No.649995 英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 6soranoさん 2013-12-31 00:00:11 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:5211 閲覧ユーザー数:5021 |
その後リィン達は先に進みながら時折現れる魔獣達を協力しながら撃退していた。
~旧校舎~
「はあぁ~っ………」
魔獣との戦闘を終えたエリオットは安堵の溜息吐いて地面に膝をつき
「エリオット、大丈夫か?」
「怪我はなさそうだが……」
エリオットの様子に気付いたリィンとガイウスはそれぞれ声をかけた。
「う、うん……緊張しっぱなしで気が抜けちゃったみたいで……二人とも凄いなぁ。ぜんぜん平気みたいだし……」
「まあ、慣れの違いだろう。」
「どうする、手を貸そうか?」
「ううん、大丈夫。ちょっとヨロけただけだから。よいしょっと……」
そしてエリオットが立ち上がろうとしたその時
「おい……!」
「エリオット!」
何かに気付いた二人は顔色を変えて警告した。
「へ……」
二人の警告を聞いたエリオットが呆けた後二人が見つめる方向―――自分の背後に振り向くと新たな魔獣がいつの間にかいた。
「っ……!?」
「くっ……!」
「しまった……!」
そして魔獣がエリオットに襲い掛かったその時、銃声が轟き、魔獣は吹っ飛ばされ
「せいっ!」
吹っ飛ばされた魔獣にリィンが近づいて刀を一閃させて滅した!
「……よかった。間に合ったみたいだな。」
するとその時先に行っていたはずのマキアスがリィン達の進路から姿を現した。
「あっ……!」
「確か――――マキアスと言ったか。」
「ああ……」
姿を現したマキアスはリィン達に近づき
「……その、さっきは身勝手な行動をしたと思ってね。いくら相手が傲慢な貴族とはいえ、冷静さを失うべきじゃなかった。すまない、謝らせて欲しい。」
申し訳なさそうな表情で答えた後頭を下げた。
「いや……気にすることはないさ。」
「うんうん、あんな状況だったしね。危ない所を助けてくれてありがとう。」
「いや、引き返したところに偶然行き合わせてよかった。君達は……3人だけみたいだな?」
リィン達を見回したマキアスは不思議そうな表情で尋ね
「ああ、他のメンバーはもっと先行していると思う。」
「最初の場所に戻ったとしても誰もいないだろう。」
「そうか…………その、もし良かったら僕も同行して構わないか?見ての通り、銃が使えるからそれなりに役に立つはずだ。」
リィンとガイウスの説明を聞いて考え込んだ後申し出た。
「ああ、喜んで。リィン・シュバルツァーだ。」
「エリオット・クレイグだよ。よろしくね。」
「ガイウス・ウォーゼル。よろしく頼む。」
そしてリィン達は武器を収めてそれぞれ自己紹介をした。
「マキアス・レーグニッツだ。改めてよろしく。……そういえば……身分を聞いても構わないか?」
マキアスも自己紹介をした後ある事に気付いてリィン達を見回して尋ね、尋ねられたリィン達はそれぞれ目を丸くした。
「その、含む所があるわけじゃないんだが……相手が貴族かどうかは念のため知っておきたくてね。」
「えっと……ウチは平民出身だけど。」
「同じく――――そもそも故郷に身分の違いは存在しないからな。」
「なるほど、留学生なのか。それで……君の方は?」
ガイウスの説明を聞いて頷いたマキアスはリィンに視線を向けた。
「ああ………――――少なくとも高貴な血は流れていない。そういう意味ではみんなと同じと言えるかな。」
視線を向けられたリィンは目を閉じて考え込んだ後答え
(……………?)
