No.648102

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 異伝~新たなる軌跡のプロローグ~前篇

soranoさん

異伝~新たなる軌跡のプロローグ~前篇



久しぶりに更新しておいて本編でなくてすみません!

2013-12-25 00:27:12 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:26529   閲覧ユーザー数:25449

ゼムリア歴1204年、3月1日――――

 

前メンフィル皇帝”闇王”リウイ・マーシルンは愛する妻イリーナや信頼できる仲間達と共にクロスベルで起こった”D∴G教団事件”に関わり、事件終息後大使館に帰還して元の仕事をしていたある日、かつての戦いで共に戦った仲間にしてエレボニア帝国皇子オリヴァルト・ライゼ・アルノールがミュラー・ヴァンダール少佐を伴ってリウイを訪ねてきた。

 

~メンフィル大使館~

 

「―――お久りぶりです、リウイ陛下。急な訪問に応えて頂き、誠にありがとうございます。」

「………一体何の用でここに来た。まさかメンフィルのクロスベルへの強引な介入について文句を言いにきたのか?」

会釈をしたオリヴァルト皇子をリウイは真剣な表情で見つめながら尋ねた。

「いやいや……クロスベル問題についてはボクも頭を悩ましていましてね……そこにメンフィルという二大国すら逆らえない”抑止力”が現れた事はクロスベル問題がよい方向へと変わるちょうどいいきっかけになっていると思っていますよ。――――実は今日こちらを訪ねさせて頂いたのは頼みたい事がありまして。」

「私達に頼みたい事……ですか?」

「……その頼みとやらはペテレーネの同席を求めた事に関係あるのか?」

オリヴァルト皇子の説明を聞いたペテレーネは首を傾げ、リウイは尋ねた。

「はい。実は――――――」

そしてオリヴァルト皇子はリウイ達にエレボニア帝国内に存在している平民だけでなく、貴族の子女達も通う歴史ある学院――――”トールズ士官学院”である特殊なクラスを立ち上げる事やその理由を説明した。

「―――なるほど。さしずめ”鉄血の子供達(アイアンブリード)”に対抗できる戦力を集めようとしているところか。」

「ハハ……さすがにそこまでは思っていませんよ。問題は何も”革命派”だけでなく、”貴族派”もそうなのですし……”Ⅶ組”については既に私の手から離れている状態ですし。どういう選択をするのかは”彼ら”自身です。」

リウイの言葉を聞いたオリヴァルト皇子は苦笑しながら答え

「フッ。エステルあたりが今の話を聞けば、絶対に信用しないだろうな。」

「リ、リウイ様。」

口元に笑みを浮かべて呟いたリウイの言葉を聞いたペテレーネは冷や汗をかいてリウイに視線を向け

「ハハ、ボクの事は気にしないで下さい、ペテレーネさん。それに今のボクを見たら、エステル君も信用してくれますよ♪」

ペテレーネの言葉を聞いたオリヴァルト皇子は笑顔で答えた。しかしその時、その場にいる全員は黙り込み

「絶対にありえんな。」

「……俺もリウイ陛下に同意だ。」

リウイとミュラー少佐は静かな口調で呟き

「ア、アハハ…………」

ペテレーネは冷や汗をかいて苦笑していた。

「みんなして、ヒドイ!特にミュラーはヒドすぎないかい!?ボクの親友なのに!?」

3人の反応を見たオリヴァルド皇子は疲れた表情で答えた後ミュラー少佐に視線を向けた。

「……彼女から見た今までのお前の奇行を考えれば、どう考えてもありえんな。」

「……他国の大使館で俺の側室どころか正妻にまで声をかけ……リベール内で起こした数々の奇行……挙句の果てには”女神”にまで声をかけるという前科があるしな。」

「スミマセン…………ボクが悪かったですから、もう勘弁してください…………」

ミュラー少佐とリウイの話を聞いたオリヴァルト皇子は疲れた表情で答え

「クスクス……それで……その話に私やリウイ様がどう関係してくるのですか??」

その様子を微笑みながら見ていたペテレーネは表情を戻して尋ねた。

 

「……その事につきましては後で説明させて頂きます。―――リウイ陛下。元エレボニア貴族で今はメンフィルの貴族である”シュバルツァー男爵家”はご存知ですか?」

「”シュバルツァー男爵家”………?」

オリヴァルト皇子の話を聞いたペテレーネは首を傾げ

「…………――――ユミルの領主か。当時は田舎の領主でありながらもエレボニア皇家とも縁のある名家であった事から”ログナー侯爵家”より価値があると思って侵攻し、その際に向こうから降伏してきたが……今更あの家に何の用がある?」

