No.640737

一刀の晋王転生録 最終章八話

k3さん

鐘会の話はまだ終わらない。そして彼の持つ太平要術の力は非常厄介なものであった。

2013-11-28 20:38:26 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1874   閲覧ユーザー数:1700

 姓:司馬 名:昭  性別:男

 

 字:子上

 

 真名:一刀(カズト)

 

 北郷一刀が転生した者。

 

 

 

 

 姓:司馬 名:懿  性別:女

 

 字:仲達 

 

 真名:理鎖(リサ)

 

 一刀と瑠理の偉大なる母。第三章で死亡した。

 

 

 

 

 姓:司馬 名:師  性別:女

 

 字:子元

 

 真名:瑠理(ルリ)

 

 母を目標にする一刀の姉。一刀を異性として愛す。

 

 

 

 

 姓:張  名:春華 性別:男

 

 真名:解刀(カイト)

 

 一刀と瑠理の父にして、一刀の師。第四章前編で死亡した。

 

 

 

 

 姓:王  名:元姫 性別:女

 

 真名:美華(ミカ)

 

 一刀に異常なまでに執着する一刀の妻。

 

 

 

 

 姓:鄧  名:艾  性別:女

 

 字:士載

 

 真名:江里香(エリカ)

 

 後の司馬家軍の宿将。司馬家に対して恩を感じている。

 

 

 

 

 姓:賈  名:充  性別:女

 

 字:公閭

 

 真名:闇那(アンナ)

 

 司馬家の隠密。一刀のために働くことを生きがいとする。

 

 

 

 

 姓:王  名:濬  性別:女

 

 字:士治

 

 真名:澪羅(レイラ)

 

 後の司馬家の水軍の将。一刀を気に入り、司馬家のために戦う。

 

 

 

 

 姓:司馬 名:望  性別:女

 

 字:子初

 

 真名:理奈(リナ)

 

 一刀達親戚で、一刀と瑠理とっては義姉という立場。

 

 

 

 

 

 

 姓:杜  名:預   性別:女

 

 字:元凱

 

 真名:綺羅(キラ)

 

 一刀とは同期。親同士の仲は良くないが、当人達の仲は良い。  

  第八話

   「鐘会の暗躍 暴走の理由」

 

 

「と、まぁこれが貴方達に仕えるまでの経緯と言ったところですね」

 

 一刀は驚愕する事を止められなかった。反董卓連合の事は当然ながら、まさか麗羽達の反乱もが鐘会の手が加えられていたとは露ほ

 

ども思わなかったのだ。

 

 さらに言えばその後の袁家に協力した勢力の鎮圧も彼の手によって起こされたものであると言っても過言では無い。

 

「しかし、今にしてみれば失敗したのはかえって幸運だったのかもしれません」

 

「何!?」

 

「何故ならあの頃、まさか姜維ような男が五胡にいるなど予想も出来なかったからですよ。五胡が攻めてくるとは分かっていました

 

が、奴等程度の戦ならば、後の袁家との戦でも問題は無いと思っていました。ところが姜維が五胡の軍に手を加えたことで奴等の力は

 

何倍にも増加しました。それでは流石の私も彼の率いる五胡に勝てたとしてもその後の袁家との戦いで勝てるとは思えません。だから

 

失敗したのは返って幸運だったと言っているのです」

 

「確かに、奴の率いる五胡はとんでもない強さだった」

 

 そんな男が今、目の前の男に協力しているという事実に一刀は改めて現状に危機感を覚える。

 

「話を続けましょう。次に私は考えたのは、貴方達の陣営に入り、貴方達が天下を手にした時、内部から貴方達を処分して自分が頂点

 

に立ち天下を獲るというものです」

 

「成程な、それがこの戦という訳か」

 

「いいえ、この戦は当初とは大きく計画を変更したものです。そもそも戦を起こさずして事を進めたかったのですよ」

 

「……どう言う事だ?」

 

 確かに戦にならないように出来るのならばそれに越したことは無い。しかし、そんな方法があるのかと考えるが検討も付かない。

 

「そして、それを成功させる鍵が、司馬師でした」

 

「姉上が!?」

 

「はい、彼女は才も覇気も十分にあり、一見、欠点は無いように見えます。しかし、彼女の心にはある問題点がありました。もう、お

 

分かりですね?」

 

「……っ!?」

 

 一刀は思わず口にしてしまいそうになるが何とか堪えることが出来た。それを口にしてしまえば晋の国が滅びかねないほどの事だか

 

らだ。

 

(こいつ、姉上の想いに気付いていたのか!?)

 

 そんな事を思っている間にも、鐘会の話は続く。

 

「それを知った私は、それを利用する事にしました。そこで、この本の出番という訳です」

 

 鐘会は太平要術の書を一刀に見せるように前に持ち上げる。

 

「この本には、一つの感情を暴走させるという術があります」

 

「!?」

 

「これを使うには条件がありましてね。当然の事ではありますが、対象が何の感情を押さえ込んでいるかを知らなければならない。的

 

外れなもの暴走させようとしても効果がありませんからね。とにかく、この術を司馬師に掛ける事に成功しました。そして見事彼女は

 

自分の願いを叶える為に暴走。後は私がその願いを叶える為に役立つ事を知ったことで晴れて私は貴方達の軍として入ることに成功し

 

ました。その後も彼女には暴走してもらい、何か誰の目にも明らかなとんでもない不祥事を起こして欲しかったのですが……まぁ、そ

 

の前に暴走した感情が何らかの要因で満足して、それが原因で私の術が解けてしまったようですね」

 

 一刀は驚きと同時に何処か納得した。

 

 確かにあの時の瑠理はあまりにも異常だった。その原因が鐘会の妖術であるというのであれば、一刀にとっては筋が通るのだ。そし

 

て術が解けた原因は恐らく、瑠理が自分との間で子を成した事だろう。だが、それこそ不祥事だ。もし、鐘会がこの事を知っているの

 

であれば、もう国がどうなっているか分からない。そしてそれぐらいの事が起きなければ術が解ける事は無かったという事でもある。

 

(!? 待てよ)

 

 一刀はある可能性に行き着く。

 

「鐘会! まさか、まさか諸葛亮と夏候惇、黄蓋にも、それを!」

 

「察しが良いですねぇ、その通りです。彼女達にも何か思うことがあったみたいですからね。術でそれを暴走させてやりましたよ!」

 

「き、貴様」

 

「もうお分かりでしょう? 術の厄介さを体験した貴方ならば。この術は感情を、欲望を満たさなければ解ける事は無い。さて、今

 

戦っている者達に彼女達の感情を満たせてくれる術(すべ)はあるのでしょうか? ふふふ……貴方も残酷な事をしますねぇ」

 

 一刀は何も言う事が出来ず、ただ激情を抑えるだけだった。


 
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