No.690558

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第47話

2014-05-31 14:20:23 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1753   閲覧ユーザー数:1662

町での依頼を終えたリィン達は手配魔獣退治の為に”オーロックス峡谷道”の探索を始め、退治依頼をされた魔獣を見つけた。

 

~オーロックス峡谷道~

 

(あれか……)

魔獣を見つけたリィンは表情を引き締め

(て、手強そうですね……)

エマは不安そうな表情をし

(……ん。そこそこの戦闘力っぽい。)

(ですが相手は一体なのですから、全員で協力すればそれほど苦戦する事はないと思います。)

フィーとツーヤはそれぞれ助言した。

(……おい。)

その時ユーシスはマキアスに視線を向け

(ああ、わかっている……ARCUSの”戦術リンク”……いいかげん成功させないとな。)

視線を向けられたマキアスは頷いた。

 

(二人とも……)

(―――悪いが、僕ら二人をアタッカーに回してもらうぞ。)

(せいぜい大船に乗った気分でいるがいい。)

(マキアスさん、ユーシスさん……)

(…………………)

(大丈夫かな……?)

(……わかった。準備ができしだい仕掛けよう。)

そして準備を整え終えたリィン達はユーシスとマキアスをアタッカーにして魔獣に戦闘をしかけた。二人の戦術リンクは最初のあたりはちゃんと結ばれて連携もできていたが、途中から戦術リンクが切れ、その事がきっかけでチームの連携が崩れかけたがすぐに立て直し、リィン達の攻撃によって魔獣は地面に倒れた。

 

「はあっ……はあっ………」

「………………」

戦闘を終えて疲労が溜まっているマキアスは息を切らせ、ユーシスは唇を噛みしめた。

「……手強かったな。」

「え、ええ……でも何とかなりました。」

リィンの言葉にエマは頷き

「……前の実技テストみたいにツーヤのカバーがなかったらギリギリだったと思うけど。」

「フィ、フィーさん。」

静かな表情で呟いたフィーの言葉を聞いたツーヤは遠回しにマキアスとユーシス事に気付いて冷や汗をかきながら連携がくずれかけた原因となった二人を見つめた。

 

「どういうつもりだ……ユーシス・アルバレア……どうしてあんなタイミングで戦術リンクが途切れる……?」

「こちらの台詞だ……マキアス・レーグニッツ……戦術リンクの断絶……明らかに貴様の側からだろうが。」

そしてマキアスとユーシスは互いににらみ合った後それぞれの襟首を掴み

「一度協力すると言っておきながら腹の底では平民を馬鹿にする……結局それが貴族の考え方なんだろう!」

「阿呆が……!その決めつけと視野の狭さこそが全ての原因だとなぜ気付かない……!」

今に殴り合いの喧嘩を始めそうな険悪な雰囲気をさらけ出し始めた!

 

「よせ、二人とも……!」

「お、落ち着いて下さい……!」

「しかもここは安全な街と違って、いつ魔獣が襲ってくるかわからないところですよ……!」

二人の様子を見たリィン、エマ、ツーヤはそれぞれ制止の声を上げたが

「うるさい、君達には関係ない!」

「この際、どちらが上か徹底的に思い知らせてやろう!」

二人はリィン達の言葉を無視して喧嘩を始めようとした。

 

「くっ……」

その様子を見たリィンは唇を噛みしめたが

「……!」

「っ……」

「!」

ある気配に気付き、フィーやツーヤと共に表情を引き締めた。

 

「間に合え……!」

「……!」

「な……!」

(あら。)

そしてリィンが突如つかみ合っている二人を左右に押し、リィンの行動に二人が驚き、ベルフェゴールが目を丸くしたその時、なんと先程倒したはずの魔獣が起き上がってリィンの背中に飛び掛かった!

「……ぐっ……」

魔獣の鋭い爪で背中を斬られたリィンは呻き声を上げて地面に膝をつき

「リ、リィンさん……!?」

その様子を見たエマは心配そうな表情で声を上げた。

 

「ひゅっ……」

「十六夜――――」

その時フィーは跳躍して魔獣の頭に乗り、ツーヤは抜刀の構えをし

「とどめ。」

「”破”!!」

フィーは軍用ナイフで魔獣の頭を突きさしてその場から離れ、ツーヤは抜刀すると共に強烈な一撃を魔獣に叩き込み、二人の攻撃を受けた魔獣は悲鳴を上げて再び地面に倒れた!

 

「ふう。」

「今度こそ終わりですね。」

攻撃を終えた二人はそれぞれ安堵の溜息を吐き

「っ……やったか。」

「リィンさん……!大丈夫ですか!?」

エマは心配そうな表情でリィンにかけよった。

 

「お、おい……」

「……大丈夫なのか?」

その時リィンに助けられた二人はそれぞれリィンを心配し

「ああ……大した傷じゃないさ。まさか生きてたとは……俺も甘かったよ。」

心配されたリィンは肩を落として呟いた。

 

「あたしも甘かったですからお互い様です。」

「……わたしも迂闊。でも、もう完全に沈黙していると思う。」

「「………………………」」

リィンがケガをした理由が自分達の喧嘩が原因だとわかっていたマキアスとユーシスはそれぞれ目を伏せて黙り込んでいた。

「―――とにかく傷を今すぐ治しますので上着を脱いでください。」

そしてツーヤはリィンに治癒魔術をかけた。

 

「―――うん、大丈夫だ。ありがとうございます、ツーヤさん。」

「いえ、大した事はしていませんよ。」

「魔術って便利だね。攻撃、回復、補助とアーツ並みに種類が豊富で万能だし、威力や効果もアーツより高いし。」

「………………」

フィーが呟いた言葉を聞いたエマは複雑そうな表情をし

「すまない、その……」

「……完全に俺達のせいだな。」

傷を癒す様子を見守っていたマキアスとユーシスはそれぞれ暗い表情で謝罪した。

 

「いや、気にしないでくれ。気付かなかったのは俺のミスでもあるし……とにかく二人に怪我がなくて良かった。」

「……君は…………」

「………………」

(あら♪どうやらご主人様は女殺しじゃなくて、とんでもない人タラシのようね♪)

リィンの言葉を聞いたマキアスとユーシスはそれぞれ驚きの表情でリィンを見つめ、ベルフェゴールはからかいの表情になっていた。その後オーロックス砦に向かった。

 

 

 


 
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