リウイは考え込んだ後オリヴァルト皇子を見つめて尋ねた。

「……そう言えばシュバルツァー男爵には3人の子供がいたと思いますが……」

「…………ああ、思い出した。兄と双子の姉妹の3人兄妹だったな。確か兄の方は養子だという話だが…………―――なるほど。さしずめその3人の中の誰かを”Ⅶ組”のメンバーにしたいのか。」

考え込んだペテレーネの言葉を聞いたリウイは答えた後、オリヴァルト皇子を見つめた。

「フッ、さすがはリウイ陛下。話が早くて助かります。ボクが”Ⅶ組”のメンバーに入れたいのはリィン・シュバルツァー―――――現在はメンフィル軍の訓練兵として入隊しているシュバルツァー家の長男です。可能ならばエリゼ君とエリス君も入学させたい所ですが……長女のエリゼ君はリフィア殿下の専属侍女に任命されたとの事ですし……次女のエリス君は今年ボクの妹であるアルフィンも通う事になる”聖アストライア女学院”に通うとの事ですし。」

リウイの言葉を聞いたオリヴァルト皇子は静かな笑みを浮かべて答え

「……よくそこまで知っているな。シュバルツァー男爵にでも聞いたのか?」

オリヴァルト皇子の話を聞いたリウイは真剣な表情でオリヴァルト皇子を見つめて尋ねた。

「はい。……それで是非ともリィン君を”トールズ士官学院”――――”Ⅶ組”のメンバーにさせてもらえないでしょうか?」

「……何故そこまでその少年に拘る。」

オリヴァルト皇子の話を聞いたリウイは眉を顰めてオリヴァルト皇子に尋ね、尋ねられたオリヴァルト皇子は理由を説明した。

「なるほど…………確かに今の話を聞く限り、”Ⅶ組”のリーダーはリィンさんしかいませんね……いえ、リィンさんが相応しいですね……」

説明を聞き終えたペテレーネは頷き

「…………そしてそこにプリネも加えさせてくれという頼みか。」

リウイは考え込んだ後静かな口調で呟いた。

「おや………」

「……さすがです。」

「ええっ!?プ、プリネを!?一体どうして……!?」

リウイの答えを聞いたオリヴァルト皇子は目を丸くし、ミュラー少佐は感心し、ペテレーネは驚いた。

「ペテレーネの同席も求め、今の話を聞いて、ペテレーネに関係するとしたら、それしか思い当たらんからな。プリネの両親である俺とお前の許可を取る為にも。」

「あ…………!」

リウイの答えを聞いたペテレーネは声を上げてオリヴァルト皇子を見つめ

「―――その通り。できればエステル君達―――遊撃士を近くで見てきた彼女にも是非とも”Ⅶ組”に入って彼らを手伝ってほしいのです。」

オリヴァルト皇子は静かな表情で頷いて答えた。

「…………現在は訓練兵であるリィン・シュバルツァーはともかく、皇女であるプリネを2年も他国に留学させるメリットはこちらにはないな。」

オリヴァルト皇子の話を聞いたリウイは静かな表情で答えたが

「―――いえ、ありますよ。」

「何?」

オリヴァルト皇子の話を聞いて眉を顰めた。

 

「…………”百日戦役”の件でエレボニアの民達にとってメンフィルや”闇夜の眷属”は恐怖の存在です。ですが、そこにメンフィルの皇族が留学してエレボニアの歴史ある学院で学んだとなれば、両国の関係を友好へとつなぐ懸け橋となり、アリシア女王陛下が提唱された『不戦条約』が出す他国同士が友好的なムードになる事を高める上、エレボニアの民達の”闇夜の眷属”への目も変わると思われます。加えてプリネ姫は温厚な性格である事はゼムリア大陸中に知れ渡っているので、効果は高いかと思われます。」

「な、なるほど…………」

「……………………………………フン、そこで『不戦条約』に加えて俺達が目指す理想――――”共存”を持ってくるとはな。さすがは”鉄血宰相”に挑むだけはあるな?」

オリヴァルト皇子の説明を聞いたペテレーネは驚きの表情で頷き、リウイは目を細めて黙り込んだ後鼻を鳴らしてオリヴァルト皇子を見つめて尋ね

「ハハ……さすがにそれは褒めすぎですよ。―――それで、お二人ともいかがでしょう?」

尋ねられたオリヴァルト皇子は苦笑しながら答えた後リウイを見つめて尋ねた……………………

 

 

 

 

ふと思いついて書いてみました。後篇も勿論あります。後篇はできれば年内には出そうと思っています。それとお気づきと思いますが、シュバルツァー家の家族構成もオリジナルにしました。……だって、エリゼか、エリゼに代わる人を出さないとアルフィン皇女に関われませんし(汗)……感想お待ちしております


 
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