やぁ、諸君。
初めまして、と言った方がよろしいかな?
私の名はクライシス。とある組織“OTAKU旅団”を率いている者だ。
世間では最高最悪のテロリスト集団として知れ渡っているが、それはまぁ良いだろう。
そんなOTAKU旅団に所属するナンバーズメンバーについて、少しばかり気になっている者もいるかも知れない……そこでだ。
今回は特別に、私の視点から簡単に紹介してみるとしよう―――
「観念しなさい、アン娘ちゃ~ん?」
「ちょ、いい加減しつこ過ぎるぞ姉貴!!」
ちょうど私の目の前で、追いかけっこが繰り広げられているようだ。
追いかけられているのは、女性にも見えるような容姿を持った青年、No.2―――Unknown。病気と言っても良いくらい、重度のコジマ好きだ。
追いかけているのは、そんな彼の姉である長い黒髪の女性、No.4―――朱音。メンバーの中では紅一点であり、Unknown以外のメンバーにとっても良い姉貴分である。
見た感じ、朱音は自身の弟に女装をさせようとして、Unknownはそれから頑張って逃げようとしているところなのだろう。そういえば彼は少し前に「ゴスロリだけは絶対に嫌だ」だとか言っていたような気がするのだが……正直、私にはよく分からん。
「捕まえたぁっ!!」
「ハッ!? しま…ギャァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!?」
たった今、Unknownが朱音によって確保されたようだ。恐らくそのまま彼女に部屋まで連行され、色々な女装をさせられてしまう事だろう。
(…本当に、見ていて面白い)
さて、他のナンバーズメンバーの様子も見てみるとしよう。
「お~い、そっちの部品を持って来てくれ~」
「ほい、これで良いか?」
「お、サンキュー」
格納庫フロア。ここにはメンバー達が搭乗する為の機体が、厳重に保管されている。無論、私の“黒凪”もだ。
現在も三人の男が、スタッフ達と共に機体の整備をしている。
No.6―――ロキ。タカナシ家の次男にて、私の友人である“彼”の弟でもある。メンバーの中では比較的特化しているような点が無いように見えるかも知れないが、彼の成長にはまだまだ可能性がある。それに彼の戦いを見ていると、かつて旅団に所属していたハーヴェイの事を思い出す。
No.7―――miri。少しばかり粗暴な口調が目立つ男だが、戦う意志の無い人間は巻き込まないようにしていたり、一度結んだ約束は必ず守り通すなど義理堅い一面もある。彼はとある事情から管理局を強く憎んでいるようなのだが……まぁ、それはいずれ語るとしよう。
No.20候補―――Blaz。正確には旅団に協力しているサポートメンバーの一人で、現時点ではまだ正式なナンバーズメンバーではない。しかし今までに多くの戦績を残している事から、いずれは彼をNo.20として正式に歓迎しようとも考えているところだ。
見たところ、彼等が行っている作業もなかなかに大変そうな状態である。私も近い内に黒凪の整備をした方が良いかも知れんな…
「おいkaito、勝手につまみ食いしてんじゃねぇ!!」
「えぇ~良いじゃんか、ちょっとくらいさぁ~」
「駄目なもんは駄目だ!! 良いからとっとと厨房から出て行け!!」
「ちぇ~…」
食堂フロア。ここでも何やら、一人の青年が二人の人物によって厨房から追い出されていた。
No.14―――支配人。この
No.9―――okaka。表向きでは企業“グランダーI.G”のCEOとして活動している青年だ。その企業が開発する医療機器、及び機体専用のパーツ等が旅団に提供されており、おかげで戦力の増強には事欠かない状態だ。ちなみに彼自身は料理も得意なようで、こうして支配人達の手伝いをする事もある。
その二人によって厨房から摘み出されたのは、No.15―――kaito。この旅団において一番イタズラ好きな性格をしており、今までにも何度かイタズラをしては他のメンバー達によって説教されている。とはいえ旅団に対して様々な武器や燃料などを提供している事から、彼もまた旅団において欠かせない存在となっている……あとはまぁ、時間にルーズなタイプでなければ文句は無いのだが。
「まぁ良いや、どうせ隠れてつまみ食いすれば良いだけだしムグムグ…」
「あっ!? 残り少ない
「おい待てkaito!! その口の中のもん今すぐ吐き出せやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
今日もまた、kaito君のイタズラに二人は手を焼かされているようだ……kaito君を
少しは神としての威厳を見せて貰いたいものだ、全く…
