No.631856

真・恋姫†無双 巡る外史と仮面の魔神 二話

XXXさん

魔神編

猫の躾をしてやろう

2013-10-27 20:34:19 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:2677   閲覧ユーザー数:2448

「「「ぎゃぁああああああああああああああああ!?」」」

 

「アハハハ♪もうちょっと歯応えがあるのはいないのかしら?」

 

今は使われなくなった城の跡地…そこでは赤い服を着た美女が黄巾党の兵を切り刻んでいた。

美女…孫策は自分にかかる返り血を気にせず、高笑いしながら黄巾党を斬っていく。

そんな彼女に軍師…周瑜が待ったをかけた。

 

「雪蓮!そんなに前に出るな、お前は呉の後継者なのだぞ!」

 

「も~~、冥琳頭かった~~い!あたしがこんな三下に殺られる筈ないじゃない!」

 

「はっはッは♪あの性格も堅殿譲りじゃのう」

 

それでも気にせず、孫策は前に突き進む。

それを見て、孫策の母である孫堅文台の次代からの老将の黄盖が笑っていた。

大方孫堅の背中と重なったのだろう…その目の奥に懐かしさが見られる。

 

「はぁ…困った王だ…」

 

「よいではないか、あの戦いぶりを見て兵達の士気も高まってるじゃろうに」

 

「ですが祭殿。孫堅様がお亡くなりになられて、孫家の血を引くのは三人のみなのですよ?」

 

「じゃが、あのような場所で策殿が死ぬ筈なかろう?お主もそれを解っているじゃろうに」

 

「それはそうですが…」

 

周瑜と黄盖が戦闘を孫策に任せ、話をしている。

余程孫策を信頼しているのだろう。

そうでもなければ、このような会話をしてはいない筈だ。

 

「…ん?」

 

「雪蓮?どうした、急に止まって?」

 

「何か来そうな気がして…」

 

「何時もの感ですかの?」

 

孫策が急に立ち止まり、周囲を見回す。

周瑜はそれに疑問を浮かべ、黄盖は何時もの感だと思った。

すると――今まで斬ってきた黄巾党の群れの…後方から、大勢の悲鳴が聞こえて来る。

それだけではない。

パンッ、と言ったまるで乾いた音まで聞こえて来るのだ。

 

「何だ…?後ろの方が騒がしいぞ…?」

 

「…まっ、まさか…」

 

「頭ぁ…もしかして、あいつが…」

 

黄巾党の頭と思わしき人物が後方を見る。

彼の周りにいる兵は狼狽え、ある存在を頭に浮かべた。

噂でしか聞いたことのない……畏怖する存在を。

 

 

「ぎゃぁあああああああああ!?」

 

「何だ!?なにされ…ぎゃ!」

 

「ひぃぃぃ!?」

 

 

森の奥から出てきた三人の黄巾党。

一人は、橙色の小さい何かに頭を貫かれ、その場に倒れる。

また一人は、倒れた黄巾党の兵が何をされたか理解できずに、左胸を先程と同じ橙色の何かに貫かれ倒れた。

最後の一人は、尻餅をつきながらも必死になって何かから逃げようとしている。

 

孫策達も黄巾党達も、戦いを忘れてその光景をただ見ていた。

そして、尻餅をついていた兵の額を何かが貫く。

兵が倒れ、それと同時に森から出てきたのは……両手に赤い小斧のようなものを握った、全身を黒いマントで覆った男。

その男の顔の部分には、白い仮面が付いてあった。

 

「黒い衣……白い…仮面…ッ!」

 

「奴だ!!魔神が出たーーーー!!」

 

「魔神…?」

 

「噂の…管輅の占いの魔神か!?」

 

男…魔神の登場により、黄巾党達の顔は一気に青ざめて我先に逃げようとする。

噂でしか聞いたことがないが、黄巾党の中にはそれを間近で見た者も混じっており、このように恐怖している。

一方の孫策は魔神と言う言葉を聞き、どこかで聞いたような顔をする。

周瑜の方は管輅の占いのことだと覚えているのに、恐らく政務をサボっていた為であろう。

 

そうしている間に、魔神は逃げようとする黄巾党の兵達を追いかける。

手に持っているのは…この次代にはある筈のない、銃口の近くとグリップ下部には刃がついている二丁拳銃。

魔神は後ろから常人ではあり得ないほどの跳躍で黄巾党の頭上に飛ぶと、そこから黄巾党の頭を狙って橙色の弾丸で撃つ。

その弾丸全ては正確無比に黄巾党の2/3を捉えた。

それに驚いた残りの黄巾党は後ろに気を取られ、前に回り込まれた魔神に気づかないでいる。

 

