No.691305 新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第031話2014-06-03 15:03:10 投稿 / 全6ページ 総閲覧数:1200 閲覧ユーザー数:1100 |
新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第031話「名王対覇王」
袁紹は白馬、原武を落として、着実に許都へと近づいてき、まっすぐ進軍する袁紹軍正面から見て官渡水を越えた1里先に曹操は砦を築いて待ち望んだ。
袁紹も官渡水より前から2里間を開けて陣を構えた。
そして二人は互いの軍の引き連れ、官渡水を挟んで睨み合った。
「河北四州を収める大将軍殿よ。突然我が国に勢を向けるとは、一体何するものぞ!?直ちに兵を引けい!!今ならば同じ私塾で学んだ好未で、無傷で返してやらんこともないぞ?」
曹軍より一つの騎馬が前に出たと思うと、その騎馬に跨る曹操は袁紹軍勢に向かって咆哮するように言い放ち、それに対し袁紹も一つ前に出て怒りを露わにしながら言い返した。
「黙れ孟徳!!
実を言うと、袁術が孫策により領地を追われた際、その時の孫策の手勢が小勢であった為に、孫策は外部から大きな協力者捕まえて、それを後釜にして袁術軍を混乱させたのではないだろうか?っという噂があった。
実際その噂は真実では無く、真実は袁術の油断と孫策の才であり、袁紹もそれはわかりきっている。
この言はあくまで曹操を攻める為の口実、虚言である。
「三公を輩した袁家の末裔殿が、そんな根も葉も無い言に惑わされるとは、とんだお笑いぐさよの。そんなことで貴様は陛下の庭を踏み荒らすか?この逆賊が!!」
「黙れ!!陛下と同門である劉備殿を攻める暴挙に出ていながら、我を逆賊呼ばわりとは甚だしい。貴様こそ皇帝陛下という大器を巣食う逆賊ではないのか?」
「我が劉備を攻めたは、袁術の大軍から逃亡した劉備の徐州の地を守らんが為。それを言うなれば、一番最初に徐州に攻め入ろうとしていたのは、本初、貴様ではないか!?」
「我が劉備殿の徐州へ向かったのは、攻めるためではない、保護するためと、劉備の陣営に逃れた公孫瓉を追ったためだ。もし劉備殿の所に攻め入るのであれば、今この様な大軍を用いる」
「馬鹿な。劉備如きを攻め入るのに、大軍を用いるか?貴様は」
「劉備殿の下には関羽がいる。趙雲や張飛など名だたるも数多く。小国と言えど油断は出来ぬ。そんなものも判らなくなったか?私塾以来知識が落ちたな、孟徳。それに先程から我の言ったことをああ言えばこうも言っているが、それ程我が軍と刃を交えるが恐いか?」
「……そこまで大言を吐くのであればいいだろう。貴様の首を、”逆賊者の証”として陛下の前に差し出してくれよう」
両者壮絶な”虚言”と”罵倒”の舌戦を繰り広げた後、曹操は踵を返して陣に戻り、袁紹も陣に引き上げていった。
「桂花」
「はい」
「初戦は貴女に指揮を任せるわ。凪と真桜、沙和を連れて行きなさい。深追いはしない程度に攻めて、麗羽の鼻っ柱を叩きおってやりなさい」
荀彧は返事をすると、直ぐに曹操が挙げた三人に指示を出して、袁紹軍へと攻め入った。
「斗詩さん。あの一軍を指揮するのは、一体誰かしら」
「はい。見た限りだと曹操さんは後ろから動く気配はないみたいですし、あの一軍を率いてるのは荀彧さんで、前衛は楽進さんだと思います」
「荀彧……以前、愚かな私のせいで才ある者をみすみす逃がしてしまったと悔やんだものですが、あのようにただ闇雲に突っ込むだけの才なら、逃がしても影響は少なかったですわね。猪々子さん、手筈道理に」
「おう、わかったぜ姫。てめぇら、袁紹軍の恐ろしさ、思い知らせてやれ!!」
兵士の雄叫びと共に、文醜も一軍を率いて先駆けしてきた曹軍に当たった。
袁紹軍は文醜を筆頭に曹操軍に突っ込んで行くが、それはなんの陣形も取れていなかった。
「【……やっぱり、華琳様やあの男の考えすぎで、あの
「わかったの~。おい薄汚い豚ども。フォーメーション『fish scales』なの。一点突破で、敵の喉を食いやるのなの~」
兵士たちは「サーイエッサー」っと掛け声を挙げて魚鱗陣を取る。
「……沙和?さっき貴女が言ってた、ふぉーなんとかとふぃしなんとかって何?」
「よくわからないの。でも一刀さんが教えによると、フォーメーションの意味は構成、又は連携。fish scalesは魚鱗って意味らしいの?」
何故か最後に疑問文であった于禁に気を囚われず、苦笑いをしながらも、軍として問題なく動いているのであるから、荀彧は気にすることを止めた。
刻々と数秒刻みに両軍のぶつかりが近づいて来るが、荀彧は気付かなかった。