リィンの言葉を聞いたエリオットは不思議そうな表情をし
「そうか……安心したよ。」
マキアスは安堵の表情をした。
「見た所女子もいないし、先を急いだ方がよさそうだ。万が一、危険に陥っていたら僕達がフォローしないとな。」
「ああ、そうだな。」
「では、出発するか。」
そしてマキアスを加えたリィン達は先に進み始めた。その後リィン達は探索を再開し、分岐点の所まで進んだ。
「そなた達は……」
リィン達が分岐点に到着すると左側の道から青髪の女子、眼鏡の女子、何かの装飾が施されてある弓を持った金髪の女子が現れ
「っ……!」
リィンを見た金髪の女子は顔色を変えた。
「あ……」
「よかった、無事だったんだね。」
女子たちを見たリィンは呆け、エリオットは笑顔で女子たちを見つめ
「みなさんも……ご無事で何よりです。」
眼鏡の女子は安堵の表情でリィン達を見つめ
「ふむ、そちらの彼も少しは頭が冷えたようだな?」
「ぐっ……おかげさまでね。」
青髪の女子に尋ねられたマキアスは唸った後気を取り直して答えた。
「―――遅ればせながら名乗らせてもらおう。ラウラ・S・アルゼイド。レグラムの出身だ。以後、よろしく頼む。」
そして青髪の女子――――ラウラは自己紹介をし
「レグラム……」
「えっと、帝国の南東の外れにある場所だったっけ?」
リィンは考え込み、エリオットは尋ね
「うん、湖のほとりにある古めかしい町だ。列車も一応通っているが辺境と言っても過言ではないな。」
尋ねられたラウラは頷いて答えた。
「アルゼイド……そうか、思い出したぞ!たしかレグラムを治めている子爵家の名前じゃなかったか!?」
その時何かに気付いたマキアスは真剣な表情で声を上げ
「ああ、私の父がその子爵家の当主だが……何か問題でもあるのか?」
マキアスの言葉を聞いたラウラは頷いた後静かな表情でマキアスを見つめて尋ねた。
「い、いや…………………………」
ラウラに尋ねられたマキアスは口ごもった後複雑そうな表情で黙り込み
「ふむ、マキアスとやら。そなたの考え方はともかく、これまで、女神に恥じるような生き方をしてきたつもりはないぞ?私も――――たぶん私の父もな。」
「いや……すまない。他意があるわけじゃないんだ。そ、そちらの君は……?」
ラウラの答えを聞いて若干焦った様子で答えた後眼鏡の女子に視線を向けて尋ねた。
「エマです。エマ・ミルスティン。私も辺境出身で……奨学金頼りで入学しました。よろしくお願いしますね。」
マキアスに視線を向けられた眼鏡の女子―――エマは軽く頭を下げた後自己紹介をした。
「奨学金……そういえば教官が首席入学者と言ってたな。むむっ、まさか主席が女の子だったとは……」
エマの自己紹介を聞いたマキアスは考え込んだ後疲れた表情で呟き
「ふむ、随分優秀なんだな?」
ガイウスは静かな表情で尋ねた。
「あはは……その、たまたまですよ。必修の武術にも縁が無くて……こんなものを勧められたんですけど。」
二人の言葉を聞いたエマは苦笑した後魔導杖を取り出した。
「魔導杖……君もそうなんだ!でも、僕の持っているのと形が違うみたいだけど……」
魔導杖を見たエリオットは声を上げた後エマが持つ魔導杖を見つめて目を丸くし
「そうですね………どういう事なんでしょう?」
エリオットの言葉に頷いたエマは不思議そうな表情をしていた。
「………………」
一方金髪の女子は厳しい表情でリィンを睨み続け
(……ふう……何とか謝りたいんだが……)
睨まれ続けているリィンは疲れた表情で溜息を吐いた。
「?どうした?そなたも自己紹介くらいした方がいいのではないか?」
「………そうね。―――アリサ・R。ルーレ市からやって来たわ。よろしくしたくない人もいるけどまあ、それ以外はよろしく。」
そしてラウラに促された金髪の女子―――アリサは自己紹介をした後若干の怒気を纏いながら目を伏せ、アリサの言葉を聞いたその場にいる全員は冷や汗をかいた。
「ア、アリサさん……」
「あはは……ルーレって、あのルーレだよね?」
「大陸最大の重工業メーカー、ラインフォルトの本社がある街か。」
「ええ…………まあ、そうね。」
マキアスの言葉を聞いたアリサは静かな表情で頷いた。
「そ、そう言えば……あのトランクの中身はその弓だったんだな?面白い造りをしているけど導力式なのか?」
そしてアリサとの出会いを思い出したリィンはアリサに尋ねたが
「――――その通りだけど、あなたとは何の関係が?」
「……うっ…………」
ジト目のアリサに見つめられて口ごもった。
「そ、そういえばこれからどうしようか?せっかく合流したんだしこのまま一緒に行動する?」
その様子を見ていたエリオットは話題を変えるかのように、ラウラたちに尋ね
「そうだな、そちらは女子だけだし安全のためにも――――」
エリオットの提案を聞いたマキアスも頷いた。
「いや、心配は無用だ。」
するとラウラが静かな表情で答えた後大剣を取り出して構え
「それは……」
ラウラの大剣を見たマキアスは目を見開いた。
「剣には少々自信がある。残りの4人を見つける為にも二手に分かれた方がいいだろう。」
「そうですね……あの銀髪の女の子もまだ見つかっていませんし。」
「……そういう事なら別行動で構わないだろう。お互い、出口を目指しつつ残りの4人も探して行く……それで構わないか?」
ラウラの話を聞いたエマは頷き、ガイウスも頷いた後確認した。