「「ヒャッホォォォォォォォォォォォウッ!!!」」
温水プール広場。任務から帰った後や運動などをして汗を掻いた後、このプールで気持ち良く泳ぐのも実に最高の快楽であろう。
現在も、このプールを活用している者達がいる。
No.10―――ガルム。幻想郷出身である彼は元々旅団と共闘する傭兵として活動しており、そして多くの戦績を残した事から、私によってナンバーズメンバーに任命された経歴がある。普段は早苗という巫女と共に、この世の娯楽を色々と楽しんでいる様子。今も彼女と共にウォータースライダーを楽しんでいるのが見える。実に微笑ましい光景だ。
No.11―――aws。旅団に加入する前は傭兵として活動していた時期がある彼は、この旅団の中でも非常に良識的な立ち位置にいる。現在も他のメンバーに振り回されるなどして、胃薬入りのビンが欠かせない日常を過ごし続けているという……彼には後で、新しい胃薬を渡しておかなければならんな。
No.16―――げんぶ。ナンバーズメンバーの中では唯一の転生者であり、漫画やアニメといった娯楽のおかげで様々な知識を得られているという(それでもOTAKU旅団の存在は知らなかったようだが)。現在は多くの妻と結ばれており、その内の一人が彼と共に今の人生を満喫している。娘も一人いるようだ。
そして…
「ウル~、一緒に滑ろうよ~♪」
「ちょ、何抜け駆けしてんのよこなた!! アタシが先よ!!」
「アンタはさっき滑ってたでしょ!! 今度は私の番でしょ!!」
「あ、あの、私も滑りたいです…!!」
「あぁもう埒が明かない!! ここは一つ、ジャンケンで決めようじゃない!!」
「おっおー、みんな楽しそ~う♪」
「…大丈夫、ですか?」
「な、何で僕だけいつもこんな目に…」
「残念だがウル……諦めろ☆」
「…どっせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇいっ!!」
「え、ちょ…ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
ウォータースライダーにて女子達がジャンケンをしている中、髭を生やした青年をプールに向かって投げ飛ばした少年が一人。No17―――ディアーリーズ。
彼もまた、元は人によって
(あの時の目……“獅子”その物だったな)
誰も傷つけさせない。大切な者を守る為なら、何時だって牙を向けられる。まだ誕生してからそれほど経っていないにも関わらず、彼は戦士としての器を持っていた。だからこそ私は、そんな彼をも旅団へと迎え入れたのだ。これからも、彼の戦いには注目していきたいところだ。
「へいへい、お嬢さん達~♪」
…どうやらまた、ある一人のメンバーがナンパとやらをしているようだ。
No.8―――蒼崎夜深。この旅団において、一番の女好きだ。彼には既に三十人もの妻がおり、未だ次の妻を捜す事に躍起になっている。彼がそんな性格になってしまったのも…
『フフフ……また楽しそうにしてるわ…♪』
彼の中にいる人格―――深夜の影響が大きいだろう。彼女のような人格が誕生した経緯については私も詳しくは知らないが、彼女が今の蒼崎をあんな性格にしてしまっている事だけは分かっている。時には彼女自身が表の人格に出て来る事があり、少し前も彼女のイタズラで
「ねぇねぇルイちゃん、俺と一緒に―――」
「おいコラ蒼崎。無理やり付き合わせようとするのは関心しないねぇ?」
「げ、ハルト…のばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
この日も彼のナンパは、ハルトにプールへ投げ落とされる形で失敗したようだ。今はまだ大した騒ぎにもなってはいないのだが、深夜のイタズラはかなり目に余る。近い内に、何かしら手を打っておいた方が良いかも知れない。
(まぁ、それは良いとして…)
今度は任務に出ている、旅団一の問題児を観察してみよう。
「「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」」」」」
「ハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」
ちょうど、ある次元世界で戦闘が開始されていたようだ。管理局の魔導師達が、まるで石ころのように蹴散らされていくのが実にシュールな光景だ。
「まだだぁ!! もっと……もっと俺を、楽しませやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