袁紹軍の兵士が徐々に近づくに連れて、バラバラであった陣形が取れつつあることを。
「かかったな、今だぜ。全軍、陣形変更!!」
文醜の掛け声と共に、袁紹兵士は即座に立ち回り、陣形を方円陣へと変えた。
しかしこの方円陣、少し変則であった。
方円陣というのは大将を中心として円を書くように兵で囲む陣形。
それ故、奇襲などのあらゆる方面からの攻撃への対応が可能。
変則と言うのは、この方円陣、文醜を取り囲んでいる兵のうち、半数以上が前衛に回っているということと、最前列で兵を迎え撃つ兵士は大きな”盾”で防いでいることだ。
予め相手方がそう来ることを予想していたかの様に。
咄嗟の状況に曹操軍は対応出来ずそのまま突っ込み、盾に阻まれて袁紹軍の防衛を突破出来なかった。
「……くっ、おのれ
「喰らえやーー!!」
凪は気弾の一撃で、李典はその螺旋の槍で袁紹兵の盾部隊を飛ばし、何とか自軍兵士を袁紹兵士の中に入れて入れることに成功するも、直ぐにその間は閉じられ、盾を突破した者も、袁紹の兵の中で討たれ、彼らが迎撃に成功すれば、袁紹兵士達は盾に僅かに隙間を作って、その間より槍の突きを放ち、突き殺される者も多数出始める。
「よっしゃ、曹操軍の突撃は抑えたぜ。弓櫓部隊、出番だぜ」
袁紹軍の先鋒部隊の後ろより、何かがガラガラと音を点てて近づいて来ると、そこには高さ40メートルはあろう攻城櫓が姿を現した。
荀彧も40メートルはあろう櫓を見逃すはずもないのだが、まさか今この場で使ってくることは予想外であった。
また攻城櫓から攻撃する兵士は、その位置から的確に曹操軍を撃ち抜き、曹操兵士は少しずつ削られていった。
「不味いわね、桂花に伝令を出しなさい。今すぐ撤退しなさいと」
曹操は兵士に指示を与えて、荀彧を撤退させ、また自身も兵を率い官渡の砦に入った。
撤退していく曹操軍を、袁紹は敢えて追うことはしなかった。
戦はまだ始まったばかり。
焦って功を急ぐことも無かったからだ。
曹操達は砦に入り、兵を休ませてから早速軍議に取り掛かっていた。
「……桂花、今回の敗戦の原因は何かしら?」
地面に両膝を付ける荀彧と、それを見下ろす曹操。
普段の閨でのサディステック的な見下ろしでは無く、怒りを含む曹操の見下ろしに荀彧は恐怖した。
「そ、それは、敵の予想以上の迎撃に対処しきれず。また、規格外の戦法とが相成って……」
曹操はまだ見下ろしている。
その視線が訴えていたのだ。
「違う。そうではないだろ?」
曹操の無言の言葉に荀彧の膝は震え、やがて覚悟した。
「………全て、私の油断が招いたことです」
荀彧はそう言った。
そう発言することは、彼女が考えていた”袁紹如き”に自らのプライドと策が喰い破られたことを示すことにもつながり、また『格下の者に追い抜かれた』事実を認めることでもあった。
曹操軍の兵糧番から軍師にまで上り詰めた彼女だ。
その自尊心は大きく、また敬愛する曹操に戦前大口を叩いておいて、この様な失態劇を繰り広げたのだ。
「今回、この戦が始まる前、私や銀は麗羽が以前の袁本初でないことを話していたわよね。その内容を踏まえた上で、事前に想定していれば、貴女は勝てないまでも被害を最小限にまで抑えれたはずよ。軍師は常に最悪の場合を考え、最善の策を取らなければならない。それなのに貴女は油断した。これはどういう意味かわかるかしら?」
軍師が死ぬときは、策敗れた時。
なんといっても荀彧は以前より自分より知能が下と思った他人を軽視する悪い癖があり、それは曹操にも注意されていて、それが明るみに出たのだ。
「………死は……覚悟しています」
「いい覚悟ね………」
曹操は絶を取り出し、目を瞑った荀彧の首を掻き斬ろうとしたが、その攻撃は楽進の甲によって防がれた。
「……凪、一体なんの真似かしら?」
「華琳様、桂花様の命、しばしの間私に預けて下さい!!」
「何を言っているの?どきなさい。そうでなければ貴女も軍法に下すわよ」
「構いません。桂花様の命を助けてくれるのであれば、私の命など」
「貴様ぁ、あくまで華琳様に歯向かうか!?」
そう言って夏侯惇が獲物を抜き取ると、その前に李典が立ちはだかった。
「真桜、なんのまねだ!?退け。貴様も華琳様に逆らうか!?」
「そないなはずありますかい。けどな、生憎といってうちらは一心同体や。大将には忠を尽くしとるけど、凪が抵抗するんやったら、うちも抵抗する。凪が桂花様守るんやったらうちも守る」
違う方向では、夏侯淵が弓を抜こうとしたが、于禁が双刀を構えてそれに立ち向かう。
「………何故?何故貴女達は、私を助けてくれるの?」
荀彧は疑問に思った。
何故自分なんか。
常に相手を見下し、自分こそが曹操の近くで仕えるのに一番相応しい存在と信じて疑っていなかった。
そんな自分を何故助けてくれるのか?