「な、一体どうし…」

 

「頭ぁ!ま、前に――」

 

魔神が目の前にいるのに気付いた最初の兵は…拳銃を持ち変え、グリップ部分の刃を使う魔神に首を跳ねられる。

そこからは一方的だった。

ある者は足首を斬られ、ある者は最初の兵と同じく首を斬られ、ある者は頭を真っ二つに斬られる。

そして、最後の一人が弾丸で貫かれると…黄巾党は全滅。

ただ、魔神が斬ったり撃った者達に限っては、今だ生きている。

 

『…………少し、遅かったようだな』

 

「そこのあなた。何者かしら?」

 

『…孫策か……』

 

「!?何であたしの名前…」

 

「雪蓮!こいつは管輅の占いにあった魔の神…魔神だ!」

 

「魔神…ああ!あの時ちらって見たのか!」

 

「なんともまぁ……政務をほったらかしにしていたのかいのぅ…」

 

「何言ってんのよ?その時、祭と一緒に飲んでたじゃない」

 

「おお!?あの時か!」

 

「…雪蓮…後で話がある…!祭殿は…半月ほど酒は禁止…!」

 

「そ、そんなぁ~」

 

『…どこの孫策も孫策…か』

 

因果応報…政務をサボっていた孫策は後で周瑜に説教されるだろう。

ついでに黄盖も。

その光景を見ていた魔神は仮面の奥で目を細め、どこか落ち着いた声を出す。

 

「…それはともかく、お主は管輅の占いにあった魔神かの?確かにそこに転がっとる連中は…人間離れしとるがの」

 

『そうだな。魔神と言うのは嘘ではない。それに、こいつらの状態も俺がやった事だ』

 

「ふーん…でも、貴方ってけっこう強そうよね?どうかしら、今ここで試合しない?」

 

「雪蓮!?」

 

「策殿!?」

 

『断る。今貴様と戦うことは俺にとって何も利益がない』

 

 

好戦的な孫策は魔神に試合をしろと言い、周瑜と黄盖は驚く。

だが、魔神はすぐに断った。

利益のない戦いは避けようと言うのだろうか。

 

「…確かにお前に利益がないが、こちらには損害があるのだぞ?」

 

『…どういう事だ、周瑜』

 

「(私の名も知っているとは…。)私達は黄巾党討伐の為にここまでやって来た。だが見たところ、お前は私達の討伐すべき黄巾党を他にもてにかけている。これでは私達の来た意味がないではないか」

 

『確かにそうだな…』

 

魔神がまだ見ぬ黄巾党を討伐したこともあり、周瑜としてはどう朝廷に報告すればいいのか解らない。

それを聞き、魔神は考える仕草をする。

 

(とかなんとか言っちゃって、本当は魔神君の力量を確かめたいんでしょ?)

 

(まあな。力量によっては私達の戦力にするつもりだ。最も、あの武器についても気になるしな)

 

だが、本当の目的は魔神の力量を確かめる事らしい。

断金の仲である孫策と周瑜はそれをアイコンタクトで確認。

軍師として、魔神の持っている武器に興味があるらしい。

 

 

 

『…いいだろう。相手をしてやる』

 

「やった♪」

 

 

孫策の兵達は黄巾党達を避けさせ、魔神と孫策が戦える場所を作った。

そして、今そこに立つのはたった二人。

 

「ん~~~!それじゃあ、久々に強そうなのと戦おっと!」

 

『お前には槍でやった方が戦いやすそうだな』

 

孫策は背伸びをし、自身の武器の南海覇王を軽く振る。

魔神は二丁拳銃を一つに合わせると、なんとそれが粘土のように変形し、漆黒の槍へと形を変えた。

 

「!?槍に変わった…!?」

 

「なんと面妖な…」

 

「へぇ…槍を使うのね。面白そう♪」

 

『…とんだお転婆な王だな。そこまでして戦いを好むのは…江東の虎の娘からか?』

 

「う~ん…どうだろ?確かに母さんに似てると言われてるけど…」

 

『どちらでもいい。俺も忙しいからな。猫とじゃれあう暇もないほどな』

 

猫…魔神は確かにそう言った。

その言葉に孫策は反応し、表情に出さないが怒りだした。

 

「猫…ねぇ…。あたしを猫なんて呼ぶ人なんて初めてだわ。よっぽど…ズタズタにされたいようね…!」

 

『ズタズタに?その剣でか?それとも、そのよく斬れなさそうな爪で?……ああ、歯もあったな』

 

殺気を飛ばし続ける孫策に対し、魔神は何事も無いように平然としている。

そればかりか、挑発して。

 

「ふふ…ここまでこけにされたのも初めてだわ」

 