No.13―――ZERO。現在管理局の魔導師達を相手に暴れているその男は、OTAKU旅団において一番の問題児である。オラクル細胞の影響で常に“喰らう”事だけを目的としており、周囲にどれだけ被害が出ようと全く気にも留めようとしない凶獣とも言える存在。彼の所為で過去に旅団側にも甚大な被害が出てしまった事があり、一時期は私が彼を
「…はぁ。何だかもう、嫌になっちゃうな」
「諦めろFalSig。私だって本当ならこんな面倒な監視はしたくない」
「あ、やっぱり二百式さんも苦労してたんですね…」
そのZEROを監視しているメンバーが三人。
No.19―――ルカ。彼もタカナシ家の一員であり、ロキの弟でもある。ナンバーズメンバーの中ではまだ新参者だが、その実力はなかなかに興味深いものを秘めており、実は兄以上の力を持っているのではないかと考えられるくらいだ。実際、あの時だって……いや、これはまた別の日に語るとしよう。
No.18―――FalSig。かなりの娯楽好きで、退屈な時間をどう過ごすかだけを真面目に考えているちょっと変わった一面を持った青年だ。戦闘においては何の問題も無い実力を持っていた為、私が直接勧誘した訳である。勧誘した時は私の事を不審そうな目で見てはいたが、現在はこの旅団で楽しく過ごしているという。
そしてそんな二人を連れている男はNo.5―――二百式。リンクスでもあり、MSパイロットでもあるという異色の経歴の持ち主である。旅団の参謀役としても非常に役立っているのだが……ここ最近、少々危なっかしい一面も表れ始めている。その点に関しては私の方から手を打つべきなのだろうが、今回はその話はしないでおこう。
「とにかく我慢しろ。アイツが暴れ終わった後は自由にして良いから」
「「は~い…」」
二百式が二人にそう言っている最中も、ZEROの戦闘はどんどん激しくなる一方である。彼等には非常に申し訳ないが、もう少しだけ頑張って貰いたい。後で彼等の休暇も延長させておかなければな。
さて、場面を
「ヒュプノスの方はどうなっていますかね?」
「はい。ヒュプノス及び、タナトスの調整も既に完了しています」
「分かりました。ありがとうございます、イーリスさん」
No.12―――竜神丸。主にウイルス研究を担当しており、メンバーの中で一番のマッドサイエンティストである。その本質は非常に凶悪で、時には他のメンバーをも実験に利用する事があり、やはり科学者としての本能が彼を突き動かしているのだろう(一応私の方から釘を刺しておいたからか、現在はある程度自重しているようだが)。また、私の命令にも忠実に従ってくれており、大抵の裏仕事は彼に一任するようにしている。
「少し疲れましたね……イーリスさん、少し膝枕をお願いします」
「ふぇっ!? あ、えっと……は、はい、分かりました!!」
どうやら、少しばかり休憩に突入するようだ。助手のイーリス君に膝枕をして貰いつつ眠りにつくその光景は、Blazが見たら嫉妬の視線を向ける事だろう……と言っても、竜神丸自身は眠る事以外に他意は無いのだが。
そんな彼は、現在は私や“あの男”と共にある最重要機密情報を有している。他のメンバーには一切知らせていない内容だが、残念ながら私からそれを教える事は出来ない。
少なくとも……
さて、ここまで多くのナンバーズメンバーを簡単に紹介してきたが……まだ一人だけ、紹介していないメンバーがいる。
「やはりここにいましたか、クライシス」
おや、噂をすれば。
私が
「また月でも見てたんですか。物好きですね」
「そんな私のやる事に付き合ってくれている辺り、君もそれなりに物好きではないかね?」
「…言ってくれますね」
呆れたような表情はしているものの、彼は私の隣の席に座る。流石は私の親友だ、こういう時はいつもノリが良い。
今までもそうだ。メンバーを招集する際や暇な時間が出来た時などに、こうして私達は二人で話をする事が多くなってきた。旅団を結成したばかりの頃を思い出して、実に懐かしく感じる。
だが…
「…身体、持ちそうか?」
「持たせますよ。せめて、この戦いが終わるまでの間は…」
「無理だけはしてくれるなよ?」
「無理なんてしませんよ。あなたが余程ヘマをしない限りはね」
「…そうか」
予想通り、皮肉な答えが返ってきたか。だがその方が、私の親友らしくて逆に安心出来る。
「…後悔しても遅いからな?」
「何を今更」
「「共に戦い、共に楽しもう」」
これが私の率いる、OTAKU旅団の仲間達である。楽しんで頂けただろうか?
さて、私にも色々とやらばければいけない事がある。今回はこの辺でお別れといこうではないか。
また会おう、我が同志達よ―――
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