメモ帳を取り出し、そこにある事を書き込んでからその一枚を切り取り、レイモンズに書き込んだ内容を見せつける。
「これは…?」
「何、ちょっとした契約書みたいなものだ。アンタ達は俺達をそちら側に引き込んだり道具として利用したりしない事、それさえ守れば俺達はアンタ達に協力してやれる。どうだい? 別に悪い話じゃないだろう?」
「ふむ……しかし、何故わざわざここまでの事を? 別に私は君達を阻害するつもりは…」
「アンタにそのつもりがなくとも、他の連中は分からんだろう? それに…」
「それに?」
「…アンタ自身、たくさんの戦力を必要としている。違うか?」
「…!」
ロキの言葉に、レイモンズの眉がピクッと反応する。
「さっきアンタが言っていた台詞からして、レジスタンスがモンスターを仕留める事だけでも相当苦労しているのは既に丸分かりだ。そうなると、アンタ達はより多くの戦力が必要になる。そんな状況の中で俺達と遭遇した」
「……」
「楓ちゃんだっけ? あの娘から俺達の実力を知ったアンタは、出来れば俺達にもモンスター討伐に協力して貰いたいと、そう考えている。違うか?」
「…なるほど、君もなかなか喰えない人間という事か」
ロキの言葉を黙って聞いていたレイモンズが口を開く。
「君の言う通り、今のレジスタンスはかなり疲弊した状態だ。モンスターを討伐して食糧の肉も確保しなきゃならないし、この街の何処かで生き延びている生存者も保護しなければならない。それらをこなすには、どうしても戦力が必要になる」
「つまり、俺の予想は大体正解と」
「すまなかったね。本当なら素直に君達に頼むべきだったんだが、レジスタンスのリーダーの座に就いている以上、簡単に頭を下げるような事は出来なかった」
「別に怒っちゃいないさ。組織のトップとして、やるべき事をやってるだけ断然マシな方だ……それで、承ってくれるか?」
「…あぁ、そうだね。今は少しでも戦力を増やしたいのが本音だ」
レイモンズは二人に対して頭を下げる。
「レジスタンスのリーダーとして頼みたい。君達の力を、我々レジスタンスに貸して欲しい」
「…契約成立、だな」
ロキはニヤリと笑みを浮かべる。
「となりゃ、他の連中にも伝えなきゃなんねぇな。まだ他のメンバーにも合流出来てねぇんだしよ」
「む? 他にも仲間がいるのかい?」
「あぁ、どいつもこいつも個性が溢れ過ぎててな。俺なんかは特に苦労させられるぜ全く」
「はん、よく言いやがる。おめぇだって妹の事になると周りが見えなくな―――」
「シスコンで何が悪いよ?」
「おぉう、言い切りやがったぜコイツ…」
(ふむ、楽しい人達なのかな? 彼等の言う仲間達とは)
自身がシスコンである事を断言してみせたロキにBlazが呆れ果て、レイモンズが興味深そうに考えながら二人を見ていたその時…
-prrrr-
「む?」
レイモンズの通信機が鳴り出し、彼は通信を繋げる。
「こちらレイモンズ。どうした?」
『レ、レイモンズさん、助けて下さい!! こ、こちら、かなり大変な状況になっておりまして!!』
「落ち着いて話せ。まずは状況を説明しろ」
『は、はい!! じ、実は…』
((何だ…?))
ロキとBlazは淹れて貰ったコーヒーを飲んでいる中、レイモンズは何かを話してから通信を切り、壁のハンガーにかけていた上着を手に取る。
「何かあったのか?」
「どうやら、先程保護されたばかりの魔導師が医療室で暴れているようでね。すぐに医療班の下まで向かわなくてはならない」
「ありゃま、そりゃご苦労なこって」
「どれ、俺達も向かうとするか。その暴れてる魔導師さんを押さえる事くらいは出来るだろ」
「早速すまないね。では、早く向かうとしよう」
三人はすぐに部屋を出て、例の医療室まで向かい始める。
「ところで、その魔導師は一体どうしたんだろうな。目覚めた途端に医療室で暴れ出すとか」
「あぁ、かなり怒り狂っているようでね。何やら『俺の誇りを馬鹿にしやがって』とか何だとか、色々怒鳴り散らしてるところを医療班がどうにか押さえている状態らしい」
「誇り、ねぇ……そういやその魔導師、特徴とかないのか?」
「ふむ、特徴か。聞いた内容だと…」
「太刀を所持していて、左目に眼帯を着けている魔導師らしい」
「「ブフゥーッ!?」」
心当たりのあり過ぎる特徴に、ロキとBlazは思わず飲んでいたコーヒーを噴き出してしまうのだった。
一方、アジトではなく荒れ果てた街中…
『シュロロロロロ…』
