No.658799

機動戦士ガンダム異聞〜旭日の旗の下に〜第8話

第8話です。尚、日本以外での後世転生者はジオン側を想定しております。

2014-01-30 08:32:09 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2530   閲覧ユーザー数:2489

これまでのあらすじ

 

 

 

 U.C.0079年1月3日の開戦から1年近くが経っていた。サイド7宙域を航行していた紺碧艦隊はラウ・ル・クルーゼ指揮下のザフト機動艦隊による新型MS強奪作戦を目撃、サイド7に潜入した安室零と篁唯衣もシグーの攻撃を受けるが、気転によって脱出に成功する。しかし、戦闘の影響によってヘリオポリスは崩壊、紺碧艦隊は、事後処理を沖田准将麾下の薩摩パトロール艦隊に託した。

 

 一方、オーブではウズミ・ナラ・アスハ代表の辞任が発表され、後継として、コトー・サハクが選ばれた。

 

 

 

 世界は、大きく揺れ動いていた。

 

 

第8話 超万能宇宙戦艦轟天号

 

 

サイド7宙域

 

「酷いですな・・・これは・・・」

 

 薩摩の艦橋で、副長の山南が静かに呟いた。コロニーは真っ二つに分断され、ミラーの破片がデブリとして宇宙を彷徨っていた。まるで1週間戦争の様相さながらであった。

 

「艦長。電征より入電。推進不良の救命ポッドを発見したとの事です」

 

 沖田はその報告を聞くと、搭載されている水雷艇2機を使い、救命ポッドを収容した。

 

「予想より早く終わったな」

 

「やはり1週間戦争の影響でしょうな」

 

 

 

 1週間戦争においてジオンとザフトは、ユニウスセブンの報復とばかりにサイド1、2に対し核攻撃を敢行、対応に遅れた連邦とコロニーの防災局により28億をも生命が失われた事は、後にコロニー内での避難活動の教訓となり、「緊急戦災避難訓練」が設けられたのである。

 

 

 

 沖田は艦長椅子を立ち上がると、ブリッジから外の様子を眺めた。軍に長年務めている彼も、コロニー災害がこれ程までになるとは予想していなかったのである。そう思っていた時、通信長から報告が入った。

 

「艦長、連邦軍の艦艇が我が艦に通信を求めております」

 

 その言葉を聞くと、沖田は艦長椅子に座った。

 

「回線を開け」

 

 この後、薩摩パトロール艦隊は連邦の新造強襲揚陸特装艦アークエンジェルをアルテミスまで護衛することとなるのである。

 

 

 

 

 

 

U.C.0079年12月14日 太平洋 紺碧島

 

 前原は、ルナツーに帰還し後、富嶽号乗務員と共に紺碧島に向かっていた。呉で建造中の新たな旗艦が完成し、紺碧島に運ばれたのである。

 

 

 

 紺碧島とは、大東亜戦争時に帝国海軍が紺碧艦隊の秘密基地として南洋諸島の西の果ての無人島に建造した秘密ドックであり、紺碧艦隊にとっては第2の故郷である。南洋諸島がオーブとして独立しても、この紺碧島だけは残された。それは、オーブ独立時の日本との密約から来ていた。オーブの政治体制を担う5大氏族を始めとした一部氏族は、かつて紺碧会、青風会に属していた者たちの子孫なのである。それもあってか、紺碧島が日本として残ったのである。そして、紺碧艦隊の本隊が宇宙に旅立った今でも、紺碧艦隊地球方面隊の基地として、その役目を担っている。完成以来、様々な改装が施された紺碧島のドックも、今では全長400mクラスの巨大艦艇を3隻楽々収納できるドックまでもがあった。

 

 

 

 紺碧島までの道のりは、北海道の秘密ドックに係留されている「超潜伊90001素嗚戔号」を旗艦とする地球方面艦隊を使い、潜水状態のまま、紺碧島に向かうのである。

 

「1年ぶりの紺碧島ですな」

 

 入江が懐かしそうに呟いた。その通り、紺碧艦隊の面々にとっては、久方ぶりの紺碧島なのである。

 

 素戔嗚号が紺碧島ドックに通じる洞窟を抜け、浮上すると、前原等は船外に出た。辺りを見渡すと、ドックの奥に、富嶽号よりも巨大な艦艇を見つけた。

 

「あれが噂の轟天号か」

 

 

 

 轟天号。正式名称「伊900型超万能宇宙戦艦轟天号」とは、紺碧艦隊の新旗艦として呉の秘密ドックで建造された新造戦艦である。今時大戦において、ジオン軍が建造したグワジン級を分析した紺碧会は、将来、MS運用能力を持った戦艦が重視される事を予知、轟天号には、その試作艦として建造されたのである。新動力「マキシマオーバードライブ」の実験艦としての役割も担っており、この轟天号のデータは、後に帝国軍の戦術思想に大きく関わってくるのである。

 

 

 

 前原等が桟橋を使って下船すると、高野が出迎えに来ていた。

 

「全員!整列!」

 

 前原の号令に従い、乗務員が4列横帯で整列した。

 

「帝国軍軍務大臣!高野五十六元帥に対し!敬礼!」

 

 全員の敬礼に対し、高野も敬礼で返した。

 

「前原以下、紺碧艦隊全隊員、紺碧島に帰還しました!」

 

「うむ、楽にしてくれ」

 

「全員!休め!」

 

 全員が休めの体型になると、高野は口を開いた。

 

「諸君等の勇気ある行動によって我々帝国の存亡とヘリオポリスの民間人が助かったのは他でもない。本来なら昇進させたいが、君たちは公式では既に死んでいる身だ。今は紺碧島で英気を養ってくれ。尚、富嶽号乗員には次の任務がある」

 

 そう言うと、高野は封を開け、中にあった指令書を読み上げた。

 

「紺碧艦隊旗艦富嶽号乗員は、4日間の休息の後、新鋭艦轟天号に乗船し、暗証宙域にて最後の試験航行を行う。」

 

 

 

 時に、U.C.0079年、皇紀2083年12月14日。後に宇宙大戦争と呼ばれる戦いは、新たな局面に移行した。

 

 

キャラ設定

 

 

大日本帝国

山南修

初出:宇宙戦艦ヤマト2199

概要

 強襲揚陸艦「薩摩」副長兼薩摩パトロール艦隊副官。沖田の2年後輩。

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
1
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択