李典は言った。
「だって、仲間ではないか」っと。
彼女の言葉に震えた。
こんな嫌味な自分を”仲間”と言ってくれる。
常に誰にも頼らず、自身の力のみで生き抜いてきた可愛げのない自分を仲間と。
そんな言葉を聞いた瞬間、周りから一斉に含み笑いが起き、大喝采となった時には、囲まれた四人はなんのことだか判らずに呆けた。
「嘘よ嘘。私が桂花をそんな簡単に斬る筈がないじゃない」
「華琳様?」
未だ状況が掴めていない荀彧は、曹操の真名をつい疑問形で言ってしまう。
「ねぇ流琉。一体どういうことなの?」
「季衣、後でちゃんと説明するから、今は黙っておこうね」
許褚だけが状況を理解出来ずに、流琉に何かを諭されていた。
「今回の合戦は、桂花の悪癖を治させる為と戦経験が少ない三人組に戦闘を積ませる為に仕組んだことさ」
そう紫(司馬懿)が説明をすると、四人は腰が抜けて座りこける。
「でも敗戦を犯した罪は罪。貴女には何か罰を与えなければならないわね」
曹操は地面に絶を突き刺して、荀彧に近づくと大きく振りかぶって彼女の顔を大きくぶった。
荀彧の頬は赤く腫れあがり、口の中を切ったのか、口からは血が出ていた。
「桂花、この痛みを忘れないで覚えて起きなさい。そしてこれからは決して、どんな矮小な相手でも油断しないと誓いなさい」
「華琳様」、彼女はそう呟き、涙を流そうとすると、曹操はもう一度彼女を叩いた。
「泣くな!!泣いても何も解決はしない。軍師としての意地があるのなら、”こんな場所”で泣いて皆の指揮を落とす真似は止めなさい」
言われると荀彧は流れ落ちそうな涙を必死に堪えた。
「荀文若、お前にはしばしの謹慎を命ずる。私の許しが出るまで、その才知、しかと磨き直しておきなさい」
荀彧は曹操に頭を一つ下げて出て行った。
曹操が重鎮の一人である荀彧に対しこの様なことを行ったのは、先でも言ったように荀彧の悪癖を改めさせる意味もあったが、本来の目的は家臣の元締めにある。
一兵士であろうと重鎮であろうと、軍規にて公平に裁く。
それをまだ入って間もない下っ端の重鎮である楽進達に伝えた。
やがて楽進達はそれを部下に伝える。
部下はそれを仲間に伝える。
それがやがて全軍に伝われば、兵士はより軍規を守る。
『軍規を守り、軍規を重視してこそ兵士は強兵となりうる』その様な当たり前のことを出来てこその統率者。
それを曹操は袁紹に教わったのだ。
【麗羽、私塾での成績は、いつも貴女は私の一歩先を進んでいたわね。しかしそれはこれまでよ。貴女の真似と言われようと構わない。何故なら、『学ぶことはマネをすることから始まる』のだから】
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私「よぉ、種無し」
一刀「誰が種無しだ誰が!!」
私「誰って一人しかいないだろ」
一刀「なんだと!?」
私「いいか、重昌さんはあのお年で新たに二児の新しい命を、恋歌さんと柑奈に授けたというのに、お前は一番付き合いが長い愛紗にすら子種は与えども、命を与えていないじゃないか!!」
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