無人の道路にて、一匹のサラマンダーが徘徊していた。獲物を探しているらしく、瓦礫の上からキョロキョロと周囲を見渡していたその時…
-ズドンッ!!-
『ピギャ…!?』
飛んできた一本の長刀が、サラマンダーの頭部を刺し貫いた。サラマンダーは一瞬で絶命し、そこに長刀の持ち主が姿を現す。
「ふん、雑魚が…」
持ち主はデルタだった。彼はサラマンダーの頭部を貫いている長刀をズブリと抜き取ってから血を払い、鞘にカチンと納める。
「突然こんなミッドチルダらしき場所に飛ばされた挙げ句、何処に移動してもモンスターだらけ……いい加減この私に休みを与えて欲しいものですね。全く…」
『『『グルルルルル…!!』』』
「…とか言ってると、休みが無くなってしまうんですよね。あぁ、本当に嫌になる」
デルタの周囲を2、3体のワーウルフが取り囲み、デルタは面倒臭そうに呟く。
「そこまで私に挑みたいのであれば、楽には死なせませんよ…
『ギャワゥッ!?』
デルタは突き出した腕から一本の針を射出し、それが一体のワーウルフの腹部に突き刺さる。針で刺されたワーウルフは想像を遥かに超える苦痛に襲われ、道路の上でのたうち回り始めた。そのワーウルフの状態を見た他のワーウルフ達は一斉にデルタを警戒し始めるも、デルタはワーウルフに対して微塵も興味が無いかのような表情を見せる。
「あぁ、あなた達もハッキリ言って邪魔です。ちゃっちゃと狩られて下さいな」
デルタはそう言って長刀を抜き、ワーウルフの集団に襲い掛かった。そんな光景を、少し離れた位置から眺めている者がいた。
「…おいおい、あれがデルタさんなのか?」
okakaだ。たまたまデルタを見つけて声をかけようとした彼だったのだが、デルタの雰囲気がいつもとは何となく違っている事に気付き、こうして隠れながら彼の様子を見ていたのである。
(何か変だな……まだもう少し、様子を見れば分かるんだろうか…)
okakaがそう考える中で、デルタは機械の如く駆逐作業を続けていく。ワーウルフ達がどれだけ鳴き声を上げようと、刃が肉を斬り裂く音はしばらく鳴り止む事は無かった。
そして、とある港町では…
「なぁ蒼崎」
「何?」
「…ここは何処だ?」
「知らない」
「…何で俺達はモンスターに囲まれている?」
「ここが縄張りだったからじゃないの?」
「ちなみに罪悪感は?」
「微塵も感じてない」
「お前に付いて行った俺が馬鹿だったよコンチクショウ!!!」
完全に迷子となってしまっていた蒼崎とmiri。蒼崎の思うがままに街中を歩き続けていた結果、ものの見事にモンスター達の縄張りに入ってしまったらしく、二人はミノタウロスやニーズホッグ、キメラなどといったモンスター達に囲まれてしまっていた。
「たく、また面倒な事態に俺まで巻き込みやがって…」
「おっかしいなぁ~? 俺はただ、美女の匂いがする方向に歩いてみただけなのに…」
「OK、お前の嗅覚が当てにならない事がよぉく分かった」
『『『『『グルァァァァァァァァァァァァァッ!!!』』』』』
モンスター達が一斉に襲い掛かる。それに対して二人も戦闘態勢に入ろうとしたその時…
「通りませ 通りませ―――」
その声と共に、事態は変わり始めた。
『『『『『!?』』』』』
「「…!」」
突如、二人の周囲に複数の鳥居型の紋様が出現し、モンスター達の攻撃を全て弾き返したのだ。モンスター達はすぐにまた攻撃を繰り出すも、鳥居型の紋様は一つが壊れるたびにまた更に増えていき、一向に攻撃が二人に届く様子は無い。
「何だ? 結界の一種か…?」
「通りませ 通りませ―――」
「…!」
「!!! な、何という美しさだ…!!」
突然の事態に困惑する二人の前に、一人の女性が踊りながら姿を現した。いくつもの白いリボンで結ばれた長い茶髪に、動きやすさを重視した露出度の高い服装、あまりに豊満過ぎる胸、そして100人中100人の男性が振り向くであろう程の綺麗な美貌。それらの特徴を持ち合わせた女性に対し、蒼崎は両目がハートに変化させ、miriは思わず目を見開く。
「お、踊ってやがる…?」
「す、素晴らしい…ビューティフォー!!」
女性が歌いながら踊る中、彼女の周囲に出現した鳥居型の紋様がモンスター達の攻撃を次々と防いでいく。モンスター達がどれだけ攻撃しようと、攻撃が彼女に届く事は無い。
「行かば 何処が細道なれば―――」
女性の名は、葵・泉美。
孤高に咲き続ける“高嶺の花”の如く、彼女は華麗に舞い踊る。
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