「もしもし?リツコ?あたしだけど、ちょっち彼見失っちゃって…そっちになにか連絡いってn」
「なにやってるの!?だからあなたが行くの反対だったのに!おまけに一人で行くなんて!そもそもあなたは昔から…」
こちらが言い終わらないうちに電話相手から叱責の弾幕が飛び込んでくる。
「うひ~」
思わず携帯電話を耳から離す。
電話の相手は赤木リツコ、NERV技術開発部技術局第一課長だ。
ミサトとは大学時代からの親友であるが、だからといってこういうときに容赦はしない性質の人である。
「もしもし?ちょっと!ミサト聞いてr…」
突如ぶつっという音と共に通話が切断された。
「もしもし?もしもし?」
ミサトの呼びかけには、意外な人物が応じた。
「もしもし、葛城ミサトさんですか?」
聞こえてきたのは、リツコとはまったく違う少年の声だった
「え、ええ、そうよ。あなたは?」
「碇シンジです」
「えっ、シンジ君!?なんで?リツコと電話してたのに」
「さあ?混線でもしたんじゃないですか?」
「それよりシンジ君!いまどこにいるの?」
「いまは上空です」
「はい?」
「飛行機に乗ってます。たまたま乗せてもらえて。いま第三新東京市にむかってます。連絡してVTOL用の着陸場所を確保してください。では」
「ちょ、ちょっとシンジ君!?」
あわてて呼びかけるが応答は無かった。
「なんだってんのよ…」
携帯を見ていぶかしげな顔をするミサトだったが、突如として通話が再開された。
ただ、相手はリツコだったが。
「もしもし?もしもし?ミサト?どうしたの?」
「あ、リツコね。彼と連絡ついたわ。VTOLの着陸場あけといて」
「ちょっとミサト!?もしm」
また長くなりそうだったので、ミサとは通話をきると車の速度を上げ、第三新東京市に向かった。
「終わりました」
シンジはそういうと機内に備え付けの受話器を置いた。
『はい、ごくろーさん』
横に浮かんでいた立体映像が消える。
先ほどまで映し出されていたその影は、通信管理部のオペレーターであり、先ほどミサトの通話にこちらの通信を割り込ませたのだ。
「おーい、カテゴリーGのデータが来たぞー」
仮想ディスプレイを見ていた男が言い、シンジのほうに見ていたものを放る。
空中をすべるように移動したディスプレイをシンジはひょいとつまむ。
「ふむふむ、ぴったり一致するタイプは無し、しかしG-C-023型に比較的似ている。一致率78.2%、ですか」
「うん、攻撃手段は現在のところ格闘と手から出る杭、それにビームだね。ビームは強力だけど連射はそれほど効かないし杭も射出方向と位置は固定みたいだ。密着状態なら格闘しか手段が無い。相手にはコアがあるんだからエヴァンゲリオンなら勝てると思うよ」
「やっぱり乗らなきゃだめですよね」
「今からなら引き返せるよ。カテゴリーGは味方が処理するだろう」
「でも、決めた以上やりますよ」
シンジはあはは、と笑いながらそう答えた。
『まもなく、第三新東京市上空。アクティブステルス解除。着陸準備』
「カテゴリーG、再侵攻を開始」
「味方部隊、到着」
機内があわただしくなり、いくつもの連絡が飛び交う。
そして機は山を越え、第三新東京市へと差し掛かる。
稼動しているいくつかの対空攻撃システムがじわり、と照準波をそそぐが、連絡が行っているのかさすがに撃っては来ない。
通信が入り、郊外にある着陸場に着陸するよう指示される。
そして、ハシビロコウ-05はゆっくりと着地した。
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数年前、碇シンジの前に現れた奇妙な「研究所」。「ねぇ君、こっちに来ないかい?こっちにくれば、地球なんかを守ったり出来るかもよ?」
それから数年後、2015年。第3新東京市。ここから、物語は始まる。
エヴァ以外に、日常、ロストプラネット、地球防衛軍などとのクロス?です。
TV版(たまにコミック版、新劇場版)を元としますが、進むにつれ原作とはどんどん乖離します。
にじファンからの移転作品です。
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