「しかし何故我々の元に来ないのだ?」
その発言は春蘭から発せられた。当然よね。一刀が戻ってきたならば私達の元に来るはず
「んー、お兄さんが帰ってこないのには何か理由があるんですかねー」
「何か帰れない理由、もしくは帰ってきた事を伝えられない理由があるという事ですね」
「全身精液男なのよ?帰って来たのなら間違いなく私達に会いに来るわ。私達を孕ませる為に」
「うむ。我らが一刀の事を想うように、一刀も我らの事を想っているはず。帰って来ない、伝えないという事は・・・・・・考えられないのだが」
皆が一刀について話し合っている。憶測が飛び交い、様々な仮説が立てられていく。曰く、店の手伝いで忙しい
曰く、連絡が出来ない状態にある
曰く、文が書けない
一つの仮説が立てられる度に論破される。論破されては仮説を立てる。幾度となく繰り返した時
「兄ちゃん・・・私達の事を嫌いになっちゃったのかな」
俯いた季衣が発した言葉に場は静まりかえる。誰もが考えた事であり、誰もが頭から払拭したものであった。「あり得ない。そんな事があり得るはずがない」しかし、考えられる可能性はそれしか無いのだ
「あら、何か問題があるかしら?」
「か、華琳様!?」
皆が青い顔をして私を見る。あの桂花が泣きそうな顔をしているのが少し驚いたわ。
4年経てば変わるものなのね
「一刀が私達の事を嫌いになったのならば、また惚れさせるだけよ。私は覇王曹孟徳。欲しい物は手に入れるわ」
一刀が私達を嫌いになるなどあり得ない。きっと何か理由があるはず
「一刀と話をしなければならないわね。愛する男の為に、私達から会いに行ってあげましょう。霞と流流、風は饅頭が売られていた屋台に向かいなさい。それと・・・・・・」
私はため息をつきながら桂花を見て言う。
「司馬仲達はどう?」
「はっ。病気の為に仕える事は出来ないと言ってきております」
「そう」
何度も仲達に仕えるように伝えているのだけれど、その度に断られて来た。その理由が真に病気であるならば仕方の無い事だけれど
「真偽の程は?」
「河内群で飲んだくれている姿を目撃した者がおります。十中八九嘘でしょう」
仲達は仮病を使う。しかも、すぐにバレるような。こんな事をもう3年続けているのだ
「春蘭。貴女はどうするべきと考えるかしら?」
「はっ、まず兵と医師を向かわせます。兵を家の前で待機させて、医師に病かどうかを判断させます。嘘であるので、病である事はまずありません。嘘である事が発覚したら兵に捕縛させて、ここまで連れて来させれば良いのです」
「良い案ね、春蘭」
「姉者は馬鹿だから可愛いのだが、一刀に伝えるために勉強をする姉者もまた可愛いなぁ・・・・・・」
「ち、違うぞ!私は平和になったから私に出来る事をだな!」
「私が言った通り、道化になれば良かったのに」
「ふふ、頭の良い春蘭も可愛らしいわよ。早速河内群に医師と兵を送りなさい。その準備は禀に任せるわ」
「御意」
さて、私達は地図を完成させないと。待っていなさい一刀。貴方が私達に会いたくないならそれでも構わないわ。きっとまた惚れさせてみせるんだから
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コメント、支援ありがとうございます。次のお話からは司馬懿を登場させる事に致しました。オリジナルキャラクターとなりますが、なにとぞご容赦くださいませ。