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「こちらハシビロコウ-05、統合アクティブステルス状態にて順調に飛行中。目標地点到達まであと五分」
『こちら司令部、了解した。警戒せよ』
「こちらハシビロコウ-05了解した。通信終わり」
空を切り裂き、一つの物体が飛んでいた。
しかし、それを外部から視認することはできない。
その機体は統合アクティブステルスにより目視、レーダー、赤外線等々あらゆる探知手段からほぼ完全に「見えなく」なっているためだ。
どちらかといえばずんぐりした機体だが、見た目に似合わぬ高速で空を飛んでいた。
機内には、十人弱の男女が乗り組んでいる。
機内部は実用一辺倒の内装であり、あまり心安らぐ風景とは言えない。
いくつかの椅子が設けられてはいるが、人々はむしろ立っているほうが多く、壁や手持ちの機材をいじっていたり、小さな窓から外を見ていたりしている。
機体と機材が発するかすかな音以外にも雑談の声が満ちている。
「それで、結局行くことにしたんですか?」
壁から延びる半固定式のモニターを見ていた女性が言う。
しかし、そのバッジを見る限り、完全な女性ではなく、女性型人工知性であるらしい。
機内に作り付けで設置されたイスに座り、携帯式の端末をいじっていたシンジは、顔を上げて答えた。
「はい、やっぱりできることはしておくべきかと思って」
シンジはそういって再び携帯端末いじりに戻る。
そこには、ちょうど海岸に上陸しつつあるカテゴリーGの姿があった。
国連軍や戦略自衛隊の戦車やVTOL攻撃機が周囲を囲んで果敢に攻撃を仕掛けてはいたが、ろくに効いていないようだ。
「ところで、俺たち以外の味方はどうなってんの?」
窓の外を見ていた若い男が言ったその問いに、どこかと通信していた若い女性が横のモニターでデータをチェックして答える。
「え~っと…空中巡洋艦が二隻と、空中長距離砲艦が一隻、空中高速物理砲艦が四隻、攻撃機が十二機向かっています」
「オーバーキル気味じゃないか?」
「保険ですよ。それに、いくつかはそのまま残りますし」
そんな会話を交わしていると、壁の立体表示機が光を発した。
それは少し無意味に光った後、ヘッドセットをつけた若い女性の胸像を映し出す。
彼女は、皆がこちらに注目していることを確認すると、口を開いた。
『えーっと皆さん、緊急事態みたいです。どうやら国連軍がN2を使う気だとか…』
彼女がそこまで言い終わったとき、窓から閃光が差し込んだ。
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数年前、碇シンジの前に現れた奇妙な「研究所」。「ねぇ君、こっちに来ないかい?こっちにくれば、地球なんかを守ったり出来るかもよ?」
それから数年後、2015年。第3新東京市。ここから、物語は始まる。
エヴァ以外に、日常、ロストプラネット、地球防衛軍などとのクロス?です。
TV版(たまにコミック版、新劇場版)を元としますが、進むにつれ原作とはどんどん乖離します。
にじファンからの移転作品です。
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