『それで、まだ始まらないのか?…それとも、その爪を磨ぐ時間か?』

 

「もういい……貴方はバラバラになるまで、切り刻んでやるわ!」

 

『そうか。なら俺は、猫の躾をしてやろう』

 

「(こいつ…馬鹿か…?)…それでは、始めっっ!!!」

 

周瑜が挑発してどうするつもりだ、と思いながらも試合開始の合図をする。

それと同時に孫策は走りだし、魔神はゆっくりと歩み寄った。

孫策は魔神の腹目掛けて斬りかかるが、魔神は槍で防ぎながら足払い。

それは孫策に跳びながらかわされ、そのままハイキックを魔神に打ち込む。

だが、魔神は槍を地面に深く刺し、それを使いながら上に避ける。

そのまま孫策の背中を押して体勢を崩させた。

孫策は素早く魔神のもとへ向き攻撃。

南海覇王と槍の打ち合いが始まる。

 

「ちっ!このっっ!!」

 

『一撃に力を入れすぎている。反撃されるのを考えていないのか?』

 

「そうね!でも、貴方!殺気、全然放ってないから!そうなっちゃうのよ!」

 

『それもそうだな…。だが、ここで終わらせよう。あまり時間を掛けてられないからな』

 

「ッ!!」

 

そう言って魔神は一回孫策から離れると、槍をまるでビリヤードのキューのように持ち変え、孫策に接近。

一方の孫策はすれ違った時に斬ろうとしたため、真っ直ぐに魔神のもとに突進する。

そして後数歩でぶつかる距離まで来ると、魔神は槍を高速回転しながら南海覇王の柄の近くに突き刺す。

孫策は対処するのに一瞬遅れ、防御しようとする。

だが、回転する槍は段々と南海覇王に干渉し、とうとう南海覇王は孫策の手から弾かれた。

それに間髪いれず、魔神は槍の柄を孫策の首に押し付け、体ごと地面に押し付ける。

孫策は抗おうとするが、弾かれた南海覇王をもう片方の腕で掴んだ魔神がそれを腹部近くまで運び、寸止めしたのを見ると抵抗を止めた。

 

『…さっきお前は俺が殺気を放たないと言ったな。それについては二つ理由がある』

 

「……何?」

 

『一つは貴様に…貴様達に死なれては困るから。もう一つは…殺気を放つ気にもならなかったからだ』

 

「それは…どういうことかの?」

 

『貴様達は、蟻を潰す時に殺気を飛ばすか?』

 

「…はぁ…あたしの負けね」

 

敵わない…そう思いながら孫策はぐったりと寝そべる。

さっきまでの怒りはもうない…ぶつける対象に返り討ちにされるからだ。

それを確認した魔神は、南海覇王を地面に刺して森の奥に歩んでいく。

 

「ま、待てっ!どこに行く!」

 

『どこにでも。俺の目的の為にな』

 

「目的じゃと?」

 

『それに…ここにいると、そこの猫がまた俺に勝負を仕掛けて来そうでな』

 

「あはは…ばれちゃった?」

 

『周瑜は俺の力量を試していたのだろうが、俺は何処にも属さない。ましてや――』

 

チラリ、と孫策の事を見て、

 

『――政務をサボって、時間があれば戦いを挑みそうな…子猫はゴメンだ』

 

魔神は森の奥に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

XXX「作者と!」

一刀「一刀の!」

X一「「後書きコーナー!」」

 

一刀「なんか最初の雪蓮、戦闘狂過ぎじゃね?」

XXX「しょうがないって、俺のイメージ何だし」

一刀「後何だよ、二丁拳銃の銃弾。橙色って。あれも前回と同じ能力の一つ?」

XXX「うんにゃ?あれとこれとは違うよ。銃弾は一言で言えば気弾みたいな感じ?ちょっと違うけど」

一刀「ちょっと?」

XXX「まあ、ネタバレになるから言わないけど」

 

XXX「あ、そうだ。武器について、一つ忘れてた。実を言うと、あの武器とは別にもう一つ武器あるから」

一刀「あの変化するやつじゃなく?」

XXX「うんそう。れっきとした伝統ものだよ。ちなみに次回はハンマーと大鎌出るから」

一刀「最後に、何でこんなに早く投稿したんだ?」

XXX「ああ、来週用があるから書けないんだよね。だから早めに投稿した」

 

一刀「と言う訳で、次回の真・恋姫†無双巡る外史と仮面の魔神 三話!」

XXX「魔神編 “殺しておけばよかった”。あ、次回は…」

一刀「言わせねーよ!?」

XXX「ちぇー…ーξー」

 

再見ーmーノシ


 
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