「うん、異存はないぞ。……まあ、プリネ姫―――いや、プリネとツーヤの2人に関しては心配は無用だと思うが。」
「アハハ……確かにそうだね。プリネ姫は剣術が達人クラスかつ”闇の聖女”譲りの魔術を扱えるって話だし、ルクセンベール卿はプリネ姫の親衛隊長だもんね。」
「…………………」
ラウラの言葉を聞いたエリオットは苦笑し、エリオットの話を聞いていたエマは複雑そうな表情で黙り込んでいた。
「―――アリサ、エマ。それでは行くとしようか。」
「……そうね。」
「また後で……それでは失礼します。」
そしてラウラ達はリィン達から去って行った。
「……はあ……」
ラウラ達が去るとリィンは疲れた表情で溜息を吐き
「えっと……その、ご愁傷様だったね。」
リィンの様子を見たエリオットは苦笑し
「不可抗力だったというのはこの際、関係ないんだろうな。―――まあ、それはともかくやっぱり女子だけなのは心配だな。誰か一人くらいは向こうに付いていった方がいいかもしれない。」
マキアスは疲れた表情で答えた後気を取り直して提案した。
「しかしあのラウラという娘……見たところ、尋常じゃない腕を持っていそうだったが。」
その時ガイウスはラウラ達が去った方向を見つめながら呟き
「まあ、とんでもない剣を持っていたのは確かだが……それでも女子の力だろう?」
「身長は僕より高かったけど……あんな剣、まともに振れるのかなぁ?プリネ姫やルクセンベール卿の剣だってあんな大きな剣じゃなかったし。」
マキアスとエリオットはそれぞれ考え込んだ。
「いや―――たぶん余裕だろう。」
その時気を取り直したリィンが答え
「レグラムの”アルゼイド流”……帝国に伝わる騎士剣術の総本山だ。彼女の父親、アルゼイド子爵は武の世界では”光の剣匠”と呼ばれ、帝国最高の剣士として知られている。恐らく新入生では最強クラスだろう。…………彼女に勝てる新入生はプリネ姫かルクセンベール卿くらいのはずだ。」
自分の知る知識をエリオット達に説明した。
「そ、そうなのか……」
「ふむ、そんな流派が帝国には存在しているのか。」
リィンの説明を聞いたマキアスは驚き、ガイウスは静かな表情で呟き
「へええ……詳しいんだね、リィン?メンフィル帝国の人なのにそこまで知っているなんて。」
エリオットは目を丸くして尋ねた。
「まあ、一応剣の道に関わっている端くれだからな。―――そろそろ俺達も行こう。アルバレア家の子息もそうだがあの銀髪の子も心配だ。」
「そうだな。」
「フン、あの傲慢なヤツは別にどうなっても構わないが……」
リィンの提案を聞いたガイウスは頷き、マキアスは鼻を鳴らし
「あはは、まあまあ。……でもプリネ姫達の事は心配しなくて大丈夫なの?もしプリネ姫達の身に何かあれば、この学院も不味い事態になる気がするのだけど……」
エリオットは苦笑した後ある事に気付いて不安そうな表情をした。
「―――いや、それは心配ない。この辺にいる魔獣ごときに2人が遅れを取るとはとても思えないしな。」
「……何故そこまで確信した答えが言えるんだ?実際二人が戦っている所を見た事もないのに。」
リィンの話を聞いたマキアスは不思議そうな表情をして尋ね
「―――二人はリベールの”異変”を解決した立役者でもあるからな。」
「ええっ!?」
「リベールの”異変”って言ったら、あの帝国南部の辺境の導力が停止した事件で、怪しげな組織がリベールで暗躍していたという話だろう!?」
「……俺もその話は軍人を務めている知り合いの人から聞いた事がある。確か当時はメンフィル帝国も積極的に協力して事件の解決へと導いたと聞いたが……」
リィンの話を聞いたエリオットとマキアスは驚きの表情で声を上げ、ガイウスは静かな表情で呟いた。
「ああ。当時プリネ姫達はあの”ブレイサーロード”達と協力して、怪しげな組織の構成員と剣を交えたらしいからな。ラウラと違って実戦経験もあるから心配は一切いらないと思う……というか逆に俺達が足手纏いになる気がするな。」
「ええっ!?ブ、”ブレイサーロード”って言ったらあの”蒼黒の薔薇”―――ルクセンベール卿と同じ平民から貴族へと成り上がった遊撃士だよね!?そんな凄い人達と行動していたんだ……」
リィンの説明を聞いたエリオットは驚きの表情で声を上げ
「!?エリオット、今の話は本当なのか……?」
エリオットの言葉を聞いたマキアスは目を見開いた後信じられない表情で尋ねた。
「へ……今の話って?」
「その……平民から貴族へと成り上がったという話だ。」
「うん。詳しい経緯は知らないけど、遊撃士の”ブレイサーロード”、”黄金の百合”、そしてルクセンベール卿は元平民でメンフィルに貴族の爵位を授けられたって言う話でそれなりに知られているよ。」
「そうか…………帝国(エレボニア)ではとても考えられない事だな。」
エリオットの説明を聞いたマキアスは複雑そうな表情をし
「身分の事はよくわからないが……そうなのか?」
ガイウスは不思議そうな表情をしてリィンに尋ね
「………ああ。エレボニア帝国は”ブレイサーロード”達を貴族にしたメンフィル帝国と違ってその身に”高貴な血”が流れていない限り貴族として認めないしな。」
尋ねられたリィンは頷いて静かな表情で答え
「―――さてと。そろそろ行こうか。」
「うん。」
「ああ。」
「了解だ。」
そしてエリオット達を促し探索を再開した………………
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第6話